盟約の花婿─魔法使いは黒獅子に嫁ぐ─

沖弉 えぬ

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「魔法使いは黒獅子に嫁ぐ」前編

6花契びの儀

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 レンガ造りの建築はフォトス国内では比較的珍しい。木材に比べると丈夫だが、森に囲まれた国であるフォトスにとってレンガの材料となる土とはなのだ。
 レンガをたくさん作ろうとするとそれだけたくさんの土と石が必要だが、どこもかしこも木々の生い茂る森林の土を掘り返せば木は弱り腐っていく。そこから森は減少して、いずれは〈オヴァスディオル神様〉の怒りを買う事になるだろう。ディナミ魔力が荒れ狂いフォトスの民を襲うかも知れない。或いは見放されてすっかり魔法が使えなくなってしまうかも知れない。森と共に暮らしていくのがフォトス魔法国に女神が許した営みで、そこから大きく逸脱する事をフォトスの民は恐れる。
 それでもレンガが全く無いという訳ではなかった。文明国との交易も少なからず行っているし、外の国からレンガに限らず様々な物がフォトスの中にも入ってくる。
 王城と隣接する教会は、フォトスに古くからある数少ないレンガ造りの建物だ。ここは代々の司教たちが守ってきた祈りの場で、小規模の祭儀ならここで執り行う事も多い。〈花契はなむすびの儀〉もその一つだ。
 フォトスの民は初めての交わりを神聖なものだと考える。性交は愛する人間とディナミ魔力を交わらせる行為でもあり、それはオヴァスディオルの許しがなくては行ってはならない行為だ。特に王族の初夜には立会人が必要で、滞りなくディナミの交流を終えた事を証明する必要があった。オヴァスディオルを敬愛し、ディナミに感謝し、子をなし王族の血を絶やさない事。そうしてフォトスを守っていく事が、王族の務めだと教わってきた。
 アスランはフォトス人ではないためディナミを自らカルディアに送るという事が出来ない。そのため本来ならカルディアが行為の最中に互いのディナミを交わらせなくてはならないが、ディナミは信頼関係がなくては送る事も受け取る事も出来ないため、今夜の儀式は紛れもなく子を作るためだけの行為で終わってしまう事だろう。ともすれば生涯カルディアはアスランとディナミを送り合う事なく人生に幕を下ろすかも知れないとさえ思う。
 レンガ造りの教会は、木造りに比べると何だか冷たい感じがする。殊にここが冷えるという訳ではない。フォトスの森から伐った木材とは違い、外の国から輸入したレンガにはディナミが宿らないからだろう。肌で感じるほど豊かなディナミはフォトスの森で生まれて育つものにしか宿らない。だからこそ古くに人はフォトスの森を巡って争ってきた。
 カルディアたちを先導する司教は教会の中に漂うディナミの様子にはさほど関心がないように見える。実際にはカルディアが敏感過ぎるだけなのだが、今のカルディアに他者の事を考える余裕はなかった。
 ディナミの薄い教会の中を進むうち、嫌悪感に満ちた心はそのまま冷えてゆく。司教は長椅子を横切って司教室の扉を開けると、自分はそこで立ち止まって胸に手を当て目を伏せた。ここから先はカルディアとアスランだけが入る事になる。
 あれだけカルディアに対して嫌悪感を示すくせに、アスランは躊躇う事なく先に司教室へと入っていく。寧ろ彼の脇を固めていた兵士たちの方が取り残されたような顔でアスランを見送った。
