盟約の花婿─魔法使いは黒獅子に嫁ぐ─

沖弉 えぬ

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「魔法使いは黒獅子に嫁ぐ」前編

7進路変更

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 国を発つ馬車の中でたくさんの声を聞いた。カルディアとの別れを惜しむ声、結婚や誕生日を祝う声、深い事情を知る励ましの声。
 この国の人々はとてもあたたかい。この国に生まれ育って幸せだった。カルディアは生まれたその瞬間から他国に嫁ぐ事が決まっていた王子だが、不思議と国に対する不満や憎しみの念は湧いてこないのだ。それはきっと、カルディアはカルディアのまま、みんなから愛されてきたからだろう。
「フローガお父様、ここには居ないけどマーラお母様、アビアストスお兄様にデイモナお姉さま、それとリルディ」
 馬車から家族の顔を見つめて一人一人名を呼んでいく。あの怒りっぽい姉の目には珍しく涙が光り、鼻水まで垂れ流して泣くリルディを腕に抱き上げている。
 王族の後ろには教育係のイエルノが控えており目が合うとおいおいと泣き始めてしまった。
「これまでお世話になりました。カルディアはフォトスの王子として立派に務めを果たしに行きます」
 ニーマの腕の中でたくさん泣いたおかげだろうか、みんなの顔を見てももう涙は出てこなかった。もしくは彼らの前で不安な顔をしてしまわないように必死だったせいかも知れない。
「ニーマ」
 他より一歩下がったところでこちらをじっと見つめていたニーマにも声をかける。
「ありがとう。君が居てくれなくては、きっと今の僕はなかった」
 彼はカルディアにとって親友で、兄弟で、家族だった。そして唯一ニーマがなれないものである『伴侶』と連れ添うために、カルディアはこの世で最も愛しい者たちと別れなくてはならない。
『愛情の苗床』確かに胸に感じる温かなものがきっとそうだ。この先辛い事があっても故郷で与えられた溢れんばかりのものを思い出せばきっと耐えられる。
 カルディアは胸に手を当て目を伏せる。それがフォトス魔法国の最敬礼だ。最大の感謝と愛をこめてフォトス魔法国に礼を捧げた。
 誰かのすすり泣く声を聞きながら馬車は緩やかに走り出した。カルディアの門出には国の掟のために侍従は伴われない。これから知人の無い外の国へたった一人で赴く事になる。




 カルディアの乗る馬車はカルディアを乗せるためだけに連れて来たものだそうだ。アスランやその従者の男は自分で馬を駆っている。馬車の窓からちらちらと馬の尻尾が揺れるのが見えている。アスランの乗る葦毛の馬だ。
 ふと、亜獣人と獣の違いは何だろうと考える。
 アスランは獅子族というライオンの特徴を持つ亜獣人だ。身体的な特徴には耳や尻尾、牙に表れている。彼らの事は獣ではなく人間であると大陸法で定められているのだが、彼らの祖先は果たしてライオンだったのだろうか、それとも人だろうか。
 馬の尻の上で揺られるままに跳ねているアスランの尾をじっと見つめる。
「子猫みたいにじゃれないで下さいね?」
「ひえっ!?」
 突然声を掛けられたせいでびっくりして、思い切り頭を背もたれにぶつけてしまう。革張りの柔らかな椅子なので痛みはなかったが、ついつい後頭部を撫でる。
「アスラン様の尻尾、そんなに魅力的です?」
 この飄々とした掴みどころのない男はアスランの従者だ。アスランが連れてきている従者は彼一人だけで他は全て兵士のようだった。シリオの兵士はフォトスの騎士と比べてとても軽装なので一見するとそうと分からないが、よくよく見てみると体つきが文官のそれではないと分かる。この従者の男だけが非戦闘員らしく動き辛い長めのローブを身に纏っていた。
「あの、あなたの名前は?」
「おやこれは失礼しました。私は狐族こぞくのティキと申します」
 狐族、と口の中で呟く。どうりで尻尾がふさふさなはずだ。切れ長の目は黒っぽく、ピンと立ち上がった大きな耳には黄金色こがねいろの毛が生えている。肩の辺りで切り揃えられた真っすぐな髪もやはり黄金色だ。
「まぁ本当はフェネックなんですけど」
(どっちが本当だろう……?)
