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心配で不安
SIDE リット
「旦那様、ラガス坊ちゃまから手紙が届いております」
「そうか」
付き合いの長い執事から手紙を受け取るリット。
ラガスは高頻度ではないが、ハンターになってからも定期的に手紙を送ってくれているため、そこまで驚くことではない。
とはいえ、手紙に記されている内容には何度も驚かされてきた。
(今回はどんな内容が書かれているのだろうな)
少しワクワクしながら封を開け、息子からの手紙に目を通していく。
「……ふむ…………なるほど……良い判断だな…………ほぅ、そんな事が……ふむ…………………むっ」
楽しそうに読んでいたリットの表情に変化が現れた。
その変化に執事は心配を覚えるも、まだ主人が読んでいる途中であるため、中断させて質問するわけにはいかない。
「………………なるほど…………そうか………………………ふぅーーーーーーーーー」
じっくりと読み進め、最後に大きなため息を吐き、新しく淹れられていたいた紅茶に手を伸ばす。
「…………」
「ラガス坊ちゃまは、また無茶な冒険をされているのですか?」
「どうだろうな……地下遺跡での探索は一旦終えて、休暇目的でパイラーデスへ向かったらしい」
「パイラーデスですか。それはなんとも良い行先かと」
観光地で有名な街であることは老執事も把握しており、ラガスがハンターとして活動を始めたばかりのころから危ない冒険を行っていたことを知っているため、今のラガスには長い休暇が必要ではないのかと考えていた。
「そうだな。それは間違いない。だが、バカンスを楽しみながらも、遊泳のアビリティを手に入れるために水泳にも力を入れているようだ」
「っ!! つまり、パイラーデス周辺の海域で、海中戦を行おうと考えているということでしょうか」
「そうなのだろうな。なぁに、そんなに心配する必要はない。ラガスたちも最低限の準備を整えてから挑むだろう。それに、ラガスのアビリティは海中戦での不利をかき消すはずだ」
細かい要素、切り札的効果までは知らないものの、リットはラガスの魔弾というアビリティがどれほど優れているのか、ある程度予想出来ていた。
そしてリットも水中戦を経験したことがある身ということもあり、ラガスがそこら辺の多少水中戦に慣れている者よりも戦えるであろうことを確信していた。
「そうですか……とはいえ、私としてましては、やはり心配に思ってしまいます」
「安心しろ。俺としても、多少の不安はある」
どこに安心すればいいのか解らないが、ひとまず頷く老執事。
「それよりも、不安なことがあるとすればリザード家の令嬢と出会っていたことだな」
「っ!!! もしや、大会で何度か戦ったことがあるリザード公爵家のご令嬢でしょうか」
「あぁ、その令嬢だ。どうやら同じ騎士団の仲間たちと訪れていたようだ。その仲間たちとラガスたちと共に遊泳のアビリティを手に入れるために鍛錬を行っていたらしい」
老執事としては、職種は違うとしても、同世代の者たちと関わっていること自体は良いことのように思えたため、何を不安に思うのか解らない。
「……その、旦那様。その件に関して、何を不安に思われたのでしょうか」
「簡単なことだ。リザード家の令嬢が、ラガスに惚れたら面倒な問題に発展するだろう」
「…………」
突拍子もないアホな事を口にしている……と、一蹴することは出来ない。
何故なら、本当に過去に二人はそういった関係ではないのか、という噂が流れたことがある。
ラガスとイーリスたち本人が否定したこともあって過去の話にはなっているが、実際にそういった噂が流れたのは事実。
学園を卒業した者たちが久しぶりに出会い、恋に落ちる……ということは、無きにしも非ずな展開である。
そのため、老執事も「旦那様、それはさすがに親馬鹿が過ぎますよ」とは言えなかったのだった。
「旦那様、ラガス坊ちゃまから手紙が届いております」
「そうか」
付き合いの長い執事から手紙を受け取るリット。
ラガスは高頻度ではないが、ハンターになってからも定期的に手紙を送ってくれているため、そこまで驚くことではない。
とはいえ、手紙に記されている内容には何度も驚かされてきた。
(今回はどんな内容が書かれているのだろうな)
少しワクワクしながら封を開け、息子からの手紙に目を通していく。
「……ふむ…………なるほど……良い判断だな…………ほぅ、そんな事が……ふむ…………………むっ」
楽しそうに読んでいたリットの表情に変化が現れた。
その変化に執事は心配を覚えるも、まだ主人が読んでいる途中であるため、中断させて質問するわけにはいかない。
「………………なるほど…………そうか………………………ふぅーーーーーーーーー」
じっくりと読み進め、最後に大きなため息を吐き、新しく淹れられていたいた紅茶に手を伸ばす。
「…………」
「ラガス坊ちゃまは、また無茶な冒険をされているのですか?」
「どうだろうな……地下遺跡での探索は一旦終えて、休暇目的でパイラーデスへ向かったらしい」
「パイラーデスですか。それはなんとも良い行先かと」
観光地で有名な街であることは老執事も把握しており、ラガスがハンターとして活動を始めたばかりのころから危ない冒険を行っていたことを知っているため、今のラガスには長い休暇が必要ではないのかと考えていた。
「そうだな。それは間違いない。だが、バカンスを楽しみながらも、遊泳のアビリティを手に入れるために水泳にも力を入れているようだ」
「っ!! つまり、パイラーデス周辺の海域で、海中戦を行おうと考えているということでしょうか」
「そうなのだろうな。なぁに、そんなに心配する必要はない。ラガスたちも最低限の準備を整えてから挑むだろう。それに、ラガスのアビリティは海中戦での不利をかき消すはずだ」
細かい要素、切り札的効果までは知らないものの、リットはラガスの魔弾というアビリティがどれほど優れているのか、ある程度予想出来ていた。
そしてリットも水中戦を経験したことがある身ということもあり、ラガスがそこら辺の多少水中戦に慣れている者よりも戦えるであろうことを確信していた。
「そうですか……とはいえ、私としてましては、やはり心配に思ってしまいます」
「安心しろ。俺としても、多少の不安はある」
どこに安心すればいいのか解らないが、ひとまず頷く老執事。
「それよりも、不安なことがあるとすればリザード家の令嬢と出会っていたことだな」
「っ!!! もしや、大会で何度か戦ったことがあるリザード公爵家のご令嬢でしょうか」
「あぁ、その令嬢だ。どうやら同じ騎士団の仲間たちと訪れていたようだ。その仲間たちとラガスたちと共に遊泳のアビリティを手に入れるために鍛錬を行っていたらしい」
老執事としては、職種は違うとしても、同世代の者たちと関わっていること自体は良いことのように思えたため、何を不安に思うのか解らない。
「……その、旦那様。その件に関して、何を不安に思われたのでしょうか」
「簡単なことだ。リザード家の令嬢が、ラガスに惚れたら面倒な問題に発展するだろう」
「…………」
突拍子もないアホな事を口にしている……と、一蹴することは出来ない。
何故なら、本当に過去に二人はそういった関係ではないのか、という噂が流れたことがある。
ラガスとイーリスたち本人が否定したこともあって過去の話にはなっているが、実際にそういった噂が流れたのは事実。
学園を卒業した者たちが久しぶりに出会い、恋に落ちる……ということは、無きにしも非ずな展開である。
そのため、老執事も「旦那様、それはさすがに親馬鹿が過ぎますよ」とは言えなかったのだった。
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