転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

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第296話 誰と誰なら

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「んじゃ、いったん終わりするか」

「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」」

丁度正午になったところで、訓練は一旦終了。

学生たちの中でイシュドだけがピンピンしており、他の学生たちは全員地面に膝か腰を付き、疲れ切った状態だった。

当然、ステラやレオナ、クリスティールたちも同じく腰を床に落としていた。

「既に昼飯は作るように伝えてたから、もう少し待っててくれ」

現在、治癒師たちが食堂へ料理を取りに向かっている。
あまり訓練場で昼食、夕食を食べるというのはあまりよろしくない行為だが、イシュドという激爆発物のことを考えると、訓練場で昼飯を食べてしまうのが、一番何も問題が起こらない形であった。

「はぁ、はぁ……皆さんは、いつもこの様な、訓練してるんですね」

「えっと、これは、夏休みの、間……イシュドの実家にいる間、だけ……こんな感じのペースで、訓練を行っていました」

基本的に休憩、反省会を行える時間は五分程度であるため、満足に体力を回復することは出来ない。
魔力に関しても同様であり、全員イシュドと戦う時以外は、なるべく魔力の消費を抑え、己の肉体と技術で……尚且つ慣れない武器でどう戦うか考えながら動いていた。

治療に関してはさすがに深い切傷、骨がヒビ……もしくは骨折したなど、内臓損傷なども含めて、それらの場合のみ治癒師たちから治癒魔法を受けていた。

「マジもう動けね~~~~」

「だらしが、ないですわよ、フィリップ」

大の字に倒れるフィリップに対し、しっかりしなさいと声を掛けるフィリップだが、額には滝の様な汗が流れていた。

「だってよ~~~……つかイシュド~、もうちょい手加減してくれよ~~」

「? 十分手加減してるぜ、フィリップ。まっ、お前らが俺の攻撃を予想してくるから、偶に手元が狂っちまうことはあっけどな」

基本的に模擬戦を終わらせる際、イシュドは対戦相手に腹パンを決めて終わらせる。

だが、一度戦い……イシュドと対戦相手の試合が終わる光景を見ていれば、ある程度最後にどういった攻撃が飛んでくるか予想出来る。

雑な腹パンで終わらせようとしているが、相手が何かしらの対策を取ってくるとなると、雑腹パンよりも高威力、もしくは貫通力の高い一撃……それか、手元が狂った場合、腹パンではなく結果的にリバーブローが炸裂することもある。

そんなイシュドの攻撃を食らっていることもあり、全員そこそこグロッキーな状態になっていた。

「スキルか魔力を使わない様にしてるんだから、十分手加減してるだろ」

「イシュドの言う通りですよ、フィリップ。まぁ……イシュドであれば、スキルや魔力を使わずともなんとかするかもしれませんが」

「ん~~~……はっはっは!! そりゃどうだろうな」

何人かに視線を向けながら、イブキの言葉をやや否定したイシュド。

「仮にその状態で戦うなら、俺は俺でちゃんと倒す気で戦うだろうな」

基本的にイシュドは一対二、もしくは一対三……偶に一対四といった一対複数の状態で戦っていた。

だが、訓練ということを理解しているのか、ステラとクリスティール、レオナ。ガルフのエリヴェラ、フィリップにイブキ、ミシェラ。
この八人の中で三人、もしくは四人で挑んでくることはなかった。

「……あなたを倒すとしたら、誰と誰が組めば良い戦いになるのかしら」

「ん? そう、だなぁ…………ふっふっふ。ダブル聖騎士っていうのも、ありだな」

イシュドの瞳に移るのは、二次職で聖騎士に就いたエリヴェラと、三次職で聖騎士に就いた現役教師のクルト。

「おいおい、俺も入ってるのかい? 勘弁してくれって。俺はそんなに強くないんだからさ~~~」

「そうっすか? まぁ……クルト先生は、状況次第なタイプって感じがするっすね。でも、それなら尚更ダブル聖騎士なら、マジで楽しそうなバトルが出来そうっすね」

質問者であるローザが「どうするんですか」とクルトに問いかけるも、クルトは大袈裟に手を横に振って却下。

「はぁ~~~……それなら、そちらのシドウ先生と……ガルフさんが組めば、どうでしょうか」

「ふ~~~~~ん。面白いタッグを思い付くじゃん」

敢えて妹であるイブキではなく、闘気……そして応用技である護身剛気を使えるガルフであればどうか。

そんな仮想タッグを想像し、イシュドの口端が吊り上がる。

「それはそれで、楽しそう……ではあるんだけど、シドウ先生また戦るならこの前みたいにまたタイマンで戦りてぇかな~~~~。ねぇ、シドウ先生もそう思いませんか」

「ふっふっふ、そうだね。確かに、またキッチリ戦るとするなら、一対一で斬り結ぶ方が楽しそうだ」

「……な、なんだか口ぶりからして、一度本気で斬り結んだ様に聞こえますけど」

「おぅ。シドウ先生とはマジで戦り合ったぜ。互いに刀を使って斬り合って、んでぶった斬られて死んだからな」

「「「「「「「…………はっ!!!???」」」」」」」

教師であるクルトも含め、アンジェーロ学園側のメンバーは、全員面白いほど驚いた顔になった。

「えっ……い、イシュド君が負けた……じゃなくて! し、死んだの?」

「おぅ、死んだ死んだ。もう綺麗にズバッと斬り裂かれたね~~~~」

今思い返しても、惚れ惚れする太刀筋で斬られたなと思うイシュド。
だが、エリヴェラたちは色々と引いてしまっていた。

「………………あっ! も、もしかして昨日言っていた、部屋自体に? 回復効果が付与されてる部屋で戦ったの?」

それならば……本当に死ぬまで戦り合うというのは少々理解出来ないものの、一応……一応、じゃあなんでイシュドが今生きているのか理解出来る。

「いや、学園の訓練場で殺り合ったぞ」

「「「「「「「…………」」」」」」」

ますます理解出来ない。
本当に色々と理解出来ず、ステラたちはどういう表情をすれば良いのか解らなくなっていた。

「イシュド、そろそろネタバラししてやれよ」

「なっはっは! それもそうか。実は……エリクサーを二つ持ってたから、どっちか片方死んでも大丈夫だよなって感じて殺り合ったんだよ」

「「「「「「「…………」」」」」」」

ネタバラしという言葉に、何故か光明を感じ取ったエリヴェラたちだったが、エリクサーという単語が出てきた瞬間、全員口から魂が抜けてしまった。
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