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63 あれで、あれなケーンの店開店
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※ ジャンヌの名前、盛大に間違えてしまいました。 てへ♡
1/18 7:00訂正
翌日、ケーンと嫁一同は、雑貨店開店準備のため、転移してきた。二階のダイニングキッチンに、常設魔法陣をジャンヌが設置した。
元聖神女が嫁に加わり、転移魔法はまさしく使い放題。
「まず店の名前、決めなあかんのちゃう?」
店内の改装、棚やレジの準備を一通り終え、ユリが問題提起。
「うさちゃんの店!」
ジャンヌがすかさず提案。ジャンヌは例のうさちゃん着ぐるみを、断固として着用し続けている。
光の女神は、多分知っているだろう。女神に血圧があるのか不明だが、あったとしたら相当上がっているに違いない。
「かわいいけど…雑貨店にどうかな?」
キキョウが遠慮がちに反論する。
「メグの店でいいんじゃないですか?」
レミが提案。
「それはダメよ。オーナーは、あくまでケーンさんなんだから」
メグが反論。
「ちょっとブラックに、茶と白い粉屋、とか?
香辛料と塩・砂糖が目玉なんだし」
ケーンが提案。
「却下です! 人聞きが悪すぎますよ!」
総子が眉をひそめて反論。こちらの世界に、アブなすぎるお薬があるかどうか知らないけど。
「素直にケーンの店。
どないや?」
ユリが提案。
「ケーンさん、もうギルドでは有名人だそうだし。
いいんじゃないですか?」
テレサが賛成する。
「ほな決定。ケーン、看板作ってや」
ユリの言葉に「かわいくないし」とか「ひねりがないよね」とか、ぶつぶつつぶやくケーンだった。
「で、ケーン、目玉商品、全部粉もんやな?
どうやって売るんや?」
ユリが聞く。
「だから粉屋……」
「ケーンさん、ダメと言ったらダメです!」
清廉潔癖、正義感の塊女子総子が、ケーンをにらみつけた。
「へいへい。この容器に入れて販売する」
ケーンが不満顔で、陶製と金属製の容器を出した。
陶製は昔日本の駅弁で売っていた(今も売っているかもしれない)「峠の釜〇」のアレに酷似している。
金属製はラーメン店によく置いてある、でかめのコショウ入れそのもの。
「どれも湿気を嫌うからね。
除湿の付与付き。
次からは、量り売りでいいんじゃないの?」
嫁一同とメグはあきれ果てた。容器だけでも爆売れ間違いなし!
「まあ、それはそれでええとして、他にもあるんやろ?」
ケーンの性格を知悉しているユリが問い詰める。
「じゃじゃ~ん!
ピラーに肉包丁、万能包丁。ナイフにフォーク。トングに……」
ケーンはアイテム庫から、次々と日用品を取り出した。
「どら〇もんかよ……」
総子が、ぼそっとつぶやいた。
「ケーン、もうええて!
メグ一人では、客がさばききれん!」
常識人ユリが物申した。
メグは激しく首肯した。
開店前日。
「準備は大体終わったな。
ケーン、看板出してみ」
ユリがジト目でケーンに言う。ケーンは、極秘裏に看板製作にいそしんでいた。
きっとあれで、あれに違いないが、看板ぐらいは大目に見よう。あれであれな販売品目は、最大限許容できる範囲で妥協した。「普通」の商品にまぎれるだろうし、数量限定は固く言い渡してある。
目玉の三品に加え、魔法の粉と称する、ケーン特製ブレンド香辛料も、超目玉商品となるだろう。肉料理に最適だ。
「ジャンヌ、見て見て!」
ケーンはご機嫌で布を外し、看板をお披露目。
「かわいいです!」
うさちゃん着ぐるみ、二次元美幼女がでかでかとデザインされている。幼少ジャンヌがモデルだ。
店名の「ケーンの店」は、極小さく右下隅の方に。
「まあ、許容範囲か……」
「ですね。ケーン様だから、仕方ないです」
苦笑してうなずき合う、ユリとキキョウだった。
開店当日。大通り各所に設置してある立て看板に、通行人は目をとめた。
看板に曰く。
『ごめんなさい。お金のない人は来ないで』
白ウサ着ぐるみ美幼女が、吹き出しでそう言っている。
矢印の先の看板白ウサ美幼女曰く。
『高い商品を売ってます。
安いのもありますけど』
その矢印の先の看板、白ウサ美幼女曰く。
『危なくない粉がありますよ。高いですけど』
次の看板には。
『お金と勇気がある方は、左へ曲がってください』
つまり、ケーンの店に、誘導されるよう設置されている。
お金と勇気がない者も、好奇心はある。おっかなびっくり路地へ入ると……。
等身大白ウサ美幼女フィギャーが、『新規開店』というプラカードを持って、店の前に立っていた。
結局何を売っている店かわからない。
お金と勇気はないが、人一倍好奇心旺盛の男が店内へ。
「いらっしゃいませ。
塩と砂糖、コショウ、魔法の粉、売ってます。
高いけど、買います?」
長く商売を務めているが、メグはうつむいてそう言った。
まあ、あれで、あれな商品は、仕入れ価格がタダなんだ。なんとかなるだろう。
1/18 7:00訂正
翌日、ケーンと嫁一同は、雑貨店開店準備のため、転移してきた。二階のダイニングキッチンに、常設魔法陣をジャンヌが設置した。
元聖神女が嫁に加わり、転移魔法はまさしく使い放題。
「まず店の名前、決めなあかんのちゃう?」
店内の改装、棚やレジの準備を一通り終え、ユリが問題提起。
「うさちゃんの店!」
ジャンヌがすかさず提案。ジャンヌは例のうさちゃん着ぐるみを、断固として着用し続けている。
光の女神は、多分知っているだろう。女神に血圧があるのか不明だが、あったとしたら相当上がっているに違いない。
「かわいいけど…雑貨店にどうかな?」
キキョウが遠慮がちに反論する。
「メグの店でいいんじゃないですか?」
レミが提案。
「それはダメよ。オーナーは、あくまでケーンさんなんだから」
メグが反論。
「ちょっとブラックに、茶と白い粉屋、とか?
