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第96話 そんな常識は、ない
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(気にしてもしょうがないよな)
間違いなく、まだ戦いが始まってもいないのに、同じ孫たちから敵視、もしくはライバル視されている現状を把握。
となると、全員が貴族の令息ではないとはいえ、それでももしや夜のうちに……なんて考えが浮かぶも、ネルドたちもまだ八歳~九歳。
裏でどうこうしようとする財力や技術もない。
夕食後、バトムスは考えることを止めて眠りについた。
翌朝、先日と同じく全員で朝食を食べ終えた後、宿を出て……元騎士でもあるガリダスの案内で、ある訓練場へ向かう。
「すまないな、急に訓練場を貸してほしいと言って」
「いえいえ、ガリダスさんに頼まれれば訓練場ぐらいいつでも貸しますよ」
ムキムキ、もしくは細マッチョたちが集まる場所、騎士団。
フィーズを治める領主の下ではなく、フィーズ周辺の守護を担当している騎士団の訓練場を借り、そこで孫たちによる勝負が行われる。
(…………………………多分、ジーニスさん達の方が強い、よな)
当然ながら、弱いとは思えない。
まだまだガキんちょではあれど、調子に乗って「その歳でこの程度の強さ~?」なんて事は舌が裂けても言えない。
ただ、アブルシオ辺境伯家に仕える騎士たちの方が強いと感じたバトムス。
これまであまり比べる対象を見ていないので知らなかったが、アブルシオ辺境伯家に仕える騎士たちは他の貴族に使える騎士や、国に仕える騎士たちと比べても猛者が多い。
「それにしても、ガリダスさんもかなり孫バカだったんですね」
「ふっふっふ。君も孫が出来れば解るものだ」
ガリダスが騎士たちと和気藹々と話す後に付いて行くと、目的の訓練場に到着。
整備されており、木剣や木槍なども多数あり、訓練場として十分機能している。
「非番の騎士たちが見てはいるが、あまり気にせず戦ってくれ」
ガリダスは自身の孫であるマルダーだけではなく、バトムスたち全員に優しく伝えた。
(知らない騎士たちに見られるのか……まぁ、冒険者ギルドとかで戦れば口の軽そうな人たちに物凄い勢いで内容を広められそうだし、そういうのを考えれば広まるのがここの騎士団だけなら、特に問題にもならないか)
訓練場に到着したバトムスたちは、ひとまず各々持ってきている専用の木剣などを使い、体を温めていく。
「……バトムス、素振りはもう良いのか?」
「はい。多少は暖まったので、後は柔軟に使います」
バトムスにとっては、相手の攻撃で怪我をするよりも、準備運動不足のせいで足をくじいて怪我をするなどの方が、よっぽど嫌だった。
そんなバトムスの対応に笑みを浮かべる者、無表情な者……孫ズの表情にはバラつきがあった。
しかし、爺ちゃんズの心の内の表情は……苦笑いで一杯だった。
(まだ戦い始める前なのに、もう駆け引きを行っているね)
(やはり賢いですね~~。ゲルダンを含め、彼の行動の意図に気付いてる子はいるかどうか)
(むぅ…………この歳で、既に盤外戦術を行うか……)
(いやぁ~~、末恐ろしいとはまさにこの事じゃのぅ。本来なら先に伝えておきたいのじゃが……ルール違反になってしまうかのう)
ただ怪我の防止のためだけに、柔軟運動をメインで行っているわけではない。
バトムスはあえて自分の実力を見せず、本番が始まってから利用しようと考えていた。
卑怯と言う者もいるかもしれないが、準備運動の際に柔軟運動をメインにしてはいけない、本気を出さなければないけないといった常識やルールはない。
「では、そろそろ良いかの。では……まずはファスラルとバトムス君からでどうじゃ」
「俺はいけるぜ、爺ちゃん!!!!」
「……分かりました」
バトムスとしては、自分以外の四人が戦い終えた後、四人の内の誰か一人と戦いたかった。
そうすれば、全員のある程度の強さを把握した上で、戦うことが出来る。
ただ、ファルトンの孫であるファスラルは……バトムスの中でウザいガキんちょというイメージが強い。
ここで「次の試合でも良いですか」とでも言おうものなら「へっ、別に良いぜ。逃げ弱虫に強制させるのも悪いしな」と返されかねない。
ガキの言うことだから気にするな?
