転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

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第78話 語る魅力

「観てる側としては、とても心臓に悪かったけどね」

「はっはっは!!!! すまん、すまんって。でもさぁ、ガルフ。せっかくマジの超強い侍とガチンコで戦えるチャンスだったんだぜ。逃す訳にはいかないだろ」

実際に戦った兄含め、侍という存在に憧れと敬意を持っている。
それを改めて知った同席しているイブキは……ギリギリ嬉しさを顔に出さず、異国の地の料理の味を楽しんでいた。

「ん~~~~……僕はこう、本当に職業としての侍しか知らない……というか、職業の侍? に関してもあまり詳しくないからさ」

「むっ、まぁそれもそうか。魅力……侍の魅力かぁ………………大和出身じゃない俺があまりこういうのを語るのはあれかも知れないけど、やっぱり刀っていう武器を扱うところだな」

「そういえばイシュド、サラッと亜空間から刀? っていう武器を取り出してたよね」

「おぅ、名刀よ名刀。俺の力にも耐えられる堅さを持ちながら、切れ味も損なっていない。付与効果とかはあまり特殊じゃないが、ただただ俺の力に付いてきてくれる……矛盾を兼ね備えてくれてる名刀だ」

「私も遠目からではあるが、イシュドが扱う刀を見たが……高名な刀匠が造った刀であろう」

「正解!!! うちの領地で一番の鍛冶師に造ってもらったんだ」

既に六十を越えているが、まだまだ現役で鎚を振るっている名工。
歳の離れた友人を褒められ、笑みが零れるイシュド。

「まっ、刀に関しては俺が……五歳とか六歳の時? ぐらいに、造れないのかって頼んだんだよ」

「…………もしや、その鍛冶師は一から技術を学び、あの名刀を造り上げたのですか」

「いや、元々刀の造り方は知ってたらしいんだけど、うちの領地でよく売れる得物は大剣とか戦斧とか長槍……ロングソードもそれなりに売れてる方か。とにかく、刀とか細剣、そういった繊細な武器を扱う人物が少ないから、あまり力を入れてなかったんだよ」

言いたい事は解る。
色々と納得出来る…………納得は出来るが約一名、関連する話に納得出来ない人物がいた。
そして約一名は、その人物が何故不満気な表情を直ぐに理解した。

「イシュド、確かあなた二年生の細剣使い細剣で倒してましたわよね」

「ん? あぁ、そんな事もあったな。別に売ってない訳じゃないし、なんなら他の街で買うことも出来るしな。んで話を戻すけど、俺が幼い頃にその鍛冶師に頼んだんだよ。俺は将来刀を使うから、今よりも凄い刀を造れるようになってほしいってな」

「……なぁ、イシュド。職人って気難しい人が多いけどよ、領主の息子とはいえガキにそんな事言われたらキレるんじゃねぇのか?」

「曾爺ちゃんと一緒だったから、全くその心配はいらなかったな」

イシュドの説明に、イブキを除く三人は即座に納得。

あの……あのイシュドが本気で殺しに掛かっても全く殺せず、返り討ちにされてしまう怪物。
イシュド曰く、亜神。

そんな人物が同伴していれば、とりあえず話ぐらいは聞こうとするのも、仕方ないだろう。

「でも、それから結構マジで取り組んでくれたみたいで、俺がさっきの死合いで使ってた名刀を造ってくれたんだ。もっと良い得物を造るから待っとけって言われたから、マジで楽しみにしてるんだ」

「……では、約十年の向上心が詰まった名刀、ということですね」

「へっへっへ。そうとも言えるかもな。っと、それで侍の魅力だったよな…………俺の聞き間違い? じゃなかったら、侍って侍同士でこう……ガチの戦いをする時って、刀以外の装備は身に着けず、防具も身に付けないん……だよな」

恐る恐る、本物の侍であるイブキに確認するようにぎこちなく顔を向けるイシュド。

「えぇ、そうですね。イシュドの言う通りです」

「「「っ!!??」」」

イブキの同意に、ガルフたち三人はあまりの衝撃に、思わず食事の手を止めた。

「そ……それは、本当ですの?」

「えぇ、本当です。勿論合戦や妖魔……こちらではモンスターという呼び名でしたね。そういった者たちと戦う時には防具などを付けたりします」

「そう、ですのね」

「刀っていう得物一つだけを持って斬り合う、ねぇ……確かにイシュドが好みそうではあんのか?」

「俺は魅力の一つではあると思ってるぜ。後は一撃必殺……いや、一刀必殺か。基本的にそれを目的として戦うスタイル、そこがまたこう、惚れ惚れするというか」

一人でうんうんと侍のカッコ良さを再確認して納得するイシュドを見て……こういった人物がいると解っただけでも、留学した価値があると思ってしまったイブキ。

「和の服装とかそういう部分の違いもあって、こっちの戦闘職とは外見もガラッと変わるし…………まっ、そんなところかな」

「……随分と語りましたわね」

ただの狂戦士ではない。
そんな事は既に重々承知のミシェラだが、ここまで一つの事に関して喋るとは思っておらず、意外な一面もあるのだなと感じた。

「好きな事は語りたくなるもんだろ、デカパイ」

「…………イシュド。私、今日初めてイブキさんと会いましたのよ」

「だろうな。俺やガルフだって今日初めて会ったんだし」

こういう時、やはり会話がかみ合わない二人。

「ッ!!! あなたと言う人は!!!」

ミシェラがキーキーと叫び出し、イシュドがそれをケラケラと笑いながら適当に流す……もしくは更にからかう。

「……二人は、いつもこういった感じなのですか?」

「えっと……多分、そうですね。本当に初めに関してはミシェラさんが私情で絡んで来たんですけど、よく一緒に居るようになってからは……イシュドがからかった結果、こうなる流れが殆どかと」

「ミシェラの奴は煽り耐性があんまり高くねぇからな~~~~。あれだよな、水と油ってやつ?」

「混じり合わないというより、いつもバチバチなことが多いから……………」

「犬猿の仲、ということでしょうね」

異国の言葉の意味が解らず首を傾げる二人に、イブキは丁寧に意味を教えた。

「なるほどねぇ~~~。確かに一回口論? が始まっちまうと、まさにそんな感じになるか?」

(………………言葉には出せないけど、賢過ぎる猿が上手くからかってるって形なのかな)

結局二人のやり取りは昼休み五分前まで続き、相変わらずメンタル面ではイシュドの
圧勝で終わった。
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