「さぁ、カルディア王子。外には私共が控えておりますから」
「うん……」
 心臓が嫌な音を立てている。冷たい汗が首筋を伝うのが分かった。
 司教室は広く造られた礼拝堂とは違い天井も低ければ四方を囲う壁同士も近い。一つだけ用意されたベッドは普段司教が使っている物ではなく今夜のために新しく作って運び込まれた物だ。そもそも司教はここで寝泊まりする事はない。日中は礼拝堂か聖堂で過ごし夜には自分の家に帰っていく。この部屋自体使う事も滅多にないだろう。心なしか埃やカビの匂いが鼻を掠めていく。
 ベッドはカルディアの部屋にある物よりもずっと大きかった。カルディアが四人ほど寝転がれそうなそれはきっとアスランの体に合わせて作ったからだ。獅子族がフォトス人よりも体が大きいというのが互いの国の当たり前となる程度にはそれなりの国交がある。
 アスランはあの薄汚れた服のまま、ブーツも脱がずにベッドに上がる。おかげで真っ白なシーツの端が土で黒ずんでしまった。脱げとも言わずにカルディアがアスランを睨みつけると言いたい事を察したようで「行為中に襲われたらたまらない」と吐き捨て結局靴は脱がなかった。
 アスランはフォトス人を馬鹿にしているくせに、襲われる心配をするというのは何だか意外なような気がした。確かにフォトス人は魔法に長けているが争いを好まない事は歴史が証明している。今だって自国の王子が裸になろうというのに、それを守るのは騎士たちではなく祈る事が仕事の司教たちだ。
 どこに警戒する必要があるのかと思うと、途端に目の前の黒い雄獅子が震える子羊のように見えてくる。
「フォトスにとって、最初の性交は神聖なものだ。あなたの国ではどうか分からないがここが──」
「御託はいい。早く上がれ」
「っ……」
 むん、とカルディアのディナミが膨れ上がるが、アスランに気付いた様子はない。きっと獅子族、いやシリオ武獣国の〈亜獣人〉たちはディナミを感じる事が一切出来ないのだろう。やはり、ディナミの無い土地で育ちディナミを使わず生きてきたものにとってディナミの存在は遠いもののようだ。ひょっとすると無いも同然なのかも知れない。
 まるでの部屋かのように見せている、部屋の半分近くを埋めている大きなベッドに靴を脱いで乗り上げる。長い純白のローブをたくし上げて膝立ちのままアスランの正面まで歩いて腰を下ろした。片膝を立てて座るアスランに対して端座しているカルディアだが、それでも視線はアスランの方がやや高い。
「座ってないで後ろを向いて這いつくばれ」
 威圧的な言葉遣いにイラッとするが確かに男同士は後ろを向いた方がやりやすいと知識で知っている。尻の慣らしはとっくに受けてきているので、他人に尻を晒す事にもさほど抵抗はなかった。
 言われた通りに枕を抱いてうつ伏せに寝転がると、アスランはブーツのままカルディアの体に跨り両手をベッドに着いた。どうするつもりだろうと背後の気配に集中していると、熱感がふっと首筋に近づいてきて、次の瞬間あろう事かうなじに激痛が走った。
「いっ、だあぁっ!?」
 噛まれた。噛まれたのだ!
 そうだこれは牙が皮膚に深く突き立てられる痛みだと理解するまでたっぷり三秒かかり、半狂乱になって腕を振り回す。
「は、放せ! 痛い痛い、嫌だぁ!!」
「うるさい黙れ」
 アスランが腹の底に響くような低い声で凄むと、カルディアの喉が恐怖にヒッとか細く鳴る。よもや自分はこのまま食い殺されてしまうのではないか。そんな事を想像させるくらいにはアスランの声音は憎悪に満ちている。
(酷い!! 断りもなくうなじを噛むなんて……っ!)