「フェネックは数が少なくて狐族といっしょくたにされているので、狐だと思って下さって構いませんよ」
(なるほど)
「うん、分かった」
 何だか不思議なペースで話す人だ。飄々とした雰囲気からはそこはかとなくニーマに似たものを感じるが、ニーマよりももっと腹の底が知れないような捉えどころの無さそうな印象を覚える。ティキはカルディアが頷くのを見て「素直な人ですね」と笑っている。
「これからはアスラン様の配偶者であるカルディア様にもお仕えする事になりますから、どうぞお困りがあれば私に遠慮なく仰って下さいね」
 ティキは手綱を握ったまま手指を胸の前で交互に重ねるシリオ式の挨拶をする。それからパカラッと小気味よい馬蹄の音を鳴らして馬車から離れていった。
 遠ざかっていく黄金の毛並みを見つめながら「気のせいではなかった」と感じる。初めに会った頃よりもティキの態度が軟化しているようだ。というより、きちんと従者然とした振る舞いになったと言った方が正確か。アスランの番になった事でティキの中でカルディアに対する意識が変わったのかも知れない。
 馬車に揺られる事しばらく。カラカラと車輪の回る音と時々小さな石で車体が跳ねる以外は平和な旅路が続き、そのうちウトウトし始める。一晩抱き潰されてその翌日には祝い事の余韻も何もないまま馬車の中だったので無理もない。
 思えば昨日の儀式のために半年も前から準備をしてきたというのに何て呆気ない事だろう。とくにこの一週間は極めて忙しなく、その上アスランのせいで怒ったり悲しんだり心の方もとても慌ただしかった。カルディアのまだ短い人生の中で間違いなく大一番だったはずの婚礼の儀は、心無い花契びの儀のせいで感慨に耽る事すらなく過ぎ去ってしまった。
 蓄積していた疲労がここに至って限界を迎えたのだろう。フォトス大森林を抜けるよりも早く瞼は落ちてきて転寝をしてしまった。
 次に目を覚ました時には窓から見える景色が一変していた。
「わあー……草原だ!」
 上ったり下ったりごく緩やかな傾斜を繰り返しながら、背の高い下草が地面を覆う大きな原っぱ。ぽつん、ぽつん、と何かの目印のように生えた灌木がなければ今自分がどこに居るのか見失ってしまいそうになるほどどこまでも開けた草原。世界はこんなにも広かったのだと、森の中では決して見る事の叶わない景色に心からの感動を覚える。
 ここはカルディアの知識が正しければ〈オトゥラック草原〉という場所だ。フォトス大森林のほとんど真南に広がっており、フォトス魔法国とシリオ武獣国を繋ぐ街道が走っている。
「お目覚めですか、カルディア様」
 ノックの後、窓ではなく扉の方からティキが声を掛けてきた。馬車は眠っていた間に停車していた。扉を開けると目の前には小さな池があった。馬たちがハーネスを外してもらって池の水を飲んでいる。どうやら馬たちのための休憩のようだ。
「カルディア様も水分は取っておいて下さいね。草原を抜けたら、すぐに乾燥地帯に入りますから」
「砂漠?」
「いいえ、そこまで砂だらけではありませんが、シリオ武獣国は荒野の国です。フォトスの森とは全く違う景色が待っていますよ」
 にこにこ、愛想の良いティキの笑みは何故だがあたたかみを感じない。まだカルディアが彼の事を信用出来ていないせいかも知れないが。
 ふと、ティキからはディナミの気配がしない事に今になって気付く。全く感じない訳ではないのだが、アスランのあの主張の激しい駄々漏れのディナミと比べると天と地ほどの差がある。ティキは生まれついてディナミが少ないのかも知れない。
 馬車から下りると馬と並んで池の水面に指先をつけてみる。池の水はとても澄んでいるので人が飲んでも大丈夫そうだ。
 馬車の進行方向とは逆の方向にカルディアが眠っていた間に抜けてきたフォトス大森林が見える。それらを確認してから、カルディアは池に向かって手を翳し、ディナミが応えてくれるのを感じながら池の水を宙に丸めるようにして浮かせた。
「うん、まだ距離がそんなに離れてないおかげかな」
 カルディアのディナミと池のディナミが混じり合い、水の塊がシャボン玉のようにしてふわふわと浮かんでいる。そこに口をつけてちゅうと吸うようにして水を飲んだ。
「これはすごい! 今のが魔法ですね?」
 ティキの細い目がこれでもかというほど広がっている。ティキの目はよく見ると黒ではなく焦げ茶色のようだ。
「まだ、フォトスが近いから使えたみたい」
「はい? それは一体──」
「おいティキ、馬を診てやれ」
「はいはい、仰せのままに」
 二人の会話を遮り指示を飛ばしたのはアスランだ。ティキは別段気分を害した風もなく、鷹揚に頷いてアスランの方へ行ってしまう。
