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十九話 過保護は意思を縛る
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「……心配し過ぎ、なのかもしれないな」
騎士からクランドがリーゼと二人でオークを討伐し、圧倒。
クランドから相手がDランクのモンスターであれば、一人で戦いたいと伝えれた。
この件に関して報告を受け、オルガは自室で悩んでいた。
まだDランクモンスターを相手に、一人で戦うのは危ない。
この考えは決して間違っていない。
ただ……子供の成長は早い。
クランドの場合は目に見えて成長する時期が、他の子供よりも早かった。
そして、現在でもその成長は続いている。
故に……リーゼと二人でとはいえ、オークを無傷で倒した。
「しかし、万が一があってからではな」
この世界では、簡単に人が死ぬ。
モンスターとは非常に恐ろしい存在であり、容易に命を奪う力を持っている。
それは人にも言えることかもしれないが、親としては……オルガとしては、まだ息子がそこまでの相手を、一人で相手するのは早いと思ってしまう。
(いや、フーネスより強いことを考えれば、ソロで戦うことを許しても問題無い、か)
クランドの実力は一つ歳上のフーネスよりも上。
そのフーネスは既にDランクのモンスターと戦闘を行っている。
「……仕方ない、許可するか」
フーネスと同じく、来年にはソロでDランクのモンスターと戦うことを許可しようと考えていた。
しかし、あまり強い過保護は、クランドの意志を縛ることになる。
それは良くないと判断し、クランドを呼び出してDランクモンスターとの戦闘に関して、ソロで戦うことを許可した。
複数との戦闘は制限されているが、この許可にクランドは喜び、実戦で活き活きすることが増えた。
こうして順調に実力を上げていき、フーネスが学園に入学した頃、隣国の貴族がオルガ―家を訪れた。
隣国、パルスティラ王国から訪れた人物は、ジル・ランディ―ス。
侯爵であり、ライガー家と同じく槍を扱う名門。
ジル・ランディ―スはオルガと友人であり、本日は久しぶりの再会。
(面倒だが……顔に出さないように、抑えないとな)
クランドとしては、今日は狩りに行く予定だったが、オルガの友人が久しぶりに遊びに来るということで、クランドの予定は変更になった。
「……クランド様、少々眉間に皺が寄ってますよ」
「マジ?」
「マジです」
「はぁ~~、ちゃんとポーカーフェイスしないと」
一先ず、ジルが遊びに来た初日だけは、家に居てくれと頼まれた。
相手は大人なのに、何故クランドが居なければならないのか。
それは……遊びに来る相手はジルだけではなく、ジルの娘も訪れる。
丁度クランドと同じ歳ということもあり、相手をするには丁度良かった。
(もしかして、父さん的には婚約者に、とか考えてるのか?)
そんな思いは……全くゼロではなかった。
ただ、オルガとしては本人たちが実際に会って仲良くなれば、程度にしか考えていない。
と、あれこれ考えている内にジル・ランディ―スが領地に入り、ライガー家の屋敷に到着した。
「やぁ、オルガ! 久しぶりだね」
「あぁ、久しぶりだな、ジル。元気にしてたか?」
「勿論! 手紙に書いてある通り、変わらず元気さ」
綺麗な赤髪を肩まで伸ばし、そのヘアスタイルが似合う容姿を持つ美男子。
(父さんと同じ、歳……なんだよな)
二十代前半と言われたら、思わず信じてしまう。
そんなジル・ランディ―スの顔に驚いていると、向こうから先に挨拶を行った。
「初めまして。オルガの友達のジル・ランディ―スだ。よろしくね」
「初めまして、ライガー家の三男、クランド・オルガ―です。よろしくお願いします」
クランドの後に続き、アスクとレイナの娘であるアルネも丁寧なあいさつを返す。
そして場所は客間に移動。
二人が軽く最近の個人的な話で盛り上がり……その後、子供についての紹介……もとい、自慢大会が始まる。
クランドは自分の番が来ていない時は気が楽だったが、自分の話になると、体がむず痒くなり始めた。
(嬉しいことなんだろうけど……目の前で堂々と自分の自慢をされると、やっぱり恥ずかしいな)
本来なら、堂々と親族が褒めることはない……かもしれないが、オルガはちんけなプライドな気にすることなく、クランドのことも自慢した。
そんな中、ジルは今までにない反応を見せる。
「ふふ、そうだね……うん、非常に興味を持つ存在だよ」
言葉通り、まさに興味を持った存在に向ける眼。
先程軽く挨拶した時の優しい眼とは違う。
「でも、騎士にはならないんだっけ?」
「そうだ。強い奴と戦う、そして勝利する。それがクランドの永遠の目標だ。その目標を考慮すると、騎士よりも冒険者として活動する方が叶えられる」
「確かに、その通りだね。騎士は任務に縛られることが多いからね……ねぇ、クランド君。この後、メイナと模擬戦をしてみないかい」
メイナとは、ランディ―ス家の三女である、クランドと同じ歳の令嬢。
父親と同じく綺麗な赤色のロングストレート。加えて、生意気そうに見えるが……そこも父親と同様、非常に顔面偏差値が高い。
令嬢ではあるが、ライガー家の長女であるミラルと同じく、武器の扱いを得意とする珍しいタイプ。
