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第125話 途絶えない原因
「強くなる環境が整っていて、料理も美味しい…………最高だね、ここは」
「……そうやって褒めてくれんのは悪い気はしねぇけどよ、さっきも言ったが、王族のお前がそんな事言っても良いのかよ」
イシュドたちは訓練場から移動せず、その場で昼食を食べていた。
「王城ではなんと言うか……どこかで誰かが見てる場所だからね」
「息が詰まる場所ってことだろ、アドレアス」
「簡単に言ってしまうとそうだね、フィリップ。まぁ……そこら辺を気にしてしまうあたり、私がまだまだ弱いという事なんだろうけどね」
(ほ~~~~ん…………この坊ちゃん、割と解ってるっぽいな)
イシュドから見て、アドレアスは悪くはないが、そこまで気にもならない優等生。
ミシェラと同じで、もしかしたらという程度の期待しかしてない。
ただ……その評価が多少変わろうとしていた。
「ディムナも似たような感じだろ」
「……知らんな。俺の役目は、強くあることだ」
「はぁ~~~、カッコつけちゃってよ~~。別にお前も長男って訳じゃねぇんだからよ、そんなわざわざ役割とか細かく考えて生きる必要ねぇだろ」
「………………フィリップ、お前は確かに強くなった。だが、相変わらず公爵家の人間とは思えないな」
ディムナの言葉に、ミシェラは何度も頷き、他のガルフとイブキ以外の面子も全員頷く。
「いやぁ~、だってよぉ……そりゃ恵まれてるとは思うぜ? 飢え死ぬこととかねぇんだからよ。けどなぁ…………なんか、そういうの面倒じゃん」
「だっはっは!!!! フィリップらしいな~~~」
そんな中、唯一イシュドだけがフィリップの考えを否定せず、大爆笑していた。
「イシュド、確かにこれはこれでフィリップらしいと私も思う。でも、本当に貴族としての姿に相応しいと思うのかい」
「んな事俺に言われても困るって話だ。けど……あれなんじゃねぇの。貴族の中には家臣や領民に迷惑掛けてるバカ、屑とかいるんだろ? なら、グータラして身内だけに迷惑を掛けてるフィリップの方が悪くないんじゃねぇの?」
ここ最近、ようやく表舞台に現れた奴が何を知った様な口を……と口にしたいところだが、貴族界で生きているクリスティールたちは……知ってしまっている。
世の中には、ノブレス・オブリージュの意識を欠片も持っていない者たちがいることを。
「そういえば、高等部に上がった初日に、ガルフを虐めてた奴もいたんだっけな。ん~~~……確かにそんな奴と比べたら、俺は意外とまともなのかもな~~」
「フィリップ、あなたまともという言葉の意味を理解してますの?」
「そんな怒んなっての。けど、バカな事してた連中よりは人に迷惑掛けてないだろ」
実家には迷惑掛けていると言えるが、確かに身内以外には迷惑を掛けていないのも確か。
「……イシュド君は、そういった問題に関してどう思いますか」
「おいおいおい、会長パイセン。それ、俺に聞くのかよ」
「イシュド君だからこそ、聞いてみたいのです」
「ふ~~ん? 別に良いけどよ……けど、答えは結構単純だと思うぜ」
狂戦士らしいようで狂戦士らしくもない部分もある、良く解らない狂戦士。
それがイシュド・レグラ。
それを知っているからこそ、クリスティールたちはこれから話すな様に注目する。
「貴族の教育と上を見たら切りがねぇ状況。それが馬鹿どもが途絶えない要因だろ」
一応辺境伯の令息であるイシュドがそれを口にしても良いのかという疑問があるが、そこに関して今更ツッコむ者はいなかった。
「自分たちは特別だと伝えながら育てるだろ。親が直接言わずとも、周りの連中がそう言いながら育てる筈だ。んで、優秀な血を混ぜ合わせて次の世代へと繋いできた俺らは、ある程度特別だろうな」
優秀な血を混ぜ合わせた結果、必ずしも他の者たちと比べ物にならない才を手に入れるとは限らない。
ただ……貴族には、平民たちと比べて学ぶ環境が揃っている。
「本来なら、特別だからこそ、それ相応の……相応しい生き方をしなきゃならねぇ
んだろうけど、そうやって特別だ天才だって煽てられながら生きてきても……学園とかに入れば、嫌でも上には上がいるって現実を思い知るんじゃねぇの?」
