転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

文字の大きさ
295 / 481

第295話 反省会

しおりを挟む
「昨日、身を持って体験したから、解ってたけど……本当に、強いね」

ガルフとエリヴェラ。
この二人と同時に戦うのであれば、それなりに楽しめるだろうと判断したイシュド。

その為、魔力を全身に纏う強化だけを行い、身体強化のスキルなどは一切発動せずに戦っていた。

対してガルフは闘気を纏い、エリヴェラは聖光を纏っていた。
当然、闘気と聖光も己の武器に纏うことが可能であるため、攻撃力は非常に侮れない。

なので、ガルフの双剣、エリヴェラの長槍によって、イシュドの体に数か所だけではあるが切傷が刻まれた。

「なんて言うか…………まぁ、イシュドだからね」

「その言葉が、正解なんだろうね」

明確な答えが出てこないからこそ、イシュドだからというのが答えとなっていた。

「…………僕は、エリヴェラの動きを把握出来てたかな」

「そうだね。正直なところ、予想以上に動きやすかったよ。見たところ、ガルフ君たちの方には、魔法をメインに扱う人がいないみたいだけど……もしかして、普段は一緒に訓練を行ってるけど、今回の交流会には参加出来なかった同級生がいるのかな」

「いや、そういう人はいないよ。モンスターと戦う時とかは、先日レオナさんとローザさんのタッグと戦う時に、僕と組んでくれたフィリップが担当してるんだ」

「あぁ、彼が…………なるほど」

レオナとローザとのタッグ戦……エリヴェラは闘気という勿論自分自身を体得しておらず、周りにも体得してる者がいない力を扱うガルフに注目していたが、もう一人……後衛職ではないにもかかわらず、後衛職のローザと遠距離攻撃合戦を行っていたフィリップにも注目していた。

「確かに、あの技術は凄かった。とはいえ、彼は前衛職なんだよね。なのに、いつも後ろで戦ってるのかい?」

「相手がDランクのモンスターとかなら一人で倒すこともあるけど、複数のCランクモンスターに囲まれた時とかは、主に後方から斬撃波で上手くサポートしてくれる印象が強いかな」

「そうなんだね……」

ガルフの説明を受けて、エリヴェラの脳裏に浮かんだのは……レオナとローザとのタッグ戦の最後。
レオナを相手に、たった数秒の間とはいえ、試合という戦いであったとはいえ、見事制圧してみせたて姿。

(まだ全部は解ってないけど、全体的なステータスを視た場合、一番怖いのはあの人なのかな)

そう思いながらも、先程共にタッグでイシュドに挑んだガルフに対しても恐ろしさを感じていた。

「あの……闘気を応用した護身剛気、って言うんだっけ。あれは良かった。あれを利用してイシュド君の体勢を崩してくれたから、僕の槍が彼に掠った」

「何度も使えない手だけどね」

「いや、あのイシュド君を相手に、完璧な受け流しだったよ……凄いね、闘気というのは」

「ありがとう。聖騎士に褒められると、自信が付くよ」

お世辞でも嬉しい。
そう思いながら笑みを浮かべるガルフだが、エリヴェラは本気でイシュドの攻撃を完璧に受け流す要となった闘気の応用技、護身剛気を賞賛していた。

「本当に凄かったよ。僕が普段使ってる剣と盾を使っても、あそこまで上手くは受け流せない……驚嘆に値する防御力と見事な技術だった」

「あ、ありがとう」

ガルフからすれば、エリヴェラは少々嫉妬心を抱いてしまう相手。

だが、先日イシュドとバチバチに戦った姿、バーサーカーソウルを発動したイシュドが放った剣技、裂空を耐え切った姿……それらの光景から、ガルフはエリヴェラに対して確かな敬意を持っていた。

だからこそ、あまり褒められると照れてしまう。

「えっと、もう少し傷を増やす為には……僕は近距離でも、双剣から斬撃波を放てていれば、増やせたかな」

「そうだね……僕も、もう少し直接付くのではなく、遠距離の刺突と斬撃波を多用するべきだったかな」

もう少し遠距離攻撃を使うべきだったという反省点が出たが、二人とも徒手格闘がメインであるステラと同じく素手で戦うイシュドの姿を見ていた。

なんだそれはとツッコんでしまいたくなる技量を見せ付けられ、確かに近距離からでも斬撃波を放てればという反省点は出たものの、イシュドがその瞬間を見逃すかという疑問点が生まれてくる。