香辛料と塩・砂糖が目玉なんだし」
ケーンが提案。
「却下です! 人聞きが悪すぎますよ!」
総子が眉をひそめて反論。こちらの世界に、アブなすぎるお薬があるかどうか知らないけど。
「素直にケーンの店。
どないや?」
ユリが提案。
「ケーンさん、もうギルドでは有名人だそうだし。
いいんじゃないですか?」
テレサが賛成する。
「ほな決定。ケーン、看板作ってや」
ユリの言葉に「かわいくないし」とか「ひねりがないよね」とか、ぶつぶつつぶやくケーンだった。
「で、ケーン、目玉商品、全部粉もんやな?
どうやって売るんや?」
ユリが聞く。
「だから粉屋……」
「ケーンさん、ダメと言ったらダメです!」
清廉潔癖、正義感の塊女子総子が、ケーンをにらみつけた。
「へいへい。この容器に入れて販売する」
ケーンが不満顔で、陶製と金属製の容器を出した。
陶製は昔日本の駅弁で売っていた(今も売っているかもしれない)「峠の釜〇」のアレに酷似している。
金属製はラーメン店によく置いてある、でかめのコショウ入れそのもの。
「どれも湿気を嫌うからね。
除湿の付与付き。
次からは、量り売りでいいんじゃないの?」
嫁一同とメグはあきれ果てた。容器だけでも爆売れ間違いなし!
「まあ、それはそれでええとして、他にもあるんやろ?」
ケーンの性格を知悉しているユリが問い詰める。
「じゃじゃ~ん!
ピラーに肉包丁、万能包丁。ナイフにフォーク。トングに……」
ケーンはアイテム庫から、次々と日用品を取り出した。
「どら〇もんかよ……」
総子が、ぼそっとつぶやいた。
「ケーン、もうええて!
メグ一人では、客がさばききれん!」
常識人ユリが物申した。
メグは激しく首肯した。
開店前日。
「準備は大体終わったな。
ケーン、看板出してみ」
ユリがジト目でケーンに言う。ケーンは、極秘裏に看板製作にいそしんでいた。
きっとあれで、あれに違いないが、看板ぐらいは大目に見よう。あれであれな販売品目は、最大限許容できる範囲で妥協した。「普通」の商品にまぎれるだろうし、数量限定は固く言い渡してある。
目玉の三品に加え、魔法の粉と称する、ケーン特製ブレンド香辛料も、超目玉商品となるだろう。肉料理に最適だ。
「ジャンヌ、見て見て!」
ケーンはご機嫌で布を外し、看板をお披露目。
「かわいいです!」
うさちゃん着ぐるみ、二次元美幼女がでかでかとデザインされている。幼少ジャンヌがモデルだ。
店名の「ケーンの店」は、極小さく右下隅の方に。
「まあ、許容範囲か……」
「ですね。ケーン様だから、仕方ないです」
苦笑してうなずき合う、ユリとキキョウだった。
開店当日。大通り各所に設置してある立て看板に、通行人は目をとめた。
看板に曰く。
『ごめんなさい。お金のない人は来ないで』
白ウサ着ぐるみ美幼女が、吹き出しでそう言っている。
矢印の先の看板白ウサ美幼女曰く。
『高い商品を売ってます。
安いのもありますけど』
その矢印の先の看板、白ウサ美幼女曰く。
『危なくない粉がありますよ。高いですけど』
次の看板には。
『お金と勇気がある方は、左へ曲がってください』
つまり、ケーンの店に、誘導されるよう設置されている。
お金と勇気がない者も、好奇心はある。おっかなびっくり路地へ入ると……。
等身大白ウサ美幼女フィギャーが、『新規開店』というプラカードを持って、店の前に立っていた。
結局何を売っている店かわからない。
お金と勇気はないが、人一倍好奇心旺盛の男が店内へ。
「いらっしゃいませ。
塩と砂糖、コショウ、魔法の粉、売ってます。
高いけど、買います?」
長く商売を務めているが、メグはうつむいてそう言った。
まあ、あれで、あれな商品は、仕入れ価格がタダなんだ。なんとかなるだろう。
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