万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

文字の大きさ
273 / 1,133

学生にしては中々だが……

「ふざけないで、まだ終わりな訳無いでしょう」

ラガスの事を完全に自分の敵だと認めたイーリスは詠唱しなければ発動出来ない中級魔法の詠唱に入る。

「俺相手に詠唱なんて余裕だな」

その隙を見逃す様なラガスでは無く、直ぐにその場から駆け出してイーリスに接近する。
しかしその行動を読んでいたイーリスは思わず口端が上がってしまう。

「それはどうかしら。アイスシールド」

初級魔法であるアイスシールドを無詠唱で発動したイーリスは氷の盾でラガスの視界を塞ぎ、その場から大きく跳躍する。

そして空中から着地するまでに何度もアイスボールを放つ。
その数は結果二十程放たれ、ラガスは集中砲火を浴びる事になった。

だが、数は多くても所詮は初級魔法であり、そこまでの攻撃力は無い。
アイスボールはラガスに直撃する前に全て砕かれ、氷の霧が晴れるとそこには無傷のラガスが立っていた。

「それで終わりって訳じゃ無いだろ」

「ッ! あなた、人を煽るのが本当に上手いわね」

「そりゃどうも」

そう言いながら今度はラガスの方からゆっくりと歩きながら距離を詰めていく。
何故自分のアイスボールが全て粉々にされたのか解らないが、それでも勝つためにわざとゆっくりと距離を詰めるラガスの隙を突いて高速詠唱のアビリティを使用しながらアイスランスを三本生み出し、時間差で放つ。

アイスランスが三本。氷の槍三本に対してそこまでビビる必要があるのかと思ってしまう者もいるが、氷系の魔法には厄介な特徴がある。

それは触れた部分から一定範囲を凍らすことが出来る能力だ。
その効果があるので基本的に氷系の魔法を紙一重で躱す様な真似をしてはならない。

それなら何故ラガスは触れることが出来たのかと、イーリスの心の中でずっと疑問に残っている。

(素手でアイスボールに触れれば絶対に手を凍らせるはず。腰に差している剣以外に装備している武器は見当たらない……本当に謎だわ)

その理由はラガスの魔弾というアビリティにあった。
ラガスはセルシアとクレアから事前にイーリスが氷魔法を得意としていると聞いており、イーリスとの試合が開始すると同時に氷耐性の効果を持つ魔弾を自信に付与していた。

時間制限はあるものの、ラガスの魔力量を考えればこの試合が終わるまでは余裕で持つ。
しかし氷耐性の効果を得たとしても完全に防げるわけでは無く、ラガスが後三秒ほどアイスボールから手を離すのが遅ければ氷の浸食が始まっていた。

因みに二十程のアイスボールに関しては魔弾一つを操り、全てを砕いてしまった。

「……まぁ、良いんじゃないのか?」

中級魔法であるランス系の魔法を複数発動するのは魔法職の間では高等技術であり、そう簡単にできるものでは無い。
ラガスもメイドと執事の大会をしっかりと見ており、そのなかでも魔法職の執事やメイドが中級魔法を複数発動している者はあまり見なかった。

(主人のメンツも懸かっているあの大会で実力を出し惜しむような奴はシュラとメリル以外にいないだろう。イーリスの歳も考えれば相当凄いんだろう)

観客の歓声、遠めだが少し見えた貴族たちの驚いた表情。
中には属性魔法が使えないにも関わらず、魔法に関しては同年代の者達より何歩も先に行っているイーリスと互角に戦うラガスに対して驚いている者もいる。

だが大半はイーリスの魔法の腕に対して驚いていた。
国の魔法師団の中にはイーリスを早速スカウトしようと考えている者もいる。

そんな中、ラガスは非常に冷静な表情で三つのアイスランスに対して対処した。

「拳弾」

拳に魔力を纏い、そのままパンチの勢いを乗せて放つ魔弾。
ラガスの拳から放たれた拳弾は三発。そのすべてがアイスランスに直撃し……ラガスの意志によって加えられた回転の効果で槍の部分を殆ど削ってしまう。

そしてアイスランスは元の姿からは考えられない程削られ、爪楊枝の様なサイズになってしまった。
体をほとんど失ったアイスランスは制御を失い……ラガスに当たることなく地面に激突する。

「なっ、あっ……なん、なのよ。その魔弾の威力は」

「別に大したことはして無いぞ」

アイスランスはイーリスの中で最も強い攻撃魔法という訳では無い。
だが、それでも威力には自信を持っている攻撃の一つだった。
にも拘らず、ラガスはそれを一瞬で原型が殆ど無い程に削ってしまった。

「……こんなもんか? まぁ、相性の差ってのもあるとは思うけど……それでも足りないな。アイスボールやアイスフロア、アイスシールドを無詠唱で発動するのはそれなりと凄いとは思うが、別に俺にとっては驚く内容じゃ無い」

ラガスはイーリスとの戦いで感じた事を素直に喋った。
一切悪気など無い。ただ……イーリスにとって自分の技量を大したことは無いと評価する事は、自分に氷魔法を教えてくれた人達を馬鹿にしている様に感じた。
感想 128

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。