14 / 481
第14話 逃げられない地獄
しおりを挟む
「ゴミ蛮族、遺書は用意したか?」
「学園内での試合では、基本的に意図して殺そうとする攻撃はアウトだったと思うんだけどな~」
「蛮族が一人や二人死のうと関係無いに決まってるだろ」
(無茶苦茶言うな~~~。これぞザ・お坊ちゃんだな。こういう連中に比べれば、お父さんの秘書になってちょっと調子に乗っちゃったお坊ちゃんなんて可愛いもんか)
自分の言葉が、行動が本当に正しいと思っている。
その正しい事の為ならば、人を殺すことさえ躊躇わない。
まさに甘やかされ過ぎて育ったザ・坊ちゃんと言える思考。
「過激だね~。まっ、その方が潰し甲斐があるから良いんだけどさ」
「ふん! 強がりだけは一人前という訳だな」
「俺からすれば、そりゃこっちのセリフって感じなんだけどな~~……ねぇ、審判役の先生。こっちのお坊ちゃん二人は完全に俺を殺る気満々みたいだからさ、俺もこいつらを殺さない程度には楽しんでも良いっすよね」
「……こっちとしては、そういう過激すぎる試合はしてほしくないんだが……両者とも好きにしろ」
審判から許可が下りたこともあり、口撃合戦は終了。
三人とも開始線に移り、構える。
もう試合が始まる……その雰囲気を察した観客の学生たちは非常に……いや、ある意味盛り上がっていた。
一人で戦う側の生徒があのレグラ家の人間であり……試験で一位を取った人物。
これまで貴族界で生き抜き、内部進学生として苛烈な競争を耐え抜いてきた学生たち……内部進学生たちに負けないよう、こちらはこちらで厳しい訓練や座学を乗り越えてきた外部入学者たち……その両者ともが、レグラ家の人間を……イシュド・レグラという学生を嫌っていた。
「互いに悔いが無いように戦え……始め!!!!」
第一の輩はロングソードを、第二の輩は長槍を構える。
互いにそれらの武器に適した職業に就いてる。
そんな二人に対し……イシュドは特に武器を取り出さず、素手の状態。
しかも全く二人から飛んでくるであろう攻撃に構える様子はなく、ダラッとした状態を崩さない。
「貴様……いったいなんの真似だ」
「なんの真似って、別に何か企んでる訳じゃねぇよ。俺にとって、別にお前らはわざわざ武器を取る相手でも本気で構える相手じゃねぇってだけだ」
「「ッ!!!!!」」
二人の沸点は一気に限界点に到達。
輩一がやや前に飛び出し、第二の矢として輩二が輩一の動きに合わせて刺突を放つ。
(一応第二次転職はしてるって動きだな……うん、本当にそれだけだな)
斬撃と刺突の攻撃回数が数十回を越えたところで、二人の腹に掌底が叩きこまれ、大きく後方へ吹き飛ばされてしまう。
「「「「「「「「「「………………え?」」」」」」」」」」
試合が始まった瞬間、二人を応援していた生徒たちの声がピタッと止まった。
「おいおい、ちょっと腹を押しただけだろ。そんないかにもダメージを受けましたってアピールはどうでも良いから、もう小手調べとかせずにさっさと本気で掛かって来いよ」
小手調べの段階でそれなりに程度が知れ、イシュドから遊び相手にすらならないという評価を下された二人。
「ッ!? 小手調べをやり過ごしただけで調子に乗るなよ!!!!」
「泣き叫んでも許しを乞うても止めんぞッ!!!!」
「御託はいいから、さっさと本気になれっての」
輩一、二は全身に……武器に魔力を纏い、それぞれの強化系スキルを使用。
飛躍的に身体能力を上昇させ、再度即席のコンビネーションで襲い掛かる。
「ん~~~~~…………一応、訓練はサボってない。そんな感じの剣と槍だな」
「「ッ!!! 嘗めるなッ!!!!!!」」
攻防数が百以上を越えたところで、ポツリと感想が零れた。
その感想をしっかり拾っていた二人は更に激怒。
顔の血管が浮き出るほどの怒りを燃やしながら己の得物を振るい、属性魔力を纏った。
(魔剣と魔槍……ってだけだろうな。スキルとして属性魔力を纏えるなら、そもそもの戦闘力がもっと高い筈だ。やっぱり、ただのボンボンだったか)
二人は得物の力を発揮するだけではなく、それぞれタイミングを狙って剣技と槍技のスキル技を放つ。
二人とも一応貴族出身であり、幼い頃から騎士に指導を受け続け……学園でも専門の教師から指導を受け続けてきた。
決して二人が弱すぎるわけではない。
今まで積み重ねてきた職業は、レベルは、スキルは張りぼてにはならない。
ただ……イシュドと二人には、あまりにも現時点で越えられない壁が存在していた。
それが今、戦況として現れ始めた。
イシュドはスキルは一切使わず、魔力だけを体に纏い……まずは素手で輩一の斬撃を受け止めた。
「なっ!? あがっ!!!???」
「しぃやッ!!!!!」
「ほいっと」
「ッ! おごぁ!!!???」
輩一は蹴りを食らって体勢を崩し、輩二は刺突を二つの指で受け止められ、こちらも腹に良い蹴りを食らってしまった。
「おら、寝るにはまだ早いぞ」
そこからは……まさに一方的な蹂躙と言える展開だった。
イシュドは敢えて数回の攻撃で輩一、二を沈めようとはせず、適度な攻撃を何発も何十発も叩きこんでいく。
