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五十三話 貴重な観戦
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「ジェスターさん、あの片方は……ヘビーコングですよね」
「うん、そうだね。幸運なことに、あれはヘビーコングだ」
「もう片方のモンスターはリザードマンのようですが……もしや、ファイターでしょうか」
基本的にロングソードを武器として戦うリザードマン。
しかし、上位種ともなればメインで扱う武器が変わってくる。
ファイターは通常のリザードマンと同じCランクだが、身体能力は一段階上。
加えて通常種よりガタイが良い。
ただ……現在ヘビーコングと打撃戦を繰り広げているファイターは、一般的な上位種よりも更にムキムキな肉体を持っている。
「……どうしようかな」
「このまま戦闘が終わるまで観ときましょうよ」
「えっ!? 遠距離で狙う方が良くないか?」
漁夫利を狙って、ヘビーコングを仕留める。
悪くない作戦ではあるが、それが成功してしまった場合、自身の勝負を邪魔されたムキムキリザードマンファイターが怒り狂った状態で襲い掛かってくる。
「あのムキムキなリザードマンファイターが怒り狂う可能性がありますから、戦いが終わるまで観ておく方が良いですよ。Cランクモンスター同士のガチバトルなんて、中々見られませんからね」
「そ、それはそうだね」
「ファイターがヘビーコングの脳を破壊してしまわないか。それだけ注意しておきましょう」
いつでも攻撃出来る準備だけは用意し、三人は滅多に見られない打撃戦を観戦。
体型やスピードを考えるとムキムキリザードマンファイターの方が有利だが、一撃の攻撃力はヘビーコングの方が上回っている。
防御力も上昇している上位種だが、まともに食らえば一気に戦況がひっくり返る。
(……確かに、こんな勝負、中々観られるものじゃないね)
漁夫の利を狙って、まずはヘビーコングを確実に仕留めたい!! という思いが強かったが、目の前の戦いを観て少し考えが変わったジェスター。
二体はクランドたちの気配に勘付いているが、無視。
まずは目の前の強敵を潰すことに全力を注いでいた。
外れた攻撃は木々や地面に激突し、周囲は完全に荒れ果てていた。
そんな状況であってもお構いなしに戦い続ける二体。
しかし、その荒れ果てた周囲の状況が原因で、戦況が一変。
戦闘開始時からムキムキファイターの方がやや有利に戦況を進めていたが、陥没した地面に足を取られ、体勢を崩した。
「っ!?」
「ウホォォォオオオオオオオオオッ!!!!」
体勢が崩れた瞬間、ヘビーコングの渾身の鉄槌が胸部に振り下ろされた。
ムキムキファイターは反射的に腕をクロスしてガードしたが、その衝撃は腕を通り越し、胸部に到達。
そのまま胸骨を砕き……心臓にダメージを与えた。
この一撃だけでも十分過ぎるダメージを与えたが、ヘビーコングは攻撃の手を緩めず、何度も鉄槌を振り下ろした。
結果、ムキムキファイターの筋肉はボロボロにやられ、心臓の動きが止まり……熱い打撃戦は幕を閉じた。
「良い戦いでしたね」
そう呟くと同時に、クランドは一歩前に進む。
「僕は他のモンスターが寄ってこないか、警戒しておいた方が良いかな」
「……残念ながら、その方がよろしいかと。私も周囲の警戒に努めます」
残念ながら、リーゼもヘビーコングとの戦いには参加できない。
なぜなら……クランドが一人で戦う気満々だから。
「激闘でお疲れのところ悪いが、狩らせてもらうぞ」
「……」
「カバディ」
どうせなら、万全な状態のヘビーコングと戦ってみたかった。
そんないかにも戦闘大好き人間らしい考えを持つクランドだが、今回はジェスターから誘われた討伐依頼。
私欲のために、この場では見逃す。
なんてことはしない。
ムキムキファイターとの戦闘で披露しているとはいえ、油断出来ない相手。
初っ端からキャントを使用し、全力で仕留めに掛かる。
「ウホォアアア!!!!」
「っ!? カバディ!!!」
右ストレートをギリギリで躱し、一歩踏み出して左ボディをねじ込む。
(危なかった~~)
あっさり紙一重で避け、カウンターを決めたように見えるが、繰り出される拳圧は半端ではない。
並み以下の者であれば、その拳圧だけで吹き飛ばされる。
「カバディ」
ムキムキリザードマンファイターの攻撃に劣らない攻撃をモロに食らうも、ヘビーコングの拳撃は止まらない。
そんな恐ろしい一撃を冷静に回避、もしくは捌き、的確にダメージを与えていく。
(こいつ……アドレナリンがドバドバ状態か?)
攻撃力だけではなく、当然防御力も高い。
ムキムキリザードマンファイターの攻撃を何度食らっても怯まず倒れず、逆に重い拳打を繰り出し続けてきた。
とはいえ、先程までの激選に加えて、強化を重ねたクランドの打撃を何度も食らっている。
当然、所々骨が折れ、砕けている。
内臓だって無事ではない。
そんな状態にも関わらず、ヘビーコングのパフォーマンスはベスト状態から落ちていない。
(ふふ、それでこそ戦い甲斐があるってものだ!!!!)
