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第167話 英才教育が必須?
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「久しぶりですね、アスト」
「あぁ、久しぶりだな。ウィステリア」
集合場所で朝早くから待っていると、アラックたちと共にブランドウェーブヘアーとばるんとした豊胸を持つ女性冒険が現れた。
彼女の名はウィステリア。
ヴァーニと同じく煉獄に所属している冒険者であり、彼の同期であり……以前、アストと出会って冒険者としての格の違いを教わった者でもある。
「アラックたちが迷惑をかけていませんか?」
「「「「っ!」」」」
ダンジョンへ向かう道中、ウィステリアは世間話でもするかのように四人のアストに対する態度は如何なものかと尋ねた。
「いや、特に迷惑を掛けられてないよ」
アストとしては、昨日や一昨日の様な反応は事前に予想していた程度の反応であるため、特に迷惑を掛けられたうちに入っていない。
「「「「…………」」」」
そんなアストの言葉に対し、それはそれで思うところがあるような表情を浮かべるアラックたち。
どっちつかずで面倒と思われるが、上手くどうこう出来ないのが……悲しき若者の性である。
「本当ですか?」
ウィステリアとしては、自分たちという前例があるため、本当にアストの言う通り何もなかったのか怪しいと思わざるを得なかった。
「本当だよ」
「そうですか……それにしても、相変わらず人の為に無茶をしてるみたいですね」
「……そうだな」
今度はアストがやや前例が多いため、のらりくらりと否定することが出来なかった。
「今更だとは思いますが、自身の体を大事にしてくださいね」
「あぁ、気を付けるよ」
二人のどことなく親しい空気にアラックとダリアンはもろに面白くない! といった表情を浮かべていた。
決して二人はウィステリアに対して本気で惚れているという訳ではないが、煉獄の若い者たちからすれば、アイドル的存在に近いこともあって、そのアイドルと親し気に話すアストへの気に入らなさが増す。
(……ウィステリア先輩、この人が歓楽街とか平気で行くタイプって知ってるのかな?)
(ヴァーニさんと同じく、随分と親し気に接するのですね…………そうですね。確かに、アストさんは性格的に難のある方ではない……筈)
(おぉ~~~? これはこれは……いや、でもどうなんだ? ウィステリア先輩は誰にでも分け隔てなく優しいからな~~~~)
サンドラもやや納得のいかない表情を浮かべる中、五人の中で比較的冷静な判断が下セルオーレリアは悩ましい表情を浮かべ、エイモンは何かを勘繰る様にニヤニヤと楽し気な笑みを浮かべる。
「それじゃあ、皆気を引き締めてね」
ダンジョン前に到着し、緊張感が高まるアラックたちに優しく喝を送るウィステリア。
そして数秒後……七人はダンジョン、暗恐の烈火の二十一階層に転移した。
「一応私とアストは手を出さないから、ゆっくり慎重にね」
「「「「はい!!」」」」
「うぃ~~っす」
一応、二十階層のボスモンスター討伐して二十一階層に到達したアラックたちだが、まだ……彼等にはやや早いステージと言えなくもない。
そのため、アストとウィステリアを除いても五人というパーティー人数ではあるが、ゆっくりじっくり探索する必要があった。
「……あれっすね。アストさんはやっぱり慣れてるって感じっすね」
「まぁ、そうだな。ソロでちょろっと来たりすることもあるからな」
「えっ」
「「「「っ!!!???」」」」
先輩からゆっくり慎重に探索しろと言われたにもかかわらず、アストの方を向いて驚きを隠せないアラックたち。
「おい、一応俺やウィステリアは手を出さないんだから、前ぐらいは見てろよ」
四人は慌てて前方、もしくは左右に顔を戻すも、先程のアストのバカ発言が頭から消えなかった。
「アストさん、マジで一人でこんなところ探索してたん、すか?」
「日帰りでならな」
基本的に二十一階層からは移動せず、日帰りでのみの活動。
冒険者からすれば特に目的がなければ、そこまで難し探索ではない……が、ソロで探索するとなれば、色々と話は変ってくる。
「アスト、普通の冒険者は例え日帰りであっても、ソロで二十一階層を探索しようとはしませんよ」
「……俺はオールラウンダーで、人よりも多少成長が早かったからな。ただ、成長しの仕方次第では、特別ではない冒険者であっても、出来ないことではないと思うが」
「アストがそう言うなら、そうなのかもしれませんね。ですが、そういった風に成長してもらうのであれば、幼い頃からの英才教育が必要になってしまいますね」
「かもしれないな」
アスト自身、平民出身ではあったが、村に元冒険者の男性がいたからこそ、幼い頃から戦闘の騎士を学ぶ事が出来た。
「っ!!」
二人の会話を気にしながらも、サンドラは複数の足音と匂いを察知。
体臭から同じ人間、同業者ではない事を確認し、アラックたちにジェスチャーを送る。
