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六十二話 恐ろしい強化
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「お、おい。あいつ!」
「ひっ!! な、何をして……」
ウルガラとサナ、二人がビビってしまうのも無理はない。
何故なら……突然現れたもう一体のデットルティスは、先程クランドたちが倒したデットルティスの頭部を食べているのだから。
(え、えぇ~~~~……どういうこと?)
まさかの光景に、クランドも混乱せざるを得なかった。
(なんであんな凶行を……そういえば確か……でも)
カマキリのメスは、交尾後にパートナーの頭部を食べる、という情報を思い出したクランド。
だが、目の前の生きているデットルティスは、先程までオスと交尾をしていた訳ではない。
いきなりクランドたちに襲い掛かり、距離を取ったと判断すると、既に死に体であるデットルティスの頭部を食べ始めた。
突然の光景に、六人は困惑……どころか、サナはまさかの光景に吐き気を感じ、顔を地面に向ける。
「……っ!」
サナはもう戦える状況じゃない。
そう判断した瞬間、爆発的にデットルティスの存在感が強まった。
(くっ、嘘だろ。オスの……パートナーの頭部を食べてしまえば、無条件でパワーアップするのか!?)
理屈など解らない。
だが……相手がモンスターという存在であることを考えれば、ギリギリ納得出来なくもない。
そう思うしかない冒険者たち。
「完全に、俺たちをロックオンしてるな」
パートナーの頭部を食べ終え、パワーアップを果たした雌は、強烈な殺気をクランドたちに向けていた。
(パートナーを殺された恨みを俺たちに向けてるのか? でも、頭部を食べたのはこいつの意志だよな……サイコパスなのか?)
まだ若干思考が正常ではないが、とりあえず危険な状況であるということだけは確認。
「ウルガラ、サナたちを連れて後ろに下がっていろ」
「っ! 一人で、戦うつもりなのかよ」
「あぁ、そうだ。正直、あれにはちょっとびっくりと言うか……とにかく、俺一人で戦う」
「ッ…………すまん」
「謝る必要はない」
一緒に戦えない共に謝罪するが、こんな事はクランドにも読めなかった事態。
謝られるようなことではない。
「クランド様、私はどういたしますか」
「それなりの力を持った個体が、このカマキリだけとは限らない。ウルガラたちと一緒に下がっていてくれ」
「かしこまりました」
ウルガラたちの護衛が必要なのはリーゼも解っている為、無駄に自分の言葉を口に出すことなく、ウルガラたちと共に後方へ下がった。
「待たせて悪いな……それじゃ、戦ろうか」
「……」
パートナーの頭部を食べたことで、パワーアップして存在かも増した雌のデットルティス。
だが、目の前の男から強烈な戦意をぶつけられていたため、直ぐに殺しに掛かれなかった。
目的である六人の抹殺は変わらない。
しかし……今だけは、目の前の人間一人を殺すことだけに集中すると決めた。
「…………カバディ」
先に地を蹴ったのはクランド。
キャントを行い、更に強化系のスキルや岩の魔力を一定の箇所に身に纏い、臆することなく近づく。
「シッ!!!!!」
今の自分に怯えない人間を生意気だと感じながら、両鎌を振り下ろす。
「カバディ」
先程まで戦っていた雄と比べて、鎌を動かすスピードが数段速い。
斬撃刃を放っているわけでもないのに、風圧が後方へ飛んでいった。
「ッ!!!」
刃がない方でロックパンチを弾こうとするが、腰の入った一撃は弾かれることなく、その巨体を殴り飛ばした。
「カバディ」
追撃を怠ることなく前進。
表情は普段の戦闘時と変わっていないが、内心では少々焦っていた。
(割と良い感じのパンチが入ったと思ったんだが、殴り飛ばしはすれど、鎌にダメージは入ってないよな?)
岩を拳に纏った、中々に威力が高い一撃だったが、デットルティスの鎌にダメージはない。
クランドと同じく、デットルティスはデットルティスで強化スキルを発動し、魔力を身に纏っているので、斬撃の切れ味だけではなく、防御力の高さも負けていない。
「カバディ」
だとしても、基本的に攻撃魔法を殆ど使えないクランドには、接近して打撃をぶち込むしかない。
帯剣している双剣を使うという手もあるが、打撃から斬撃に変えたからといって、簡単に傷を負わせられるとは思えない。
「す、すげぇ……」
「ウルガラ、もう何度も同じ言葉をクランドに送ってますよ」
「そんなの分かってるっての。でもよ、すげぇ以外の言葉があるか?」
「ありますよ」
ウルガラの「それ以外の言葉はないよな!!!」と共感を迫る顔に対し、ガリアは冷静に「すげぇ」以外の感想もあると返した。
「ですが……その気持ちは、解らなくもありません」
「だろ!!!」
友が自身の気持ちを理解してくれ、更にテンションが高まる。
リーダーほどテンションは高まっていないが、斥候役であるアンジェも高揚感を覚えた。
「あの異様に存在感を増したデットルティスを相手に、一人で……リーゼ、クランドはいつもあんな強敵と戦ってたの?」
「あのような化け物と戦う機会は殆どありませんでしたが、ライガー家に仕える騎士たちとは毎日毎日欠かさず模擬戦を行っていました」
「そ、そうなのね」
全ては理解出来ずとも、サナはクランドの強さの一端を知った。
「ひっ!! な、何をして……」
ウルガラとサナ、二人がビビってしまうのも無理はない。
何故なら……突然現れたもう一体のデットルティスは、先程クランドたちが倒したデットルティスの頭部を食べているのだから。
(え、えぇ~~~~……どういうこと?)
