転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

文字の大きさ
7 / 487

第7話 即購入

しおりを挟む
「れ、レグラ家!!??」

「そうだ。なんだ、これが偽物だとでも思うのか?」

「い、いえ! 滅相もありません!!!!」

屈強な体を持つ騎士たちに、箱を引くバトルホース。

そもそも門兵が鑑定のスキルを持っていることもあり、彼らが本当にレグラ家の人間だと疑う要素は全くない。

「……なんだが、外が騒がしいな」

「現当主である旦那様であっても、王都で開催されるパーティーなどに出席されることは珍しいですからね」

「なるほど。まっ、本当のレグラ家を知っているなら、あまり向こうから呼びつけようなどとは考えないか」

王都に入ってから約十分後、宿泊予定の宿に到着。

「とりあえず武器屋でも見て周りたいんだが」

「畏まりました」

二人の騎士が護衛として付いて行く。
令息、令嬢によっては護衛が傍に居る事を息苦しく感じる者もいるが、イシュドは大して気にしていなかった。

(俺一人だと、バカな連中は普通に絡んできそうだしな)

現在ムキムキの人の形をしたゴリラといった体型ではないが、細マッチョよりもやや上の肉体を持つイシュド。

しかし、その容姿に関しては正統派イケメンの部類では無いものの、しっかりと両親の遺伝子を引き継いでいる。
そのため……恐喝や強盗などを行いながら生活している連中からすれば、人数さえ揃えればなんとか出来ると思われてもおかしくない。

「ッ…………こいつは、良い短剣だな」

「ほぅ、坊主。中々良い眼を持ってるじゃねぇか」

カウンターの奥で構えていた店主はイシュドがおそらく貴族の令息だと解っていながら、坊主と言う言葉で呼んだ。

護衛二人としては威圧するか否か迷うところなのだが、当の本人がそういった呼び方をあまり気にしないタイプだと解っている為、結局は店主兼鍛冶師の男をどうこうすることはなかった。

「そりゃどうも。こいつにはなんて言うか……良い感じに魂が乗ってるように思えてな」

「だっはっは!!! そこまで見破られるとはな。さては坊主……相当武器が好きだな」

「あぁ、大好きだな。という訳で、これを購入したい」

「おぅ、金さえ払ってくれりゃ文句はねぇよ」

大型の武器を扱うのが似合うイシュドだが、短剣などの武器が使えない訳ではない為、コレクションの中にはレイピアなどの全く似合わない細剣系の武器もある。

こうして試験当日まで王都の武器や巡りと運動、振り返りを繰り返しながら過ごし……いよいよ試験当日が訪れた。

「イシュド様、ここからはお一人での行動になります」

「おぅ、解ってる。お前ら試験が終わるまでのんびり王都を観光でもしててくれ」

「お言葉に甘えさせていただきます」

入試が行われる学園の敷地内に入ると、誘導を行っている職員達の案内に従って会場へと向かう。

「ッ!!!!??? ……か、確認しました」

訪れた子供が本当に受験する生徒なのかを確認する為の書類を確認している職員は、書類に記されている内容を見て目を疑った。

レグラ家という家自体は知っている。
だが、ここ何十年もの間、レグラ家の人間が学園に通ったという話は全く聞いておらず、正体を隠して入学しているという事実もない。

(は、話はチラッと聞いてたけど……ふ、雰囲気あるな~~)

見た目は一応歳相応。
しかし……深い深い実戦を知っている者からすれば、纏う雰囲気は明らかに歳不相応。

これから三年間、色々と荒れる予感しかしないが、職員は仕事に集中するために考えることを止めた。

(……王都に入った時よりも、多くの視線が向けられてんな……そんなに珍しい見た目か?)

色々と普通ではない部分はあるものの、やはり見た目はそこまでおかしさはない。

だが……一度も社交界に参加していないが故に、周囲の者たちの中で、イシュドの存在を知る者は誰一人としていない。

殆どの受験生たちが、誰だこいつは? といった視線を向けるが、これから試験が始まるということもあり、誰もイシュドに絡もうとはしなかった。

「これからテスト用紙を配る。試験が始まるまで表にするなよ。表にしたら……その時点で失格だ」

筆記試験が行われる教室に一人の教師が現れ、テスト用紙を配っていく。

「制限時間は九十分。カンニングを行った者は即失格にして教室の外に連れ出す。それでは……始め!!!」

試験開始の時間となり、受験生たちは一斉に問題を解き始める。

(……やっぱり暗記は割と楽だな)

