1,067 / 1,103
早めに
しおりを挟む
SIDE メリル、シュラ
「それにしても、シュラにしては珍しいわね」
「ん? 何がだよ」
ビーチに到着してから遊泳のアビリティを磨き始めて数時間後、さすがに休憩を取ることにした二人。
「私はいつも通りラガス坊ちゃまの考えに賛同するのかと思ってのだけど」
「別に無理強いするつもりはねぇよ。ただ、不釣り合いとは思わねぇからよ」
今朝、ラガスに伝えた内容は、決して盛った訳ではない。
シュラは本気でイーリスであればラガスに合う人物だと思っていた。
「それによ、ラガスさんはイーリスさんのこと……もう、嫌いではないっしょ」
出会ったばかりのことは互いに嫌い合っていた事は覚えていたシュラ。
その頃のままの関係値であれば、実力などが釣り合ったとしてもと思えてしまうが……現在の関係値を見れば、あり得ない組み合わせだとは思えない。
「ふふ、そうね」
「やっぱりそうだよな。別にラガスさんは全ての女性を、令嬢を毛嫌いしてるとかじゃねぇ。寧ろ普通に接した思うけど……普通じゃん」
「…………えぇ、そうね」
何がどう普通なのか、メリルはシュラの言いたい事がある程度解る。
普通に接するということは、それらの人物に対しては、普通以外の……普通以上の感情を持っていないのと同義。
ただ、イーリスに対する対応は……間違いなく普通の対応ではなかった。
「って考えると、割と気が合うんじゃねぇかと思ってよ」
「……私の感覚だと、ラガス坊ちゃまはイーリス様に幸せになってほしいと願ってると思うの」
「それは……あれか。友人として、ってやつか」
「そうね。シュラも、ラガス坊ちゃまが優しいのは解ってるでしょ」
「あぁ、そうだな」
関係が良好になった人間には、可能な限り幸せになってほしい。
そう願ってしまうのが、ラガスという人間である。
「つまり、あれか。イーリス様が幸せになれないかもしれないってなったら、ラガスさんとくっ付いた方が良いんじゃねぇかってことか」
「大雑把に言うとね」
「ん~~~~~…………なんか、あり得そうな気はすっけど、最終的に判断するのはラガスさんだしな~~」
関係が良好な者に対しては優しい人間であるラガス。
ただ、恋愛に関してはクソペーペーな赤点ギリギリ野郎である。
加えて……一応、まだ前世の日本人的な常識が残っている。
「つかよ、ぶっちゃけな話、メリルがそういう方向で進めたいなら、早めに進めないとヤバいんじゃねぇのか?」
「そうなのよね」
メリルとしても、無理強いするつもりはない……一応、そのつもりはない。
ただ、その方が最終的にラガスの幸せにも繋がると思っていた。
「ラガス坊ちゃまは、いつまでハンターとして活動され続けると思う?」
「そんなの、生涯現役じゃねぇの?」
「……それはないと言えないところが、ラガス坊ちゃまの恐ろしいところね」
ラガスは年齢的に、これから全盛期を迎える。
そして全盛期を越えれば当然、肉体は衰えていく。
しかし、それはあくまで体の老化に従っての下降。
激闘を越え続けることで上がり続けた成長まで消える訳ではない。
(七十……それこそ、八十や九十を過ぎたとしても…………脚はルーフェイスがいるから、移動は問題ない。戦闘に関しても、技術が衰えるとは思えない)
国内の探索だけではなく、国外にも興味を持っている。
ルーフェイスがいるため、現段階でも移動速度は同業者たちと比べても速いため、少なくとも初老になる前には終わっている筈。
ただし、冒険の範囲が別大陸にまで広がった場合、本当に五十六十を越えてハンターとして活動し続けられる可能性がある。
「……くそ失礼なのは解ってるけど、貴族令嬢の結婚適齢期の問題だよな」
「そうよ。だからあなたの言う通り、二人に多少なりともその気があるなら、早めに進めたいのだけど……ラガス坊ちゃまは素直じゃないし、イーリス様も素直じゃなさそうなのよね」
