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第119話 何に狂えるか
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「「「っ!!??」」」
「ハッハッハ!!!!! 良い猫パンチじゃねぇの!!!!」
ケルベロスとタイマン勝負を始めたイシュドは……ガルフたちに止めとけと言った手前、強化系スキルを使わず戦う様な真似はしていなかった。
しかし、バーサーカーソウルや相棒である二振りの戦斧を握ることはなく、思いっきり遊ぼうとしていた。
「「「ッ!!!!!」」」
「カッ!!!!!!!」
三つの口から火球が放たれれば、その場から回避することなく……一喝して消し去る。
ガルフたちには見覚えがある光景ではあるが、ケルベロスからすれば自分が放った火球が避けられる……耐えられるではなく、声でかき消されたのは初の体験。
「おいおいどうした、ボーっとしてんじゃねぇ、ぞッ!!!!!」
懐に潜り込み、強烈なアッパーが突き刺さる。
「良いね、これぐらいじゃ殺られねぇか」
あまりの衝撃的な光景に驚いて反応が遅れたものの、魔力を集中させて防御することには成功。
吹っ飛ばされはしたものの、それで勝負が決まることはなかった。
「んじゃ、もっと楽しんでいこうか」
そう言うと、イシュドは指に装備している亜空間収納の効果が付与されているリングから……ロングソードを取り出した。
「ぅおらッ!!!!!」
「「「ガルルゥウウアアアアアアッ!!!!!!」」」
素手での戦いはまだまだ序章に過ぎない。
そう思わせる戦いが……彼等の目前で繰り広げられた。
「……前にも見た光景、ですわね」
「そう、だな」
「そうなのですか?」
約一名、先程三つの火球が声によってかき消された光景を観たことがない者がいた。
「そういえばイブキはまだ、激闘祭が開催してる時にはいなかったもんな」
「激闘祭のエキシビションマッチで、あの男は似た様なことをしてましたの」
「なんと……いや、でもイシュドなら不可能ではない、でしょうね」
イブキは過去に目の前で起きた光景と、同じ光景を大和で観たことがあるが、実行した人物は見た目も年齢もレベルもザ・達人の武士。
しかし、イシュドはレベルこそ一級品だが、年齢と見た目もまだ青年程度。
やんちゃ味もあるため、とても達人と同じことが出来るようには見えないが……先日、頂天という言葉が相応しい人物との試合を思い出し、直ぐに同じことが出来てもおかしくないと納得。
「つか、イシュドの奴いきなりロングソードを使い始めたぞ」
「そのようだな。あまり使う姿は観たことがないが、どうなのだ」
「そこら辺はなんつ~か、観てたら解るって感じっすよ」
「もっと言ってしまうと、イシュド君は入学してから早々、二年生の中ではトップレベルの細剣使いの学生と同じ得物を使い、圧勝していました」
「……………………俺の耳は、おかしくないのだろうな」
ダスティンは二次職、重戦士に就いている。
現在は大斧をメイン武器にして戦っているが、職業の性質上大剣やハンマー、一応長槍といった武器も扱える。
だが、細剣や短剣などの武器は完全に不得意。
どう頑張って鍛えても、せいぜい平均が限度。
それが世の常識ではあるが……とてもクリスティールが自分に嘘を付いているとは思えない。
なにより……目の前でロングソードを振るい、ケルベロスと戦うイシュドの姿を見れば、とても冗談とは思えなかった。
「ん~~~、やっぱり半端ねぇな。なぁ、ガルフ」
「うん、そうだね…………解ってはいたけど、まだまだ自分は未熟なんだって思い知らされるよ」
「はっはっは、そりゃあ……へっ、同感だな」
イシュドはロングソードをしまい、今度は短剣を取り出し、戦い始めた。
「鮮やかだねぇ~~~~。昔から遊びで使ってたとは言ってたが……なぁ、ヴァルツ、リュネちゃん。あいつはどれぐらいメイン武器以外の武器を使ってたんだ?」
「あんまり覚えてないですけど、俺たちと模擬戦してくれる時とかは、戦斧以外の武器をしょっちゅう使ってたかな?」