 ティキは従者という立場があるが、対等であるカルディアはそうはいかない。会話の邪魔をされたような気分になってまだこちらを見ていたアスランを睨みつける。アスランはトルマリンブルーの瞳をす、と細めるだけで何も言わず踵を返した。
 フォトスを出てからこっち、アスランの顔を見る事がなかったおかげで忘れていた怒りと──恐怖。それらがいっぺんにぶり返してきて怒れば良いのか怖がればいいのか混乱する。冷めたような青い眼差しも相俟ってカルディアはどうして今自分がこんなところに連れられているのか分からなくなった。
(それにしてもあの透き通ったような青い目、どこかで見た事があるような気がする)
 一体どこで見たのだろうか。しばし考えてみたが記憶のどこの場面にもあの青い目をした知人は出てこなかった。
 黒くて長いふさふさした髪と尻尾を揺らして遠ざかっていく背中を見つめる。ライオン風に言えばたてがみだろうか、太陽の光を当てても真っ黒な髪は散髪を知らないみたいに長くて毛先が太腿をパシパシ叩いている。
 服の上からでも分かる骨格や筋肉はフォトスの民とは全く異なる作りをしており隆々としていて逞しく手足は長い。生活環境が全く違うのか、全身が引き締まっていて凹凸のある肉体はとても強そうに見えた。絵本で見るトロールのような寸胴体形ではなく腰の辺りにはくびれがあってしなやかさも兼ね備えている。
 シリオ武獣国の『武』とは戦う者たちの武勇や武力といったものに由来してつけられたという。彼らは基本的に武器に頼りきる事はなくその強靭な肉体を駆使して戦ってきた。だからあんなにも逞しい体つきをしているのだろう。
 カルディアは池にほんの少しディナミを注ぎ水鏡を作り出す。光の加減を調整し皺を伸ばすように手で撫で水面を安定させてちょっとだけ反射を良くするのだ。そうするとそこには金属を磨いたみたいにはっきりとカルディアの姿が映り込む。
(全然違う。同じ生き物じゃないみたいだ)
 オレンジの瞳に白銀の長くて柔らかな髪。髪は後ろで一つに大きくざっくりと編んだ旅の装いで、髪飾りや耳飾りのような装飾品は全部外して箱に仕舞って持ってきた。おかげで王族らしい華やかさにも欠ける今のカルディアは、シリオに行けば細くて小さなただの子供に見えるだろう。成人していてもこれだけ体格差があれば子供のようなものだ。アスランとの歳の差は六つだそうだが、外見年齢はそれ以上に離れて見えるような気がした。
 これまで自分の腕を細くて生白いと思った事は一度もなかったのに、種族や人種というのはこんなにも違いがある事に驚かされる。
 何となく溜息を吐いて、出発するまでの間馬車で休んでいようとステップに足を掛けた時だった。馬の悲しい感じのする弱々しいいななきが聞こえてきて、同時にうっすらとディナミを感じた。ディナミが流れてきた方に視線を向けると、数名の兵士と御者と共にアスランとティキが一頭の馬を囲んで何かを話しているのが見えた。
 すぐにディナミは分からなくなってしまったが発生源はきっとあの馬だろう。
「あの」
 馬を囲んでいるシリオ人たちに向かってカルディアが声を掛けると兵士たちがぎょっとなって振り返る。アスランは変わらずカルディアに関心を向けないので、代表してティキが「どうされました?」と対応してくれる。
「その馬はどこか怪我しているの?」
 カルディアが訊ねると兵士が小声で囁くのが聞こえた。多分、「今何て言ったんだ?」だ。シリオ人なら誰でもフォトス語が分かる訳ではないらしい。
「怪我は見当たらないので病ですかねぇ?」
 ティキがのんびりと答えるので大した事ないのかと思ったが、再び馬の方から何かを訴えるかのようにディナミが流れてきた。
 栗毛の馬は足を折り曲げ草の上に蹲っている。一見すると単に休んでいるだけのように見えるが、うっすらと伝わるディナミは苦しげだ。人と違って動物のディナミははっきりとした輪郭を持っていないので上手く汲み取れない事も多いが、病や怪我をしている時の苦痛のディナミは人も動物も同じだ。
「ちょっと触るよ」
 馬の近くまで行ってその場で屈むと、名前を呼ぼうとして知らない事に気付く。「ケスターネだ」カルディアの疑問に察したアスランが馬の名前を教えてくれる。意外な事に馬のような動物になら優しく出来るのかも知れない。
「ケスターネ、少し僕にディナミを分けてくれる?」
 耳を折り曲げてしょんもりとしているケスターネの首にそっと手の平を当ててみる。生き物のあたたかさがちゃんとあって、毛並みも悪くない。しかしニーマにしているのと同じ要領でディナミをほんの少し吸い出すと、ケスターネのディナミには不快の色が混じっているのが分かった。
