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第297話 俺の物だし
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エリクサー。
それは回復薬の中でも最上級のアイテムであり、人によっては神の雫と表現する者もいる。
手に入れようとも容易に手に入るアイテムではなく、大金を有していても、それだけで手に入れられるアイテムではない。
加えて、基本的にポーションなどは錬金術で造ることが出来るものの、エリクサーに関しては殆どの者が造れない。
一応…………レシピ自体は存在するものの、一部の超優秀な錬金術師たちしか知らない。
ただ、そんな超優秀な錬金術師たちであっても、大なり小なり失敗したらという恐怖はある。
他の錬金術師たちと比べてそこら辺のブレーキがぶっ壊れている者たちなのだが、それでもエリクサーを造るのに必要な素材は非常に貴重で高価であり、絶対に成功する保証がないエリクサーの制作に使用するのであれば、他のアイテムを造るのに使った方が良いと考える者の方が多い。
そんな神の雫と言い表せられるアイテムを、殺し合える戦いをするためだけに使用した。
この発言には、普段からダラッとしている教師、クルトでさえも驚愕の表情を抑えきれなかった。
「おいおい、お前ら面白い顔し過ぎだっての。なぁ、フィリップ」
「面白過ぎる顔っていうことには同意だけど、割とエリヴェラたちの反応が妥当だと思うぜ」
「フィリップの言う通りですわ。全く……そういうところに関しては、しっかりと
常識が欠けていますわよね」
フィリップやミシェラの言う通り、まず……特に両者の因縁や深い思いなどなく、ただ死という結果ありの戦いをしたいという理由だけでエリクサーを使ってしまうのは、非常に非常識である。
「なっはっは!!! まっ、そんな事より飯が届いたんだ。昼飯にしようぜ」
テーブルや椅子などに関しては、既にクルトがアイテムバッグから取り出した物があり、用意されていた食事が次々に並べられていく。
「ん~~~、良いね。悪くないじゃん」
アンジェーロ学園の学食で作られている料理に対し、イシュドは特に不満を感じることはなく、悪くないと思いながら次々に食べていく。
がっつり汗をかくほど動いてはいなかったが、毎回模擬戦を行っていたこともあり、それに腹が減っていた。
「「「「「「「…………」」」」」」」
その間、エリヴェラたちもお腹は空いているため、とりあえず食事の手は動いていた。
ただ、先程聞いた内容があまりにも衝撃的過ぎて、感情を整理し切れていなかった。
「えっと……イシュドは、どのようにして、エリクサーを、手に入れたのですか?」
ようやく口が開いたステラは、ひとまずどの様な手段でエリクサーを手に入れたのか尋ねた。
「オークションで手に入れたんだよ」
「な、なるほど…………」
いったい、どれほどの金額を使用したのか。
それを尋ねようとするも、ぐっと飲み込んでしまった。
おそらく、尋ねれば答えてくれる。
それは解っていても……ステラは、なんとなく怖いと感じてしまった。
どれほどの金額を使い、競り落としたのかを聞けば、卒倒してしまうかもしれない。
そんなステラの胸の内を知っても、この場に笑う者は一人もいなかった。
「……では、どうして……何故、その……シドウ先生との戦いで、使おうと思えたのですか」
エリクサーという回復薬、マジックアイテムがどれだけ貴重な存在なのか、解らない男ではないと思っている。
だが、あまりにもあっさりと使ってしまったと……そこまで重要ではないと思える場面で、考え方で使ってしまったいう思いから、当時のイシュドの思考が気になった。
「ん~~~? どうしてっつわれてもな~~~~~。俺にとっちゃあ、やっぱマジの大和出身の侍ってのは憧れの存在だったし、一度でいいから俺も刀を使って、本気で殺り合いたいって思ってたんだよ」
イシュドのべた褒めに、大和出身である侍のシドウとイブキは思わず頬が緩む。
