スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千百八十七話 そういう人種

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二日目の出発時、リエラたちは予定通り途中でアッシュたちと合流。

(……雰囲気は、悪くないのう)

先日……アルバース王国側にも死者は出ていた。
だが、それでもザッと見積もった程度ではあるが、ゴリディア帝国と比べれば多くない。

本当に比べるのであれば、戦士した人物たちの戦闘力まで把握する必要はあるものの、それでも死者の数だけ見ればアルバース王国の方が少ない。

まだ二日目ではあるものの、残っている戦闘者たちの士気を高めるには十分な情報であった。

(とはいえ、こちら側にあまり貴重な戦力が用意されていないとなると、他の場所に…………いや、二人のことを考えれば、寧ろ良いものか)

木竜は……当初こそ、自分に嘗めた行いをしたゴリディア帝国を潰したい気持ちが第一優先だった。
しかし、今はアラッドの血族であるアッシュとシルフィーを守るのが第一優先。

であれば、自分たちが参加する戦場に猛者が参加しないのは、寧ろ好都合。

(アルバース王国の柱は、アッシュたちだけではないだろう)

木竜がかつて激闘を繰り広げた者の中には、アルバース王国の人間もいる。

心配するだけ無駄……と思っていたところで、木竜は異変を察知。

「空から来るぞッ!!!!!!!!!!」

「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」

「備えるんじゃ!!!!!!」

木竜……ドラスの声が、直ぐに戦闘者たちの耳に入る。

「一つは任せるぞ」

「っ、了解です」

ドラスの言葉に応えるラディア。

いったい何が来るというのか……数秒もしない内に、優れた感知力を持つ者たちは把握。
周囲の者たちに伝えることで、ドラスの声を聴いて一応準備していた者たちが真剣に備える。

「ぬぅううううんッッッッッ!!!!!!!!!!!」

一本の大剣を取り出し、宙へ飛ぶドラス。
そして……膨大な魔力を持つ竜にとっても、決して少なくない魔力を消費し、風属性の大剣を振るう。

すると、複数の怪鳥が現れた。

数秒も経たないうちに、怪鳥は特大の雷槍や竜巻、水獣に爆炎弾などと激突。

木竜だけではなくラディアやその他の冒険者や騎士、魔術師たちも自慢の遠距離攻撃を放ったことで、空中ではドンパチ祭り……では生ぬるい程の激突音が何度も繰り返された。

「ふむ、なんとかなったか」

マジックポーションを飲みながら、木竜は同士たちに被害が出なかったことにほっと一安心。

(いきなり仕掛けてきたか………………単純な奇襲とも取れるが、やはり……ユニコーンたちの情報を得ての奇襲か)

アルバース王国側に従魔として行動するユニコーンがいる。
その情報は当然ゴリディア帝国側に持ち帰られていた。

権力者寄りの人物たちからすれば、是非とも生け捕りにしたい。
それが無理なら、なるべく傷付けずに殺したい。

そんな意見が出る中、権力者……の中でも戦闘者寄りの人間たちが一喝……ではなく、単純に怒号を飛ばした。
ゴリディア帝国側にはただ単にユニコーンがいたという情報だけが持ち帰られたわけではない。
その二頭のユニコーンによって、どれだけの犠牲が出たのか、おおよその情報も持ち帰られていた。

ただ逃げ回るだけで、存在が珍しいというだけではない。
これ以上被害が出る前に殺すというのが権力を持つ騎士、冒険者たちの判断だった。

コネ野郎などの意見は通らなかったのか?
戦闘者寄りの人物たちから、これ以上ユニコーンによる被害が出た時に責任を取れるのか、という言葉であっさりと撃沈。

権力だけの人物とは、権力を持っているくせに責任は取りたくない人種なのである。

「……ドラスさん、今のは」

「そのようじゃな……あれほどの魔法を放てる者たちがいるとなると、どうやらここは薄い戦場とは言えんな」

まだ優れた後衛職がいるという情報しかないものの、まだ表に出てきていない優れた前衛職の者たちがいないとも限らない。

「おそらくですけど、戦争という場所に、薄い場所はありませんわ」

「…………ふっふっふ。そうじゃのう」

ナクトルの大将である人物は、青嵐騎士団団長、ルメス・エウレニス。

その名は当然ゴリディア帝国の騎士たちも知っており、ナルターク王国の騎士であるリエラやライホルトの耳にも入っている。

戦争自体に負けたとしても、討つ事が出来ればそれだけで儲けもの、と考える者もいる。

「……メルテ」

「大丈夫。今日もいけるよ」

「そう……それは良かった」

今のアッシュとシルフィーでは、基本的に対処出来ない攻撃が幾つも飛来しそうになった。

その現実を見ても、シルフィーの瞳に、闘志に揺るぎはなかった。

(それじゃあ、僕も……ちゃんと、研ぎ澄まそう)

最後まで持たなければならない。
それでも……おそらく、先日よりも激しい戦場になると本能が告げる。

であれば、あまり興味が無い行動であっても、本気で興味がある時と同じぐらい、集中力を高めなければならない。

「カイト、メルテ」

「「はい」」

先に激突していた先発部隊に、両国の本体が合流し……先発部隊の頭上を越えて放たれる遠距離攻撃。

二人は集中して刺突を、斬撃波を放ち、戦いに貢献。
そして、二日目の本格的な乱戦が幕を開けた。
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