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第18話 真っ白
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「っ、どうやら丁度お客様が到着してるみたいだね」
「…………んじゃあ、離れた場所から入りましょうか」
「あっ……全く、しょうがないなぁ」
バトムスは屋敷の正面入り口から全く関係ない方向に向かって走り、魔力を纏って身体能力を強化し、更には身体強化という人間やモンスターが会得出来るスキルを発動。
二つの強化術を同時に発動したことで、まだ体が出来上がってないバトムスは猿のようにあっという間に壁を上り、着地。
ハバトも同じ方法で身体能力を強化し、壁を越えて着地した。
「ッ!! …………お前らな。いや、丁度お客様が来てる時だからというのは解るが」
「へっへっへ、すいません」
屋敷の正面入り口、屋敷への入り口には馬車が、客が既にいる。
だが、万が一のことを考え、屋敷庭などにも多くの騎士たちが見張りとして巡回していた。
「ほら、さっさと部屋に戻れよ」
「うっす」
小さな声で返事をし、バトムスはハバトと一緒に屋敷へ正面以外の入り口から入ろうとして。
「…………」
「……っ、あ! バトムス!!!」
なんとなく、誰が来ているのか解っていたが、それでも場所の方に目を向けてしまったバトムス。
そこには、予想していた通り先日偶々遭遇したアルフォンスがいた。
そして場所から降りたアルフォンスは、なんとなくアブルシオ辺境伯家の庭を見渡そうとした。
「「「「「っ!!!!!?????」」」」」
出迎えているギデオンやルチアを含むアブルシオ辺境伯家の人間たちや、護衛である老騎士と女性騎士までその言葉に反応し……アルフォンスの顔が向けられた方向に意識を奪われた。
(これは……に、逃げちゃ、駄目なんだろうな)
少し離れた場所で、大人達が面白い顔をしてる。
ついでに、一緒にいるルチアまで面白い顔をしてる。
そんな顔を見られたのは……それはそれで大変面白い。
普段であれば爆笑していたのだが……彼らが面白い顔をしてる理由に、自分が絡んでいるとなれば話は別だった。
何やらアルフォンスがギデオンたちが話ている様子が見える。
いったい何を話しているのか……頭が真っ白になりかけていると、走ってアルフォンスがバトムスの方に来た。
「バトムス、後で時間を作るから、その時にまた話そう」
「う、うん」
「それじゃ、またね」
駆け足で戻って行き、今度こそ正面からアブルシオ辺境伯家の屋敷に入っていったアルフォンスたち一行。
「バトムスの予想が当たったみたいだね……? バトムス、バトムス!」
「へっ? な、なに、ハバト兄さん」
「急にボーっとして、気を失ったんじゃないかと思ったよ」
「あ、うん、ごめん……とりあえず、大丈夫だよ」
頭の中が真っ白になりかけていたが、なんとか気を失わずに済んだバトムス。
「………………はぁ~~~~~~。後が面倒な予感が、する」
「……うん、そうだね。慰めたいところだけど、多分面倒な事になると思うよ」
「えぇ~~、ちょっとは慰めてよハバト兄さ~~~ん」
「そうしたいけど、ほら」
「? …………げっ」
ハバトが指を刺した方向に顔を向け、目を凝らすと……馬車に記されている家紋が観えた。
その家紋に見覚えがあったバトムスは、零してはダメであろう声を零してしまう。
(ゆ、裕福どころの商人以上……お嬢と同じ、貴族の子供だと思ってたけど……そ、それ以上、かよ)
貴族の家紋など全く興味がないバトムスだが、アルフォンスが乗ってきた馬車に記されている家紋だけには見覚えがった。
何故なら……その家紋は、国の主を……王を記す家紋だからである。
「随分と凄いお方と友達になったんだね、バトムス」
「き、気楽に言ってくれるな~、ハバト兄さん」
アルフォンスのフルネームは、アルフォンス・レドローザ。
バトムスたちが暮らすレドローザ王国の第五王子であった。
(ま、まさか王族……王子だったなんて………………いや、え…………だ、駄目だ。また頭が真っ白になる)
バトムスはなんとか自身の部屋に戻ることが出来たが、そのままベッドに倒れ込んだ。
バトムスは……立場的には、自分よりもルチアは非常に高い立場にいることは解っていた。
ただ、ある意味距離が近いため、特に緊張することはなく、アブルシオ辺境伯家に仕える騎士や魔術師たちもフレンドリーに接してくれる者も多い。
当主であるギデオンに関しては見た目から辺境伯家の当主としての威厳を身に纏っているが、話す回数が多いバトムスはある程度慣れていた。
ただ、それでも本当に……本当に偉い方なのだという認識は持っている。
しかし…………王族となると、もはやどれだけ偉い人物なのか、正確に把握出来ない。
先日出会ったときは、アルフォンスの方からフレンドリーに接してくれたこともあって、バトムスもルチアと同じ貴族の令息だと思っていたからこそ、上手く接することが出来た。
ただ……知ってしまった。
アルフォンスはアルフォンス・レドローザ。
この国の王子なのだと。
「……後で、部屋に来るって言ってたよな」