まだ互いに対面していないが、探り合いは既に始まっていた。
「あぁ、久しぶりだな。ウィステリア」
集合場所で朝早くから待っていると、アラックたちと共にブランドウェーブヘアーとばるんとした豊胸を持つ女性冒険が現れた。
彼女の名はウィステリア。
ヴァーニと同じく煉獄に所属している冒険者であり、彼の同期であり……以前、アストと出会って冒険者としての格の違いを教わった者でもある。
「アラックたちが迷惑をかけていませんか?」
「「「「っ!」」」」
ダンジョンへ向かう道中、ウィステリアは世間話でもするかのように四人のアストに対する態度は如何なものかと尋ねた。
「いや、特に迷惑を掛けられてないよ」
アストとしては、昨日や一昨日の様な反応は事前に予想していた程度の反応であるため、特に迷惑を掛けられたうちに入っていない。
「「「「…………」」」」
そんなアストの言葉に対し、それはそれで思うところがあるような表情を浮かべるアラックたち。
どっちつかずで面倒と思われるが、上手くどうこう出来ないのが……悲しき若者の性である。
「本当ですか?」
ウィステリアとしては、自分たちという前例があるため、本当にアストの言う通り何もなかったのか怪しいと思わざるを得なかった。
「本当だよ」
「そうですか……それにしても、相変わらず人の為に無茶をしてるみたいですね」
「……そうだな」
今度はアストがやや前例が多いため、のらりくらりと否定することが出来なかった。
「今更だとは思いますが、自身の体を大事にしてくださいね」
「あぁ、気を付けるよ」
二人のどことなく親しい空気にアラックとダリアンはもろに面白くない! といった表情を浮かべていた。
決して二人はウィステリアに対して本気で惚れているという訳ではないが、煉獄の若い者たちからすれば、アイドル的存在に近いこともあって、そのアイドルと親し気に話すアストへの気に入らなさが増す。
(……ウィステリア先輩、この人が歓楽街とか平気で行くタイプって知ってるのかな?)
(ヴァーニさんと同じく、随分と親し気に接するのですね…………そうですね。確かに、アストさんは性格的に難のある方ではない……筈)
(おぉ~~~? これはこれは……いや、でもどうなんだ? ウィステリア先輩は誰にでも分け隔てなく優しいからな~~~~)
サンドラもやや納得のいかない表情を浮かべる中、五人の中で比較的冷静な判断が下セルオーレリアは悩ましい表情を浮かべ、エイモンは何かを勘繰る様にニヤニヤと楽し気な笑みを浮かべる。
「それじゃあ、皆気を引き締めてね」
ダンジョン前に到着し、緊張感が高まるアラックたちに優しく喝を送るウィステリア。
そして数秒後……七人はダンジョン、暗恐の烈火の二十一階層に転移した。
「一応私とアストは手を出さないから、ゆっくり慎重にね」
「「「「はい!!」」」」
「うぃ~~っす」
一応、二十階層のボスモンスター討伐して二十一階層に到達したアラックたちだが、まだ……彼等にはやや早いステージと言えなくもない。
そのため、アストとウィステリアを除いても五人というパーティー人数ではあるが、ゆっくりじっくり探索する必要があった。
「……あれっすね。アストさんはやっぱり慣れてるって感じっすね」
「まぁ、そうだな。ソロでちょろっと来たりすることもあるからな」
「えっ」
「「「「っ!!!???」」」」
先輩からゆっくり慎重に探索しろと言われたにもかかわらず、アストの方を向いて驚きを隠せないアラックたち。
「おい、一応俺やウィステリアは手を出さないんだから、前ぐらいは見てろよ」
四人は慌てて前方、もしくは左右に顔を戻すも、先程のアストのバカ発言が頭から消えなかった。
「アストさん、マジで一人でこんなところ探索してたん、すか?」
「日帰りでならな」
基本的に二十一階層からは移動せず、日帰りでのみの活動。
冒険者からすれば特に目的がなければ、そこまで難し探索ではない……が、ソロで探索するとなれば、色々と話は変ってくる。
「アスト、普通の冒険者は例え日帰りであっても、ソロで二十一階層を探索しようとはしませんよ」
「……俺はオールラウンダーで、人よりも多少成長が早かったからな。ただ、成長しの仕方次第では、特別ではない冒険者であっても、出来ないことではないと思うが」
「アストがそう言うなら、そうなのかもしれませんね。ですが、そういった風に成長してもらうのであれば、幼い頃からの英才教育が必要になってしまいますね」
「かもしれないな」
アスト自身、平民出身ではあったが、村に元冒険者の男性がいたからこそ、幼い頃から戦闘の騎士を学ぶ事が出来た。
「っ!!」
二人の会話を気にしながらも、サンドラは複数の足音と匂いを察知。
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まだ互いに対面していないが、探り合いは既に始まっていた。
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