基本的に考えて答えを導き出すという問題はなく、内容を覚えられているか否か。
イシュドは試験時間の半分以下の時間で問題を解き終えた。

(時間まで寝ても良いが……一応見直しだけするか)

問題用紙と解答用紙を交互に見ていくが、その確認も十分程度で終了。

(…………寝よう)

もう何もすることはないと判断し、両隣りなどから回答用紙を見られないようにし、机に突っ伏して本当に寝てしまった。

「そこまでっ!!!! ただちにペンを置くんだ!!! 失格にするぞ!!!!」

「ッ……ようやくか」

試験終了時間の十数分前には完全に落ちており、試験監督の言葉で目を覚ます。

そして試験用紙が回収され、次の試験時間まで昼休憩。

(確か、俺ら受験生は金を払えば、食堂で飯を食べられるんだったな)

特に知り合いもいないため、ささっと食堂へ直行。
三人前の肉と野菜料理を頼み、三十分も経たずに完食。

その後、適当な場所に移動してから食後の運動を行い、時間内に指定されている場所へ移動。

二つ目の試験は実技試験。
学校側には事前にどういった戦闘スタイルが得意なのかを申請し、その戦闘スタイルと同じ教師が受験生たちの力量を模擬戦で把握し、点数を付けていく。

「二番の生徒、リングの上に上がれ」

「は、はい!!!!」

「おいおい、そんな緊張してたら全力を出せないだろ。もっとリラックスしろ。合格してこの学園に通うために来たんだろ」

「ッ……はい!!!!」

見事受験生の緊張感を緩和し、早速一人目の生徒が試験監督の教師との模擬戦を始めた。

(ふ~~~ん、良い教師だな。良い笑顔と言葉で受験生の緊張感を上手く和らげたな……確か、実技試験は模擬戦を行う教師が何回か入れ替わるんだったか? 全員あの教師レベルの強さなら、割と本気で楽しめるかもな)

試験は戦闘を楽しむものではないのだが、イシュドの頭の中は既に「どうせなら一番強い担当教師と戦いたいな~~」という考えで一杯だった。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

【本編完結】契約結婚の後は冒険譚を綴ります

しろやなぎ
ファンタジー
本編完結しました。その後にあたる新章を始めます。 ++++++++++++++++++++++++ 幼い頃に母を亡くした伯爵令息のラファエル。父は仕事の為に外国へ。ひとり残されたラファエルは継母と義弟に虐げられながら育つ。 そんなラファエルはこの国の子供たちが受ける13歳の洗礼の際『魔力量は非常に豊富だが、一切の属性を持っていなかった残念な令息』と診断される。 ラファエルが18歳になった年、臣籍降下した王弟との婚姻を求める書状が届き、断れないまま嫁ぐが、そこで待っていたのは契約結婚だと説明する公爵、コルネリウスだった。 正義感の強い彼は、ラファエルがしていない罪を償わせようとする。一方のラファエルは契約結婚の後を夢みて、新たな生活を始める。 新しい生活では、ラファエルを献身的に使えてくれる侍女のノーラ、コルネリウスが付けた監視役のライアン、遠くからラファエルを気遣う魔道師団副団長のクリストフに支えられて、ラファエルは精霊魔法使いの冒険者を目指して成長していく。 ※表紙の画像はETMで作成しました。

とある執事の日常 ~お嬢様の中身は恐らくギャル~

冬兎
ファンタジー
R8.1.20 投稿開始 うちのお嬢様は絶対におかしい。 「道路やばくない? 整備しよ」 「孤児院とか作ったら?」 「困ってる人助けるのなんか当たり前っしょ」 貴族令嬢らしからぬ口調で突拍子もない提案を次々とぶつけてくるお嬢様、レティシア・リオネール。執事の俺、クラウスは今日も彼女の無茶振りに振り回される。 不思議なことに、お嬢様の理想論は必ず実現し効果を発揮する。 孤児院は完成し、医療制度は整い、領地は驚異的に発展していく。 元勇者の伯爵様、脳筋騎士団長、くのいちメイド長、双子の妹たち―― 濃すぎる面々に囲まれながら、俺は今日もお嬢様の思いつきを形にしていく。 気づけば、振り回されることに悦びを感じ始めている俺はもう手遅れかもしれない。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...