 αがΩのうなじを噛むという行為は、二人がつがいになるためにする事だ。カルディアとアスランは互いに配偶者となるのだからいつかは番関係を結ぶものだという事も分かる。だけどまさかこんなにも突然、確認さえもなく一方的に番にされると誰が予想出来ただろう。
 αが極端に少ないフォトス人にとって番とは決して身近な事ではないから、世間一般の番たちがどういう段取りでどういう雰囲気で番になるのかなどカルディアには想像もつかない。それでもアスランの行為がどれだけ一方的だったかくらいカルディアにだって分かる。こんなものはほとんど暴力だ。
「い……ったぁ……っ」
 ズ、ズ、と牙が皮膚から抜けていく感触にゾッとして、カルディアの喉から苦鳴が漏れていく。
 これでカルディアはアスランと番になってしまったという事なのだろうか。
「いきなり何するんだよ!!」
 背中に伸し掛かられていた圧迫感が消えるなり涙目で振り返ってアスランに抗議する。口の周りを血塗れにしたその赤い液体が自分の血だと思うとおぞましい。
「ぎゃあぎゃあ喚くな。お前はそこに転がってろ」
「はぁ!?」
 ドンと強く肩を押されると呆気なくカルディアの体は再びうつ伏せになってベッドに沈む。顔から枕に埋もれて苦しさに半身をよじろうとするも、ローブの裾が捲り上げられてぎょっとする。
「ちょっと!」
 カルディアの抵抗なぞあってないようなもので、下着さえもあっさり取り払われて外気に触れた性器がふるりと震えた。当たり前だがそこはしにゃりとへし折れている。
 しかしアスランにとってカルディアの陰茎の状態など関係ない。彼の用事は尻にある。
「ひ、ぐっ」
 再び断りなくアスランの太い指が孔に無理矢理押し込められて、カルディアはぐっと歯を食い縛った。そこは男やαの外性器を受け入れるように出来ているが、だからと言って前戯もなく勝手に濡れるようなものでもない。しかしアスランに容赦はなかった。乾いて引き攣れるそこに気持ち程度潤滑油を塗って強引に指をねじ込んで、固く窄まった中を拡げようとめちゃくちゃに指を動かしてくる。
「ふぐっ、やめ、い、痛いっ、嫌だ……!」
 カルディアが悲鳴を上げるとその度にアスランから苛立ちのディナミが溢れた。フォトスの人間でなくとも、ディナミを感じる力がなくとも、ディナミは人間の体の中で勝手に生成されるもの。土や植物とは違う。
 知覚する事が出来ないせいか、アスランから漏れ出すディナミには遠慮や気遣い、恥じらいのようなものが一切ない。純粋なままの怒りのディナミが滂沱の如くアスランから溢れだし、それは犯されるカルディアを恐怖させた。
 子羊だなんてそんな事を一瞬でも思った自分を馬鹿だと罵る。黒い雄獅子の暴力的なディナミはまさに野生の獣のそれで、セックスというよりまるで捕食行為のようだ。
 アスランはカルディアが嫌だやめてと訴えても一切手を緩めてはくれず、強引に勃たせた凶器のような陰茎でいい加減に解しただけの尻を犯した。
 それは初夜に行われる神聖な行為などでは決してなかった。もしも神が見ていたら、きっとその背徳的な行為に怒り、ディナミを使ってカルディアを殺してしまった事だろう。
 アスランの一方的な蹂躙は一晩中続き、途中でカルディアはあまりの辛さに意識を手放した。




 翌日、教会に呼ばれたのは親でも兄弟姉妹でもなく従兄弟のニーマだった。司教が声を掛けても司祭が食事を用意しても助祭がうなじの噛み痕を治療魔法で回復させてもカルディアはうんもすんも言わない。困り果てた司教が誰か呼ぶかと訊ねたところ「ニーマ」と漸くカルディアの口から声が聞こえてくるのだった。
 ベッドに沈鬱な表情で座っていたカルディアはニーマの顔が見えるなりわっと泣き出した。
「あんなの、あ、あんなのもう嫌だっ、嫌だよう、ニーマ……ッ」
 同い年で同性同バースで何かと張り合う事も多ければ喧嘩もたくさんしてきたけれど、弱った姿を見せられるのもまたニーマだけだった。兄は慰めてくれるだろうが彼は次期国王の立場として忙しい日々を送っているし、姉はあの調子なので一喝されて終わりだ。妹はまだ六歳なのでとてもではないがセックスでめちゃくちゃされましたと言って泣きつく訳にはいかない。父は国王、母は病床とくれば、やはり頼れるのはニーマをおいて他にはないのだ。