イシュドの言うことは間違いない。
何故なら、ミシェラたちにとってはその現実を教えてくれたのが、イシュドという存在だから。
「学園内だけじゃなくても、生まれた家の中でもそういうのを思い知るかもな。んで、特別だ天才だって言われて育ってきた連中が、マジの特別で天才的な連中……対面すればメッキを剥がされる本物と出会えってしまえば、どうなるよ」
「……無駄に育ってしまったプライドだけが残ってしまう、ということですわね」
「そういうこった。良く解ってんじゃねぇか、デカパイ」
「プライドがあったところで、強くはなれませんもの」
ミシェラがデカパイと呼ばれている事に対して何も反応しないことに驚くを二人を無視し、イシュドは話しを続ける。
「そりゃなによりだな。けど、貴族の令息や令嬢、全員が全員そうじゃねぇから、屑が生まれるんだ」
「…………否定は、出来ませんわね」
「全員が頑張れるなら、世の中もうちょいどの立場の人間にとっても生きやす世界になってるかもな。けど、そうじゃねぇ。つか、それが無理だからこそ明確な差ってのが生まれる」
資本主義な社会が悪いとは思わない。
だが、その差が人を落とす要因の一つになる……それも否定出来ない。
「見方を変えりゃあ、もうちょい生きやすくなんのかもしれねぇが、そこで邪魔して来るのが特別だ天才だって褒める環境だ」
「肥えて大きくなったプライドが、心を……生き方を変えることが出来なくなる、という事ですね」
「イブキの言う通りだ。これからも自分は特別だ、天才だと思いたい……思い込みたい。だからこそ、自分より立場が弱い人間を虐げたくなるんじゃねぇの?」
「……本当に、耳が痛いですね」
「会長パイセンが気にすることじゃねぇとは思うが…………平民たちからすれば、ずっと気にして生きてほしい事かもな」
何故屑は生まれるのか。
その要因を聞かされ……ガルフ以外の者たちは、大なり小なり考えさせられると同時に、どうして一応同じ貴族であるイシュドが平民側の立場になって考えられるのかと思ったが…………そこは全員、イシュドだからという理由で納得した。
「……そうやって褒めてくれんのは悪い気はしねぇけどよ、さっきも言ったが、王族のお前がそんな事言っても良いのかよ」
イシュドたちは訓練場から移動せず、その場で昼食を食べていた。
「王城ではなんと言うか……どこかで誰かが見てる場所だからね」
「息が詰まる場所ってことだろ、アドレアス」
「簡単に言ってしまうとそうだね、フィリップ。まぁ……そこら辺を気にしてしまうあたり、私がまだまだ弱いという事なんだろうけどね」
(ほ~~~~ん…………この坊ちゃん、割と解ってるっぽいな)
イシュドから見て、アドレアスは悪くはないが、そこまで気にもならない優等生。
ミシェラと同じで、もしかしたらという程度の期待しかしてない。
ただ……その評価が多少変わろうとしていた。
「ディムナも似たような感じだろ」
「……知らんな。俺の役目は、強くあることだ」
「はぁ~~~、カッコつけちゃってよ~~。別にお前も長男って訳じゃねぇんだからよ、そんなわざわざ役割とか細かく考えて生きる必要ねぇだろ」
「………………フィリップ、お前は確かに強くなった。だが、相変わらず公爵家の人間とは思えないな」
ディムナの言葉に、ミシェラは何度も頷き、他のガルフとイブキ以外の面子も全員頷く。
「いやぁ~、だってよぉ……そりゃ恵まれてるとは思うぜ? 飢え死ぬこととかねぇんだからよ。けどなぁ…………なんか、そういうの面倒じゃん」
「だっはっは!!!! フィリップらしいな~~~」
そんな中、唯一イシュドだけがフィリップの考えを否定せず、大爆笑していた。
「イシュド、確かにこれはこれでフィリップらしいと私も思う。でも、本当に貴族としての姿に相応しいと思うのかい」
「んな事俺に言われても困るって話だ。けど……あれなんじゃねぇの。貴族の中には家臣や領民に迷惑掛けてるバカ、屑とかいるんだろ? なら、グータラして身内だけに迷惑を掛けてるフィリップの方が悪くないんじゃねぇの?」
ここ最近、ようやく表舞台に現れた奴が何を知った様な口を……と口にしたいところだが、貴族界で生きているクリスティールたちは……知ってしまっている。
世の中には、ノブレス・オブリージュの意識を欠片も持っていない者たちがいることを。
「そういえば、高等部に上がった初日に、ガルフを虐めてた奴もいたんだっけな。ん~~~……確かにそんな奴と比べたら、俺は意外とまともなのかもな~~」
「フィリップ、あなたまともという言葉の意味を理解してますの?」
「そんな怒んなっての。けど、バカな事してた連中よりは人に迷惑掛けてないだろ」
実家には迷惑掛けていると言えるが、確かに身内以外には迷惑を掛けていないのも確か。
「……イシュド君は、そういった問題に関してどう思いますか」
「おいおいおい、会長パイセン。それ、俺に聞くのかよ」
「イシュド君だからこそ、聞いてみたいのです」
「ふ~~ん? 別に良いけどよ……けど、答えは結構単純だと思うぜ」
狂戦士らしいようで狂戦士らしくもない部分もある、良く解らない狂戦士。
それがイシュド・レグラ。
それを知っているからこそ、クリスティールたちはこれから話すな様に注目する。
「貴族の教育と上を見たら切りがねぇ状況。それが馬鹿どもが途絶えない要因だろ」
一応辺境伯の令息であるイシュドがそれを口にしても良いのかという疑問があるが、そこに関して今更ツッコむ者はいなかった。
「自分たちは特別だと伝えながら育てるだろ。親が直接言わずとも、周りの連中がそう言いながら育てる筈だ。んで、優秀な血を混ぜ合わせて次の世代へと繋いできた俺らは、ある程度特別だろうな」
優秀な血を混ぜ合わせた結果、必ずしも他の者たちと比べ物にならない才を手に入れるとは限らない。
ただ……貴族には、平民たちと比べて学ぶ環境が揃っている。
「本来なら、特別だからこそ、それ相応の……相応しい生き方をしなきゃならねぇ
んだろうけど、そうやって特別だ天才だって煽てられながら生きてきても……学園とかに入れば、嫌でも上には上がいるって現実を思い知るんじゃねぇの?」
イシュドの言うことは間違いない。
何故なら、ミシェラたちにとってはその現実を教えてくれたのが、イシュドという存在だから。
「学園内だけじゃなくても、生まれた家の中でもそういうのを思い知るかもな。んで、特別だ天才だって言われて育ってきた連中が、マジの特別で天才的な連中……対面すればメッキを剥がされる本物と出会えってしまえば、どうなるよ」
「……無駄に育ってしまったプライドだけが残ってしまう、ということですわね」
「そういうこった。良く解ってんじゃねぇか、デカパイ」
「プライドがあったところで、強くはなれませんもの」
ミシェラがデカパイと呼ばれている事に対して何も反応しないことに驚くを二人を無視し、イシュドは話しを続ける。
「そりゃなによりだな。けど、貴族の令息や令嬢、全員が全員そうじゃねぇから、屑が生まれるんだ」
「…………否定は、出来ませんわね」
「全員が頑張れるなら、世の中もうちょいどの立場の人間にとっても生きやす世界になってるかもな。けど、そうじゃねぇ。つか、それが無理だからこそ明確な差ってのが生まれる」
資本主義な社会が悪いとは思わない。
だが、その差が人を落とす要因の一つになる……それも否定出来ない。
「見方を変えりゃあ、もうちょい生きやすくなんのかもしれねぇが、そこで邪魔して来るのが特別だ天才だって褒める環境だ」
「肥えて大きくなったプライドが、心を……生き方を変えることが出来なくなる、という事ですね」
「イブキの言う通りだ。これからも自分は特別だ、天才だと思いたい……思い込みたい。だからこそ、自分より立場が弱い人間を虐げたくなるんじゃねぇの?」
「……本当に、耳が痛いですね」
「会長パイセンが気にすることじゃねぇとは思うが…………平民たちからすれば、ずっと気にして生きてほしい事かもな」
何故屑は生まれるのか。
その要因を聞かされ……ガルフ以外の者たちは、大なり小なり考えさせられると同時に、どうして一応同じ貴族であるイシュドが平民側の立場になって考えられるのかと思ったが…………そこは全員、イシュドだからという理由で納得した。
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