改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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59 新たな嫁二人

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 夜の王宮。夜の王宮メンバーと、新勇者、聖神女は感動のご対面。

 夜の女王は、ジャンヌと総子を見据える。

 白い神官服をまとったジャンヌは、幼女ながらも、さすが聖神女と評するしかない。
 ミレーユを縮尺したような印象。ミレーユとテレサ、ジャンヌを並べ、姉妹だと紹介されたら、「よく似てますね」と、誰しも答えるだろう。
 あまり言いたくはないが、光の女神の美的趣味は、高尚だと認めるしかない。
 着流しに紺の袴の総子は、きりっとした、日本人にしては彫の深い目鼻立ち。難を言えば、少し整い過ぎている。
光の女神は、おそらくかなり盛ったのだろう。
 だが、どこか内面の優しさも感じられる。
 夜の女王は、即決めた。二人とも、ケーンの嫁にしちゃえ!
「事情はすべてわかっております。
あなたたち二人を受け入れるには、条件があります」
 夜の女王は、厳かに口を開く。

「条件とは?」
 総子は女王に圧倒されつつもそう聞く。光の女神様より圧がすごい。

「ケーンの嫁になることです。
多分二人にとっても、その方が幸せです。
光の女神推しの人族と、魔王率いる魔族との戦い、本当は実に虚しいものです。
我が夫と側室が、その戦いから離脱したのは、そのことを知ったからです。
たとえ魔王を倒しても、魔王は必ず復活します。
つまり、人族と魔族の戦いは永遠に終わりません。
戦いを宿命づけられた光の女神と、魔王はそのことに気づいていません。
魔王が一度倒されたら、いやでも気づくでしょうが。
皮肉なことに、その戦いが人族と魔族の向上心を、持続させていることも事実ですけど。
人族にとっても魔族にとっても、『敵』が必要なのです。
魔王が倒れたら、数十年は復活できません。
その間、人族は堕落するでしょう。
魔王復活によって、また人族は結束する。
そしてまた、戦いを始めるしかない。
虚しいとしか言いようがないでしょ?」

 総子とジャンヌは、きわめて聡明な頭脳を持っている。夜の女王の話が事実なら、首肯せざるをえない。

だが、総子には抵抗があった。ケーンと出会ったばかりなのに、彼の嫁になること。

「総子がためらう気持ちはわかりますよ。
ジャンヌもまだ十二歳だし。
ですが、光の女神とテリーヌの追及をかわすには、ケーンと夫婦の契りを結ぶしかありません。
私の息子の嫁となったら、誰も手出しできないし、もちろん口出しもできない。
ジャンヌには、真に成長するまで仮の肉体を与えます。
どうしますか?」

「私、自由に生きられるのでしょうか?」
 ジャンヌはすがるような目で聞く。

「もちろんです。ケーンへの貞淑を守る限り、誰もあなたの行動は縛れません。
そして、ケーンは決して嫁を縛る男ではありません」
 女王は慈しみの笑みをジャンヌに与える。

「ケーンさん、私をあなたの嫁にしてください!」

「もちろんOK!」
 嫁たちは皆思う。相変わらず軽っ!
 だが、それがケーン。彼には嫁を絶対守るという覚悟がある。

ケーンがその言葉を発した瞬間、ジャンヌは美しい乙女の姿に変わった。

まばゆいばかりの金髪碧眼。総子の印象としては、光の女神とそっくりだ。
神々しささえ感じる。

そしてその印象は、ミレーユ様とテレサさんにも通じる。

私とまるかぶりかも……。

テレサは複雑な思いでジャンヌを見た。神聖魔法の腕は、絶対本家にかなうわけがない。
攻撃魔法、究めるしかない。そう決意を固めるテレサだった。

ケーンさんが決めた新しい嫁。ジャンヌを拒む選択肢はなかった。

「総子はどうしますか?」
 女王が総子に視線を向ける。

総子は思う。戦いが自己目的化する人生なんて耐えられない。私も自由に生きたい。
なんだかわけがわからないうちに、自分は光の女神様を裏切ってしまった。
もちろん言いたいこともある。たくさんある。聖神女、いや、元聖神女の、ジャンヌちゃんの目を信じよう。

「ケーンさん、私を嫁にしてください!」
 総子はためらわずそう答えた。

「もちろんOK! 二人とも、俺の部屋へおいで」

「はい!」
 二人は異口同音に答えた。

ケーンは二人の肩を抱いて、自分の部屋へ導いた。


「さて、光の女神とテリーヌに通告しましょう。
二人をケーンの嫁に頂きました。
今後一切手出し口出し無用。
あの女神の悔しがる顔が目に浮かびます」
 夜の女王は会心の笑顔で自室に帰った。

メンバーは、その姿を苦笑で見送るしかなかった。勇者と聖神女か……。文句の付け所がない。

さすがケーン。スゲー嫁、ゲットしちゃった。

さてさて、今後の方針、キキョウと相談しなくちゃ。

キキョウさんが正妻。後であの二人に念を押す必要があるだろう。そう腹を固めるユリだった。


 嫁たちは、リビング…というにはあまりに広い部屋に集合。
「とうとう六人に、なってもうたな」
 ユリがまず口を切る。
「ケーン様だから、仕方ありません。
それに、みんなケーン様が認めた女性です」
 キキョウの口調は、いたって平静。この懐の広さは、ケーンの嫁のトップとして、得難い資質だとユリは思う。

「ジャンヌちゃんは、魔法オンリーやろな?
総子ちゃんは、どないやろ?」

「光の女神様が遣わした勇者です。弱いわけがありません」
 テレサが言う。
「せやろな。二人の考え方次第やけど、冒険者登録しとったほうがええと思う。
あのふたりやったら、あっという間に上級クラスに昇れるで」
「光の神殿、横やりを入れないでしょうか?
多分、光の神殿とギルド組織、深いつながりがありますよ」
 レミが物申す。

「女王様のお言葉を信じましょう。
女王様が『手出しできない』と、断言なさった以上、心配する必要は
ないと思います」
 キキョウは内心思っている。女王様が私だけに明かしてくださったあの秘密。

 あの作戦を成功させるために、二人はきっと得難い戦力となる。
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