万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

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男は同性ではなく異性を……

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ラガス視点

「ラガスは、ここで観戦するの?」

「あぁ、そのつもりだけど」

「そう……それなら、私もここで、観てる」

一仕事終えたんだから控室でのんびりしていたら良いのに……なんて言うのはパートナーに失礼か。

「相手の選手は……短剣の二刀流みたいだな」

「手数が、多そうだね」

「二刀流ってのはそこが強みだからな」

もちろん対戦相手の練度、スピードによっても変わってくるけど多分両手で長剣を扱うアリクより手数は多そうだな。

向こうも団体戦に中途半端な相手は出さないだろうし。

「ラガスは、どっちが勝つと、思う」

「……向こうの生徒もそれなりに強そうではあるし、そう簡単に勝負は決まらないかもな」

狼竜眼で少し視たけど、二刀流のアビリティがレベル三だった。
二刀流がアビリティレベルが上がりにくく、俺も頑張ってるが四で止まっている。

それに高速詠唱のスキルも持ってる……いや、そこは詠唱破棄のアビリティを持っているアリクの方が有利か。
なんだかんだいってそこら辺は器用だしな。

「……もしかして、ちょっとアウェイ?」

「同じ学園の生徒なら女子男子問わずアリクを応援すると思うけど、それ以外の生徒や一般市民の人達は美女であるフレイア女学院の生徒を応援してるっぽいからな」

女性は同性を応援し、男は美しい女子生徒を応援する……中にはアリクを応援してる人達もいるけど、全体的に二対八でアリクの声援の方が少ないな。

ショートカットのゆるふわウェーブ、スタイルも中々でクール寄りな美人……男なら応援したくなるだろうなぁ~。

「アリクさんは、動揺、してるかな」

「案外してないかもな。俺が知らない間に随分と成長してたみたいだし」

さて、そろそろ試合が始まる。
お互い知り合いなのか多少言葉を交わしていたが、直ぐに開始線まで戻って構えた。

「それでは……始め!!!!!」

審判の試合開始の合図と共に両者が駆け出した……結果だけで言えば、試合は速攻で終わってしまった。

アリク視点

さて、弟のパートナーが面倒な相手に快勝したんだ。俺もその波に乗らないとな。

「久しぶりだな、アリク」

「あぁ、そうだな。ニーナ」

シングルスでは過去にぶつかったことがある。
戦いは俺の勝利で終わったが、苦戦を強いられた記憶がある。

「まさかうちのスーパールーキーを倒すとはな……そっちの一年には恐れ入ったぞ」

「だろうな。まっ、俺の弟のパートナーなんだから当然と言えば当然だけどな」

「そういえばお前の弟は異例の実力者だったな」

異例、か……その表現は間違っていないな。
あいつの強さは一般的な戦闘スタイルから脱している。

「ただ……今どうでも良いことだな。悪いが、今日は私が勝たせてもらうぞ」

「……悪いが、そうはいかねぇな。あいつの兄として……無様な姿は晒せねぇんだよ」

「そうか……良い熱さだ」

ラガスは……俺と、いや……兄さん達や父さんとも違う力を持っている。
そもそも立っているステージが違う。そう感じさせる力を持っているんだ。

だからって……だからこそ、俺が負ける訳にはいかねぇ……カロウス兄さん達から繋いできた強者の流れを切らせない。

お互いに言葉不要になり、開始線まで戻る。

あいつ俺は違う……そんなのガキ頃に思い知らされた。
それでも……強さへの渇望を捨てた訳じゃない。

俺は、俺の強さを証明する!!!

「それでは……始め!!!」

開始の合図と共にお互いに駆けだした。
直ぐに身体強化と脚力強化のアビリティを使用した。

だが、それは向こうも同じだろう。
ただ……何かがいつもと違った。

無意識に俺の中で知らない力が溢れ出ていた。

「うぉぉおおおおおあああああああッ!!!!」

同じタイミングで駆け出したはずだったが、俺の方が速くニーナに迫ることに成功し、そのまま長剣を叩きつけた。

「ぐぅっ!?」

偶然的に不意を突いた一撃になったが、判断が速いニーナを短剣をクロスして受け止めた。

その判断の速さは中々だが……まだまだこんなもんじゃねぇぞぉぉおおお―――――ッ!!!!
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