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56 タイムリミットでぽちっとな
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時を数日さかのぼる。
光の女神の宮殿で、女神は超疲れていた。それというのも、勇者召喚とトリプルS難度ダンジョンの、魔物や宝箱召喚の仕事が重なってしまったからだ。
光の女神の力でも、どちらか一方でさえ大変な仕事だ。トリプルS難度ダンジョンに挑もうというパーティは、それこそ限られている。
ましてやラスボスまで倒せるのは、今現在、勇者ムサシのパーティぐらいだと、女神は高をくくっていた。
ところが、招かざるパーティが、たった半日で宝箱を全部開け、ほとんどの魔物とラスボスを倒してしまった。
もうお分かりだと思うが、キキョウ、バイオレット、ガーネットのパーティだ。
バイオレットとガーネットは、キキョウの魔法縛り修行の一環で、トリプルSダンジョンを選んだ。
どんな挑戦者であろうが、魔族以外女神に拒否権はない。
そして女神は、ひどく後悔していた。このたびの被召喚者に、女を選んでしまったこと。
とにかく注文が細かい。特典能力に関してもそうだったが、容貌や肉体改造に関するこだわり。
「総子、もう妥協してくれませんか?
タイムリミットが近づいています。
あなたの魂を、新たな肉体が、受け入れなくなってしまいます」
「そうなんですか? それはまずいな。
え~っと、おっぱいの大きさと形は…こんな感じかな?
どう思います?」
総子はモニターの映像をにらみながら、マウス操作でおっぱいの形を整えた。
それは普通女神の仕事だが、総子の注文が細かすぎて、めんどくさくなり総子に任せている。
「ああ、いいんじゃないですか?」
女神はあくびを噛み殺しながら言う。
「私、もう地球に帰れないんですよね?」
総子は女神の気のない返事にカチンときた。
「気の毒ですが、それは無理です」
「私、召喚されたくて、召喚されたわけじゃないんですよ?」
「ですから、最大限の能力付与と、最高級の装備を……」
「そんなことより見た目大切!
女の子にとって何より重要なんです!」
「超きれいだと思います。
そのおっぱいなら、どんな男でも落とせます!」
「わかっていただいて恐縮です。
え~っと、乳輪の大きさと色は……」
総子は再び作業に没頭した。
女神はあきらめた。タイムリミット直前まで、好きにさせるしかない。
「よっし! 完成だ!」
総子は、下半身最重要ポイントの構造と外形を決めた。
総子は未経験者だが、体を許す男に、最高の喜びを与えたい。
彼女は四人兄弟の末っ子。上は男ばかり。兄たち秘蔵の専門書や映像で、豊富な知識は持っている。
総子は女神を振り返った。寝てるし……。生身なら光の女神を直視することはできないが、現在の総子は霊体。
超絶美女が口を半開きで、舟をこいでいる。
「光の女神様、起きて下さい!」
「あっ、ごめんなさい……。
まずいです! タイムリミットです。
諸注意を忘れていました。
え~っと、信頼できるパーティメンバーを……、それは当然ですね。
そうだ! ケーンという男……、あ~ん、時間がない!
ぽちっとな」
女神はエンターキーを押して、総子を聖神女が待つ魔法陣に転移させた。
かろうじて間に合い、女神は出るはずのない冷や汗をぬぐった。
「今の聖神女、十二歳でしたね。
大丈夫でしょうか?
ま、いいか。おやすみなさい」
女神は寝落ちした。
女神の心配したとおり、聖神女が十二歳(見た目八歳程度)の幼女であることと、総子のために使っていた日本語の、文末決定性が(文の最後まで、どのような意図で発したものか決定しないこと。たとえば、肯定文か否定文か最後までわからない)、女神本来の意図を大きく裏切ることになる。
光の女神の宮殿で、女神は超疲れていた。それというのも、勇者召喚とトリプルS難度ダンジョンの、魔物や宝箱召喚の仕事が重なってしまったからだ。
光の女神の力でも、どちらか一方でさえ大変な仕事だ。トリプルS難度ダンジョンに挑もうというパーティは、それこそ限られている。
ましてやラスボスまで倒せるのは、今現在、勇者ムサシのパーティぐらいだと、女神は高をくくっていた。
ところが、招かざるパーティが、たった半日で宝箱を全部開け、ほとんどの魔物とラスボスを倒してしまった。
もうお分かりだと思うが、キキョウ、バイオレット、ガーネットのパーティだ。
バイオレットとガーネットは、キキョウの魔法縛り修行の一環で、トリプルSダンジョンを選んだ。
どんな挑戦者であろうが、魔族以外女神に拒否権はない。
そして女神は、ひどく後悔していた。このたびの被召喚者に、女を選んでしまったこと。
とにかく注文が細かい。特典能力に関してもそうだったが、容貌や肉体改造に関するこだわり。
「総子、もう妥協してくれませんか?
タイムリミットが近づいています。
あなたの魂を、新たな肉体が、受け入れなくなってしまいます」
「そうなんですか? それはまずいな。
え~っと、おっぱいの大きさと形は…こんな感じかな?
どう思います?」
総子はモニターの映像をにらみながら、マウス操作でおっぱいの形を整えた。
それは普通女神の仕事だが、総子の注文が細かすぎて、めんどくさくなり総子に任せている。
「ああ、いいんじゃないですか?」
女神はあくびを噛み殺しながら言う。
「私、もう地球に帰れないんですよね?」
総子は女神の気のない返事にカチンときた。
「気の毒ですが、それは無理です」
「私、召喚されたくて、召喚されたわけじゃないんですよ?」
「ですから、最大限の能力付与と、最高級の装備を……」
「そんなことより見た目大切!
女の子にとって何より重要なんです!」
「超きれいだと思います。
そのおっぱいなら、どんな男でも落とせます!」
「わかっていただいて恐縮です。
え~っと、乳輪の大きさと色は……」
総子は再び作業に没頭した。
女神はあきらめた。タイムリミット直前まで、好きにさせるしかない。
「よっし! 完成だ!」
総子は、下半身最重要ポイントの構造と外形を決めた。
総子は未経験者だが、体を許す男に、最高の喜びを与えたい。
彼女は四人兄弟の末っ子。上は男ばかり。兄たち秘蔵の専門書や映像で、豊富な知識は持っている。
総子は女神を振り返った。寝てるし……。生身なら光の女神を直視することはできないが、現在の総子は霊体。
超絶美女が口を半開きで、舟をこいでいる。
「光の女神様、起きて下さい!」
「あっ、ごめんなさい……。
まずいです! タイムリミットです。
諸注意を忘れていました。
え~っと、信頼できるパーティメンバーを……、それは当然ですね。
そうだ! ケーンという男……、あ~ん、時間がない!
ぽちっとな」
女神はエンターキーを押して、総子を聖神女が待つ魔法陣に転移させた。
かろうじて間に合い、女神は出るはずのない冷や汗をぬぐった。
「今の聖神女、十二歳でしたね。
大丈夫でしょうか?
ま、いいか。おやすみなさい」
女神は寝落ちした。
女神の心配したとおり、聖神女が十二歳(見た目八歳程度)の幼女であることと、総子のために使っていた日本語の、文末決定性が(文の最後まで、どのような意図で発したものか決定しないこと。たとえば、肯定文か否定文か最後までわからない)、女神本来の意図を大きく裏切ることになる。
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