カバディ男の異世界転生。狩られたい奴はかかってこい!!

Gai

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四十一話 両方は予想外

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「あれは、不味いな」

悲鳴が聞こえた方向に向かうと、そこには三人のルーキーと、そのルーキーたちを狩ろうとする、ブラウンウルフに跨るコボルトがいた。

「助太刀する!!」

戦況は、誰が見てもルーキーたちが劣勢。
この現状で見捨てるという選択肢は、クランドにはない。

リーゼも相変わらず不満を持ちながらも、冷静に敵の数を把握し、魔法を展開。

「おらっ!!」

身体強化を使用したクランドはブラウンウルフの速さに付いて行き、跨るコボルトを殴り飛ばす。

上に跨る者が殴り飛ばされ、困惑する間に魔法の矢が到来。
次々にコボルトが殴り、蹴り飛ばされたかと思えば、ほぼ同時にブラウンの頭か心臓が貫かれる。

コボルトとブラウンウルフ、合計で十体のモンスターがいたが、コボルトは派手に殴り蹴り飛ばされたため、骨どころか内臓までバキバキ。
生きていたとしても、碌に立ち上がれない状態であるのは間違いない。

ブラウンウルフに関しては完全に急所を貫かれており、既にピクリとも動かない。

二人が戦いに加わってから、数秒後には化け物が来たと判断したが、連携で潰す前に、速攻で狩られてしまった。

「これで全部だな」

「その様ですね」

「お前ら、生きてるか?」

二人の到着が早かったこともあり、ルーキーたちは傷こそ負っているが、重傷ではない。

「あ、あぁ。大丈夫だ。お前らが来てくれたから、なんとかなった」

「そりゃ良かった」

本当に……言葉通り、自分たちが生きてくれて良かった。
そんな笑顔を浮かべるクランドを見て、先日まで彼に嫉妬などの負の感情を向けていた己が、急激に恥ずかしくなる。

「にしても、コボルトがブラウンウルフに乗ってる、か……なぁ、リーゼ。ちょっと不味いよな」

「そうですね。この森のどこかに、大きな群れがいる可能性は高いかと」

「「「っ!?」」」

リーゼの言葉に、二人に助けられたルーキーたちは肩を震わせる。

「そ、それって、もしかして。コボルトジェネラルとかがいる、ってことなのか」

「ジェネラルか、それともリーダーか……どっちかは解らないけど、可能性は無きにしも非ず、だと思うぞ」

過去の経験として、二人は可能性が高いと判断。

実際に、クランドたちがブラウンウルフに跨るコボルトの集団を倒した後、ジェネラルが治める群れを発見し、冒険者たちが討伐したという話を耳にしている。

「まっ、とりあえずこいつらを解体しようぜ」

同期たちと一緒に解体を済ませ、遠慮するルーキーたちに素材を半分押し付け、二人は日が暮れる前まで探索を続けた。

その間……クランドはずっと小さな笑みを浮かべていた。

「確認お願いします」

「かしこまりました」

討伐証明部位である鱗を見せ、受付嬢は本物かどうか調べ……数秒後には本物であることが確定。

二人に報酬金が支払われた。
そして、素材買取所で鱗や骨、毒袋や肉に魔石を提出。

「しょ、少々お待ちください」

カウンターにはラーズンスネーク以外の素材も置かれている為、買取金額の計算に少々時間が掛かる。
その間に、先日他のルーキーたち衝突しそうになった際に、間に入ってくれた青年が声を掛けてきた。

「よう、クランド。ちょっと良いか」

「コボルトがブラウンウルフに跨ってた事に関してですか」

「さすが、話が早いな。お前は、やっぱりそう思うか」

「そうですね。過去に同じ状況に関わったことがあるんで。まっ、群れの討伐には関与していませんが」

知人からクランドの、ある程度の情報を入手しているので、その言葉はそこら辺の冒険者よりも信用出来る。

(おそらく、ジェネラルがいてもおかしくないな)

青年は、それらを纏めている存在が、リーダー程度だとは思えない。
群れや他種族を纏めるには、知能だけでは足りない。

その後、受付嬢が金を持ってくるまで軽く話、ギルド全体にコボルトとウルフ系のモンスターが群れをつくっているという話が広まった。

そして、数日後には斥候に特化した冒険者が、森の中で巣らしく場所を発見した。

「数日ぶりだな」

「どうも」

その話がルーキーたちの耳に入る頃に、青年は再び二人に声を掛けた。

「悪いな、デートの邪魔して」

「別にそんなんじゃないんで、全然大丈夫ですよ」

クランドは気にしておらず、リーゼも同じく気にしていない。
ただ、休息日に先輩から声を掛けられただけ。

三人は洒落たカフェに入り……注文を頼んだ後、青年はゆっくりと口を開いた。

「群れに、ジェネラルとグレートウルフがいる」

「へぇ~~~~……それは、結構特殊な例ですね」

クランドはジェネラルが八、グレートウルフが二程度に考えていたので、その報告には少々驚かされた。

「……驚かないんだな」

「あんまり予想してなかったんで、驚いてますよ」

青年から見れば、全く驚いていない様に感じる。

「でも、そんな可能性もあるじゃないですか。ただそれだけです」

「そうか。お前は強いな」

報告を聞いたとき、少なからず肩が震えた。
だが、目の前の少年は震えるどころか……眼を輝かせている様に見える。

「それで、本題は俺たちにその群れの討伐戦に参加してほしいってところですか」
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