「あーあーよしよし、辛かったな、王子」
 ニーマに抱き着き身も世もなく泣き声を上げると、さしものニーマでもこんなに泣き喚くカルディアの姿を見るのは子供の頃以来なのでぎょっとした。しかしすぐに背中をトントンと叩いてあやすようにしてくれる。
 助祭が治療魔法をかけてくれたのでうなじは痛くない。意外な事に尻にはまだ何かが挟まっているような違和感があるだけだ。しかし、一度植え付けられた恐怖はなかなか拭えず、二度とあの獣とあんな事をしたくないという抵抗感がカルディアを苦しめる。
「獣だった。何もかも大きくてめちゃくちゃで、こっちの言葉なんて聞きやしない」
 猛獣という言葉がお似合いだ。姿かたちは耳と尻尾を除けば人のものだが、振る舞いも言動も人間の言葉を介する猛獣。漏れ出すディナミも威圧的で濃く、Ωのフォトス人がいかにか弱くて小さな生き物かを思い知らされた。
 痕は消えたが未だに思い出せるうなじに牙の刺さる感触。そこをそっと手で撫でると、その手にニーマの手が重ねられた。
つがった?」
「うん」
「強引に?」
「うん……」
「辛かったな」
「……」
 αとΩは番になる事が出来る。そうしたら命を分け合う者として生死を共にする事になる。番は片割れが命を落とすと、不思議な事に残された方も後を追うようにして死んでしまうという。
 番そのものが希少である事も助けてその関係性にロマンを見出す者も少なくない。カルディアもその気持ちはよく分かるが、王族としては番う事による問題の方がよほど気にかかった。例えばアスランに恨みを抱く者が居たと仮定して、その者が弱いカルディアの命を狙えばアスランを道連れにする事が出来てしまう。逆も然りだ。
 単純にΩの立場としても番になるメリットは基本的に無いと言って良い。番ったところで発情期ヒートがなくなる訳でも、番わなくては子をなせないという事もない。そうでなければ国民の九割以上がΩのフォトスはとっくの昔に滅んでしまっている。
 どうしてあんなに一方的にうなじを噛まれたのか。考えても考えても理由は分からなかった。
「別に、番にそんなに憧れがあった訳ではないんだ。でも、フォトスでは普通Ω同士で結婚するでしょ? だから、番って、どんな感じなんだろうって思ってた」
 カルディアの想像した番は『互いが唯一無二の伴侶であるという事を確かにするもの』だった。死が二人を分かつまで、という言い回しがあるが、死すらも二人を引き離せない関係、それだけの信頼をおける関係にこそ番は相応しいのだと思っていた。
 けれどアスランにとっては自分専用の種馬ならぬ繁殖馬、つまりただの『はら』だったのだろう。彼と対面する前からシリオにとってこの盟約はあくまでΩの妊孕にんよう力が欲しいだけのものだと分かっていた。非力で森を出れば魔法も使えなくなるフォトス人などあの国にとって胎以上の価値はない。それでも心のどこかでは何かを期待してしまっていたのだと今になって思い知る。
「子供を産んで、歳を取ったら、僕はどうなるんだろう」
 胎としての役目を終えたら、どうなってしまうのだろうか。捨てられるのか殺されるのか、或いは位の低い人間に下げ渡されて慰み者になるのか。想像して、全身が震えた。
 震えがニーマにも伝わったのか、背中を叩いていた手が止まり、カルディアを抱きしめた。
「逃げる? 俺と一緒に」
「え……?」
 咄嗟に彼の言葉が飲み込めず、驚きが遅れてやってきて、ニーマの胸に手をつき顔を上げる。そこには案外いつも通りのニーマの顔があった。おかげで驚きはしたものの混乱は少ない。
「……無理だよ」
 出来ない。自分が逃げた時の事を考えたら、胸がぎゅっと縮むようにして痛む。罪悪感というよりも、恐ろしいのかも知れない。民を見捨て、家族を蔑ろにしてのうのうと生き延びる自分を許してしまったら、それはもう「カルディア」ではなくなってしまうような気がした。
「そう? じゃあ行くの? シリオに」
 アスランの番として。そしていずれなる、シリオ武獣国の王配として──。
「うん」
 涙の乾ききらない目でニーマの目をまっすぐ見つめながらカルディアは頷いた。ニーマはふうと緩やかに息を吐き出しながら、目を細めるだけだった。
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