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五十四話 まさに根性
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「す、凄い良い笑顔だね」
「クランド様が冒険者という道を選んだ理由は知っていますか?」
「強い相手戦って、勝利したいから。だったかな」
「えぇ、その通りです。あまり理解されないかもしれませんが、あのヘビーコングの拳圧を感じることすら、クランド様の闘争心を掻き立てるスパイスなのです」
「なるほど……あれほど良い笑顔になるのも解るね」
既に戦闘が始まってから二分が経過。
その間に、クランドは一回もヘビーコングの重拳を食らっていない。
逆に何度も拳や蹴りを叩きこんでいるが、致命傷は与えられておらず、それどころか鋭い一撃を加えても予想より吹き飛ばない。
「カバディ」
過る風だけで恐怖を与える拳を避け、腹や脚に打撃を与える。
「カバディ!!!」
そしてようやくヘビーコングの体を一瞬だけ宙に浮かすことに成功し、鋭い掌底を胸部に叩きこむことに成功。
「ッ!!??」
地面に踏ん張ることが出来ず、さすがのヘビーコングもこの一撃で後方へ吹き飛ばされ、木に激突。
吹き飛んだスピードとヘビーコングの重さで、衝突した木は派手に折れた。
「っ、ウホォオオオッ!!!!」
(おいおい、まだ元気なのか。さすがにタフ過ぎないか!?)
ある程度体が出来上がってから、Cランクのモンスターと戦う機会も増えた。
タフなモンスターとの戦闘経験もある。
しかし、現在戦闘中のヘビーコングからは、今まで戦ってきたCランクモンスター以上のタフさを感じていた。
「カバディ」
まだまだヘビーコングとの打撃戦に応じても良いのだが、それでは中々戦闘が終わらないと判断。
クランドは攻め方を変え、両手を拳から手刀に変えた。
「カバディ!!!」
いくら骨を砕いても倒れそうにないため、攻撃を打撃から斬撃に変更。
肉を斬れば、いくら根性があっても動かなくなる。
そう考えて戦闘スタイルを変更した。
結果……先程までと比べてヘビーコングの戦闘力を削ることには成功したが、依然としてヘビーコングは暴れ回り続ける。
(これは……凄いな)
クランドは素直にヘビーコングの耐久力、闘争心に感心した。
そしてスキルブックを消費して得たスキル、鑑定を使って視たことで、衰えない戦力の正体を確認。
(根性を持ってたのか。そりゃどれだけ攻撃しても、衰えずに反撃してくるわけだ)
根性とは、体力の低下中に自動で発動し、強制的に意識が途切れない様にする……まさにギリギリ限界でも戦うことが出来るスキル。
ただ、逆を言えば戦闘を強制的に諦められないスキルとも言える。
(とはいえ、そろそろ勝たせてもらおうか)
いくら打撃、斬撃を当てても倒れないのであれば、生命の元を絶てば良い。
何故か加速するヘビーコングの拳打を全力回避し、獣爪を胸部にぶつけ、抉る。
「ッ!!??」
手を岩で覆って強化した一撃は、見事に胸部を抉り取り……ヘビーコングの動きを止めた。
そして流れる様な動きで肘鉄を叩きこみ、露出した心臓を破壊。
「カバディ」
明らかな致命傷を叩きこんだクランドだが、キャントを止めることはなく、即座にその場から跳び退いた。
次の瞬間、最後の……本当に最後の一撃が地面に叩きこまれ、地面は大きく陥没。
最後の最後まで、命燃え尽きる時までヘビーコングの闘争心は尽きなかった。
仮にクランドが肘鉄を行った場所から移動していなければ、頭部を殴られ……最悪死んでいた可能性もあった。
「……ふぅ~~~、最後まで油断ならない敵だったな」
「お疲れ様です、クランド様」
「おう、そっちもお疲れ」
モンスターは人と自分以外のモンスターの戦いには興味がなく、漁夫の利が狙えそうであれば確実に狙う。
そんなモンスターたちを相手に、リーゼとジェスターは奮闘し、一匹も逃がさずに仕留めていた。
「それじゃ、まずはヘビーコングの方を先に解体しましょう!」
見張はリーゼが行い、二人は地面に転がっているモンスターの解体を始める。
まずはヘビーコングの脳をマジックアイテムに分類されるケースに保管。
その後は肉や骨に分別。
運良くゲットしたムキムキリザードマンファイターも解体してしまい、素材は二分割。
ジェスターは遠慮したが、そもそもヘビーコングと戦えたのはジェスターが誘ってくれたお陰と思っている為、クランドは少々無理矢理な形で素材を分けた。
そして解体が終了してから、三人は猛ダッシュでハリストンへと帰還。
ギルドに到着し、討伐証明部位をカウンターに置き、無事依頼達成。
その他の素材を売却し、三人が個人で受け取った金額は元の報酬金額を超えることになった。
「今日は僕が奢るよ」
ジェスターのお陰で一日の内に見つけられたが、倒せたのは間違いなくクランドがいたから。
その感謝の意を込め、二人に夕食を奢った。
そして翌日、ジェスターは知人の錬金術師にヘビーコングの脳を渡し、無事に治療薬の制作に成功。
後日、その報告を聞いたグランドとリーゼはホッと一安心。
「いやぁ~~、本当に良かったよ」
「えぇ、無事に回復してなによりです」
ジェスターからの報告を喜ぶ二人だったが、ヘビーコング討伐の話を聞いたギルドの上層部は、再び頭を悩ませていた。
「クランド様が冒険者という道を選んだ理由は知っていますか?」
「強い相手戦って、勝利したいから。だったかな」
「えぇ、その通りです。あまり理解されないかもしれませんが、あのヘビーコングの拳圧を感じることすら、クランド様の闘争心を掻き立てるスパイスなのです」
「なるほど……あれほど良い笑顔になるのも解るね」
既に戦闘が始まってから二分が経過。
その間に、クランドは一回もヘビーコングの重拳を食らっていない。
逆に何度も拳や蹴りを叩きこんでいるが、致命傷は与えられておらず、それどころか鋭い一撃を加えても予想より吹き飛ばない。
「カバディ」
過る風だけで恐怖を与える拳を避け、腹や脚に打撃を与える。
「カバディ!!!」
そしてようやくヘビーコングの体を一瞬だけ宙に浮かすことに成功し、鋭い掌底を胸部に叩きこむことに成功。
「ッ!!??」
地面に踏ん張ることが出来ず、さすがのヘビーコングもこの一撃で後方へ吹き飛ばされ、木に激突。
吹き飛んだスピードとヘビーコングの重さで、衝突した木は派手に折れた。
「っ、ウホォオオオッ!!!!」
(おいおい、まだ元気なのか。さすがにタフ過ぎないか!?)