「短剣や細剣、双剣などの武器に関しては、ダンテ兄さんが好んで使用しています。兄弟姉妹の中でそういった武器を使用する人が少ないので、ダンテ兄さんは良くイシュド兄さんに声を掛けていた記憶があります」
「ダンテ兄さんって言うと、あのメガネをかけてる学者にも見えなくない人だよな…………あれ? 俺の記憶が正しかったら、その人魔法職……だよな?」
「はい、魔法職です」
訳が解らん、ヴァルツとリュネ以外、全員の頭に同じ言葉が浮かぶも……以前、イシュドから教えられた内容を思い出し、一応納得した。
「そういえば、魔法職なのにオーガを素手で殴り殺せるぐらいの力を持ってるって、イシュドの奴が言ってたな」
「ダンテ兄さんなら、オーガが十体以上いても余裕で素手だけで殴り殺せますよ」
「……魔法職のイメージ、完全にぶち壊しだな。あれか、やっぱりレグラ家の血がほっとかないとかそんな感じか?」
「前に直接訊いたことがあったんですけど、そしたら雑魚を相手に魔力を無駄にするのが勿体ないから、らしいです」
「「「「「「…………」」」」」」
言いたい事は、解らなくもない。
戦闘において魔力とは非常に重要な要素である。
節約できるに越したことはないが……だからといって、魔法職がそれを実行するのか? という疑問を感じざるを得ない。
「解らなくもなねぇけど、それを実行出来る辺りイシュドの兄貴らしく、ぶっとんでんなぁ……リュネちゃんも、将来そうなりたいと思ってるのか?」
「えぇ、勿論です。今は杖で撲殺出来るように頑張ってます」
「そ、そっか」
クール系の美少女が撲殺と口にする姿は随分とギャップがあり、若干引いたフィリップ。
「次は双剣、か」
ころころと扱う武器を変えていくイシュド。
しかし、武器を変えたからといって戦況が不利に傾くことはなく、徐々に徐々にケルベロスの体に刻まれる傷が増えていく。
「……イシュドを見ると、狂戦士という言葉だけでは片付けられない……何に狂えているのか…………強さとは、改めてなんなのかを、感じさせられてしまうな」
最後、イシュドは双剣から刀に獲物を変え、ケルベロスの首を全て斬り落とし、勝負を終わらせた。
「ハッハッハ!!!!! 良い猫パンチじゃねぇの!!!!」
ケルベロスとタイマン勝負を始めたイシュドは……ガルフたちに止めとけと言った手前、強化系スキルを使わず戦う様な真似はしていなかった。
しかし、バーサーカーソウルや相棒である二振りの戦斧を握ることはなく、思いっきり遊ぼうとしていた。
「「「ッ!!!!!」」」
「カッ!!!!!!!」
三つの口から火球が放たれれば、その場から回避することなく……一喝して消し去る。
ガルフたちには見覚えがある光景ではあるが、ケルベロスからすれば自分が放った火球が避けられる……耐えられるではなく、声でかき消されたのは初の体験。
「おいおいどうした、ボーっとしてんじゃねぇ、ぞッ!!!!!」
懐に潜り込み、強烈なアッパーが突き刺さる。
「良いね、これぐらいじゃ殺られねぇか」
あまりの衝撃的な光景に驚いて反応が遅れたものの、魔力を集中させて防御することには成功。
吹っ飛ばされはしたものの、それで勝負が決まることはなかった。
「んじゃ、もっと楽しんでいこうか」
そう言うと、イシュドは指に装備している亜空間収納の効果が付与されているリングから……ロングソードを取り出した。
「ぅおらッ!!!!!」
「「「ガルルゥウウアアアアアアッ!!!!!!」」」
素手での戦いはまだまだ序章に過ぎない。
そう思わせる戦いが……彼等の目前で繰り広げられた。
「……前にも見た光景、ですわね」
「そう、だな」
「そうなのですか?」
約一名、先程三つの火球が声によってかき消された光景を観たことがない者がいた。
「そういえばイブキはまだ、激闘祭が開催してる時にはいなかったもんな」
「激闘祭のエキシビションマッチで、あの男は似た様なことをしてましたの」
「なんと……いや、でもイシュドなら不可能ではない、でしょうね」
イブキは過去に目の前で起きた光景と、同じ光景を大和で観たことがあるが、実行した人物は見た目も年齢もレベルもザ・達人の武士。
