スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千百四十四話 その思いを誠に

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(本当に、つぐつぐ思い知らされるっ!!!!)

ドミトルは壁を展開出来る者たちの後ろで、苦虫を嚙み潰したよう顔を浮かべていた。

何故、いきなりエリナが一か所に集まり、壁を展開するように伝えたのか……戦闘経験が豊富なドミトルは直ぐに理解した。

「ドミトル、これは」

「あぁ……サクリファイス、だろうな」

生贄、もしくは犠牲。
何かを得る……もしくは必ず打ち滅ぼす為に、何かを犠牲にする戦法。

戦闘者たちにとっては、自身の体の一部を犠牲にし、自身の攻撃で仕留める……それか、自分を犠牲にして相手の動きを止めている間に、他者が攻撃を行って仕留める。
それらの行為もサクリファイスと言える戦法。

だが……今回取られた戦法、アルバース王国側の戦闘者たちがゴリディア帝国側の者たちの対処を行っている間に、超後方から超高火力の攻撃を行い……まだ戦っているであろう味方を殺してでも敵を殺す。

(この状況で、エリナちゃんだけに任せてしまうとは……クソっ!!!!!)

ドミトルも魔力を回復させれば、それなりの遠距離攻撃を放つことは出来る。

しかし、エリナの様なエルフや魔術師たちの様な魔力感知がなくとも、これまでの経験から……ドミトルは、嫌でも理解させられてしまう。
自分たちでは……これから迫りくる攻撃に対処出来ないと。

(久しぶりに、恨むな。てめぇの……才能の無さを)

本当に若い頃は、何度も何度もずば抜けた才を持つ者に嫉妬していた。
それでも、時が経ち……昔先輩たちに教わったことを少しずつ理解出来るようになり、自身が持つ才能の大きさを認め……その中でどうすれば良いのか、どう立ち回れば良いのかを考えられるようになったドミトル。

もう、ここ十年近くは才能というものに関して、何かしらの感情を抱くことはなかった。

だが、ここにきて久しぶりに自分の不甲斐なさ、才能の無さに対する黒い炎を抱く。

「っ、お前ら! 直ぐに戦えるようにしておけよ!!!!!」

それでも、彼らはベテラン冒険者。
久しぶりに黒い感情を抱くも、先日後輩たちに伝えた通り……その黒い感情も考えるだけ無駄だと、意味のないことだと理解している。

だからこそ、ベテランらしく先を見越して指示を出す。
エリナやガルシアが迫る遠距離攻撃を対処した後、追加投入されるかもしれない戦闘者たちの対処が出来るようにと。




(やるしか、ないっ!!!!!)

覚悟を決めたエリナは即座に弓を構え、特注の矢を備える。

特注の矢は鏃が轟炎竜の牙を使用しており、弓使いにとってはまさに切り札。
備えた瞬間、鏃に炎が灯り……更に、暴風が纏われる。

エリナが纏う暴風の影響を受け、炎は激しく燃え盛る。

「ッ!! ミーティアっっっっ!!!!!!!!!!」

スキル、弓技のレベルを上げることで会得可能な技、ミーティア。

弓技の中でも上級者しか会得出来ない技であり、大剣技の破山と同じく……使用者の力量次第では破山が山を切断するのに対し、ミーティアは山を貫く。

エリナはそんなミーティアを使用することは可能だが、まだ完璧に扱える程の練度はなく、できれば不用意に使用したくない。

しかし、迫る超高火力の遠距離攻撃に対応するには、それしかなかった。

エリナやアリファたちを殲滅する為に放たれたのは……炎を水が混合した竜。

体技を一定以上の練度まで鍛え上げ、更に属性魔法もある程度の域まで使用出来るようになると、その属性を使用した遠距離攻撃を放てるようになる。
放たれた攻撃の形は人によって異なるが、主に竜の形で放たれることが多い。

ただ、まず……二つの属性を併せ持つ攻撃が放たれることはない。
アラッドやエリナなどが割と頭がおかしいだけで、上級者と呼ばれるレベルの体技を会得しつつ、平均よりは上と呼べるほどまで属性魔法の腕を上げるのは、非常に難しい。

大半はどちらかに才が偏ってしまう。
故に、体技の練度を高めに高めた者が一つだけではなく、複数の属性魔法を平均以上の腕まで鍛え上げるのは、まず不可能。

であれば、何故エリナたちに迫る竜の属性は一つではないのか……それは、二人の武道家が同時に竜を放ったからである。

呼吸、タイミング、放つ竜の威力……それらを合わせてこそ、二つの属性が混ざり合った竜を放てるため、遠距離攻撃を放てる武道家が二人いるからといって、容易に放てる攻撃ではない。
それでも、事実として、それを実行する武道家がいる。

威力に関しては単純に竜二つ分が重なるという訳ではないが、一人分より増加するのは間違いなく、属性が重なり合っていることで更に強化。

Aランクモンスターの素材を鏃に使い、更に暴風を纏わせて強化。
その矢でミーティアを放ったとしても……エリナのミーティアが不完全ということもあり、圧し潰される可能性は高い。

(それが、どうしたというのですかッ!!!!!!!!!)

覚悟を決めた。
その思いに、嘘はない。

エリナは渾身のミーティアを放った直後、一瞬の間にマジックポーションを飲み干し、今度は全身に暴風を纏い……炎水竜に向かって渾身の飛び蹴りを叩き込んだ。
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