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六十話 そっちはお勧め
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「自分で言うのもあれだが、俺の戦い方はあまり真似しない方が良いよ」
「そうよね」
「えっ、なんでだよ? そりゃ楽しみ甲斐がねぇのは解るけどよ」
ウルガラの言葉に、ガリアたちは「そうじゃない」と総ツッコミを入れる。
「首や心臓……後モンスターなら魔石ね。それらの急所は、生物が本能的に弱点だと解かる部分なの」
「男なら金玉も急所だぞ」
「……それもそうね」
無自覚なセクハラ? を華麗にスルーし、話を進める。
「あまり強くない敵ならともかく、ある程度強くて戦闘経験も重ねてる敵だと、最低でもそれらの箇所に飛んでくる攻撃には、反射的にガードで出来るのよ」
「反射的に……あぁ~、あの感覚か」
過去の戦闘にそれらしい経験があり、ウルガラはアンジェの説明に頷きながら納得。
「だから、クランドみたいに人並外れた身体能力がなければ、手痛いカウンターを食らいやすいの」
「最小限の動きだけで敵を倒せるというのは、非常に魅力的ですけどね」
種類は違うが、ガリアとしてはスタミナを殆ど消費せずに倒せるクランドの戦闘スタイルに、羨ましさを感じた。
「でも、素手であそこまで強いってのはすげぇというか、良いよな。武器が壊れたりした時の緊急対応出来るし…ちょっと頑張ってみようかな?」
「お薦めするよ。まっ、一気に色んなことを始めると頭が混乱するかもしれないけどな」
和気藹々と話しながら倒し終えたモンスターの解体を終え、再びデットルティスを探し始める。
(モンスターと遭遇はするが、中々本命のやつが見つからないな)
ダッシュで目撃情報があった場所まで来たが、このままでは野宿することになるかもしれない。
それはそれで仕方ないかと思っていると、アンジェの耳に別方向からの戦闘音が入った。
「っ……向こうから、獣と獣じゃない声と戦闘音が聞こえた」
「獣じゃない声か。それなら、行ってみる価値ありそうだな」
急いで声と音が聞こえた場所に直行。
当然、いつでも戦えるように全員武器を抜いた状態。
クランドも今回はウルガラたちのサポートがメインなので、携帯している双剣を抜いていた。
「ストップ」
戦闘中のモンスターが視界に入る位置まで歩を進め、斥候役のアンジェが待ったをかけた。
「あれはワイルドボアだな。あの肉結構美味いのに……肉がズタボロだな」
「そんな事に気を捉われないでください、ウルガラ」
「解ってるって、ガリア。意識するのは、ズタボロにしてる方のデットルティスだろ」
緑に黒が混ざったダークな体色を持つ巨大カマキリ。
二振りのカマは鋭さを感じさせると同時に、ノコギリの様な刃になっている為、切断時のエグさを感じさせる。
「ランク差があるのは解りますが、一方的ですね」
「戦闘経験の差と、レベルの差もそこそこあるみたいね」
六人が戦闘光景を観察していると、ようやくズタボロ状態のワイルドボアにデットルティスが止めを刺した。
(モンスターにとっては、肉がどんな状態になっていようと、あまり関係無いんだろうな)
そんな事を考えながら、右手に纏った岩をロケットパンチの容量でぶっ放す。
同時にリーゼとガリアも森林火災にならない属性の攻撃魔法を放ち、アンジェも同時に矢を射る。
「っ!!!???」
勝利の余韻に浸っていたデットルティスは、過去にこそ現れないが、いきなりの奇襲にそこそこ驚いていた。
しかし、そこはCランクのモンスター。
両鎌に魔力を纏い、飛んできた攻撃を全て斬り飛ばす。
唯一クランドが放ったロケットパンチだけは衝撃を与えたが、少々後方に押されただけ。
岩の拳自体は斬り裂いていた。
「いくぞっ!!!!!」
ウルガラの掛け声と共に、六人は一斉に動き出す。
前衛はウルガラとクランド。
中衛はアンジェとリーゼが務め、後衛はガリアとサナが務める。
「おらっ!!!!」
今まで使っていなかった魔力を惜しみなく使い、身体強化などの強化系スキルに加え、武器にも魔力を纏う。
数が数であり、近距離からだけではなく、遠距離からも攻撃が飛んでくる。
先程までの戦闘の様に、有利に進められないと判断したデットルティスは、両鎌に魔力を纏ったまま戦闘を続行。
(筋肉なんてまるでないのに、このパワー……モンスターという存在を考えれば、そんなこと考えても無駄か)
カマキリ以外でも蜘蛛やカブトムシ系のモンスターであっても、ランクとレベルが高ければ、それ相応のパワーを持つ。
(キャントすれば、もっと有利に進められるが、数が数だから悪くないな)
振り下ろされる鎌に対し、斬撃で相殺しようとするが、押し返すことは不可能。
互いに衝撃を受け、クランドも少々押される。
一対一であれば隙と言える場面だが、後方からアンジェたちが遠距離攻撃でサポートしているため、ウルガラとクランドは今のところ無傷で済んでいる。
「ッ!!!」
中衛から後衛の者たちを鬱陶しく思い、両鎌で魔力の斬撃を放とうとするが、恩返しとばかり、今度はクランドとウルガラが注意を引き、鎌による遠距離攻撃を中止させる。