「おらよっと」
「なぁああっ!!!???」
そして完全に二人の動きが鈍ったところで、得物であるロングソードと長槍を破壊。
得物が壊れた時点で、勝負あった……とはらなず、イシュドの連撃が再び輩一、二に襲い掛かる。
「まっ、あべ!? がっ!? いぎっ!?」
「こ、こうっ!? ぎゃっ!!?? おぇっ!?」
「おいおい、どうしたどうした!! あんだけイキってたんだ!!! さんざん人のこと辺境の蛮族だのゴミ蛮族だの好き勝手言ってたんだからよ、もっと頑張れやっ!!!!!」
止めてくれと言おうとしても、降参を宣言しようとしても……そう言ったと確実に確認出来ない速さでイシュドの拳が、蹴りが二人の顔に放たれ、最後まで言いきれない。
「自分たちが気高い貴族だと思ってたんだろ? なら、辺境の蛮族なんかに負けてられねぇだろ。ほら、もっと根性振り絞れよっ!!!!!」
「いぎゃ~~~~~ッ!!??」
打撲、内出血、罅を越えて輩一の右腕が完全に折れた。
それでもイシュドの攻撃は止まらず、二人に絶対逃れられない……逃げたくても宣言できない地獄が続く。
「ッ!?」
しかし、後少しで失神するかもしれないといったタイミングで一つの攻撃がイシュドの元へ飛来。
「やはり躱しますか。ですが、それまでです」
リングに現れた人物は……パッと見ただけでは、女神かと見間違う美しさを持つ女子生徒だった。
「学園内での試合では、基本的に意図して殺そうとする攻撃はアウトだったと思うんだけどな~」
「蛮族が一人や二人死のうと関係無いに決まってるだろ」
(無茶苦茶言うな~~~。これぞザ・お坊ちゃんだな。こういう連中に比べれば、お父さんの秘書になってちょっと調子に乗っちゃったお坊ちゃんなんて可愛いもんか)
自分の言葉が、行動が本当に正しいと思っている。
その正しい事の為ならば、人を殺すことさえ躊躇わない。
まさに甘やかされ過ぎて育ったザ・坊ちゃんと言える思考。
「過激だね~。まっ、その方が潰し甲斐があるから良いんだけどさ」
「ふん! 強がりだけは一人前という訳だな」
「俺からすれば、そりゃこっちのセリフって感じなんだけどな~~……ねぇ、審判役の先生。こっちのお坊ちゃん二人は完全に俺を殺る気満々みたいだからさ、俺もこいつらを殺さない程度には楽しんでも良いっすよね」
「……こっちとしては、そういう過激すぎる試合はしてほしくないんだが……両者とも好きにしろ」
審判から許可が下りたこともあり、口撃合戦は終了。
三人とも開始線に移り、構える。
もう試合が始まる……その雰囲気を察した観客の学生たちは非常に……いや、ある意味盛り上がっていた。
一人で戦う側の生徒があのレグラ家の人間であり……試験で一位を取った人物。
これまで貴族界で生き抜き、内部進学生として苛烈な競争を耐え抜いてきた学生たち……内部進学生たちに負けないよう、こちらはこちらで厳しい訓練や座学を乗り越えてきた外部入学者たち……その両者ともが、レグラ家の人間を……イシュド・レグラという学生を嫌っていた。
「互いに悔いが無いように戦え……始め!!!!」
第一の輩はロングソードを、第二の輩は長槍を構える。
互いにそれらの武器に適した職業に就いてる。
そんな二人に対し……イシュドは特に武器を取り出さず、素手の状態。
しかも全く二人から飛んでくるであろう攻撃に構える様子はなく、ダラッとした状態を崩さない。
「貴様……いったいなんの真似だ」
「なんの真似って、別に何か企んでる訳じゃねぇよ。俺にとって、別にお前らはわざわざ武器を取る相手でも本気で構える相手じゃねぇってだけだ」
「「ッ!!!!!」」
二人の沸点は一気に限界点に到達。
輩一がやや前に飛び出し、第二の矢として輩二が輩一の動きに合わせて刺突を放つ。
(一応第二次転職はしてるって動きだな……うん、本当にそれだけだな)
斬撃と刺突の攻撃回数が数十回を越えたところで、二人の腹に掌底が叩きこまれ、大きく後方へ吹き飛ばされてしまう。
「「「「「「「「「「………………え?」」」」」」」」」」
試合が始まった瞬間、二人を応援していた生徒たちの声がピタッと止まった。
「おいおい、ちょっと腹を押しただけだろ。そんないかにもダメージを受けましたってアピールはどうでも良いから、もう小手調べとかせずにさっさと本気で掛かって来いよ」
小手調べの段階でそれなりに程度が知れ、イシュドから遊び相手にすらならないという評価を下された二人。
「ッ!? 小手調べをやり過ごしただけで調子に乗るなよ!!!!」
「泣き叫んでも許しを乞うても止めんぞッ!!!!」
「御託はいいから、さっさと本気になれっての」
輩一、二は全身に……武器に魔力を纏い、それぞれの強化系スキルを使用。
飛躍的に身体能力を上昇させ、再度即席のコンビネーションで襲い掛かる。
「ん~~~~~…………一応、訓練はサボってない。そんな感じの剣と槍だな」
「「ッ!!! 嘗めるなッ!!!!!!」」
攻防数が百以上を越えたところで、ポツリと感想が零れた。
その感想をしっかり拾っていた二人は更に激怒。