「怪我とか病気が原因じゃないみたい」
「分かるのですか?」
「絶対に合ってるとは言えないけど、大まかな喜怒哀楽くらいなら、何となく」
「不機嫌なんだ、そいつは。何かに腹を立てている」
「不機嫌?」
 おうむ返しに訊き返してアスランを見上げる。馬の気持ちが分かるのだろうか。
 不機嫌という言葉をヒントにもう少しディナミを吸収してみる。手の平に意識を集中し、吸い過ぎないよう慎重にディナミを操作する。と、予期せず強い突風が吹き抜けていき、思わず「わっ」と叫びながら髪を押さえた。
「ああっ! 今、今すごく怒ったでしょケスターネ!」
 ケスターネが嫌がるように頭を振ってぶるると鼻ラッパを鳴らす。今たしかに風が吹いた瞬間だけケスターネから怒りが流れてきたと思うのだが、またすぐに落ち着いていく。それでも完全に落ち着く訳ではなく、ずっと燻るようにしてもやもやした感情が伝わってくるのだ。確かに『不機嫌』という表現が一番当てはまる気がする。
「風が嫌なのかな? だけど馬ってそういうの気にするもの?」
 立ち上がりアスランとティキに訊ねてみると、ティキは「さて?」という顔をしたがアスランの方に心当たりがあるように見えた。
「……。ティキ、この先に雨を凌げるような場所はあるか?」
「雨ですか? 往路とは違う道を行く事になりますが」
 ティキは言葉を切って一瞬だけ黙り込んだ。何かを考えるような間があった後、「北東の湖の畔に小規模の宿場町がありますねぇ確か」とゆったりとした口調で答える。
「時間は?」
「二時間ほどで着くかと」
「進路変更だ」
「仰せのままに」
 アスランがティキに話し掛けた辺りからシリオ語に切り替わっていた。おかげで移動を再開させる事くらいしか分からず「え? え?」と半分混乱しながら慌ててティキの後を追う。
「僕は馬車に乗ればいい?」
「ええ、お願いします」
「ケスターネの事はいいの?」
「大丈夫ですよ。アスラン王子が──ああ、そうそう」
 急いでいたはずなのにティキは急に立ち止まってぱちんと両手を叩いて鳴らす。
「良いものがご覧になれますよ、カルディア様」
 ほら、と肩を掴まれくるんと向きを変えられる。そちらはたった今走ってきた方向で、ケスターネが蹲っていた場所だ。
 まさかケスターネを置いていくのかと焦ったのだが、ケスターネの傍にはアスランが残っていた。馬をどうにか引っ張っていくのかと思った矢先、カルディアは仰天して「はぁ!?」と叫び声を上げた。
 アスランが、服を脱いでいた。手始めに上半身から脱ぎ出したアスランは素早く下半身にも手を掛けて、手際よく裸になっていく。何だ何だと思っているうちにあっという間にアスランは全裸になっていた。草原の薄緑に揺れる下草で膝下辺りまで隠れているが、肝心なものは全部丸見えだ。
「一体何を──」
 しているんだ、と続く言葉は暴力的に膨れ上がったディナミに掻き消される。あの日、あの晩にカルディアを犯し蹂躙し尽くした、アスランから溢れる凶暴なディナミだ。途端に夜の出来事を思い出してカルディアの顔が真っ青になる。
「あれは、な、何を……」
「〈獣化じゅうか〉ですよ。あなた方フォトス人が魔法を使うように、私たちは獣の姿をとる事が出来るんです。体型が変わるんでいちいち服を脱がなきゃいけませんけど」
「獣化……」
 変化は尾が生えている尻の付け根辺りからだった。漆黒の被毛がそれよりは白く見える人間の肌を覆い始め徐々に骨格が変形していく。二足歩行だったのが、背中を折り曲げ両手を地面につく頃には四足歩行に変わり、やがて体を覆う体毛も獅子の象徴たる雄々しい鬣も全部が黒一色の黒獅子がそこに佇んでいた。
 何て美しいのだろう。とても目を逸らさずにはいられない。黒々とした毛並みは陽光を受けて艶々と輝いている。アスランの口から吠え声が迸ると大きく開いた口から覗く鋭く尖った牙が恐ろしくも格好良かった。
「牧羊犬ってご存知です?」
 獅子姿のアスランに意識を奪われていたカルディアの耳にティキの笑みを含んだ声が響く。
「吠えて羊を集めるのがお仕事なんです。まぁこの話をするとアスラン様はきっと大変お怒りになられるんですけど」
 では何故それをカルディアに話したのだろうか。寧ろアスランに向かって『牧羊犬』と言ってみてほしいと言っているように聞こえる。
 カルディアは少し困ってから「ライオンって猫科でしょ」と答えた。
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