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六十六話 逆にイメージ出来ない
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「クランド様、大丈夫ですか?」
「あぁ、問題無い」
宴会終了後、ウルガラたちと別れ、二人で宿へ戻る道中。
それなりに酒を呑んだ二人だが、ある程度耐性を持っていることもあり、二人とも酔い潰れてはおらず、足取りもしっかりしている。
「ところで、次の獲物はワイバーンですか?」
「……怒ってるか?」
「いえ、怒っていませんよ」
怒っていないと断言するリーゼだが、長い付き合いのクランドからすれば、怒っている様にしか思えない。
「そうだな。ハリストンに居ても、これ以上面白そうな相手と戦うこともないだろうから、そろそろ次の街に移ろうかと考えてる。ワイバーンのような強敵がいるなら尚更な」
「はぁ~~~……個人的には、あまり生き急いでほしくはありませんが」
「悪いな。大きな生き甲斐の一つが、強い奴とのバトルだからな。もっとお行儀が良い正確なら騎士になってたよ」
ごもっともなセリフに、返す言葉がないリーゼ。
「ちなみに、他にも大きな生き甲斐はあるのですか?」
「美味い飯を食べることだ」
「……そうでしたね」
冒険者として活動していれば、美味い肉を持つモンスターを狩ることが出来、珍し果物などを食べることも出来る。
そういった意味でも、やはりクランドに適した職業は冒険者だった。
「ワイバーンですか……既に、倒し方は浮かんでいるのですか?」
「今まで戦ってきた鳥獣系のモンスターとの戦いを思い返してたけど、やっぱりカウンターで一撃必殺狙いになるかと思ってる」
宙を飛ぶ敵との戦闘経験はあるため、遭遇して早々ボロ雑巾のように負けることはない。
とはいえ、ドラゴンとの戦闘経験は、さすがに戦闘大好きなクランドもない。
「現状では、その手が一番効果的でしょう。しかし、相手はブレスという遠距離攻撃の手段を持っています」
「それは解ってる……まっ、そういうのをどう攻略するのかも、楽しむ要素の一つだ」
カバディではあり得ない、遠距離攻撃。
異世界だからこその攻撃を、どう対処するか。
戦闘大好き令息であるクランドにとって、それらの攻撃は全く絶望する内容ではなかった。
「……」
「なんだよその顔は」
「本当に……戦闘バカですね」
「まぁな」
メイドが主人に向ける言葉ではない。
普段のリーゼであれば、思っても口にしない……が、今は酒が入っている。
加えて、クランドの考えを従者である彼女の立場から聞かされては……つい、暴言が零れてしまうのも無理はない。
「褒めてないのですか」
「悪いが、それは俺にとって褒め言葉だ」
嫌味が通じず、思わず舌打ちしそうになったリーゼだが、その一戦はぐっと堪えた。
「はぁ~~~~、周囲のモンスターの対処は任せてください」
「ふふ、期待してるぞ」
二人は途中で酔い潰れることなく、泊っている宿へ無事に戻った。
そして翌日の朝、クランドに向かって「戦闘バカ」と言ってしまった事実を思い出したリーゼは、クランドが起きると真っ先に謝罪した。
土下座しそうな勢いではあったが、そこはクランドがなんとか止め、腰を九十度に曲げた深い謝罪を受け取った。
(ったく、別にそれぐらい気にしないんだけどな。今はもう従者じゃなくて、パーティーメンバー……仲間みたいなもんなんだからさ)
そんなことを思いながら、サナから聞いた近くの街周辺に現れたワイバーンの目撃情報について、もっと正確に情報を集め始めた。
ベテラン冒険者たちは、もっと休めよ、あまり激しい戦闘を繰り返してると直ぐに死ぬぞ、等々実際に見てきた光景を思い出すかのように伝える。
そんな先輩たちの言葉は有難い。
有難く思いはするが、ダラダラと休息する日々など……クランドにとっては、時間を無駄に浪費しているだけ。
という本音は、さすがに先輩たちに向かって吐けなかった。
「次はワイバーンかよ!! 討伐したら、今度会った時どんな風に討伐したか教えてくれよ!!!」
「そうだね。是非とも話を聞きたい。僕たちが戦う時の参考になるかもしれないしね」
逆に一緒に依頼を受けたウルガラたちに関しては、二人の直ぐ次の標的の元へ向かおうとする姿勢に対し、苦言することはなかった。
それどころか、確実に二人がワイバーンを相手に勝利すると確信していた。
いくらスーパールーキーであっても、ワイバーンを倒すことは不可能……と思うのが一般的だが、その一般常識を覆すクランドの戦闘光景を見たウルガラたちからすれば、逆に二人が負ける姿の方が想像できない。
「二人とも、勘違いしてるルーキーたちの目を覚ましてくれて、本当にありがとうな」
「そんな感謝されるようなことはしてませんよ」
ハリストンから次の目的地、アブスタへ向かう日、元Cランク冒険者で現ギルド職員であるイザルクは二人に感謝の言葉を伝えていた。
二人にとっては降りかかる火の粉を払った程度だが、イザルクとしては馬鹿だが可愛いと思える後輩たちに、色々と現実を見せてくれた二人には本当に感謝していた。
「二人の新しい武勇伝が聞ける日を、楽しみに待ってるよ」
