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第294話 そそられない
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「悪い奴ではない、か……まだ出会って一日ほどしか経っていないが、それはなんとなく解る。しかし、あれ程の実力を有しており、他者に何かを教えることを不得意にしてないのであれば、多くの者が教えを乞おうとするのではないか?」
パオロから見て、イシュドという人物は貴族的な面で指摘をすれば話が通じないと感じるかもしれないが、一般的な会話をする分には、十分話が通じると感じた。
加えて、先程自分がイシュドと模擬戦を行っている際、度々伝えられたアドバイス内容は単純であれど、確かに重要なものであり、指導能力も高いように感じた。
「多くいたのかは不明ですけれど、確かに夏休みが終わった後に、そういった者は現れましたわ」
イシュドというザ・ハチャメチャイレギュラーな人物と関わった人物が、激闘祭トーナメントで大活躍を見せた。
平民であるガルフは校内戦を見事制し、激闘祭トーナメントの出場権を獲得しただけではなく、一回戦……二回戦目も突破。
三回戦目で優勝候補の一人だと言われていたディムナ・カイスと激突し、勝利することは出来なかったが、ダブルノックアウトの引き分けに持ち込んだ。
それだけではなく、あのぐーたら不真面目公爵令息のフィリップが真面目に戦っており、一回戦二回戦を突破するだけではなく……決勝戦で優勝候補であった第五王子のアドレアスを打ち倒し、激闘祭トーナメント一年の部を優勝した。
知っている者は、フィリップにはそれだけの素質があると解っていた。
ただ……平民でありながらフラベルト学園に入学できたのだから、素質があるのは間違いないが、それでもあのディムナ・カイスを相手に引き分けに持っていけるのはおかしい、というのが多くの貴族たちの見解。
何かからくりがあるとすれば……イシュドというザ・ハチャメチャイレギュラーと関わったから。
そうとしか思えず、夏休み明けに一人の生徒が自分もイシュドたちが行っている訓練に参加させてほしいと頼み込んできた。
「ですが、パオロさんも噂だけのイシュドが貴族の令息や令嬢たちから、当初どう思われていたのか、容易に想像が付くでしょう」
「あからさまに見下していた訳か」
「その通りですわ。まぁ……私も多少礼儀面などで見下していた面はありましたけれど…………とにかく、そういった事もあり、尚且つイシュドの興味をそそられる者がいなかったこともあって、普段から共に訓練を行っているメンバーは変っていませんの」
「そうだったか……しかし、お金を払ってでも頼み込もうとした一年生もいたのではないか?」
「えぇ、いましたわ。私は結果として先日のクルト先生の様な形で、対価を支払いましたので」
ガルフやフィリップ、イブキは友人なのでイシュドは特に何も求めなかったが、ミシェラに関しては元々絡まれたクソ面倒な金髪クソ縦ロールという印象しかなく、イシュドはミシェラからあなた達の訓練に参加させてほしいと頼まれた際、高級料理店の食事代を奢れという条件を出された。
「ですが、イシュドとしては今更と感じたのでしょう」
「加えて、興味がそそられる相手ではなかった」
「そういう事ですわ……私も、実際にあの男の実家に行くまで知らなかったのですけど、レグラ家には……本当に多種多様な強者がいますわ」
先日パオロたちの前でぶっちゃけた通り、聖騎士の職業に就いてる騎士もいる。
加えて弓をメインに扱う者や、鞭をメイン武器にして戦う者もいる。
そして……当然、魔法をメインに戦う魔術師たちもレグラ家に仕えている。
あれだけの強者たちに囲まれていれば、並みの……少し優れている程度の学生に惹かれないのも、無理はなかった。
「………………他国の人間ではあるが、他の貴族たちからすれば、もう少しこまめに表舞台に出てきてほしいものだろうな」
「本当に、その通りですわ」
確かにイシュドのノット・オブ・ノット紳士なところは蛮族ではあるが、とにかく強い。
そしてイシュドだけではなく、その他の兄弟姉妹や祖父に曾祖父、レグラ家に仕えている騎士たちだけではなく、執事やメイドまで強い。
その全容を少しでも知れてれば、愚かな犠牲者は現れなかったと思えてならない。
二人がそんな会話をしている間に、目の前で行われている模擬戦は徐々に終わりを迎え始めていた。
「はっはっは!!!!! いやぁ~~~、マジで良かった、二人とも!! 良い感じにスリルを感じられる模擬戦だったぜ!!!!!」
「「っ…………」」
二人を褒めるイシュドの前で、ガルフとエリヴェラは腹部を抑えて悶絶していた。
前回の模擬戦通り、イシュドは腹パンを決めて終わらせようと決めていた。
ガルフの双剣を掻い潜り、腹パンを決めて行動不能にした後、今度はエリヴェラの元へダッシュ。
エリヴェラは冷静に焦らず狙いを定めて突きを放つも、イシュドは見事回避。
ただ、おそらくイシュドは腹パンを決めて自分たちを戦闘不能に追い込もうとするだろうと予想していたエリヴェラ。
思いっきり腹筋に力を籠め、イシュドの腹パンを耐えるという選択を取った。
結果……イシュドがエリヴェラの強張った表情から腹筋に力を入れているのを見抜き、つい良い腹パンを決めてしまった。
(さ、最後の、一撃って……は、発勁、だったの、かな?)
身体強化などのスキルを使用してなかったこともあり、雑に本気で殴るのではなく、そういった感じ殴った方が良いだろうと反射的に判断。
実際に体技、発勁を使った訳ではなく、良い感じに全身を連動させて腹パンを決めた結果……腹パンの威力が腹筋を越えて内臓にまでダイレクトに届いてしまった。
「? おいおい、大丈夫か二人共」
「だ、大丈夫だよ、イシュド」
「ぼ、僕も大丈夫、です」
ガルフはガルフで、全く衝撃に耐える準備が出来ていなかったこともあり、鈍い痛みが腹に残り、そこそこ良いダメージを負っていた。
模擬戦終了後、二人は一応治癒師たちに治療を行ってもらってから、反省会を始めるのだった。
パオロから見て、イシュドという人物は貴族的な面で指摘をすれば話が通じないと感じるかもしれないが、一般的な会話をする分には、十分話が通じると感じた。
加えて、先程自分がイシュドと模擬戦を行っている際、度々伝えられたアドバイス内容は単純であれど、確かに重要なものであり、指導能力も高いように感じた。
「多くいたのかは不明ですけれど、確かに夏休みが終わった後に、そういった者は現れましたわ」
イシュドというザ・ハチャメチャイレギュラーな人物と関わった人物が、激闘祭トーナメントで大活躍を見せた。
平民であるガルフは校内戦を見事制し、激闘祭トーナメントの出場権を獲得しただけではなく、一回戦……二回戦目も突破。
三回戦目で優勝候補の一人だと言われていたディムナ・カイスと激突し、勝利することは出来なかったが、ダブルノックアウトの引き分けに持ち込んだ。
それだけではなく、あのぐーたら不真面目公爵令息のフィリップが真面目に戦っており、一回戦二回戦を突破するだけではなく……決勝戦で優勝候補であった第五王子のアドレアスを打ち倒し、激闘祭トーナメント一年の部を優勝した。
知っている者は、フィリップにはそれだけの素質があると解っていた。
ただ……平民でありながらフラベルト学園に入学できたのだから、素質があるのは間違いないが、それでもあのディムナ・カイスを相手に引き分けに持っていけるのはおかしい、というのが多くの貴族たちの見解。
何かからくりがあるとすれば……イシュドというザ・ハチャメチャイレギュラーと関わったから。
そうとしか思えず、夏休み明けに一人の生徒が自分もイシュドたちが行っている訓練に参加させてほしいと頼み込んできた。
