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千百九十五話 相違
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「…………」
二日目の戦争が終わり、これまで通り街の外で野営を行い、夕食を食べている三人と二体。
そんな中、シルフィーは……黙々と夕食を食べ続けはするものの、戦争前……初日の戦争が終わった時ほど、活気はなかった。
「……大丈夫か、メルテ」
「へ?」
「大丈夫かって聞いたんだよ。珍しく……凄くボーっとしてたからね」
「そ、そっか……確かに、ボーっとしてたかも」
アッシュの言葉にはんのうしたものの……また直ぐに黙々と夕食を食べ始めた。
「…………はぁ~~~~~~。昨日と比べて、何が違うって感じたの」
「え、え?」
「そんなにあからさまに違えば解るよ。まぁ、昨日もそんなに口数が多かったわけじゃないけど、飯時は凄い食べてたし、その後は爆睡……とにかく、たくさん戦って満足してた? って感じだった」
「そうなん、だ」
「けど、今は違う」
オークの串焼きを食べながら、アッシュは普段と変わらない冷静で……どこか無気力な眼をしながらも、シルフィーの心に踏み込んでいく。
「ただ体力的に疲れたってだけじゃない。どちらかと言えば、メンタルの方が削れてそうに見える」
「うっ」
「途中から、メルテと一緒に戦ってきた中で、一番戦いやすいと感じた。テンションが上がることはあっても、下がることはないと思ったけど…………やっぱり、そうなる前の出来事が要因?」
アッシュは、決して双子や兄のような戦闘大好き人間ではない。
だが、なんとなくその思考を把握はしていた。
「ふむ……やはり、儂が少々やり過ぎてしまったか」
「そ、そんな事ないです!! ドラスさんは、私たちが回復するまで守ってくれてただけで」
「とはいえ、のぅ」
二人を守る。
その意味では、特に間違ったことはしていない。
ただ、シルフィーが今回の戦争に参加した目的とは、少々異なる展開になってしまったと言えるかもしれない。
「……戦い辛い、攻め辛い空気じゃったからこそ、ゴリディア帝国の者たちの心を揺さぶったのだろう」
「っ、いや……まぁ……そう、ですね」
アラッドと同じで戦闘大好き人間ではあるが、シルフィーはあまり人を煽るのが得意ではなく、トラッシュトークも苦手。
だが……それでも、あのまま戦うことは出来ないと思い、慣れないことをした。
「………………はぁ~~~~。私が、弱いんですかね」
勿論、戦闘力の話ではない。
メンタル面が弱いのか……そんな彼女の言葉に、木竜は……直ぐに頷くことはなかった。
「……戦争という戦いに、少し幻想を見てたかもしれんな」
「幻想、ですか」
「そうじゃ。兵士や騎士たちは国を背負い、守るべき者たちの為にも懸命に戦い続ける。冒険者たちにも、守りたい者は存在するじゃろう。加えて、名誉や名声、金の為にという活力もバカにならん。どんな状況であっても……戦うことを止めることはないとな」
「…………」
無言が答えであった。
「だからこそ、戦う意志を失った……闘争心の炎が消えてしまった相手と、どう対峙すれば良いのか解らなくなった。そんなところじゃろ」
「多分……そんな感じ、です。あのまま……何も言わずに攻めたとしても、なんて言うか……虐殺とか、虐めに近いんじゃないかって思えて」
シルフィーがこれまで対峙してきた相手は、基本的に活きの良い存在ばかりだった。
普段から共に訓練、模擬戦を行う友人たち。
偶に交流を行う他校のライバルたち……トーナメントで戦う際も、絶対に勝つという気迫を持ち、本気で挑んでくる。
モンスターたちも、基本的には獰猛に、血気盛んな様子で襲い掛かって来る。
「なるほど」
「メルテらしい理由と言えば理由だね」
「っ……」
俯いてしまうシルフィーだが、二人は決して彼女の事を攻めているわけではなかった。
「ふむ………………カイト、どう思う」
「えっ、僕に振るんですか?」
「あぁ。思考は解る部分はあれど、どこまでいっても儂はそちら側ではない」
今現在人の形をしているが、元は大きな大きなドラゴン。
ドラゴンの中では穏やかな性格をしているが、それでもAランクのドラゴン……怪物であることに、変わりはない。
「それはそうかもしれませんけど…………ん~~~~~……仕方ないん、じゃないかな」
「えっと……それは、どう仕方ないの?」
「シルフィーにとっては、求めてる者が違った。そして、あの人たちにとっては、ただ運が悪かった」
「運が悪かった………………」
シルフィーにとって、運が悪かったという言葉は、あまり好きではない。
本当に運という要素が絡んだ結果があるというの解っているが、それでも努力をしていなかった言い訳……という認識が強い。
だが、戦争という戦場に向かうという選択をしたのは自分。
結果的にではあるが、道中で木竜と……ユニコーン親子と出会い、共にナクトルへ向かった。
彼らにとっての悪かった運に、自身が絡んでいる。
そのため、何をどう否定すれば良いのか解らなかった。
