スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

文字の大きさ
1,218 / 1,361

千二百十六話 最終兵器?

しおりを挟む
アッシュ……この名前は、貴族出身の騎士や魔術師にとっては、非常に耳にしたことがある人物名である。

同じ名前の人物が全くいないという訳ではないが、それでも珍しい名前であることに変わりはない。
それ故、騎士たちがアッシュという名前を聞くと、あの学生のアッシュが思い浮かぶ。

(まさかとは思うが、あのアッシュ……なのか?)

アッシュは、アラッドよりは社交界に出席した回数が多いものの、フールの子供たちの中では一番下から二番目である。

社交界に出席しても、あまり目立たないようにしているため、本来であれば侯爵家の令息と言えど、名が広まらない流れになってもおかしくない。

ただ、本人にその気がなくとも、周りの人物の対応次第ではそうもいかない。

まず……アッシュをライバル視しつつも、彼を一番認めている存在、シルフィーが本当はアッシュの方が強いと口にしている。
アッシュとしてはよけいなことを言わないでくれとツッコミたいが、シルフィーとしては……確かにライバル視はしているが、それでも彼女にとって双子の彼は大切な家族。

そのため、自慢したい……もっと知ってもらいたいという気持ちの方が大きい。

そして、二人目はフール。
当然ながら、彼はアッシュの才能をしっかりと見抜き、把握していた。
フール自身、才能がある方の人間だと自覚しており……戦闘の才に関しては、子供たちの中だアラッドが群を抜いていた。

だが……そんな自分、アラッドよりもずば抜けた戦闘の才を持っていると感じた。
そして、その洞察力や把握力は部下の言葉や実際に見ており、間違いなく天賦の才の持ち主だと確信している。

同格の貴族たち、もしくは元同僚たちとテーブルを囲む際、フールから話すことはない。
ただ、相手側が気になって尋ねることがある。
フールの子供たちは誰もが優秀である。
数名ほど戦闘面ではという注意が付くが、それでもやや問題児扱いされがちなドラングも、数多くいる令息たちの中では優秀な部類に入る。

そんな優秀な子揃いだからこそ、あまり表に顔を出さないアッシュはどうなんだと、つい尋ねたくなる。

そうなると「尋ねられたら仕方ないね」と、フールも嬉しそうな笑みを浮かべて応えてしまう。
勿論、誇張することはない。
ただ……フールから見て、事実と感じた内容を口にする。

その事実と感じた内容だけでも、同格の貴族たちや元同僚たちにとっては十分衝撃的な内容である。
そんな中……当然と言えば当然だが、ある貴族がその子は騎士の道に進めさせるのかと尋ねた。

フール以上の才の持ち主。
多くの者が、特に元同僚たちはフールが自身の才能だけで遥か高みへと到達したのではないと解っている。

それでも、彼以上の才を持つという内容は、非常に衝撃的で……騎士たちからすれば、是非ともこちらの道に進んで欲しいと思ってしまう。

だが、フールは今のところその道に進ませるつもりはないと答えた。
当然、元同僚たちからは何故なのかと疑問の声が零れる。
対してフールの答えは……彼らからすれば、少々意外なものだった。


「アッシュを騎士の道に進めようとしたら、アラッドに怒られそうだからね」


というのが、フールの答えであった。
アラッドは弟であるアッシュの事を、妹であるシルフィーのことを非常に可愛がっていた。

そんな二人にそのつもりがないにもかかわらず、騎士の道に進めようとすれば……兄であるアラッドが怒りを露にしてもおかしくない。

とはいえ、それでもアラッドは侯爵家の令息。
その彼が怒ったところで……と、何も知らない者は思うだろう。
しかし、内情を知ってる者たちからすれば「あぁ~~~~……確かにそうですね」という反応になる。

パーシブル家は同じ他の侯爵家と比べて、その財産はかなり潤っている。
その理由は……アラッドのアイデアにある。
アラッドがブチ切れて縁を切る、屋敷の中で大乱闘が始まてしまう……ということはないだろうと解っていても、それでも恐ろしさを感じる部分はある。

そして三人目が……以外にも血が繋がっていない母、アリサである。
彼女も彼女で他の家の奥様方とお茶をする機会があり、奥様方はアリサが元凄腕の冒険者だと知っているからこそ、アッシュはどうなのかと尋ねる。

アリサから見てもアッシュの才は非常にずば抜けており、旦那と同じく誇張はしないものの……自身が思った感想をそのまま告げる。

父親と、血が繋がっていない母親の考えが合致しているということもあり、アッシュは知らぬ前にパーシブル家が抱える最終兵器……といった具合に認識されていた。

そんなこんなで、騎士たちからすれば是非とも何かが切っ掛けとなり、騎士の道へと進んでくれないかと投げう様な存在。
魔術師たちとしても、彼は魔法の方に興味はないのかと……奇跡でも起きてこちらの道に来ないかと本気で考えてしまう様な存在。

だが、聞いていた外見と現在アッシュと呼ばれている青年の特徴が一致しない。
そう……特徴は一致しないものの、強さという点に関しては、一致しなくもないと感じるのだった。
しおりを挟む
感想 480

あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

【完結】勇者と国王は最悪。なので私が彼らを後悔させます。

凛 伊緒
ファンタジー
「お前はこのパーティーに相応しくない。今この場をもって、追放とする!それと、お前が持っている物は全て置いていってもらうぞ。」 「それは良いですわね、勇者様!」 勇者でありパーティーリーダーのゼイスに追放を宣言された。 隣にいる聖女メーシアも、大きく頷く。 毎日の暴行。 さらに報酬は平等に分けるはずが、いつも私だけかなり少なくされている。 最後の嫌味と言わんばかりに、今持っている物全てを奪われた。 今までの行いを、後悔させてあげる--

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。 目覚めた先は、近江・長浜城。 自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。 史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。 そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。 「この未来だけは、変える」 冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。 これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。 「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。 ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...