そんな令嬢との模擬戦を提案されたクランドは……三秒ほど間を置いた後、断りの言葉を口にした。
騎士からクランドがリーゼと二人でオークを討伐し、圧倒。
クランドから相手がDランクのモンスターであれば、一人で戦いたいと伝えれた。
この件に関して報告を受け、オルガは自室で悩んでいた。
まだDランクモンスターを相手に、一人で戦うのは危ない。
この考えは決して間違っていない。
ただ……子供の成長は早い。
クランドの場合は目に見えて成長する時期が、他の子供よりも早かった。
そして、現在でもその成長は続いている。
故に……リーゼと二人でとはいえ、オークを無傷で倒した。
「しかし、万が一があってからではな」
この世界では、簡単に人が死ぬ。
モンスターとは非常に恐ろしい存在であり、容易に命を奪う力を持っている。
それは人にも言えることかもしれないが、親としては……オルガとしては、まだ息子がそこまでの相手を、一人で相手するのは早いと思ってしまう。
(いや、フーネスより強いことを考えれば、ソロで戦うことを許しても問題無い、か)
クランドの実力は一つ歳上のフーネスよりも上。
そのフーネスは既にDランクのモンスターと戦闘を行っている。
「……仕方ない、許可するか」
フーネスと同じく、来年にはソロでDランクのモンスターと戦うことを許可しようと考えていた。
しかし、あまり強い過保護は、クランドの意志を縛ることになる。
それは良くないと判断し、クランドを呼び出してDランクモンスターとの戦闘に関して、ソロで戦うことを許可した。
複数との戦闘は制限されているが、この許可にクランドは喜び、実戦で活き活きすることが増えた。
こうして順調に実力を上げていき、フーネスが学園に入学した頃、隣国の貴族がオルガ―家を訪れた。
隣国、パルスティラ王国から訪れた人物は、ジル・ランディ―ス。
侯爵であり、ライガー家と同じく槍を扱う名門。
ジル・ランディ―スはオルガと友人であり、本日は久しぶりの再会。
(面倒だが……顔に出さないように、抑えないとな)
クランドとしては、今日は狩りに行く予定だったが、オルガの友人が久しぶりに遊びに来るということで、クランドの予定は変更になった。
「……クランド様、少々眉間に皺が寄ってますよ」
「マジ?」
「マジです」
「はぁ~~、ちゃんとポーカーフェイスしないと」
一先ず、ジルが遊びに来た初日だけは、家に居てくれと頼まれた。
相手は大人なのに、何故クランドが居なければならないのか。
それは……遊びに来る相手はジルだけではなく、ジルの娘も訪れる。
丁度クランドと同じ歳ということもあり、相手をするには丁度良かった。
(もしかして、父さん的には婚約者に、とか考えてるのか?)
そんな思いは……全くゼロではなかった。
ただ、オルガとしては本人たちが実際に会って仲良くなれば、程度にしか考えていない。
と、あれこれ考えている内にジル・ランディ―スが領地に入り、ライガー家の屋敷に到着した。
「やぁ、オルガ! 久しぶりだね」
「あぁ、久しぶりだな、ジル。元気にしてたか?」
「勿論! 手紙に書いてある通り、変わらず元気さ」
綺麗な赤髪を肩まで伸ばし、そのヘアスタイルが似合う容姿を持つ美男子。
(父さんと同じ、歳……なんだよな)
二十代前半と言われたら、思わず信じてしまう。
そんなジル・ランディ―スの顔に驚いていると、向こうから先に挨拶を行った。
「初めまして。オルガの友達のジル・ランディ―スだ。よろしくね」
「初めまして、ライガー家の三男、クランド・オルガ―です。よろしくお願いします」
クランドの後に続き、アスクとレイナの娘であるアルネも丁寧なあいさつを返す。
そして場所は客間に移動。
二人が軽く最近の個人的な話で盛り上がり……その後、子供についての紹介……もとい、自慢大会が始まる。
クランドは自分の番が来ていない時は気が楽だったが、自分の話になると、体がむず痒くなり始めた。
(嬉しいことなんだろうけど……目の前で堂々と自分の自慢をされると、やっぱり恥ずかしいな)
本来なら、堂々と親族が褒めることはない……かもしれないが、オルガはちんけなプライドな気にすることなく、クランドのことも自慢した。
そんな中、ジルは今までにない反応を見せる。
「ふふ、そうだね……うん、非常に興味を持つ存在だよ」
言葉通り、まさに興味を持った存在に向ける眼。
先程軽く挨拶した時の優しい眼とは違う。
「でも、騎士にはならないんだっけ?」
「そうだ。強い奴と戦う、そして勝利する。それがクランドの永遠の目標だ。その目標を考慮すると、騎士よりも冒険者として活動する方が叶えられる」
「確かに、その通りだね。騎士は任務に縛られることが多いからね……ねぇ、クランド君。この後、メイナと模擬戦をしてみないかい」
メイナとは、ランディ―ス家の三女である、クランドと同じ歳の令嬢。
父親と同じく綺麗な赤色のロングストレート。加えて、生意気そうに見えるが……そこも父親と同様、非常に顔面偏差値が高い。
令嬢ではあるが、ライガー家の長女であるミラルと同じく、武器の扱いを得意とする珍しいタイプ。
そんな令嬢との模擬戦を提案されたクランドは……三秒ほど間を置いた後、断りの言葉を口にした。
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