ベストの状態ではない、それは我慢しなければならないと思っていたが……全く衰えていないことが分り、テンション爆上がり状態となった。
「うん、そうだね。幸運なことに、あれはヘビーコングだ」
「もう片方のモンスターはリザードマンのようですが……もしや、ファイターでしょうか」
基本的にロングソードを武器として戦うリザードマン。
しかし、上位種ともなればメインで扱う武器が変わってくる。
ファイターは通常のリザードマンと同じCランクだが、身体能力は一段階上。
加えて通常種よりガタイが良い。
ただ……現在ヘビーコングと打撃戦を繰り広げているファイターは、一般的な上位種よりも更にムキムキな肉体を持っている。
「……どうしようかな」
「このまま戦闘が終わるまで観ときましょうよ」
「えっ!? 遠距離で狙う方が良くないか?」
漁夫利を狙って、ヘビーコングを仕留める。
悪くない作戦ではあるが、それが成功してしまった場合、自身の勝負を邪魔されたムキムキリザードマンファイターが怒り狂った状態で襲い掛かってくる。
「あのムキムキなリザードマンファイターが怒り狂う可能性がありますから、戦いが終わるまで観ておく方が良いですよ。Cランクモンスター同士のガチバトルなんて、中々見られませんからね」
「そ、それはそうだね」
「ファイターがヘビーコングの脳を破壊してしまわないか。それだけ注意しておきましょう」
いつでも攻撃出来る準備だけは用意し、三人は滅多に見られない打撃戦を観戦。
体型やスピードを考えるとムキムキリザードマンファイターの方が有利だが、一撃の攻撃力はヘビーコングの方が上回っている。
防御力も上昇している上位種だが、まともに食らえば一気に戦況がひっくり返る。
(……確かに、こんな勝負、中々観られるものじゃないね)
漁夫の利を狙って、まずはヘビーコングを確実に仕留めたい!! という思いが強かったが、目の前の戦いを観て少し考えが変わったジェスター。
二体はクランドたちの気配に勘付いているが、無視。
まずは目の前の強敵を潰すことに全力を注いでいた。
外れた攻撃は木々や地面に激突し、周囲は完全に荒れ果てていた。
そんな状況であってもお構いなしに戦い続ける二体。
しかし、その荒れ果てた周囲の状況が原因で、戦況が一変。
戦闘開始時からムキムキファイターの方がやや有利に戦況を進めていたが、陥没した地面に足を取られ、体勢を崩した。
「っ!?」
「ウホォォォオオオオオオオオオッ!!!!」
体勢が崩れた瞬間、ヘビーコングの渾身の鉄槌が胸部に振り下ろされた。
ムキムキファイターは反射的に腕をクロスしてガードしたが、その衝撃は腕を通り越し、胸部に到達。
そのまま胸骨を砕き……心臓にダメージを与えた。
この一撃だけでも十分過ぎるダメージを与えたが、ヘビーコングは攻撃の手を緩めず、何度も鉄槌を振り下ろした。
結果、ムキムキファイターの筋肉はボロボロにやられ、心臓の動きが止まり……熱い打撃戦は幕を閉じた。
「良い戦いでしたね」
そう呟くと同時に、クランドは一歩前に進む。
「僕は他のモンスターが寄ってこないか、警戒しておいた方が良いかな」
「……残念ながら、その方がよろしいかと。私も周囲の警戒に努めます」
残念ながら、リーゼもヘビーコングとの戦いには参加できない。
なぜなら……クランドが一人で戦う気満々だから。
「激闘でお疲れのところ悪いが、狩らせてもらうぞ」
「……」
「カバディ」
どうせなら、万全な状態のヘビーコングと戦ってみたかった。
そんないかにも戦闘大好き人間らしい考えを持つクランドだが、今回はジェスターから誘われた討伐依頼。
私欲のために、この場では見逃す。
なんてことはしない。
ムキムキファイターとの戦闘で披露しているとはいえ、油断出来ない相手。
初っ端からキャントを使用し、全力で仕留めに掛かる。
「ウホォアアア!!!!」
「っ!? カバディ!!!」
右ストレートをギリギリで躱し、一歩踏み出して左ボディをねじ込む。
(危なかった~~)
あっさり紙一重で避け、カウンターを決めたように見えるが、繰り出される拳圧は半端ではない。
並み以下の者であれば、その拳圧だけで吹き飛ばされる。
「カバディ」
ムキムキリザードマンファイターの攻撃に劣らない攻撃をモロに食らうも、ヘビーコングの拳撃は止まらない。
そんな恐ろしい一撃を冷静に回避、もしくは捌き、的確にダメージを与えていく。
(こいつ……アドレナリンがドバドバ状態か?)
攻撃力だけではなく、当然防御力も高い。
ムキムキリザードマンファイターの攻撃を何度食らっても怯まず倒れず、逆に重い拳打を繰り出し続けてきた。
とはいえ、先程までの激選に加えて、強化を重ねたクランドの打撃を何度も食らっている。
当然、所々骨が折れ、砕けている。
内臓だって無事ではない。
そんな状態にも関わらず、ヘビーコングのパフォーマンスはベスト状態から落ちていない。
(ふふ、それでこそ戦い甲斐があるってものだ!!!!)
ベストの状態ではない、それは我慢しなければならないと思っていたが……全く衰えていないことが分り、テンション爆上がり状態となった。
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