カバディ男の異世界転生。狩られたい奴はかかってこい!!

Gai

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六十一話 死角はない?

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(虫……だからか、全然焦らないな。数的に、もう少し慌てふためいてくれても良いんだが……そう簡単に上手くはいかないか)

相手はBランクではなく、Cランクのモンスター。

当然弱くはないが、絶対に倒せない程強くはないため、割と苦労せずに倒せるだろうと思っていたクランド。

クランドが本気を出して良いのであれば、もう戦闘は終了しているかもしれない。
だが、今回の戦闘の主役はウルガラたち。

出しゃばるような真似をしてはならない。
それはクランドも解っているが……それでも強いと感じる。

「避けてください!!!」

後方からガリアが声を上げ、リーゼと共に遠距離攻撃を放つ。
放たれた数は三つ……威力も低くない。

直撃すれば良いダメージを与えられそうだが、奇襲時と同じく両鎌で切り裂いてしまう。

「っ!? マジかよ」

その隙を狙い、遠距離攻撃とは反対側から大剣を振り下ろすウルガラ。

しかし、デットルティスは首を後ろに向け、的確に反応。
渾身の斬撃を受け止めらてしまった。

「よっと!」

とはいえ、ウルガラの大剣を受け止めるのに両鎌を使ってしまえば、クランドの双剣による斬撃は止められない。

「ナイス、クランド!」

「お安い御用だよ。にしても、動きは気持ち悪いけど、厄介な行動範囲だな」

「そうだ、な!!!」

完全に背後を取った。
にも拘らず、デットルティスは無造作に頭を後ろに向け、死角からの攻撃を防いだ。

人によっては、小さな悲鳴を上げてもおかしくない。

(死角からの攻撃に対して、殆ど対応してくる……手数がなければ、正直厳しい相手。ウルガラたちだけだと、本当に厳しいな)

デットルティスの恐ろしい点は両鎌と、死角を見せない……それらに加えて、割と細身な体からは考えられない防御力の高さ。

今まで当たってきた攻撃が、それほど威力が高くないものであったという理由もあるが、中をぶちまけるほどの傷は一切ない。

(仕留めるなら……ウルガラの最大火力をぶつけるのが一番だな)

幸いにも、詰めに詰めれば、最後の一撃ぐらいは良い具合に叩きこめる。
そこにウルガラの攻撃を持っていけば倒せると思い、リーゼに視線を送り、決めに行くぞと伝えた。

「ウルガラ! 俺たちが、隙をつくる! 最後に、お前の最大火力を、ぶつけるんだ!!」

「おうよ! やってやるぜ!!!」

元々クランドとリーゼに、一緒に依頼を受けないかと誘った立場。
今更二人の力を頼ることに、抵抗感などなかった。

リーゼもこれまでの攻防で、デットルティスにはとにかく手数で勝負するのが一番良いと解っており、ガリアやアンジェに時間さを付けて遠距離攻撃を放つように頼む。

二人は直ぐに了承し、攻撃を展開。
アンジェの矢が放たれ、次にガリアの水槍。その次にリーゼの複数の風矢に加えて、サナがメイスを思いっきりぶん投げた。

きっち波状攻撃が行われ、デットルティスの両鎌はフル稼働。

そして四人の波状攻撃の後、今度はクランドが双剣の刃から連続で斬撃を飛ばし、更に忙しくさせる。

斬撃を飛ばすという行為に慣れているため、その一撃一撃は決して油断出来る者ではない。

「おらっ!!!!!!!」

「っ!?」

気合一閃。
クランドが斬撃刃を飛ばし終えた……瞬間ではなく、まだ飛ばしている最中に死角へ回り込み、火を纏った大斬をぶちかます。

クランドが飛ばす斬撃刃に当たる可能性が無きにしも非ずではあったが、もし飛ばし終わりに斬りかかれば、また先程の様に受け止められてしまうかもしれない。
そう考え、被弾覚悟で進み……デットルティスの胴体をぶった斬ることに成功した。

「やっと……やったん、だよな」

「多分な。でも、離れた方が良い」

クランドの言葉通り、ぶった斬ったデットルティスから少し離れる。
すると、下半身とお別れした上半身の両鎌が動いた。

「虫系モンスター、特有の動きだ……最悪の場合、両足を切断されてたかもな」

「っ!!! ゾッとするな」

「本当だよ。まっ、何はともあれ標的だったこいつを倒せたんだ」

今ぐらいは喜びに浸っても良いだろう……そう思い、気が抜けかけた瞬間、自身の体に無数の刃が突き刺さる幻影を感じた。

「その場から退け!!!!」

「「「「「っ!?」」」」」

クランドの言葉を、直ぐには理解出来なかったクランドたちだったが、クランドへの信用もあってか、体は本能的に動き、後方へ跳び退いた。

すると、クランドたちがいた傍に斬撃刃が通った。

「ちっ!!」

クランドとアンジェが直ぐに反応し、斬撃刃を弾き消したことで、被害が出ることはなかった。

「もう一体いたのか……俺たちが倒した個体の仲間か?」

いきなり襲い掛かってきたモンスターは、先程までクランドたちが戦っていたデットルティス。

(もう一体いるかもしれない、って情報はなかったと思うんだが……でも、全員のスタミナや魔力残量を考えれば、もう一体ぐらいはいけるか)

先程の戦闘で、デットルティスを相手に、どう戦えば良いのかある程度攻め方を理解していた。
今回もそれ通りに戦えば問題無い……という考えが、直ぐに甘かったと思い知らされることとなる。
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