改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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69 ユーシャのユーツ

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 ムサシのパーティは、夢で光の女神の神託を受け、神聖テリーヌ帝国を目指していた。

彼のパーティメンバーを一応紹介する。

ムサシ。クビになりかけた剣豪勇者。ただし、彼はその事実を知らない。
剣の腕は超一流。
若干臆病なところがある。卑怯ともいえる戦術も立てられるが、勇者の名がそれを許さない。
攻撃属性魔法はまんべんなく使えるが、突出はしていない。 

ライアン。超一流の攻撃力を誇る戦士。
剣、斧の使い手。バーサーカーのスキルを持つ。
ただし、そのスキルを使う前から、天然狂戦士だという説もある。

 リンダ。魔法戦士。
剣と魔法を器用に使い分ける。普段は沈着冷静だが、貧乳コンプレックスを持ち、それをいじられたら、ライアン以上の狂戦士になるという説もある。

 メアリー。元光の神殿の神官。
高度な神聖魔法、攻撃魔法の使い手。弓と魔法を使い分ける。「若いころ」は相当以上の美人だったはず。「美魔女」のほめ言葉さえ、ひどく気に障るらしい。

 このように、破壊力だけ見たら、勇者パーティにふさわしいメンバーだと言えるが、柔軟性に欠ける傾向がある。

ムサシがキキョウに熱烈ラブコールしたのは、その欠点を補うためだ。

それなりにバランスはとれているが、光の女神は、ムサシと彼が選んだメンバーに満足していない。

ケーンが人間界に降りてきて、いっそうその不満はつのっていた。

ケーンには有能な女を引き付ける、強烈な魅力があると感じていたから。ムサシには、決定的にその魅力が欠けている。

現にパーティの女二人は、彼になびこうとしない。ムサシに言わせたら「ごめんなさい」らしいが。


「リンデン枢機卿に会え、ということですが、光の女神様の目的はなんでしょう?」
 メアリーが言う。聖神女でない彼女は、夢の中でしか神託が聞けない。
彼女のキャパシティーでは、脳が膨大な情報量に耐えられないからだ。
したがって、女神の意図を、正確に知ることができない。

「何か嫌な予感がする。
女神様の神託、一年ぶりだよね。
スルーされすぎ?」
 リンダが不安げな表情で言う。

「要するに、クビじゃね~の? 
あの爺さんにリストラ通告させるつもり?」
 ライアンが、不吉なことを言う。

実は四人とも、内心それを心配していた。そうなってしまえば、不名誉どころの騒ぎではない。

そして何より、国際首脳会議や教会から、一切の援助が断たれてしまう。

いまさら冒険者ギルドに再登録するのも、なんだかな~、だし。

今までの資金で、生活の不安はないが、はなはだ生きにくくなることが、はっきり予想される。

「私達のパーティ、めぼしい実績上げてないし」

「キキョウにも、二度振られましたよね? 
シャドーの使者によれば、ケーンは本当に夜の女王の息子だそうです。
そのケーンの嫁に振られたとあっては、光の女神様にとって、大きな屈辱ではないでしょうか?」
 リンダとメアリーが、いっそうネガティブなことを言う。

「俺たちも諸国にも、魔王領に侵攻できるほど力はなかった。
魔王も動こうとしなかったし。
それでどうやって実績を上げればいい?」
 ムサシが半ギレ気味に言う。

「本格的な侵攻は無理でも、斥候に出る程度の誠意は、見せるべきだったかもしれません。
ダンジョンにもぐって、荒稼ぎするだけでしたから」
 メアリーは、不満に思っていたことをぶつける。

彼女は魔王側の沈黙が逆に怖かった。大規模な侵攻を予定しているのではないかと。

それをムサシに説いても、受け入れられなかった。

「クビになったらなったでいいじゃん。
どっかでハーレムでも作るか~」
 ライアンが脳天気に言う。

「どの面下げて言ってる」
「なにお~! この貧乳女!」
 リンダとライアンは一触即発の雰囲気。

「対決するなら、人様の迷惑にならないところで。
こんな街道で、あなたたちが戦ったら、シャレになりません」
 メアリーが、眉をひそめて言う。

「あ~! バラバラだ!」
 ムサシは頭を抱え、うずくまった。

他のメンバーは、さすがに頭が冷えた。四人はもう二十年近く組んでいる仲間だ。

ケンイチが魔王軍を著しく弱体化させたので、三十年ぶりに召喚された勇者がムサシだった。

「悪かった。先を急ごうか」
 ムサシは、気を取り直して立ち上がる。

「なんかごめん」
「私たち、あなたを見放しませんから。何があっても」
 リンダとメアリーの慰めが、余計に悲しいムサシだった。
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