「というか、本当に語れるほど経験を積んではいないし………………丁度良いから、あの人たちに訊こうか」
アッシュの視線の先にいたのは、お盆の上に夕食を並べて運んでくるリエラたちであった。
二日目の戦争が終わり、これまで通り街の外で野営を行い、夕食を食べている三人と二体。
そんな中、シルフィーは……黙々と夕食を食べ続けはするものの、戦争前……初日の戦争が終わった時ほど、活気はなかった。
「……大丈夫か、メルテ」
「へ?」
「大丈夫かって聞いたんだよ。珍しく……凄くボーっとしてたからね」
「そ、そっか……確かに、ボーっとしてたかも」
アッシュの言葉にはんのうしたものの……また直ぐに黙々と夕食を食べ始めた。
「…………はぁ~~~~~~。昨日と比べて、何が違うって感じたの」
「え、え?」
「そんなにあからさまに違えば解るよ。まぁ、昨日もそんなに口数が多かったわけじゃないけど、飯時は凄い食べてたし、その後は爆睡……とにかく、たくさん戦って満足してた? って感じだった」
「そうなん、だ」
「けど、今は違う」
オークの串焼きを食べながら、アッシュは普段と変わらない冷静で……どこか無気力な眼をしながらも、シルフィーの心に踏み込んでいく。
「ただ体力的に疲れたってだけじゃない。どちらかと言えば、メンタルの方が削れてそうに見える」
「うっ」
「途中から、メルテと一緒に戦ってきた中で、一番戦いやすいと感じた。テンションが上がることはあっても、下がることはないと思ったけど…………やっぱり、そうなる前の出来事が要因?」
アッシュは、決して双子や兄のような戦闘大好き人間ではない。
だが、なんとなくその思考を把握はしていた。
「ふむ……やはり、儂が少々やり過ぎてしまったか」
「そ、そんな事ないです!! ドラスさんは、私たちが回復するまで守ってくれてただけで」
「とはいえ、のぅ」
二人を守る。
その意味では、特に間違ったことはしていない。
ただ、シルフィーが今回の戦争に参加した目的とは、少々異なる展開になってしまったと言えるかもしれない。
「……戦い辛い、攻め辛い空気じゃったからこそ、ゴリディア帝国の者たちの心を揺さぶったのだろう」
「っ、いや……まぁ……そう、ですね」
アラッドと同じで戦闘大好き人間ではあるが、シルフィーはあまり人を煽るのが得意ではなく、トラッシュトークも苦手。
だが……それでも、あのまま戦うことは出来ないと思い、慣れないことをした。
「………………はぁ~~~~。私が、弱いんですかね」
勿論、戦闘力の話ではない。
メンタル面が弱いのか……そんな彼女の言葉に、木竜は……直ぐに頷くことはなかった。
「……戦争という戦いに、少し幻想を見てたかもしれんな」
「幻想、ですか」
「そうじゃ。兵士や騎士たちは国を背負い、守るべき者たちの為にも懸命に戦い続ける。冒険者たちにも、守りたい者は存在するじゃろう。加えて、名誉や名声、金の為にという活力もバカにならん。どんな状況であっても……戦うことを止めることはないとな」
「…………」
無言が答えであった。
「だからこそ、戦う意志を失った……闘争心の炎が消えてしまった相手と、どう対峙すれば良いのか解らなくなった。そんなところじゃろ」
「多分……そんな感じ、です。あのまま……何も言わずに攻めたとしても、なんて言うか……虐殺とか、虐めに近いんじゃないかって思えて」
シルフィーがこれまで対峙してきた相手は、基本的に活きの良い存在ばかりだった。
普段から共に訓練、模擬戦を行う友人たち。
偶に交流を行う他校のライバルたち……トーナメントで戦う際も、絶対に勝つという気迫を持ち、本気で挑んでくる。
モンスターたちも、基本的には獰猛に、血気盛んな様子で襲い掛かって来る。
「なるほど」
「メルテらしい理由と言えば理由だね」
「っ……」
俯いてしまうシルフィーだが、二人は決して彼女の事を攻めているわけではなかった。
「ふむ………………カイト、どう思う」
「えっ、僕に振るんですか?」
「あぁ。思考は解る部分はあれど、どこまでいっても儂はそちら側ではない」
今現在人の形をしているが、元は大きな大きなドラゴン。
ドラゴンの中では穏やかな性格をしているが、それでもAランクのドラゴン……怪物であることに、変わりはない。
「それはそうかもしれませんけど…………ん~~~~~……仕方ないん、じゃないかな」
「えっと……それは、どう仕方ないの?」
「シルフィーにとっては、求めてる者が違った。そして、あの人たちにとっては、ただ運が悪かった」
「運が悪かった………………」
シルフィーにとって、運が悪かったという言葉は、あまり好きではない。
本当に運という要素が絡んだ結果があるというの解っているが、それでも努力をしていなかった言い訳……という認識が強い。
だが、戦争という戦場に向かうという選択をしたのは自分。
結果的にではあるが、道中で木竜と……ユニコーン親子と出会い、共にナクトルへ向かった。
彼らにとっての悪かった運に、自身が絡んでいる。
そのため、何をどう否定すれば良いのか解らなかった。
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