改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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78 ケーン趣味に走る?

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 総子と、ジャンヌのレベリングを一区切りし、ケーン達はライラックに帰った。

「オバちゃん、これもついでに売ってよ」
 ケーンはレミの伯母の前に、風呂敷包を置いた。

「薬にしては、かさばってますね……」
 レミの伯母、サマンサは風呂敷を広げてみる。

「なんですか?」
 サマンサは中身を見て、いっそう不審の目をケーンに向ける。

「見ての通り、服だけど」

「いえ、服であることは、なんとなくわかるんですよ。
だけど、本当に服なんですか?」

「ウソの服なんてある?」

「いや、着られたら、なんでも服でしょうけど……」
 サマンサは一着を出してみる。いわゆる旧スクール水着と、日本で呼ばれるものだ。

「装着したら、名札に自動で名前が入る。
ひらがなだから、多分読めないだろうけど。
これから暑くなるし、水中で呼吸ができる魔法を付与してるから、溺れることはないよ。
超優れものだと思うけど」

「はあ。それはすごいですね……」
 ケーンは姪の夫。自分にとっても恩人である。

サマンサはそれ以上コメントができなかった。

だが、内心は思っている。

誰が買うのでしょう? 

「ケーン様、ウチは一応薬屋なのですが」
 見かねたレミが口をはさむ。レミはケーンの趣味の、被害者の一人だ。

「男にとって心の癒し。
大いに関係があるっしょ?」
 ケーンは屁理屈をこねる。メグの雑貨屋での布教活動は断念した。
 ならば、ということで、もう世間に知られているレミの薬屋で!

 執念深いからオタクとなる。

「まあ、そうでしょうね」
 レミもそれ以上のコメントができなかった。ケーンさんが癒されていることは、たしかなようだし。


「ケーン! 
やっぱりここやったか」
 ケーンに意見できる、ただ一人の女が店に顔を出した。

一般的感覚を備えているのは、ユリとレミだけだ。他の嫁は、ヒカリちゃんも含め、喜々としてケーンのお遊びにノリノリ。
ケーンの悦びは自分の悦び。キキョウはケーンが頼まなくても、率先して。
ジャンヌときたら、普段着はうさちゃん着ぐるみ。そのまま外出しようとするので、周囲の嫁は油断できない。
幼女の以前ならまだしも、光の女神を写したような超絶美少女がうさちゃん着ぐるみ。
特定マニア以外、かなりシュールに感じられる。

総子はオタク文化隆盛の流れで、その手の趣味に一定以上の理解を示す。


「俺の作ったコスプレ衣装が、たまりすぎて。
どうせなら、売っちゃおうかな~っと」
 ケーンは、ユリから目をそらして応える。

「売っちゃおうかな~? 
誰が買うねん! 
そんなキワキワの衣装」
 ユリは、レミとサマンサが、言葉にできなかったことを指摘してくれた。

二人は遠慮気味に、コクコクとうなずく。

「これは? 
全然キワキワじゃないよ」
 ケーンは、巫女衣装を広げる。

「十分キワキワや! 乳首透けるし、丈も短い」
 ユリは経験上、それらの特徴を知っている。ユリも自分が室内で着る分にはやぶさかでない。

「じゃ、これは? 純情乙女に超似合う!」
 ケーンは、夏物セーラ服を取り出す。

「胸元開き過ぎ! スカート短すぎ!」

「しょ~がね~な……」
 ケーンは不可視のアイテムボックスから、フィギャーを取り出す。

等身大で球体関節。手触りは本物に限りなく近い。もちろん、本物とは人体を指す。
ただし、顔は二次元美少女を立体化したものだ。

「乳首や性器は省いた。
これならR指定つかないっしょ! 
リカちゃんやジェニーちゃんの進化形だ。
これにコスプレ衣装着せたら……」

「ええから、帰ろうな~」
 ユリはケーンの耳たぶをつまみ、店から引きずり出した。


「レミ、これ、どうする?」
 伯母が困惑顔で聞く。

「案外客寄せにはなるかも。一応飾ろうか?」
 レミはとりあえず、一番無難なセーラー服をフィギャーに着せ、店に飾ることにした。

ケーン作の衣装は、どんな体型にも自動的にぴったり、というか、ぎりぎりフイットする、無駄に高性能なものだった。


数日後、どこやらの従者らしき男が、それらのグッズを、ごっそりと買い占めたこと付記する。

売れると思わなかったサマンサは、売り値に困り、まごまごしていたところ、従者らしき男は、金貨を五枚置いていった。

サマンサがケーンに、追加発注したことは言うまでもない。

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