スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
1,141 / 1,361

千百三十九話 認める

しおりを挟む
(ふっ、ふふ。やはり、急がなければ、ならない、かッ!!!!)

今のところ、アリサと互角と言って良い勝負を繰り広げているライナス。
現状を考えれば、彼にも勝機はある。

しかし……本当にアリサを倒し、彼女を連れ去ろうとしても、まず周りの騎士たちが許さない。
加えて、現在はアリサとのタイマン勝負に集中してしまっている事で忘れているが、ガルシアたちというアリサに劣らない五人がいるため、彼だけが生き残っていても意味がない。

自身と共に行動してい騎士たちも……最低十人は残っていなければ、連れ去る事が出来ない。
ただ、それもフールという剣鬼が参戦してこないというのが前提条件。

「アリサよっ! そなたは、本当に強い!!!」

「それは、ありがとう!! あなたも、十分強いわよ、ライナスっ!!!」

「こうして、斬り結び続けたいのは、山々だが……そうも、いかない」

そう言いながら、ライナスは戦闘が始まってから初めて体を動かしながら魔法を発動。
多数の水の針を飛ばしながら、後方へ移動。

アリサは咄嗟の判断に追われたため、その隙を突けば良かったのではないかと思われるが、ライナスはライナスで目的があった。

「私の全てを使い、あなを手に入れる」

そう言うと、懐から取り出した一つの指輪を装着。

「ッ!!!!!!!」

装着した瞬間……アリサは魔剣だけではなく、全身に風を纏った。

「流石、一目で見抜くか」

「それが……あなたの隠し玉、切り札って、ことねッ!!!!」

指輪をマジックアイテムを装着したライナスは雷を纏っていた。
ただ……それだけではなく、同時に水までも纏っていた。

水と雷は、相性が悪い。
そしてライナスの現在の姿を見れば、前世を持つアラッドは「はっ!!!!!!?????? ……あり得ないだろッ!!!!!?????」と驚き固まること間違いなし。

形としては、纏う水の中に雷が内包されている。

触れれば……何かしらの属性魔力を纏っていなければ、雷の力によって痺れを受け、一気に勝負を持っていかれる。
水を通しているということもあってか、通常の魔力だけでは、よほど分厚く纏っていなければ貫通していしまう。

(マジックアイテムの、力があったとしても、これを出来るのは……本当に、凄いじゃ、ないッ!!!!!)

二つ属性を扱える者はそれなりにいても、二つの属性を同時に扱える者は多くない。

確かにライナスが装備したマジックアイテムによって雷を操れるようになったが、雷と水を同時に操れる技術は別問題。
純粋に……ライナスの才能と鍛錬、実戦が重なり合い、至った結果である。

雷という追加攻撃だけではなく、雷を纏うことで純粋に身体能力が上昇。
脚から水路を展開して脚を動かさずとも移動する技術も、雷を纏うことで加速。

スピードは増すも、だからといって直線的で読みやすくなるという弱点にはならない。

二人の剣戟は更に激しさを増し、アリサは魔剣を振るいながら風魔の攻撃魔法を発動。
対して……ライナスは水と雷を全身に纏った状態で魔剣を振るい、それだけでアリサの魔剣と風の攻撃魔法を対処し続ける。

(奥の手では、あるのだろうけど! ちゃんと使い、慣れてる!!!! 良いじゃない……本当に強いじゃないッッ!!!!!)

戦況は、ややアリサが不利。
そんな状態でありながらも彼女は息子と似た様な笑みを浮かべ続けるが、水雷を纏った細剣は彼女が纏う風を突き破り、切傷一つ……二つ、三つと刻んでいく。

どれも薄皮が切れ、たらりと血が流れる程度の傷ではあるが、着実にアリサの動きを捉え始めている。

(ッ!!! あの、男……本当に口だけでは、なかったな)

(水と雷の二つを、纏っているだとっ!!!??? あんな事、うちでも出来る者は限られてるってのに!!!)

(ただ、欲望に忠実な、クソ野郎というわけじゃ、なかったのね)

ライナスの不安は的中しており、徐々に……徐々にライナスと共に行動していた騎士たちはパーシブル家の騎士たちによって削られていく。

そのため、多少なりともアリサとライナスの戦いに意識を向ける余裕が生まれていた。

二人の激闘は……やはり、現状ではアリサが不利。
ライナスは魔力消費に負荷が掛かる戦い方をしているが、侯爵家の生まれである彼は純粋な後衛魔術師などではないにしろ、魔力量はそこら辺の魔術師よりも多い。

魔力切れのタイミングを狙う……その戦法を狙えば、その瞬間が来る前にアリサの急所にライナスの刃が届く可能性の方が高い。

「ッ、っ!!! ……良いわね。だから……認めるわ、ライナス」

認める。

いったい、何を認めるというのか。
ライナスは……侯爵夫人という立場を捨て、自分の元へ来るという選択肢を選んだ、という訳ではないことぐらいは解っている。

彼女の眼は、戦いを諦めた者の眼ではない。

「あなたは、本気で戦うに値する」

「っ!!!!!!」

直後、アリサの動きが加速。

(重っ!!!!!)

なんとか受け流すことに成功するも、確実に斬撃の重さが上がっていた。

(身体能力、だけではない。保有する魔力量までもが、増加しているっ!!!!)

「ここからは、私も本気……あなたを潰すわ」

ここからが本番か……はたまた、これから終幕か。
突然の強化前にしても、ライナスはアリサの美しさに……強さを前に、表情を歪めることはなく、笑顔で目の前の存在を奪おうと戦う。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...