「……イシュドの実家にある、特別な部屋で行うという、選択肢はなかったの?」
「いや、シドウ先生とイブキが留学してきた時は、まだ夏休み前だったんだよ。それに、夏休みの間は学生たちは休みでも、先生たちは仕事があるだろ」
さすがに授業を休み、実家に戻るのはあまりよろしくない。
イシュドが二日や三日良くても、臨時教師として赴任してきたシドウ的には全くもってよろしくない。
「な、なるほど……いや、しかし」
一応理屈は通る内容ではあるが、それでもステラたちが納得するには程遠い。
「つか、ぶっちゃけエリクサーなんて回復薬、どうせ勿体ない勿体ないって使わない日々が続いて、埃被っちゃうんだから使える時に使っちゃわないと勿体ないだろ」
「それは……確かに……」
「武器と同じだと思うぜ? だから、俺は使うべきタイミングで使ったんだよ」
ステラたちも、一応…………一応、イシュドが言いたい事を理解出来てきた。
とはいえ、それでも彼らが有する常識から、その言い分を……考え方を飲み込むことは難しかった。
「それに、エリクサーなんざ量産できない回復薬なんだぜ? 別に正解中の怪我人の怪我を治せるほど万能な薬じゃねぇんだ。だから、別にそんな焦るっつーか、驚き過ぎる必要はねぇんじゃねぇの?」
「ッ!!!! ……そう、ですね。どうやら、あまりよろしくない考え方に偏ってしまっていました」
イシュドの言う通り、世界に一滴たらすだけで、周囲十キロ以内の怪我人たちの怪我……病人の病気を治療するような効果は有していない。
それもあって、そんな存在を重要視するのは冒険者や権力者たちのみ。
「目が覚めました。ありがとう、イシュド」
「? そりゃなによりだ。けど、本音に関しちゃあ、エリクサーをゲットしたのは俺なんだから、他の人間たちが俺の遣い方にとやかく悩んでも意味ねぇだろって感じだけどな」
大前提として、本当に……本当にその通りである。
加えて、イシュドは薬と毒は表裏一体の性質を利用してヤバい実験を行おうとしてた訳ではなく、本来の使い方……傷を癒すという使い方をしたのみ。
決して、何も悪い事はしていなかった。
それは回復薬の中でも最上級のアイテムであり、人によっては神の雫と表現する者もいる。
手に入れようとも容易に手に入るアイテムではなく、大金を有していても、それだけで手に入れられるアイテムではない。
加えて、基本的にポーションなどは錬金術で造ることが出来るものの、エリクサーに関しては殆どの者が造れない。
一応…………レシピ自体は存在するものの、一部の超優秀な錬金術師たちしか知らない。
ただ、そんな超優秀な錬金術師たちであっても、大なり小なり失敗したらという恐怖はある。
他の錬金術師たちと比べてそこら辺のブレーキがぶっ壊れている者たちなのだが、それでもエリクサーを造るのに必要な素材は非常に貴重で高価であり、絶対に成功する保証がないエリクサーの制作に使用するのであれば、他のアイテムを造るのに使った方が良いと考える者の方が多い。
そんな神の雫と言い表せられるアイテムを、殺し合える戦いをするためだけに使用した。
この発言には、普段からダラッとしている教師、クルトでさえも驚愕の表情を抑えきれなかった。
「おいおい、お前ら面白い顔し過ぎだっての。なぁ、フィリップ」
「面白過ぎる顔っていうことには同意だけど、割とエリヴェラたちの反応が妥当だと思うぜ」
「フィリップの言う通りですわ。全く……そういうところに関しては、しっかりと
常識が欠けていますわよね」
フィリップやミシェラの言う通り、まず……特に両者の因縁や深い思いなどなく、ただ死という結果ありの戦いをしたいという理由だけでエリクサーを使ってしまうのは、非常に非常識である。
「なっはっは!!! まっ、そんな事より飯が届いたんだ。昼飯にしようぜ」
テーブルや椅子などに関しては、既にクルトがアイテムバッグから取り出した物があり、用意されていた食事が次々に並べられていく。
「ん~~~、良いね。悪くないじゃん」
アンジェーロ学園の学食で作られている料理に対し、イシュドは特に不満を感じることはなく、悪くないと思いながら次々に食べていく。