しかし、イシュドはレベルこそ一級品だが、年齢と見た目もまだ青年程度。
やんちゃ味もあるため、とても達人と同じことが出来るようには見えないが……先日、頂天という言葉が相応しい人物との試合を思い出し、直ぐに同じことが出来てもおかしくないと納得。
「つか、イシュドの奴いきなりロングソードを使い始めたぞ」
「そのようだな。あまり使う姿は観たことがないが、どうなのだ」
「そこら辺はなんつ~か、観てたら解るって感じっすよ」
「もっと言ってしまうと、イシュド君は入学してから早々、二年生の中ではトップレベルの細剣使いの学生と同じ得物を使い、圧勝していました」
「……………………俺の耳は、おかしくないのだろうな」
ダスティンは二次職、重戦士に就いている。
現在は大斧をメイン武器にして戦っているが、職業の性質上大剣やハンマー、一応長槍といった武器も扱える。
だが、細剣や短剣などの武器は完全に不得意。
どう頑張って鍛えても、せいぜい平均が限度。
それが世の常識ではあるが……とてもクリスティールが自分に嘘を付いているとは思えない。
なにより……目の前でロングソードを振るい、ケルベロスと戦うイシュドの姿を見れば、とても冗談とは思えなかった。
「ん~~~、やっぱり半端ねぇな。なぁ、ガルフ」
「うん、そうだね…………解ってはいたけど、まだまだ自分は未熟なんだって思い知らされるよ」
「はっはっは、そりゃあ……へっ、同感だな」
イシュドはロングソードをしまい、今度は短剣を取り出し、戦い始めた。
「鮮やかだねぇ~~~~。昔から遊びで使ってたとは言ってたが……なぁ、ヴァルツ、リュネちゃん。あいつはどれぐらいメイン武器以外の武器を使ってたんだ?」
「あんまり覚えてないですけど、俺たちと模擬戦してくれる時とかは、戦斧以外の武器をしょっちゅう使ってたかな?」
「短剣や細剣、双剣などの武器に関しては、ダンテ兄さんが好んで使用しています。兄弟姉妹の中でそういった武器を使用する人が少ないので、ダンテ兄さんは良くイシュド兄さんに声を掛けていた記憶があります」
「ダンテ兄さんって言うと、あのメガネをかけてる学者にも見えなくない人だよな…………あれ? 俺の記憶が正しかったら、その人魔法職……だよな?」
「はい、魔法職です」
訳が解らん、ヴァルツとリュネ以外、全員の頭に同じ言葉が浮かぶも……以前、イシュドから教えられた内容を思い出し、一応納得した。
「そういえば、魔法職なのにオーガを素手で殴り殺せるぐらいの力を持ってるって、イシュドの奴が言ってたな」
「ダンテ兄さんなら、オーガが十体以上いても余裕で素手だけで殴り殺せますよ」
「……魔法職のイメージ、完全にぶち壊しだな。あれか、やっぱりレグラ家の血がほっとかないとかそんな感じか?」
「前に直接訊いたことがあったんですけど、そしたら雑魚を相手に魔力を無駄にするのが勿体ないから、らしいです」
「「「「「「…………」」」」」」
言いたい事は、解らなくもない。
戦闘において魔力とは非常に重要な要素である。
節約できるに越したことはないが……だからといって、魔法職がそれを実行するのか? という疑問を感じざるを得ない。
「解らなくもなねぇけど、それを実行出来る辺りイシュドの兄貴らしく、ぶっとんでんなぁ……リュネちゃんも、将来そうなりたいと思ってるのか?」
「えぇ、勿論です。今は杖で撲殺出来るように頑張ってます」
「そ、そっか」
クール系の美少女が撲殺と口にする姿は随分とギャップがあり、若干引いたフィリップ。
「次は双剣、か」
ころころと扱う武器を変えていくイシュド。
しかし、武器を変えたからといって戦況が不利に傾くことはなく、徐々に徐々にケルベロスの体に刻まれる傷が増えていく。
「……イシュドを見ると、狂戦士という言葉だけでは片付けられない……何に狂えているのか…………強さとは、改めてなんなのかを、感じさせられてしまうな」
最後、イシュドは双剣から刀に獲物を変え、ケルベロスの首を全て斬り落とし、勝負を終わらせた。
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