このまま寝てしまいと思いつつも、それは不味いと思い、なんとか意識を……精神を整えようと、やったこともない座禅を始めるのだった。
「…………んじゃあ、離れた場所から入りましょうか」
「あっ……全く、しょうがないなぁ」
バトムスは屋敷の正面入り口から全く関係ない方向に向かって走り、魔力を纏って身体能力を強化し、更には身体強化という人間やモンスターが会得出来るスキルを発動。
二つの強化術を同時に発動したことで、まだ体が出来上がってないバトムスは猿のようにあっという間に壁を上り、着地。
ハバトも同じ方法で身体能力を強化し、壁を越えて着地した。
「ッ!! …………お前らな。いや、丁度お客様が来てる時だからというのは解るが」
「へっへっへ、すいません」
屋敷の正面入り口、屋敷への入り口には馬車が、客が既にいる。
だが、万が一のことを考え、屋敷庭などにも多くの騎士たちが見張りとして巡回していた。
「ほら、さっさと部屋に戻れよ」
「うっす」
小さな声で返事をし、バトムスはハバトと一緒に屋敷へ正面以外の入り口から入ろうとして。
「…………」
「……っ、あ! バトムス!!!」
なんとなく、誰が来ているのか解っていたが、それでも場所の方に目を向けてしまったバトムス。
そこには、予想していた通り先日偶々遭遇したアルフォンスがいた。
そして場所から降りたアルフォンスは、なんとなくアブルシオ辺境伯家の庭を見渡そうとした。
「「「「「っ!!!!!?????」」」」」
出迎えているギデオンやルチアを含むアブルシオ辺境伯家の人間たちや、護衛である老騎士と女性騎士までその言葉に反応し……アルフォンスの顔が向けられた方向に意識を奪われた。
(これは……に、逃げちゃ、駄目なんだろうな)
少し離れた場所で、大人達が面白い顔をしてる。
ついでに、一緒にいるルチアまで面白い顔をしてる。
そんな顔を見られたのは……それはそれで大変面白い。
普段であれば爆笑していたのだが……彼らが面白い顔をしてる理由に、自分が絡んでいるとなれば話は別だった。
何やらアルフォンスがギデオンたちが話ている様子が見える。
いったい何を話しているのか……頭が真っ白になりかけていると、走ってアルフォンスがバトムスの方に来た。
「バトムス、後で時間を作るから、その時にまた話そう」
「う、うん」
「それじゃ、またね」
駆け足で戻って行き、今度こそ正面からアブルシオ辺境伯家の屋敷に入っていったアルフォンスたち一行。
「バトムスの予想が当たったみたいだね……? バトムス、バトムス!」
「へっ? な、なに、ハバト兄さん」
「急にボーっとして、気を失ったんじゃないかと思ったよ」
「あ、うん、ごめん……とりあえず、大丈夫だよ」
頭の中が真っ白になりかけていたが、なんとか気を失わずに済んだバトムス。
「………………はぁ~~~~~~。後が面倒な予感が、する」
「……うん、そうだね。慰めたいところだけど、多分面倒な事になると思うよ」
「えぇ~~、ちょっとは慰めてよハバト兄さ~~~ん」
「そうしたいけど、ほら」
「? …………げっ」
ハバトが指を刺した方向に顔を向け、目を凝らすと……馬車に記されている家紋が観えた。
その家紋に見覚えがあったバトムスは、零してはダメであろう声を零してしまう。
(ゆ、裕福どころの商人以上……お嬢と同じ、貴族の子供だと思ってたけど……そ、それ以上、かよ)
貴族の家紋など全く興味がないバトムスだが、アルフォンスが乗ってきた馬車に記されている家紋だけには見覚えがった。
何故なら……その家紋は、国の主を……王を記す家紋だからである。
「随分と凄いお方と友達になったんだね、バトムス」
「き、気楽に言ってくれるな~、ハバト兄さん」
アルフォンスのフルネームは、アルフォンス・レドローザ。
バトムスたちが暮らすレドローザ王国の第五王子であった。
(ま、まさか王族……王子だったなんて………………いや、え…………だ、駄目だ。また頭が真っ白になる)
バトムスはなんとか自身の部屋に戻ることが出来たが、そのままベッドに倒れ込んだ。
バトムスは……立場的には、自分よりもルチアは非常に高い立場にいることは解っていた。
ただ、ある意味距離が近いため、特に緊張することはなく、アブルシオ辺境伯家に仕える騎士や魔術師たちもフレンドリーに接してくれる者も多い。
当主であるギデオンに関しては見た目から辺境伯家の当主としての威厳を身に纏っているが、話す回数が多いバトムスはある程度慣れていた。
ただ、それでも本当に……本当に偉い方なのだという認識は持っている。
しかし…………王族となると、もはやどれだけ偉い人物なのか、正確に把握出来ない。
先日出会ったときは、アルフォンスの方からフレンドリーに接してくれたこともあって、バトムスもルチアと同じ貴族の令息だと思っていたからこそ、上手く接することが出来た。
ただ……知ってしまった。
アルフォンスはアルフォンス・レドローザ。
この国の王子なのだと。
「……後で、部屋に来るって言ってたよな」
このまま寝てしまいと思いつつも、それは不味いと思い、なんとか意識を……精神を整えようと、やったこともない座禅を始めるのだった。
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