「くそ失礼だけど、多分そうなんだろうな」
可能性がある未来に立ち塞がる障壁な様に、従者二人は苦笑いを零すのだった。
「それにしても、シュラにしては珍しいわね」
「ん? 何がだよ」
ビーチに到着してから遊泳のアビリティを磨き始めて数時間後、さすがに休憩を取ることにした二人。
「私はいつも通りラガス坊ちゃまの考えに賛同するのかと思ってのだけど」
「別に無理強いするつもりはねぇよ。ただ、不釣り合いとは思わねぇからよ」
今朝、ラガスに伝えた内容は、決して盛った訳ではない。
シュラは本気でイーリスであればラガスに合う人物だと思っていた。
「それによ、ラガスさんはイーリスさんのこと……もう、嫌いではないっしょ」
出会ったばかりのことは互いに嫌い合っていた事は覚えていたシュラ。
その頃のままの関係値であれば、実力などが釣り合ったとしてもと思えてしまうが……現在の関係値を見れば、あり得ない組み合わせだとは思えない。
「ふふ、そうね」
「やっぱりそうだよな。別にラガスさんは全ての女性を、令嬢を毛嫌いしてるとかじゃねぇ。寧ろ普通に接した思うけど……普通じゃん」
「…………えぇ、そうね」
何がどう普通なのか、メリルはシュラの言いたい事がある程度解る。
普通に接するということは、それらの人物に対しては、普通以外の……普通以上の感情を持っていないのと同義。
ただ、イーリスに対する対応は……間違いなく普通の対応ではなかった。
「って考えると、割と気が合うんじゃねぇかと思ってよ」
「……私の感覚だと、ラガス坊ちゃまはイーリス様に幸せになってほしいと願ってると思うの」
「それは……あれか。友人として、ってやつか」
「そうね。シュラも、ラガス坊ちゃまが優しいのは解ってるでしょ」
「あぁ、そうだな」
関係が良好になった人間には、可能な限り幸せになってほしい。
そう願ってしまうのが、ラガスという人間である。
「つまり、あれか。イーリス様が幸せになれないかもしれないってなったら、ラガスさんとくっ付いた方が良いんじゃねぇかってことか」
「大雑把に言うとね」
「ん~~~~~…………なんか、あり得そうな気はすっけど、最終的に判断するのはラガスさんだしな~~」
関係が良好な者に対しては優しい人間であるラガス。
ただ、恋愛に関してはクソペーペーな赤点ギリギリ野郎である。
加えて……一応、まだ前世の日本人的な常識が残っている。
「つかよ、ぶっちゃけな話、メリルがそういう方向で進めたいなら、早めに進めないとヤバいんじゃねぇのか?」
「そうなのよね」
メリルとしても、無理強いするつもりはない……一応、そのつもりはない。
ただ、その方が最終的にラガスの幸せにも繋がると思っていた。
「ラガス坊ちゃまは、いつまでハンターとして活動され続けると思う?」
「そんなの、生涯現役じゃねぇの?」
「……それはないと言えないところが、ラガス坊ちゃまの恐ろしいところね」
ラガスは年齢的に、これから全盛期を迎える。
そして全盛期を越えれば当然、肉体は衰えていく。
しかし、それはあくまで体の老化に従っての下降。
激闘を越え続けることで上がり続けた成長まで消える訳ではない。
(七十……それこそ、八十や九十を過ぎたとしても…………脚はルーフェイスがいるから、移動は問題ない。戦闘に関しても、技術が衰えるとは思えない)
国内の探索だけではなく、国外にも興味を持っている。
ルーフェイスがいるため、現段階でも移動速度は同業者たちと比べても速いため、少なくとも初老になる前には終わっている筈。
ただし、冒険の範囲が別大陸にまで広がった場合、本当に五十六十を越えてハンターとして活動し続けられる可能性がある。
「……くそ失礼なのは解ってるけど、貴族令嬢の結婚適齢期の問題だよな」