顔の血管が浮き出るほどの怒りを燃やしながら己の得物を振るい、属性魔力を纏った。
(魔剣と魔槍……ってだけだろうな。スキルとして属性魔力を纏えるなら、そもそもの戦闘力がもっと高い筈だ。やっぱり、ただのボンボンだったか)
二人は得物の力を発揮するだけではなく、それぞれタイミングを狙って剣技と槍技のスキル技を放つ。
二人とも一応貴族出身であり、幼い頃から騎士に指導を受け続け……学園でも専門の教師から指導を受け続けてきた。
決して二人が弱すぎるわけではない。
今まで積み重ねてきた職業は、レベルは、スキルは張りぼてにはならない。
ただ……イシュドと二人には、あまりにも現時点で越えられない壁が存在していた。
それが今、戦況として現れ始めた。
イシュドはスキルは一切使わず、魔力だけを体に纏い……まずは素手で輩一の斬撃を受け止めた。
「なっ!? あがっ!!!???」
「しぃやッ!!!!!」
「ほいっと」
「ッ! おごぁ!!!???」
輩一は蹴りを食らって体勢を崩し、輩二は刺突を二つの指で受け止められ、こちらも腹に良い蹴りを食らってしまった。
「おら、寝るにはまだ早いぞ」
そこからは……まさに一方的な蹂躙と言える展開だった。
イシュドは敢えて数回の攻撃で輩一、二を沈めようとはせず、適度な攻撃を何発も何十発も叩きこんでいく。
「おらよっと」
「なぁああっ!!!???」
そして完全に二人の動きが鈍ったところで、得物であるロングソードと長槍を破壊。
得物が壊れた時点で、勝負あった……とはらなず、イシュドの連撃が再び輩一、二に襲い掛かる。
「まっ、あべ!? がっ!? いぎっ!?」
「こ、こうっ!? ぎゃっ!!?? おぇっ!?」
「おいおい、どうしたどうした!! あんだけイキってたんだ!!! さんざん人のこと辺境の蛮族だのゴミ蛮族だの好き勝手言ってたんだからよ、もっと頑張れやっ!!!!!」
止めてくれと言おうとしても、降参を宣言しようとしても……そう言ったと確実に確認出来ない速さでイシュドの拳が、蹴りが二人の顔に放たれ、最後まで言いきれない。
「自分たちが気高い貴族だと思ってたんだろ? なら、辺境の蛮族なんかに負けてられねぇだろ。ほら、もっと根性振り絞れよっ!!!!!」
「いぎゃ~~~~~ッ!!??」
打撲、内出血、罅を越えて輩一の右腕が完全に折れた。
それでもイシュドの攻撃は止まらず、二人に絶対逃れられない……逃げたくても宣言できない地獄が続く。
「ッ!?」
しかし、後少しで失神するかもしれないといったタイミングで一つの攻撃がイシュドの元へ飛来。
「やはり躱しますか。ですが、それまでです」
リングに現れた人物は……パッと見ただけでは、女神かと見間違う美しさを持つ女子生徒だった。
1,026
あなたにおすすめの小説
【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】
一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。
その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。
それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
とあるギルド員の事件簿~辺境の村から来た少年が常識外れの強さをしていた件について~
東稔 雨紗霧
ファンタジー
「冒険者登録をしたいです!」
そう言って辺境にある『ハジハジ村』からやってきた少年、リク
カウンターで受付をしていたトドロキは「自分の適性職が分からない」と言う彼の為にギルドで行っている適性職診断を受けさせるが、担当の職員が困った顔でトドロキに助けを求めてきて……?
異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】
kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。
※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。
『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。
※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
ブックマーク・評価、宜しくお願いします。
【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ?
――――それ、オレなんだわ……。
昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。
そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。
妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる