転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

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第221話 あの家なら

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「「「「…………」」」」

四人は爆睡していた。
完全に夢の中へと旅たち、睡眠を貪っていた。

幸いにもミノタウロス戦後に襲ってきたモンスターはアルバードブル一体であり、フィリップは怒りを爆発させながらも華麗な短剣捌きで斬り殺し、それ以降他のモンスターが襲ってくることはなかった。

その後、フィリップとアドレアスは力を振り絞り、気を失っているガルフとイブキを背負いながらレブラへと戻った。

そして冒険者ギルドへ……向かわず、そのまま自分たちが泊っている宿へと向かった。
一応ギルドで情報収集し、討伐したミノタウロスに殺された冒険者もいるため、報告しないというのも如何なものかと……とは思った。

めんどくさがり屋のフィリップも、一応報告はしておいた方が良いかと思ったが、仲間を背負っている二人もかなり限界であり、報告は後回しにすることにした。

宿に戻ると直ぐに部屋向かい、ガルフとイブキをベッドに下ろし、二人も自身のベッドへ向かおうとしたが、その前にぶっ倒れてしまい、床へ倒れた。


「いやはや、本当にお見事……といったところかな」

宿に付いている窓から、四人が無事部屋に辿り着いたことを確認したシドウ。

教師としてのシドウからすれば、戦闘の直後にぶっ倒れてしまうなど、言語道断。
討伐した後も、万が一を想定して動ける状態でなければならない……そう軽く説教したいところ。

それは戦闘者としてのシドウも同じだったが、あの戦いは間違いなく激闘、死闘と呼べるものだった。
全員が全力を絞りつくし……最後の最後、フィリップは怒りを爆発しながらもCランクモンスターを一人で殺した。

全員がぶっ倒れてもおかしくなかった。
逆にぶっ倒れた、ぶっ倒れる直前まで振り絞ったからこそ、誰一人欠けることなくミノタウロスを倒すことが出来た。

(さて、頑張って起きないとな)

シドウはイシュドから渡された金で、腕利きの裏の連中を雇っている。
なので、シドウも睡眠を取っても問題無いのだが、彼らの中に一人も知り合いはいない。

大和では裏の者と言える人物とも、多少の交流があったシドウ。

そういった者たちだれば信用して自身も睡眠を取れたかもしれないが、金で雇っているとはいえ、それでも裏に生きる者たち。
完全に信用する訳にはいかないという思いが消えず、シドウは屋台で購入した焼き鳥などを食べながら見守り続けた。


「ッ、? んで……床で………………あぁ~~、クソ。そうだったな」

何故自分が床で寝ていたのか、それを直ぐに思い出したフィリップ。
まだ疲れは残っている……寧ろ床で寝てしまったからこそ残っているとも言えるが、それでもそのまま二度寝しようとは思えず、無理矢理体を起こした。

「おはよう、フィリップ」

「おぅ……なんで床に座ってんだ?」

「さっき起きたばっかりでね」

「だから…………そういう事か」

「そういう事だよ」

仲間をベットに置いた後、そのまま床で寝てしまったのはフィリップだけではなかった。

「そうか…………にしても、良く勝てたよな~~~~」

「確かに、危ない勝負ではあったね」

二人とも何故自分が床で寝ていたことに関しては少しだけ思い出すのに時間がかかったが、ミノタウロスを討伐したことに関しては直ぐに思い出せた。

あれは……自分たちが都合良く思い込んでしまっている幻想ではないと。

「マジでそれな。割と途中までは上手く戦れてたと思ってたんだけどなぁ……んだよ、あの怒号。どう考えても普通の怒号じゃねぇよな」

「そうだね。ほんの数秒の間とはいえ、完全に体が動かなかった。多分だけど、あれは戦士系の職業が会得出来るウォークライや、咆哮と同タイプのスキルだと思う」

「ウォークライや咆哮と同タイプ、ねぇ……んじゃ、あの時ミノタウロスが使ったスキルは、それらの更に上のスキルだろうな」

自分がウォークライや咆哮を使用した怒号や雄叫びで怯むほど軟弱と思ってない……といった訳ではない。
フィリップの場合、ガルフやイブキたちであれば、そういった精神系のスキルに対しても耐性がある。
食らったとしても完全に動きが止まるとは思っていなかった。

実際に、ガルフは一度は食らうも、ミノタウロスよりも更に上の恐怖を思い出し、動き出すことに成功した。

「…………とにかく、私たちがあのミノタウロスに勝てたのは、ガルフ君のお陰だね」

「ほ~~~ん? 随分と謙虚じゃねぇか」

フィリップはアドレアスが放った渾身の風刺がミノタウロスの横腹を貫き、決して小さくないダメージを与えた功績を忘れてはいなかった。

「あの戦い、間違いなく勝利への道筋をつくったのはガルフ君だよ。それを差し押さえて、自分のお陰で勝てたとは言えないよ」

「はっはっは! まっ、それもそうか。にしても……ありゃあ、護身剛気ってやつだったよな」

「そうだね。私たちがあの時見た光景が幻影でなければ、間違いなく本物だよ」

「んじゃあ、間違いなく本物だな」

あの光景が幻影出なかったからこそ、今自分たちは生きているのだと断言出来る。

「にしても、今……そういえば十六になったんだったか? それは良いとして、十六までに……つか、十代のうちの護身剛気を会得したって話、聞いたことあるか?」

「…………十代のうちに闘気を会得した。そういった話は聞いたことがあるけど、十代のうちに護身剛気を会得したという話は、聞いたことがないね」

「お前が聞いたことねぇなら、ほぼ確定だろうな。仮にいたとしても……多分あの家の誰かか、それともあの家に仕えてる人たちの誰かだろうな」

「あの家……ふ、ふっふっふ。あっはっは!! そうだね。あの家の人たち、あの家に仕える人たちなら……十代のうちに会得出来てても、おかしくはないね」

十代のうちに護身剛気を会得した。

平民たちよりも強者に関する話がよく耳に入る二人でも、これといった情報が思い浮かばない。
それでも、イシュドの実家であるレグラ家であればと思ってしまうあたり、どれだけレグラ家が常識の外にある存在なのか思い知らされる。

「……っ、あれ。ここって……」

「……………………どうやら、無事に街へ戻れたようですね」

同じタイミングで起床したガルフとイブキ。

「「「「おはよう…………」」」」

四人が丁度声を掛けた瞬間、同時に大きく長すぎる腹の音まで被さった。
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