「直ぐに聞かせてあげますね」
イザルクと別れ、新たなスタートを切った二人……だが、そろそろ日が暮れる頃に、盗賊から襲撃を受けた。
「あぁ、問題無い」
宴会終了後、ウルガラたちと別れ、二人で宿へ戻る道中。
それなりに酒を呑んだ二人だが、ある程度耐性を持っていることもあり、二人とも酔い潰れてはおらず、足取りもしっかりしている。
「ところで、次の獲物はワイバーンですか?」
「……怒ってるか?」
「いえ、怒っていませんよ」
怒っていないと断言するリーゼだが、長い付き合いのクランドからすれば、怒っている様にしか思えない。
「そうだな。ハリストンに居ても、これ以上面白そうな相手と戦うこともないだろうから、そろそろ次の街に移ろうかと考えてる。ワイバーンのような強敵がいるなら尚更な」
「はぁ~~~……個人的には、あまり生き急いでほしくはありませんが」
「悪いな。大きな生き甲斐の一つが、強い奴とのバトルだからな。もっとお行儀が良い正確なら騎士になってたよ」
ごもっともなセリフに、返す言葉がないリーゼ。
「ちなみに、他にも大きな生き甲斐はあるのですか?」
「美味い飯を食べることだ」
「……そうでしたね」
冒険者として活動していれば、美味い肉を持つモンスターを狩ることが出来、珍し果物などを食べることも出来る。
そういった意味でも、やはりクランドに適した職業は冒険者だった。
「ワイバーンですか……既に、倒し方は浮かんでいるのですか?」
「今まで戦ってきた鳥獣系のモンスターとの戦いを思い返してたけど、やっぱりカウンターで一撃必殺狙いになるかと思ってる」
宙を飛ぶ敵との戦闘経験はあるため、遭遇して早々ボロ雑巾のように負けることはない。
とはいえ、ドラゴンとの戦闘経験は、さすがに戦闘大好きなクランドもない。
「現状では、その手が一番効果的でしょう。しかし、相手はブレスという遠距離攻撃の手段を持っています」
「それは解ってる……まっ、そういうのをどう攻略するのかも、楽しむ要素の一つだ」
カバディではあり得ない、遠距離攻撃。
異世界だからこその攻撃を、どう対処するか。
戦闘大好き令息であるクランドにとって、それらの攻撃は全く絶望する内容ではなかった。
「……」
「なんだよその顔は」
「本当に……戦闘バカですね」
「まぁな」
メイドが主人に向ける言葉ではない。
普段のリーゼであれば、思っても口にしない……が、今は酒が入っている。
加えて、クランドの考えを従者である彼女の立場から聞かされては……つい、暴言が零れてしまうのも無理はない。
「褒めてないのですか」
「悪いが、それは俺にとって褒め言葉だ」
嫌味が通じず、思わず舌打ちしそうになったリーゼだが、その一戦はぐっと堪えた。
「はぁ~~~~、周囲のモンスターの対処は任せてください」
「ふふ、期待してるぞ」
二人は途中で酔い潰れることなく、泊っている宿へ無事に戻った。
そして翌日の朝、クランドに向かって「戦闘バカ」と言ってしまった事実を思い出したリーゼは、クランドが起きると真っ先に謝罪した。
土下座しそうな勢いではあったが、そこはクランドがなんとか止め、腰を九十度に曲げた深い謝罪を受け取った。
(ったく、別にそれぐらい気にしないんだけどな。今はもう従者じゃなくて、パーティーメンバー……仲間みたいなもんなんだからさ)
そんなことを思いながら、サナから聞いた近くの街周辺に現れたワイバーンの目撃情報について、もっと正確に情報を集め始めた。
ベテラン冒険者たちは、もっと休めよ、あまり激しい戦闘を繰り返してると直ぐに死ぬぞ、等々実際に見てきた光景を思い出すかのように伝える。
そんな先輩たちの言葉は有難い。
有難く思いはするが、ダラダラと休息する日々など……クランドにとっては、時間を無駄に浪費しているだけ。
という本音は、さすがに先輩たちに向かって吐けなかった。
「次はワイバーンかよ!! 討伐したら、今度会った時どんな風に討伐したか教えてくれよ!!!」
「そうだね。是非とも話を聞きたい。僕たちが戦う時の参考になるかもしれないしね」
逆に一緒に依頼を受けたウルガラたちに関しては、二人の直ぐ次の標的の元へ向かおうとする姿勢に対し、苦言することはなかった。
それどころか、確実に二人がワイバーンを相手に勝利すると確信していた。
いくらスーパールーキーであっても、ワイバーンを倒すことは不可能……と思うのが一般的だが、その一般常識を覆すクランドの戦闘光景を見たウルガラたちからすれば、逆に二人が負ける姿の方が想像できない。
「二人とも、勘違いしてるルーキーたちの目を覚ましてくれて、本当にありがとうな」
「そんな感謝されるようなことはしてませんよ」
ハリストンから次の目的地、アブスタへ向かう日、元Cランク冒険者で現ギルド職員であるイザルクは二人に感謝の言葉を伝えていた。
二人にとっては降りかかる火の粉を払った程度だが、イザルクとしては馬鹿だが可愛いと思える後輩たちに、色々と現実を見せてくれた二人には本当に感謝していた。
「二人の新しい武勇伝が聞ける日を、楽しみに待ってるよ」
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