確かに、八歳のガキんちょが言う事ではある。
だが……それをサラッと受け流せる精神年齢があるのならば、バトムスはルチアに対してあそこまで反抗的な態度を取っていない。
ガキんちょであろうがなかろうが、ウザいものはウザい。
故に、特に反対せずにファルトンの提案通り、ファスラルとの試合を了承。
「バトムス、見ていたなら解ると思うが、ファルトンの孫はあやつに似て素手での戦いを得意としている」
「みたいですね。気を付けて戦います」
と言いながら、バトムスは普段使っている木剣を使わず、素手の状態で訓練場の中心へと向かうのだった。
間違いなく、まだ戦いが始まってもいないのに、同じ孫たちから敵視、もしくはライバル視されている現状を把握。
となると、全員が貴族の令息ではないとはいえ、それでももしや夜のうちに……なんて考えが浮かぶも、ネルドたちもまだ八歳~九歳。
裏でどうこうしようとする財力や技術もない。
夕食後、バトムスは考えることを止めて眠りについた。
翌朝、先日と同じく全員で朝食を食べ終えた後、宿を出て……元騎士でもあるガリダスの案内で、ある訓練場へ向かう。
「すまないな、急に訓練場を貸してほしいと言って」
「いえいえ、ガリダスさんに頼まれれば訓練場ぐらいいつでも貸しますよ」
ムキムキ、もしくは細マッチョたちが集まる場所、騎士団。
フィーズを治める領主の下ではなく、フィーズ周辺の守護を担当している騎士団の訓練場を借り、そこで孫たちによる勝負が行われる。
(…………………………多分、ジーニスさん達の方が強い、よな)
当然ながら、弱いとは思えない。
まだまだガキんちょではあれど、調子に乗って「その歳でこの程度の強さ~?」なんて事は舌が裂けても言えない。
ただ、アブルシオ辺境伯家に仕える騎士たちの方が強いと感じたバトムス。
これまであまり比べる対象を見ていないので知らなかったが、アブルシオ辺境伯家に仕える騎士たちは他の貴族に使える騎士や、国に仕える騎士たちと比べても猛者が多い。
「それにしても、ガリダスさんもかなり孫バカだったんですね」
「ふっふっふ。君も孫が出来れば解るものだ」
ガリダスが騎士たちと和気藹々と話す後に付いて行くと、目的の訓練場に到着。
整備されており、木剣や木槍なども多数あり、訓練場として十分機能している。
「非番の騎士たちが見てはいるが、あまり気にせず戦ってくれ」
ガリダスは自身の孫であるマルダーだけではなく、バトムスたち全員に優しく伝えた。
(知らない騎士たちに見られるのか……まぁ、冒険者ギルドとかで戦れば口の軽そうな人たちに物凄い勢いで内容を広められそうだし、そういうのを考えれば広まるのがここの騎士団だけなら、特に問題にもならないか)
訓練場に到着したバトムスたちは、ひとまず各々持ってきている専用の木剣などを使い、体を温めていく。
「……バトムス、素振りはもう良いのか?」
「はい。多少は暖まったので、後は柔軟に使います」
バトムスにとっては、相手の攻撃で怪我をするよりも、準備運動不足のせいで足をくじいて怪我をするなどの方が、よっぽど嫌だった。
そんなバトムスの対応に笑みを浮かべる者、無表情な者……孫ズの表情にはバラつきがあった。
しかし、爺ちゃんズの心の内の表情は……苦笑いで一杯だった。
(まだ戦い始める前なのに、もう駆け引きを行っているね)
(やはり賢いですね~~。ゲルダンを含め、彼の行動の意図に気付いてる子はいるかどうか)
(むぅ…………この歳で、既に盤外戦術を行うか……)
(いやぁ~~、末恐ろしいとはまさにこの事じゃのぅ。本来なら先に伝えておきたいのじゃが……ルール違反になってしまうかのう)
ただ怪我の防止のためだけに、柔軟運動をメインで行っているわけではない。
バトムスはあえて自分の実力を見せず、本番が始まってから利用しようと考えていた。
卑怯と言う者もいるかもしれないが、準備運動の際に柔軟運動をメインにしてはいけない、本気を出さなければないけないといった常識やルールはない。
「では、そろそろ良いかの。では……まずはファスラルとバトムス君からでどうじゃ」
「俺はいけるぜ、爺ちゃん!!!!」
「……分かりました」
バトムスとしては、自分以外の四人が戦い終えた後、四人の内の誰か一人と戦いたかった。
そうすれば、全員のある程度の強さを把握した上で、戦うことが出来る。
ただ、ファルトンの孫であるファスラルは……バトムスの中でウザいガキんちょというイメージが強い。
ここで「次の試合でも良いですか」とでも言おうものなら「へっ、別に良いぜ。逃げ弱虫に強制させるのも悪いしな」と返されかねない。
ガキの言うことだから気にするな?
確かに、八歳のガキんちょが言う事ではある。
だが……それをサラッと受け流せる精神年齢があるのならば、バトムスはルチアに対してあそこまで反抗的な態度を取っていない。
ガキんちょであろうがなかろうが、ウザいものはウザい。
故に、特に反対せずにファルトンの提案通り、ファスラルとの試合を了承。
「バトムス、見ていたなら解ると思うが、ファルトンの孫はあやつに似て素手での戦いを得意としている」
「みたいですね。気を付けて戦います」
と言いながら、バトムスは普段使っている木剣を使わず、素手の状態で訓練場の中心へと向かうのだった。
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