「そうよ。だからあなたの言う通り、二人に多少なりともその気があるなら、早めに進めたいのだけど……ラガス坊ちゃまは素直じゃないし、イーリス様も素直じゃなさそうなのよね」
「くそ失礼だけど、多分そうなんだろうな」
可能性がある未来に立ち塞がる障壁な様に、従者二人は苦笑いを零すのだった。
86
あなたにおすすめの小説
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
余命半年の僕は、君を英雄にするために「裏切り者」の汚名を着る
深渡 ケイ
ファンタジー
魔力を持たない少年アルトは、ある日、残酷な未来を知ってしまう。 最愛の幼馴染であり「勇者」であるレナが、半年後に味方の裏切りによって惨殺される未来を。
未来を変える代償として、半年で全身が石化して死ぬ呪いを受けたアルトは、残された命をかけた孤独な決断を下す。
「僕が最悪の裏切り者となって、彼女を救う礎になろう」
卓越した頭脳で、冷徹な「悪の参謀」を演じるアルト。彼の真意を知らないレナは、彼を軽蔑し、やがて憎悪の刃を向ける。 石化していく体に走る激痛と、愛する人に憎まれる絶望。それでも彼は、仮面の下で血の涙を流しながら、彼女を英雄にするための完璧なシナリオを紡ぎ続ける。
これは、誰よりも彼女の幸せを願った少年が、世界一の嫌われ者として死んでいく、至高の献身の物語。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
史上最強魔導士の弟子になった私は、魔導の道を極めます
白い彗星
ファンタジー
魔力の溢れる世界。記憶を失っていた少女は、最強魔導士に弟子入りをする!
いずれ師匠を超える魔導士になると豪語する少女は、魔導を極めるため魔導学園へと入学する。様々な出会いが、少女を満たしていく。
しかし、平穏な学園生活を望む彼女の気持ちとは裏腹に様々な事件に巻き込まれて…!?
初めて出会う種族、友達、そして転生者。
思わぬ出会いの数々が、彼女を高みへと導いていく。
その中で明かされていく、少女の謎とは……? 果たして彼女は、師匠をも超える魔導士になれるのか!?
最強の魔導士を目指す少女の、青春学園ファンタジーここに開幕!
毎日更新継続中です。ほのぼの学園系の中にシリアスもあるよ!
小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも連載しています!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
『外見しか見なかったあなたへ。私はもう、選ぶ側です』
鷹 綾
恋愛
「お前のようなガキは嫌いだ」
幼く見える容姿を理由に、婚約者ライオネルから一方的に婚約を破棄された
公爵令嬢シルフィーネ・エルフィンベルク。
その夜、嫉妬に狂った伯爵令嬢に突き落とされ、
彼女は一年もの間、意識不明の重体に陥る――。
目を覚ました彼女は、大人びた美貌を手に入れていた。
だが、中身は何ひとつ変わっていない。
にもかかわらず、
かつて彼女を「幼すぎる」と切り捨てた元婚約者は態度を一変させ、
「やり直したい」とすり寄ってくる。
「見かけが変わっても、中身は同じです。
それでもあなたは、私の外見しか見ていなかったのですね?」
静かにそう告げ、シルフィーネは過去を見限る。
やがて彼女に興味を示したのは、
隣国ノルディアの王太子エドワルド。
彼が見ていたのは、美貌ではなく――
対話し、考え、異論を述べる彼女の“在り方”だった。
これは、
外見で価値を決められた令嬢が、
「選ばれる人生」をやめ、
自分の意思で未来を選び直す物語。
静かなざまぁと、
対等な関係から始まる大人の恋。
そして――
自分の人生を、自分の言葉で生きるための物語。
---
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる