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少年期[493]比べられてしまうから
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そこそこ良さげな宿を見つけたゼルート達は一週間分の滞在費を払い、その宿の店員に今後行われるオークションの場所を尋ねる。
そして店員にチップを払ったゼルートは直ぐにその場を目指す。
アレナとルウナという美女と美少女を連れ、リザードンの希少種と子供とはいえドラゴンとスライムと一緒に行動しているゼルートは必然と目立つ。
だが、既にその状況に慣れているゼルートはその視線に対して特に思うことは無い。
これがらゲイル達を宿に置いてからオークション会場に向かおうとすれば道中で自分に自信アリアリなナルシストに絡まれたかもしれないが、どう考えてもリザードンにドラゴンとスライムを従えるなど普通では無い。
そんな一団に絡もうと思う者は貴族、冒険者関係無くいなかった。
中にはゼルートの素性を勘付く者もいる。
「やっぱりゲイル達がいると面倒ごとが断然に減るな」
『役に立っている様で光栄です。ただ、自分ならば人の姿でもよろしいのでは?』
人の姿になることに完全に慣れた三人は魔力の消費量が極限に低く、一日人の姿をしていても全く問題は無い。
ゲイルとしては通常の姿でいる事でゼルートに絡もうとする馬鹿が減ることは嬉しいが、それでも自分が人の姿になっていれば不必要に周囲の者をビビらせることは無いとも考えた。
「ん~~~~……それでも構わないけど、それだったらラームやラルも人の姿になりたいだろ?」
『まぁ……そうですね。人の姿でいるのはそれはそれで楽しいですし』
『僕もラームと一緒かな』
「別に俺としては全然良いんだけど、ゲイル一人だけ威圧感が出せるイケメンになってもなぁ……一人ぐらいならどうとでもなるって思う馬鹿共が現れそうじゃん」
ゼルートとしては一度ぐらい自分の実力を周囲に示せる丁度良い馬鹿に絡まれるのは問題無いと思っているが、絡もうとする相手には潰したら後が面倒な者も存在する。
なるべく話し合いで解決をしようという考えが芽生えてきているゼルートとしては、そういった通常より面倒な案件は避けたかった。
『なるほど、少々不用心でした』
「いやいや、そんな気にしなくて良いよ。カジノでは皆で楽しもうと思ってるからさ」
折角人の姿になれるので、ゼルートとしてはゲイル達にカジノを楽しんでもらいたいと思っている。
「……テイマーがゼルートみたいに魔物の言葉が解かる人がいるのは知ってたけど、改めて見ると本当に不思議よね」
「そうだな。でも、これでゼルートはテイマーが本職じゃないんだから、本職の人間からすればそこまで動けるのは羨ましい限りだろう」
「……まぁ、そういうものか。でも、テイマーの人だって魔物に守られてるから絶対に安心だっていう過信を捨てれば、ある程度は動けるようになると思うけどね」
多くの事を平均以上にこなせるゼルートだからこそ、何故一芸だけに拘るのか理解出来ない。
その時々によって求められる技術は異なる。
勿論、才能という成長出来るかどうかの要因には差があるので、人によってはその一芸だけが自分の武器だと決めているかもしれない。
(魔法を使えるかどうかは結構才能による差が大きいけど、後衛職の魔法使いや僧侶、テイマーが接近戦や逃走術? が出来ないのはおかしいだろ。最低限の技術は身に付けられる筈だ)
確かに技術というのは基本的に即座に身に着けられるものでは無い。
実戦で使えるようにするにはそれ相応の時間が掛かるが、絶対に無理という内容ではないのだが……自分が特化した技能のみに過信する者は他の技術を学ばない傾向が高い。
「そこまでストイックに他の技術を学ぼうと思えるのはゼルートだからよ」
「・・・・・・それはどうかな? 何かを多く学べる環境にいる人間は他の人と比べられる事が多い。そういった環境にいる人間は……総じてプライドが高いと思うんだ、個人の意見だけどな。だから、多くの事に手を出そうとせず、一つの事だけを極めようとして賞賛を得ようとするんだよ」
「へぇ~~~~、それは確かに納得出来る内容ね」
「うむ、私も物凄く納得出来る内容だった。人というのは他人の欠点を見つけたがるものだからな。そういった連中にとっては良い標的になってしまうのだろう」
ルウナの言う事は正しく、そういった環境では無いが学び続けたゼルートだからこそ多くの技能を手に入れた。