ある程度体が出来上がってから、Cランクのモンスターと戦う機会も増えた。
タフなモンスターとの戦闘経験もある。
しかし、現在戦闘中のヘビーコングからは、今まで戦ってきたCランクモンスター以上のタフさを感じていた。
「カバディ」
まだまだヘビーコングとの打撃戦に応じても良いのだが、それでは中々戦闘が終わらないと判断。
クランドは攻め方を変え、両手を拳から手刀に変えた。
「カバディ!!!」
いくら骨を砕いても倒れそうにないため、攻撃を打撃から斬撃に変更。
肉を斬れば、いくら根性があっても動かなくなる。
そう考えて戦闘スタイルを変更した。
結果……先程までと比べてヘビーコングの戦闘力を削ることには成功したが、依然としてヘビーコングは暴れ回り続ける。
(これは……凄いな)
クランドは素直にヘビーコングの耐久力、闘争心に感心した。
そしてスキルブックを消費して得たスキル、鑑定を使って視たことで、衰えない戦力の正体を確認。
(根性を持ってたのか。そりゃどれだけ攻撃しても、衰えずに反撃してくるわけだ)
根性とは、体力の低下中に自動で発動し、強制的に意識が途切れない様にする……まさにギリギリ限界でも戦うことが出来るスキル。
ただ、逆を言えば戦闘を強制的に諦められないスキルとも言える。
(とはいえ、そろそろ勝たせてもらおうか)
いくら打撃、斬撃を当てても倒れないのであれば、生命の元を絶てば良い。
何故か加速するヘビーコングの拳打を全力回避し、獣爪を胸部にぶつけ、抉る。
「ッ!!??」
手を岩で覆って強化した一撃は、見事に胸部を抉り取り……ヘビーコングの動きを止めた。
そして流れる様な動きで肘鉄を叩きこみ、露出した心臓を破壊。
「カバディ」
明らかな致命傷を叩きこんだクランドだが、キャントを止めることはなく、即座にその場から跳び退いた。
次の瞬間、最後の……本当に最後の一撃が地面に叩きこまれ、地面は大きく陥没。
最後の最後まで、命燃え尽きる時までヘビーコングの闘争心は尽きなかった。
仮にクランドが肘鉄を行った場所から移動していなければ、頭部を殴られ……最悪死んでいた可能性もあった。
「……ふぅ~~~、最後まで油断ならない敵だったな」
「お疲れ様です、クランド様」
「おう、そっちもお疲れ」
モンスターは人と自分以外のモンスターの戦いには興味がなく、漁夫の利が狙えそうであれば確実に狙う。
そんなモンスターたちを相手に、リーゼとジェスターは奮闘し、一匹も逃がさずに仕留めていた。
「それじゃ、まずはヘビーコングの方を先に解体しましょう!」
見張はリーゼが行い、二人は地面に転がっているモンスターの解体を始める。
まずはヘビーコングの脳をマジックアイテムに分類されるケースに保管。
その後は肉や骨に分別。
運良くゲットしたムキムキリザードマンファイターも解体してしまい、素材は二分割。
ジェスターは遠慮したが、そもそもヘビーコングと戦えたのはジェスターが誘ってくれたお陰と思っている為、クランドは少々無理矢理な形で素材を分けた。
そして解体が終了してから、三人は猛ダッシュでハリストンへと帰還。
ギルドに到着し、討伐証明部位をカウンターに置き、無事依頼達成。
その他の素材を売却し、三人が個人で受け取った金額は元の報酬金額を超えることになった。
「今日は僕が奢るよ」
ジェスターのお陰で一日の内に見つけられたが、倒せたのは間違いなくクランドがいたから。
その感謝の意を込め、二人に夕食を奢った。
そして翌日、ジェスターは知人の錬金術師にヘビーコングの脳を渡し、無事に治療薬の制作に成功。
後日、その報告を聞いたグランドとリーゼはホッと一安心。
「いやぁ~~、本当に良かったよ」
「えぇ、無事に回復してなによりです」
ジェスターからの報告を喜ぶ二人だったが、ヘビーコング討伐の話を聞いたギルドの上層部は、再び頭を悩ませていた。
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