そもそもな話、一応クルトとシドウ、アリンダが見ているとはいえ、放った遠距離が躱されてしまった場合……他の場所で戦っているメンバーに当たるかもしれない。

「「…………」」

その可能性を考えられない二人ではない為、直ぐにやっぱり物理攻撃でどうにかしないとという考えに至るも……フィジカルモンスターを相手に、早々良い案は思い浮かばなかった。




「フィリップ……あなた、戦斧の扱いに、非常に慣れてません?」

「そっちこそ、本職のランサーかと思っちまったぜ」

「っ!!! あなたねぇ~~~~」

長槍を使うミシェラを相手に、フィリップは戦斧を使って応戦していた。

結果、そろそろ模擬戦が終わる実感になるといったタイミングで、フィリップが戦斧の刃をミシェラが持っていた腕に添えた。

頭部や首、心臓部ではなかったが、利き手である腕を切断されてしまえば、アウトも
同然。
ミシェラは素直に敗北を受け入れた。

「んな怒んなっての、冗談だろ」

「まったく…………それにしても、あなたの腕前を見てると、そろそろイシュドの様に二振りで振り回してもおかしくありませんわね」

「戦斧の二刀流か? 無理だって。俺とイシュドじゃあ、腕力が違うんだからよ」

ミシェラの言う通り、フィリップの戦斧の技量は使い始めて半年足らずとは思えない程伸びていた。

それでも二刀流は、主に先程戦斧を使用していたヨセフと同じ理由で現段階ではあまり現実的とは言えなかった。

「それを言えば、私も似た様なものですわね」

「だな。俺が二刀流で戦うなら、ミシェラが二槍流で戦ったら面白ぇな~~って思ったけど」

「何をいきなりぶっ飛んだ話をしますの…………まぁ、世の中にはそういったぶっ飛んだ方もいるようですけど」

イシュド……の話ではない。
ただ、レグラ家に仕える中に長物の二刀流で実際に戦う騎士がおり、そういった戦闘スタイルで戦う者はレグラ家以外にも数は多くないが、一応存在している。

「それで、私の槍はどうでしたの」

「前より細かい動きが面倒になってたな。後、弾いた時に即座に刃の無い方で対応してくるのが普通に厄介だった」

「そうですのね……あなたはあなたで、決めるべきところでパワーを上手く入れるようになりましたわね」

こうして、次の模擬戦まで珍しく二人は互いの良かったところを褒め合いながら、反省会を行った。

しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

魔王の息子に転生したら、いきなり魔王が討伐された

ふぉ
ファンタジー
魔王の息子に転生したら、生後三ヶ月で魔王が討伐される。 魔領の山で、幼くして他の魔族から隠れ住む生活。 逃亡の果て、気が付けば魔王の息子のはずなのに、辺境で豆スープをすする極貧の暮らし。 魔族や人間の陰謀に巻き込まれつつ、 いつも美味しいところを持って行くのはジイイ、ババア。 いつか強くなって無双できる日が来るんだろうか? 1章 辺境極貧生活編 2章 都会発明探偵編 3章 魔術師冒険者編 4章 似非魔法剣士編 5章 内政全知賢者編 6章 無双暗黒魔王編 7章 時操新代魔王編 終章 無双者一般人編 サブタイを駄洒落にしつつ、全261話まで突き進みます。 --------- 《異界の国に召喚されたら、いきなり魔王に攻め滅ぼされた》 http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/952068299/ 同じ世界の別の場所での話になります。 オキス君が生まれる少し前から始まります。

婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話

Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」 「よっしゃー!! ありがとうございます!!」 婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。 果たして国王との賭けの内容とは――

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!

菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。

異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。 ※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。 『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。 ※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】

一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。 その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。 それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。

婚約破棄して廃嫡された馬鹿王子、冒険者になって自由に生きようとするも、何故か元婚約者に追いかけて来られて修羅場です。

平井敦史
ファンタジー
公爵令嬢ヘンリエッタとの婚約破棄を宣言した王太子マルグリスは、父王から廃嫡されてしまう。 マルグリスは王族の身分も捨て去り、相棒のレニーと共に冒険者として生きていこうと決意するが、そんな彼をヘンリエッタが追いかけて来て……!? 素直になれない三人の、ドタバタ冒険ファンタジー。 ※「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

処理中です...