まさかの光景に、クランドも混乱せざるを得なかった。
(なんであんな凶行を……そういえば確か……でも)
カマキリのメスは、交尾後にパートナーの頭部を食べる、という情報を思い出したクランド。
だが、目の前の生きているデットルティスは、先程までオスと交尾をしていた訳ではない。
いきなりクランドたちに襲い掛かり、距離を取ったと判断すると、既に死に体であるデットルティスの頭部を食べ始めた。
突然の光景に、六人は困惑……どころか、サナはまさかの光景に吐き気を感じ、顔を地面に向ける。
「……っ!」
サナはもう戦える状況じゃない。
そう判断した瞬間、爆発的にデットルティスの存在感が強まった。
(くっ、嘘だろ。オスの……パートナーの頭部を食べてしまえば、無条件でパワーアップするのか!?)
理屈など解らない。
だが……相手がモンスターという存在であることを考えれば、ギリギリ納得出来なくもない。
そう思うしかない冒険者たち。
「完全に、俺たちをロックオンしてるな」
パートナーの頭部を食べ終え、パワーアップを果たした雌は、強烈な殺気をクランドたちに向けていた。
(パートナーを殺された恨みを俺たちに向けてるのか? でも、頭部を食べたのはこいつの意志だよな……サイコパスなのか?)
まだ若干思考が正常ではないが、とりあえず危険な状況であるということだけは確認。
「ウルガラ、サナたちを連れて後ろに下がっていろ」
「っ! 一人で、戦うつもりなのかよ」
「あぁ、そうだ。正直、あれにはちょっとびっくりと言うか……とにかく、俺一人で戦う」
「ッ…………すまん」
「謝る必要はない」
一緒に戦えない共に謝罪するが、こんな事はクランドにも読めなかった事態。
謝られるようなことではない。
「クランド様、私はどういたしますか」
「それなりの力を持った個体が、このカマキリだけとは限らない。ウルガラたちと一緒に下がっていてくれ」
「かしこまりました」
ウルガラたちの護衛が必要なのはリーゼも解っている為、無駄に自分の言葉を口に出すことなく、ウルガラたちと共に後方へ下がった。
「待たせて悪いな……それじゃ、戦ろうか」
「……」
パートナーの頭部を食べたことで、パワーアップして存在かも増した雌のデットルティス。
だが、目の前の男から強烈な戦意をぶつけられていたため、直ぐに殺しに掛かれなかった。
目的である六人の抹殺は変わらない。
しかし……今だけは、目の前の人間一人を殺すことだけに集中すると決めた。
「…………カバディ」
先に地を蹴ったのはクランド。
キャントを行い、更に強化系のスキルや岩の魔力を一定の箇所に身に纏い、臆することなく近づく。
「シッ!!!!!」
今の自分に怯えない人間を生意気だと感じながら、両鎌を振り下ろす。
「カバディ」
先程まで戦っていた雄と比べて、鎌を動かすスピードが数段速い。
斬撃刃を放っているわけでもないのに、風圧が後方へ飛んでいった。
「ッ!!!」
刃がない方でロックパンチを弾こうとするが、腰の入った一撃は弾かれることなく、その巨体を殴り飛ばした。
「カバディ」
追撃を怠ることなく前進。
表情は普段の戦闘時と変わっていないが、内心では少々焦っていた。
(割と良い感じのパンチが入ったと思ったんだが、殴り飛ばしはすれど、鎌にダメージは入ってないよな?)
岩を拳に纏った、中々に威力が高い一撃だったが、デットルティスの鎌にダメージはない。
クランドと同じく、デットルティスはデットルティスで強化スキルを発動し、魔力を身に纏っているので、斬撃の切れ味だけではなく、防御力の高さも負けていない。
「カバディ」
だとしても、基本的に攻撃魔法を殆ど使えないクランドには、接近して打撃をぶち込むしかない。
帯剣している双剣を使うという手もあるが、打撃から斬撃に変えたからといって、簡単に傷を負わせられるとは思えない。
「す、すげぇ……」
「ウルガラ、もう何度も同じ言葉をクランドに送ってますよ」
「そんなの分かってるっての。でもよ、すげぇ以外の言葉があるか?」
「ありますよ」
ウルガラの「それ以外の言葉はないよな!!!」と共感を迫る顔に対し、ガリアは冷静に「すげぇ」以外の感想もあると返した。
「ですが……その気持ちは、解らなくもありません」
「だろ!!!」
友が自身の気持ちを理解してくれ、更にテンションが高まる。
リーダーほどテンションは高まっていないが、斥候役であるアンジェも高揚感を覚えた。
「あの異様に存在感を増したデットルティスを相手に、一人で……リーゼ、クランドはいつもあんな強敵と戦ってたの?」
「あのような化け物と戦う機会は殆どありませんでしたが、ライガー家に仕える騎士たちとは毎日毎日欠かさず模擬戦を行っていました」
「そ、そうなのね」
全ては理解出来ずとも、サナはクランドの強さの一端を知った。
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