徐々に苛立ち始めるデットルティス。
だからといって、決定的な隙は生まれなかった。
「そうよね」
「えっ、なんでだよ? そりゃ楽しみ甲斐がねぇのは解るけどよ」
ウルガラの言葉に、ガリアたちは「そうじゃない」と総ツッコミを入れる。
「首や心臓……後モンスターなら魔石ね。それらの急所は、生物が本能的に弱点だと解かる部分なの」
「男なら金玉も急所だぞ」
「……それもそうね」
無自覚なセクハラ? を華麗にスルーし、話を進める。
「あまり強くない敵ならともかく、ある程度強くて戦闘経験も重ねてる敵だと、最低でもそれらの箇所に飛んでくる攻撃には、反射的にガードで出来るのよ」
「反射的に……あぁ~、あの感覚か」
過去の戦闘にそれらしい経験があり、ウルガラはアンジェの説明に頷きながら納得。
「だから、クランドみたいに人並外れた身体能力がなければ、手痛いカウンターを食らいやすいの」
「最小限の動きだけで敵を倒せるというのは、非常に魅力的ですけどね」
種類は違うが、ガリアとしてはスタミナを殆ど消費せずに倒せるクランドの戦闘スタイルに、羨ましさを感じた。
「でも、素手であそこまで強いってのはすげぇというか、良いよな。武器が壊れたりした時の緊急対応出来るし…ちょっと頑張ってみようかな?」
「お薦めするよ。まっ、一気に色んなことを始めると頭が混乱するかもしれないけどな」
和気藹々と話しながら倒し終えたモンスターの解体を終え、再びデットルティスを探し始める。
(モンスターと遭遇はするが、中々本命のやつが見つからないな)
ダッシュで目撃情報があった場所まで来たが、このままでは野宿することになるかもしれない。
それはそれで仕方ないかと思っていると、アンジェの耳に別方向からの戦闘音が入った。
「っ……向こうから、獣と獣じゃない声と戦闘音が聞こえた」
「獣じゃない声か。それなら、行ってみる価値ありそうだな」
急いで声と音が聞こえた場所に直行。
当然、いつでも戦えるように全員武器を抜いた状態。
クランドも今回はウルガラたちのサポートがメインなので、携帯している双剣を抜いていた。
「ストップ」
戦闘中のモンスターが視界に入る位置まで歩を進め、斥候役のアンジェが待ったをかけた。
「あれはワイルドボアだな。あの肉結構美味いのに……肉がズタボロだな」
「そんな事に気を捉われないでください、ウルガラ」
「解ってるって、ガリア。意識するのは、ズタボロにしてる方のデットルティスだろ」
緑に黒が混ざったダークな体色を持つ巨大カマキリ。
二振りのカマは鋭さを感じさせると同時に、ノコギリの様な刃になっている為、切断時のエグさを感じさせる。
「ランク差があるのは解りますが、一方的ですね」
「戦闘経験の差と、レベルの差もそこそこあるみたいね」
六人が戦闘光景を観察していると、ようやくズタボロ状態のワイルドボアにデットルティスが止めを刺した。
(モンスターにとっては、肉がどんな状態になっていようと、あまり関係無いんだろうな)
そんな事を考えながら、右手に纏った岩をロケットパンチの容量でぶっ放す。
同時にリーゼとガリアも森林火災にならない属性の攻撃魔法を放ち、アンジェも同時に矢を射る。
「っ!!!???」
勝利の余韻に浸っていたデットルティスは、過去にこそ現れないが、いきなりの奇襲にそこそこ驚いていた。
しかし、そこはCランクのモンスター。
両鎌に魔力を纏い、飛んできた攻撃を全て斬り飛ばす。
唯一クランドが放ったロケットパンチだけは衝撃を与えたが、少々後方に押されただけ。
岩の拳自体は斬り裂いていた。
「いくぞっ!!!!!」
ウルガラの掛け声と共に、六人は一斉に動き出す。
前衛はウルガラとクランド。
中衛はアンジェとリーゼが務め、後衛はガリアとサナが務める。
「おらっ!!!!」
今まで使っていなかった魔力を惜しみなく使い、身体強化などの強化系スキルに加え、武器にも魔力を纏う。
数が数であり、近距離からだけではなく、遠距離からも攻撃が飛んでくる。
先程までの戦闘の様に、有利に進められないと判断したデットルティスは、両鎌に魔力を纏ったまま戦闘を続行。
(筋肉なんてまるでないのに、このパワー……モンスターという存在を考えれば、そんなこと考えても無駄か)
カマキリ以外でも蜘蛛やカブトムシ系のモンスターであっても、ランクとレベルが高ければ、それ相応のパワーを持つ。
(キャントすれば、もっと有利に進められるが、数が数だから悪くないな)
振り下ろされる鎌に対し、斬撃で相殺しようとするが、押し返すことは不可能。
互いに衝撃を受け、クランドも少々押される。
一対一であれば隙と言える場面だが、後方からアンジェたちが遠距離攻撃でサポートしているため、ウルガラとクランドは今のところ無傷で済んでいる。
「ッ!!!」
中衛から後衛の者たちを鬱陶しく思い、両鎌で魔力の斬撃を放とうとするが、恩返しとばかり、今度はクランドとウルガラが注意を引き、鎌による遠距離攻撃を中止させる。
徐々に苛立ち始めるデットルティス。
だからといって、決定的な隙は生まれなかった。
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