執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?

Gai

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第147話 悔しいのは変わらない

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「……随分と人気みたいだな」

ルチアが姿を現すと、多くの声援が彼女の元に送られた。

「ルチア様は交友関係がある程度広く、それでいてトーナメントに参加出来るだけの実力を持っている。それに加えて、ルチア様は優勝候補の一角と認識されている」

「そうなんですね…………妥当っちゃ妥当、みたいっすね」

これまで計四つの試合を観戦し、八人の学生たちの戦力がバトムスの脳内にインプットされている。
その八人と比べて……自身の記憶に残っているルチアが負けるとは思えない。

(相手の双剣使いは……これまで通り、弱くはなさそうだけど、それでもシエルよりは実力は下だろうから、お嬢が負けることはねぇだろうな)

双剣は細剣と似ている部分があり、手数と素早さが魅力の武器。
大剣にとっては相性が悪い相手。

「それでは…………試合、開始っ!!!!!!!」

審判が開始の合図を出したとほぼ同じタイミングで双剣使いの男子学生は駆け出し、一直線にルチアへ迫るのではなく、彼女の周囲を駆け回り始めた。

(……そういえばお嬢、騎士志望の令息たちが集まる訓練会? みたいのに参加してたんだったか。そりゃ相手が女だからって、嘗めた戦い方はしないか)

馬鹿正直に真正面から戦うのではなく、卑怯だと言われても死角を突いて格上を仕留める。
バトムスはそんな双剣使いの考え、行動を賞賛する。

彼が勝つには、その攻め方が一番ベストである。

「ど、どちらが勝つかな!!!」

「……もう決まってそうだな」

「へっ?」

シエルが小さな声を零した瞬間、何かが壁に叩きつけられる音が闘技場に響き渡った。

「っ、あ…………」

壁に叩きつけられた双剣使いは白目をむきながら地面に崩れ落ち、そのままピクリとも動かなかった。

「そこまでっ!!!! 勝者、ルチア・アブルシオっ!!!!!!!」

「「「「「「「「「「「「っっっっ!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」

今日一の爆発が、闘技場で起こった。

一撃……一撃KOである。
観客たちも、エリート同士の中に差があるのは理解している。

それでも、中等部の一年生ともなれば、まだ原石も原石。
ぶつかり合い、研磨されて宝玉となる前の状態。

そんな状態であるにも関わらず、一撃で相手をノックアウト。
それがどれほどのことか……戦闘に少しでも詳しい者であれば、理解出来る。

「まっ、こうなるよな」

「ば、バトムスはあぁなるって解ってたの?」

「なんとなくだけどな。作戦としては悪くなかった。寧ろお嬢を嘗めずに最適な戦略を選んだんじゃないか? けど、それでもお嬢を搔き乱すにはスピードが足りなかった。他にも理由はありそうだけど…………」

「?」

「今回、一撃で倒せたのは、お前と模擬戦してたからだろうな」

「ぇ……わ、私のお陰?」

「お嬢の努力もあるだろうけどな」

シエルはこれまで何度もルチアの模擬戦相手になってきた。
その中で、双剣を使って同じような動きで攻めたことがあった。

体格、身体能力、人族とは少々異なる動きということもあり、その模擬戦はシエルの勝利に終わった。

(あの双剣使いが取った戦法は、お嬢にとって負けられない戦いの一つだったのかもな)

ルチアにとって、シエルは友人と言っても過言ではない。
なので、あのバトムスに負けるよりかは特大の悔しさが湧き出ることはない。

それはそれとして……やはり戦いに負けるのは、非常に悔しい。

年齢が違うから、種族が違うから?
歳を重ねるごとに、戦いというものがどういうものか解っていくルチアにとって、それは言い訳にしかならない。

戦場では、敵はこちら側の都合など考慮してくれない。

(それに、スピードで搔き乱して死角から攻撃するっていうのは、スピードタイプならよく使う戦法……だからこそ、念入りに対策を練ってたのかもな)

大剣使いであるルチアが、何故あの動きに反応出来たのか、バトムスはある程度把握出来ていた。

「見事な一撃だった」

「……っすね。カウンターに集中力を全振りしていた……人によってはパワーで無理矢理叩き飛ぶしたように思えるかもしれないけど、ある意味理性的な一撃だったんじゃないっすかね」

「………ふふ」

「? なんかおかしい事言ったっすか、ノウザスさん」

「いや、随分とお嬢様を素直に褒めると思ってな」

それなりにバトムスの事を知っている身としては「あっはっは!!!! 脳筋なお嬢らしいね~~~~」と言いそうであり、バトムスとしてもあまり否定出来ない。

ただ、今回は色々と重なり、見方が変わっていた。

(俺じゃあ、そもそもあんな舞台に立ちたくないし、立ったとしてもまともに戦えるかどうか……なのに、お嬢はいつも通りに戦って、最高の一撃を叩き込んだ…………はぁ~~~~~~~~~~~~。ライラさんの言う通り、ほんの少しは敬意を持っちまったな~~~~)

自分には無理だと素直に認め、ルチアに少なからず敬意を持ってしまったことも……ひとまず心の内では認めるのだった。
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