「っと、着いたみたいだな」
ゼルート一行が到着した会場は六人の中で一番人生経験が長いアレナでも豪華だと思える程に外装が派手なところだった。
そして店員にチップを払ったゼルートは直ぐにその場を目指す。
アレナとルウナという美女と美少女を連れ、リザードンの希少種と子供とはいえドラゴンとスライムと一緒に行動しているゼルートは必然と目立つ。
だが、既にその状況に慣れているゼルートはその視線に対して特に思うことは無い。
これがらゲイル達を宿に置いてからオークション会場に向かおうとすれば道中で自分に自信アリアリなナルシストに絡まれたかもしれないが、どう考えてもリザードンにドラゴンとスライムを従えるなど普通では無い。
そんな一団に絡もうと思う者は貴族、冒険者関係無くいなかった。
中にはゼルートの素性を勘付く者もいる。
「やっぱりゲイル達がいると面倒ごとが断然に減るな」
『役に立っている様で光栄です。ただ、自分ならば人の姿でもよろしいのでは?』
人の姿になることに完全に慣れた三人は魔力の消費量が極限に低く、一日人の姿をしていても全く問題は無い。
ゲイルとしては通常の姿でいる事でゼルートに絡もうとする馬鹿が減ることは嬉しいが、それでも自分が人の姿になっていれば不必要に周囲の者をビビらせることは無いとも考えた。
「ん~~~~……それでも構わないけど、それだったらラームやラルも人の姿になりたいだろ?」
『まぁ……そうですね。人の姿でいるのはそれはそれで楽しいですし』
『僕もラームと一緒かな』
「別に俺としては全然良いんだけど、ゲイル一人だけ威圧感が出せるイケメンになってもなぁ……一人ぐらいならどうとでもなるって思う馬鹿共が現れそうじゃん」
ゼルートとしては一度ぐらい自分の実力を周囲に示せる丁度良い馬鹿に絡まれるのは問題無いと思っているが、絡もうとする相手には潰したら後が面倒な者も存在する。
なるべく話し合いで解決をしようという考えが芽生えてきているゼルートとしては、そういった通常より面倒な案件は避けたかった。
『なるほど、少々不用心でした』
「いやいや、そんな気にしなくて良いよ。カジノでは皆で楽しもうと思ってるからさ」
折角人の姿になれるので、ゼルートとしてはゲイル達にカジノを楽しんでもらいたいと思っている。
「……テイマーがゼルートみたいに魔物の言葉が解かる人がいるのは知ってたけど、改めて見ると本当に不思議よね」
「そうだな。でも、これでゼルートはテイマーが本職じゃないんだから、本職の人間からすればそこまで動けるのは羨ましい限りだろう」
「……まぁ、そういうものか。でも、テイマーの人だって魔物に守られてるから絶対に安心だっていう過信を捨てれば、ある程度は動けるようになると思うけどね」
多くの事を平均以上にこなせるゼルートだからこそ、何故一芸だけに拘るのか理解出来ない。
その時々によって求められる技術は異なる。
勿論、才能という成長出来るかどうかの要因には差があるので、人によってはその一芸だけが自分の武器だと決めているかもしれない。
(魔法を使えるかどうかは結構才能による差が大きいけど、後衛職の魔法使いや僧侶、テイマーが接近戦や逃走術? が出来ないのはおかしいだろ。最低限の技術は身に付けられる筈だ)
確かに技術というのは基本的に即座に身に着けられるものでは無い。
実戦で使えるようにするにはそれ相応の時間が掛かるが、絶対に無理という内容ではないのだが……自分が特化した技能のみに過信する者は他の技術を学ばない傾向が高い。
「そこまでストイックに他の技術を学ぼうと思えるのはゼルートだからよ」
「・・・・・・それはどうかな? 何かを多く学べる環境にいる人間は他の人と比べられる事が多い。そういった環境にいる人間は……総じてプライドが高いと思うんだ、個人の意見だけどな。だから、多くの事に手を出そうとせず、一つの事だけを極めようとして賞賛を得ようとするんだよ」
「へぇ~~~~、それは確かに納得出来る内容ね」
「うむ、私も物凄く納得出来る内容だった。人というのは他人の欠点を見つけたがるものだからな。そういった連中にとっては良い標的になってしまうのだろう」
ルウナの言う事は正しく、そういった環境では無いが学び続けたゼルートだからこそ多くの技能を手に入れた。
「っと、着いたみたいだな」
ゼルート一行が到着した会場は六人の中で一番人生経験が長いアレナでも豪華だと思える程に外装が派手なところだった。
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