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少年期[731]公開説教
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「お疲れ、ルウナ。ちょっと熱くなり過ぎてたんじゃないのか?」
「ゼルート! 用事はもう終わったのか?」
「あぁ、もう終わった……てか、どれだけ動いてたんだよ」
ルウナの体からはかなり汗が流れており、ゼルートがシーリアスと話している間にどれだけ動いていたのかが分かる。
「模擬戦なんだから、あんまり熱くなりすぎるなよ……んで、お久しぶりです。グレイスさん、コーネリアさん」
「おう、久しぶりだなゼルート!!! 元気してたか」
「はい、元気に活動してました。お二人と別れた後はホーリーパレスというダンジョンを探索してました」
「おっ、マジか!!! あそこを探索してたのか」
グレイスも過去にガレンたちと一緒にホーリーパレスを探索したことはあったが、その頃は五十層までしか探索していなかった。
(確かあそこのダンジョンはまだ攻略出来てなかったよな……いつか六十層のボスと戦ってみたいぜ)
過去に探索した際は実力及ばず、五十層のボス部屋までしか挑まなかったが、その頃と比べてグレイスは確実に成長している。
だが……おそらくこれからホーリーパレスの五十階層以降に挑むことはない。
本人と妻であるコーネリアはそれを理解していた。
「どうだ、六十層のボスと戦ったのか!」
「はい、戦いました。一戦目はホーリーミノタウロスで、二戦目は……グリフォンが数体とホーリーガルーダだっけ?」
「あぁ、それで合ってるぞ」
とんでもない会話の内容を聞き、訓練場にいる冒険者たちは当然驚く。
だが、生のゼルートをあまり知らない冒険者はゼルートの言葉が真実なのかどうかを疑ってしまう。
グレイスがこの場に居なければ「あんまり仲間が強いからって嘘ついてんじゃねぇよ」と絡んでしまう血の気が強い者もいた。
「ん? もしかして二戦目にゼルートは参加していなかったのか?」
「ちょっと事情があって……俺はその時、五十層のボスと戦ってました」
「あぁ~~~、あいつか。なるほどな。確かにエボルサーペントは素材として一級品だよな」
ホーリーミノタウロス、グリフォン、ホーリーガルーダ、エボルサーペント。
二人の会話から出てくる魔物名前は辺境で活動する冒険者たちであっても、滅多に遭遇しない……どころか耳にすら入らない魔物ばかり。
頭に血が上りやすいルーキーにはゼルートが超絶調子に乗っている様に思え、大股で絡みに行こうとする者が現れた瞬間、近くにいた先輩冒険者が拳骨を食らわせて止め、その場で説教を始めた。
「ほらほら二人とも、話をするのは良いけど場所を変えましょう」
「おう、そうだな。飯は俺が奢るから色々と聞かせてくれよ」
「はい!!」
人の冒険譚を聞くのも楽しいが、自分の冒険譚を誰かに話すのも楽しい。
ラルたちも一緒にギルドの食堂に移動して軽食を食べながら先程の会話を続けた。
ゼルートたちが仲良く談笑している頃、嫉妬などの感情に狂ってゼルートに絡もうとしたルーキーを止めた先輩冒険者に必死で説教していた。
「分かったか!! 冒険者として終わりたくなかったらゼルートに下手な絡みするんじゃねぇぞ!」
「は、はい……分かりました」
「ったく、いっとくがゼルートが話してた内容は全部嘘じゃねぇからな。お前なんか一瞬で灰にされるか細切れにされるんだ。それをしっかり頭に刻んどけ」
いきなりゼルートに絡もうとしたルーキーが先輩冒険者に公開説教されたことで、他にもゼルートに絡もうと思っていたルーキーたちは全員思い留まり、また訓練に戻った。
(ふぅ~~~、全く勘弁してくれよ。あんまり説教するようなガラじゃねぇんだからよ)
先輩冒険者は普段からあまり後輩たちに説教するようなタイプではなく、親しみやすいイメージを持たれている。
そんな先輩だが、ゼルートがどれだけヤバいのかは知っている。
冒険者になってDランクの先輩冒険者を公開処刑するような冒険者が、異常でヤバい訳がない。
自身の眼でゼルートを始めてみた頃から男は成長し、ようやくゼルートを視て底が分からない……おかしい、変と感じるようになるレベルに到達した。
(多分、Bランクやグレイスさんレベルになってようやく感覚的にどれだけゼルートが強いのか解るんだろうな……こりゃ金玉潰されたくなかったらゼルートに絡むなって、ルーキーたちに伝えておくか)