がっつり汗をかくほど動いてはいなかったが、毎回模擬戦を行っていたこともあり、それに腹が減っていた。
「「「「「「「…………」」」」」」」
その間、エリヴェラたちもお腹は空いているため、とりあえず食事の手は動いていた。
ただ、先程聞いた内容があまりにも衝撃的過ぎて、感情を整理し切れていなかった。
「えっと……イシュドは、どのようにして、エリクサーを、手に入れたのですか?」
ようやく口が開いたステラは、ひとまずどの様な手段でエリクサーを手に入れたのか尋ねた。
「オークションで手に入れたんだよ」
「な、なるほど…………」
いったい、どれほどの金額を使用したのか。
それを尋ねようとするも、ぐっと飲み込んでしまった。
おそらく、尋ねれば答えてくれる。
それは解っていても……ステラは、なんとなく怖いと感じてしまった。
どれほどの金額を使い、競り落としたのかを聞けば、卒倒してしまうかもしれない。
そんなステラの胸の内を知っても、この場に笑う者は一人もいなかった。
「……では、どうして……何故、その……シドウ先生との戦いで、使おうと思えたのですか」
エリクサーという回復薬、マジックアイテムがどれだけ貴重な存在なのか、解らない男ではないと思っている。
だが、あまりにもあっさりと使ってしまったと……そこまで重要ではないと思える場面で、考え方で使ってしまったいう思いから、当時のイシュドの思考が気になった。
「ん~~~? どうしてっつわれてもな~~~~~。俺にとっちゃあ、やっぱマジの大和出身の侍ってのは憧れの存在だったし、一度でいいから俺も刀を使って、本気で殺り合いたいって思ってたんだよ」
イシュドのべた褒めに、大和出身である侍のシドウとイブキは思わず頬が緩む。
「……イシュドの実家にある、特別な部屋で行うという、選択肢はなかったの?」
「いや、シドウ先生とイブキが留学してきた時は、まだ夏休み前だったんだよ。それに、夏休みの間は学生たちは休みでも、先生たちは仕事があるだろ」
さすがに授業を休み、実家に戻るのはあまりよろしくない。
イシュドが二日や三日良くても、臨時教師として赴任してきたシドウ的には全くもってよろしくない。
「な、なるほど……いや、しかし」
一応理屈は通る内容ではあるが、それでもステラたちが納得するには程遠い。
「つか、ぶっちゃけエリクサーなんて回復薬、どうせ勿体ない勿体ないって使わない日々が続いて、埃被っちゃうんだから使える時に使っちゃわないと勿体ないだろ」
「それは……確かに……」
「武器と同じだと思うぜ? だから、俺は使うべきタイミングで使ったんだよ」
ステラたちも、一応…………一応、イシュドが言いたい事を理解出来てきた。
とはいえ、それでも彼らが有する常識から、その言い分を……考え方を飲み込むことは難しかった。
「それに、エリクサーなんざ量産できない回復薬なんだぜ? 別に正解中の怪我人の怪我を治せるほど万能な薬じゃねぇんだ。だから、別にそんな焦るっつーか、驚き過ぎる必要はねぇんじゃねぇの?」
「ッ!!!! ……そう、ですね。どうやら、あまりよろしくない考え方に偏ってしまっていました」
イシュドの言う通り、世界に一滴たらすだけで、周囲十キロ以内の怪我人たちの怪我……病人の病気を治療するような効果は有していない。
それもあって、そんな存在を重要視するのは冒険者や権力者たちのみ。
「目が覚めました。ありがとう、イシュド」
「? そりゃなによりだ。けど、本音に関しちゃあ、エリクサーをゲットしたのは俺なんだから、他の人間たちが俺の遣い方にとやかく悩んでも意味ねぇだろって感じだけどな」
大前提として、本当に……本当にその通りである。
加えて、イシュドは薬と毒は表裏一体の性質を利用してヤバい実験を行おうとしてた訳ではなく、本来の使い方……傷を癒すという使い方をしたのみ。
決して、何も悪い事はしていなかった。
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