執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?

Gai

文字の大きさ
23 / 170

第23話 やっぱり怖い?

しおりを挟む
「よし、やるか!!」

アルフォンスが王都へ帰ってから約十日後。
今日は訓練ではなく、狩りに時間を使うと決め、手の空いている騎士に声を掛けて同行してもらう。

「そういえばバトムス。いつのまに王子様と知り合ったんだ?」

「……やっぱり耳に入ってるんですね」

「そりゃな~~。お前が割と社交性が高いのは知ってるけど、相手が王子様だからな~~~……マジでビックリしたぜ」

既に森の中ということもあり、二人の会話を聞いている物はいない。

「本当に偶々だったんですよ。街中を散歩してる時に、偶然目が合って……俺はそのまま離れようとしたんですけど、向こうが声を掛けて来たんですよ」

「つまり、最初に興味を持たれたのはバトムスの方ってことか」

「そういう事になるかもしれませんね。一応、護衛の老騎士っぽい人と女性騎士っぽい人がいたんで、お嬢と同じで貴族の子供かと思ったんですよ」

二人ともがっつりと鎧を身に纏ってはおらず、私服ではあったが……しっかり得物は帯剣していた。

「もしかしたら、アブルシオ辺境伯家に用があって、初めて街に来たのかと思ったんですけど……」

「アブルシオ辺境伯家に用があって、初めて街に来たっていうのも嘘じゃなかった。ただ、貴族の令息っていう予想は外れてて、まさかの国王陛下の息子、王子様だったってわけか」

「そういうわけです。さすがに驚かされたというか、頭が真っ白になったと言いますか……後で部屋を尋ねるって言われて待ってる間、全く何も考えられませんでしたよ」

「なっはっは!!! そんな経験はしたことねぇが、多分俺もバトムスと同じ体験をしたら、同じく放心状態になっちまうな」

男は貴族出身の騎士であり、辺境伯家の令嬢であるルチアの立場も、第五とはいえ王子であるアルフォンスの立場もよ~~~く理解していた。

(バトムスは歳の割にしっかりしてるところがあるというか、考える頭? みたいなのがあるから、余計にビビっただろうな……賢い? ってのも考えものってところか)

しかし、そう考えてみると余計にある疑問が浮かぶ。

「でもよ、なんで第五王子様にはそんなビビって、相変わらずルチア様をからかってるんだ?」

「なんでって…………お嬢は相変わらず小生意気なお嬢だからじゃないですか?」

どの口で他者を生意気だと評しているんだとツッコミたいところだが、なんとなく……バトムスから見れば、そういう存在なのだろうというのも解る。

「……お前みたいな奴がいて、ルチア様はある意味幸せ者かもしれないな」

「やっぱり、貴族の世界って怖いんすか?」

なんとなく想像は出来るバトムスだが、今のところ誰かの従者見習いとしてお茶会などにすら参加したことがないため、そういう怖さを身を持っていた体感したことがない。

「ルチア様ぐらいの歳頃のあれだと…………正直、使ってる言葉とかは、割と歳相応か? けど、ちっと記憶が古いが、やっぱり七歳ぐらいの子供でも、お前みたいに頭の回転が早かったり、やたら……理知的? な奴もいたな」

理知的、という表現に自分で口にした男性騎士だけではなく、評されたバトムスも揃って首を傾げた。

「そういう奴は、やっぱ子供ながらになんか違ぇって感じたな」

「なるほど……つまり、まだこう……貴族特有の恐ろしさ? みたいなのはあまり出てないんですね」

「親の威を借りて威張る奴はいたけど……まぁ、まだ可愛いもんかもな」

心の底から友達だと思える相手がいないのかもしれない。

そう思うと、ほんの少しだけルチアはルチアで苦労してるんだなと思ったバトムス。
とはいえ、これから接する態度を変えようとは思わない。

「っ、ストップだ」

「うっす……結構ヤバめのモンスターでもいましたか?」

「お前一人では、手に余るかもな」

二人の視線の先には、ゴブリンたちのリーダーであるゴブリンリーダーと、多数のゴブリンが……別のモンスターを囲んでリンチしていた。

「ありゃ小熊、だな……モンスターだとは思うが、随分と珍しい光景だな」

「小熊…………」

多数の緑色の小鬼が、小熊……子熊を囲っている。

(親は……親は、なんでいないんだ?)

ゴブリンとゴブリンの隙間から、子熊の顔が見えた。
見えてしまった……その瞬間、バトムスの中で覚悟が決まった。

「……パロットさん。俺、あの子熊を助けます」

「っ!? バトムス、あっちの子熊は子熊で……」

既に騎士として十年近く活動を続けてきた男、パロットは……バトムスが浮かべている表情に、見覚えがあった。

(何度も、見てきた顔だな……しっかし、まだ十歳にもなってねぇ子供がこんな顔をするとはなぁ……やっぱり、騎士にならねぇのは勿体ないって思っちまうな)

何かを成し遂げる為に、覚悟を決めた顔。
バトムスの表情からそれを感じ、パロットは了承した。

「解ったよ。ただし、なるべく自分の力だけでやってみろよ」

「うっす」

当然と言わんばかりの表情で頷き、バトムスは懐から短剣を取り出し、握りしめた。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

婚約破棄はハニートラップと共に

あんど もあ
ファンタジー
卒業パーティーで、平民の血を引いた子爵令嬢を連れた王太子が婚約者の公爵令嬢に婚約破棄を宣言した! さて、この婚約破棄の裏側は……。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

処理中です...