嫉妬心を駆り立てられて後輩が無様な姿をさらさないようにするのも先輩の役目だと思い、男はまだ訓練場に残っているルーキーたちに軽くゼルートについて話した。
「ゼルート! 用事はもう終わったのか?」
「あぁ、もう終わった……てか、どれだけ動いてたんだよ」
ルウナの体からはかなり汗が流れており、ゼルートがシーリアスと話している間にどれだけ動いていたのかが分かる。
「模擬戦なんだから、あんまり熱くなりすぎるなよ……んで、お久しぶりです。グレイスさん、コーネリアさん」
「おう、久しぶりだなゼルート!!! 元気してたか」
「はい、元気に活動してました。お二人と別れた後はホーリーパレスというダンジョンを探索してました」
「おっ、マジか!!! あそこを探索してたのか」
グレイスも過去にガレンたちと一緒にホーリーパレスを探索したことはあったが、その頃は五十層までしか探索していなかった。
(確かあそこのダンジョンはまだ攻略出来てなかったよな……いつか六十層のボスと戦ってみたいぜ)
過去に探索した際は実力及ばず、五十層のボス部屋までしか挑まなかったが、その頃と比べてグレイスは確実に成長している。
だが……おそらくこれからホーリーパレスの五十階層以降に挑むことはない。
本人と妻であるコーネリアはそれを理解していた。
「どうだ、六十層のボスと戦ったのか!」
「はい、戦いました。一戦目はホーリーミノタウロスで、二戦目は……グリフォンが数体とホーリーガルーダだっけ?」
「あぁ、それで合ってるぞ」
とんでもない会話の内容を聞き、訓練場にいる冒険者たちは当然驚く。
だが、生のゼルートをあまり知らない冒険者はゼルートの言葉が真実なのかどうかを疑ってしまう。
グレイスがこの場に居なければ「あんまり仲間が強いからって嘘ついてんじゃねぇよ」と絡んでしまう血の気が強い者もいた。
「ん? もしかして二戦目にゼルートは参加していなかったのか?」
「ちょっと事情があって……俺はその時、五十層のボスと戦ってました」
「あぁ~~~、あいつか。なるほどな。確かにエボルサーペントは素材として一級品だよな」
ホーリーミノタウロス、グリフォン、ホーリーガルーダ、エボルサーペント。
二人の会話から出てくる魔物名前は辺境で活動する冒険者たちであっても、滅多に遭遇しない……どころか耳にすら入らない魔物ばかり。
頭に血が上りやすいルーキーにはゼルートが超絶調子に乗っている様に思え、大股で絡みに行こうとする者が現れた瞬間、近くにいた先輩冒険者が拳骨を食らわせて止め、その場で説教を始めた。
「ほらほら二人とも、話をするのは良いけど場所を変えましょう」
「おう、そうだな。飯は俺が奢るから色々と聞かせてくれよ」
「はい!!」
人の冒険譚を聞くのも楽しいが、自分の冒険譚を誰かに話すのも楽しい。
ラルたちも一緒にギルドの食堂に移動して軽食を食べながら先程の会話を続けた。
ゼルートたちが仲良く談笑している頃、嫉妬などの感情に狂ってゼルートに絡もうとしたルーキーを止めた先輩冒険者に必死で説教していた。
「分かったか!! 冒険者として終わりたくなかったらゼルートに下手な絡みするんじゃねぇぞ!」
「は、はい……分かりました」
「ったく、いっとくがゼルートが話してた内容は全部嘘じゃねぇからな。お前なんか一瞬で灰にされるか細切れにされるんだ。それをしっかり頭に刻んどけ」
いきなりゼルートに絡もうとしたルーキーが先輩冒険者に公開説教されたことで、他にもゼルートに絡もうと思っていたルーキーたちは全員思い留まり、また訓練に戻った。
(ふぅ~~~、全く勘弁してくれよ。あんまり説教するようなガラじゃねぇんだからよ)
先輩冒険者は普段からあまり後輩たちに説教するようなタイプではなく、親しみやすいイメージを持たれている。
そんな先輩だが、ゼルートがどれだけヤバいのかは知っている。
冒険者になってDランクの先輩冒険者を公開処刑するような冒険者が、異常でヤバい訳がない。
自身の眼でゼルートを始めてみた頃から男は成長し、ようやくゼルートを視て底が分からない……おかしい、変と感じるようになるレベルに到達した。
(多分、Bランクやグレイスさんレベルになってようやく感覚的にどれだけゼルートが強いのか解るんだろうな……こりゃ金玉潰されたくなかったらゼルートに絡むなって、ルーキーたちに伝えておくか)
嫉妬心を駆り立てられて後輩が無様な姿をさらさないようにするのも先輩の役目だと思い、男はまだ訓練場に残っているルーキーたちに軽くゼルートについて話した。
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