「ですが、パオロさんも噂だけのイシュドが貴族の令息や令嬢たちから、当初どう思われていたのか、容易に想像が付くでしょう」
「あからさまに見下していた訳か」
「その通りですわ。まぁ……私も多少礼儀面などで見下していた面はありましたけれど…………とにかく、そういった事もあり、尚且つイシュドの興味をそそられる者がいなかったこともあって、普段から共に訓練を行っているメンバーは変っていませんの」
「そうだったか……しかし、お金を払ってでも頼み込もうとした一年生もいたのではないか?」
「えぇ、いましたわ。私は結果として先日のクルト先生の様な形で、対価を支払いましたので」
ガルフやフィリップ、イブキは友人なのでイシュドは特に何も求めなかったが、ミシェラに関しては元々絡まれたクソ面倒な金髪クソ縦ロールという印象しかなく、イシュドはミシェラからあなた達の訓練に参加させてほしいと頼まれた際、高級料理店の食事代を奢れという条件を出された。
「ですが、イシュドとしては今更と感じたのでしょう」
「加えて、興味がそそられる相手ではなかった」
「そういう事ですわ……私も、実際にあの男の実家に行くまで知らなかったのですけど、レグラ家には……本当に多種多様な強者がいますわ」
先日パオロたちの前でぶっちゃけた通り、聖騎士の職業に就いてる騎士もいる。
加えて弓をメインに扱う者や、鞭をメイン武器にして戦う者もいる。
そして……当然、魔法をメインに戦う魔術師たちもレグラ家に仕えている。
あれだけの強者たちに囲まれていれば、並みの……少し優れている程度の学生に惹かれないのも、無理はなかった。
「………………他国の人間ではあるが、他の貴族たちからすれば、もう少しこまめに表舞台に出てきてほしいものだろうな」
「本当に、その通りですわ」
確かにイシュドのノット・オブ・ノット紳士なところは蛮族ではあるが、とにかく強い。
そしてイシュドだけではなく、その他の兄弟姉妹や祖父に曾祖父、レグラ家に仕えている騎士たちだけではなく、執事やメイドまで強い。
その全容を少しでも知れてれば、愚かな犠牲者は現れなかったと思えてならない。
二人がそんな会話をしている間に、目の前で行われている模擬戦は徐々に終わりを迎え始めていた。
「はっはっは!!!!! いやぁ~~~、マジで良かった、二人とも!! 良い感じにスリルを感じられる模擬戦だったぜ!!!!!」
「「っ…………」」
二人を褒めるイシュドの前で、ガルフとエリヴェラは腹部を抑えて悶絶していた。
前回の模擬戦通り、イシュドは腹パンを決めて終わらせようと決めていた。
ガルフの双剣を掻い潜り、腹パンを決めて行動不能にした後、今度はエリヴェラの元へダッシュ。
エリヴェラは冷静に焦らず狙いを定めて突きを放つも、イシュドは見事回避。
ただ、おそらくイシュドは腹パンを決めて自分たちを戦闘不能に追い込もうとするだろうと予想していたエリヴェラ。
思いっきり腹筋に力を籠め、イシュドの腹パンを耐えるという選択を取った。
結果……イシュドがエリヴェラの強張った表情から腹筋に力を入れているのを見抜き、つい良い腹パンを決めてしまった。
(さ、最後の、一撃って……は、発勁、だったの、かな?)
身体強化などのスキルを使用してなかったこともあり、雑に本気で殴るのではなく、そういった感じ殴った方が良いだろうと反射的に判断。
実際に体技、発勁を使った訳ではなく、良い感じに全身を連動させて腹パンを決めた結果……腹パンの威力が腹筋を越えて内臓にまでダイレクトに届いてしまった。
「? おいおい、大丈夫か二人共」
「だ、大丈夫だよ、イシュド」
「ぼ、僕も大丈夫、です」
ガルフはガルフで、全く衝撃に耐える準備が出来ていなかったこともあり、鈍い痛みが腹に残り、そこそこ良いダメージを負っていた。
模擬戦終了後、二人は一応治癒師たちに治療を行ってもらってから、反省会を始めるのだった。
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