改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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79 女はたくましい

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「あ~! やっと見つけた! ケーン殿、われら兄妹を弟子にしてください!」
 サマンサの薬屋から出てきたケーンとユリは、例の兄妹に見つかってしまった。

「クオークから来ちゃったの? ムサシは?」
 ケーンはびっくりして聞いた。

「そのムサシ殿の推薦です。
ケーン殿は新人の育成に長け、面倒見も最高とうかがっております」
 兄はケーンに、すがりつかんばかりの勢いで迫る。

「チッ……。ムサシめ~」
 ケーンは舌打ちする。きっとめんどくさくなって、自分に押し付けようとしたのだ。

「あのさ、君たち冒険者登録してる?」
 ケーンは一応聞いてみる。

「もちろんです! 
登録してたった二年。Dランクに届きました!」
 兄は胸を張って答える。

「私はまだEランクですが、回復魔法が使えます!」
 妹はすがるような目でケーンを見る。この世界では珍しい丸顔で、目がありえないほどでかい。
美人系というより、あきらかにカワイイ系。

体はまだ発展途上段階だが、コスプレが超似合いそう。

ケーンの心は大いに揺らいだ。

兄は限りなくどうでもいい。妹だけ、というわけにいかないよね?

「どうして強くなりたいの?」
 ケーンが聞く。

「田舎騎士領主の五男。
その立場、わかりますか? 
俺は強くなければダメなんです。
メイをゲンナー男爵の、妾になどできない!」
 ケーンは、このシスコン兄の立場が、はっきり見えてきた。

妹をスケベ男爵に奪われるのがいやで、家から飛び出したのだ。

フェミニストのケーンは、妹に同情した。
「金、そんなに持ってないだろ? 宿代も厳しいんじゃない?」
 兄は薄汚れた革鎧。妹はぼろい魔導服。二人に武器は与えたが、防具までは渡さなかった。
 兄の剣を、総子が折っちゃったから、それほど不自然でなかったし。

兄妹の家は、ある程度裕福なのだろう。元はまずまずの防具だったと思われるが、旅の苦労をしのばせる。

「お恥ずかしいですが、そうなんです。
実はムサシ様に融通していただいた路銀、底をついています。
だからケーンさんに見捨てられたら……。
うっく…超困るんですぅ~!」
 メイと呼ばれた少女の目から、ぼろぼろと涙がこぼれた。
 かわいい女の子の涙に、抵抗できるケーンではない。

 ケーンは考えた。メグの店で働かせる?
 いや、メグは中途半端な年齢だ。兄は彼女に若すぎる。同居させたら、おぼれた関係になりかねない。
 それに、そんなことになったら、メイの居場所がなくなってしまう。

 ならば……、
「わかった。
俺がクエストを出す。
仕事は薬草採集時のレミと、この店の用心棒。
三食付きの住みこみで頼んでやる。
空いた時間に稽古をつける。
それでどう?」

 レミの店なら、メイにしょっちゅう会えるしね!

 願ってもない好条件に、ただちに食いついた兄妹だった。


 ケーンは、ユリと共にメグの店へ寄ってみることにした。
「なあ、ユリ。メグのことなんだけどさ……」
「ケーンの趣味と、違うんやろ?」

「そうなんだけどさ、女の一人暮らし続けさせるの、どうかと思うんだ」

「ケーン、女はあんたが思うほど、弱い生き物とちゃうで。
人生振り回されるような男と暮らすより、一人の方がよっぽど気楽や」
「それもそうだろうけどさ……」
「あんたにもうちょっと、男付き合いに甲斐性があったら、ええ男見繕うて、紹介できるやろけど、無理やろ?
嫁も皆、どっちかと言うたら、男嫌い属性ばっかりや。
そんな嫁、惚れさせたんは、評価しとるんやで」
 ユリは心からそう言えた。ケーンは極めつけの変な男だ。だが、純粋で男嫌いの自分でも、安心して付き合える。
 男嫌いでも、第二次性徴を迎える前の少年が、嫌いな女は少ないだろう。
 ケーンは、性欲にあまりに忠実だが、嫁に対しては誠実そのものだ。だから、性欲を含めたその純粋さに、女は惚れてしまう。

 ケーンとユリは、ケーンの店の前に着いた。

 ひゅ~~~ん。どすん……。
 男が開いたドアから飛んできた。

「テメー! どの面下げてメグさんに会いに来た!
あらっ! ケーンさん!」
 オートマタのミドリちゃんが、店から飛び出し、ケーンに抱き付いてきた。
「この男、もしかしてメグの元旦那?」
 ケーンは、ミドリちゃんを抱き止めて聞く。
「そうなんですよ!
性懲りもなく博打に負けたんですって!
店と土地も取り上げられたそうです。
なんとかという高利貸しに」 

 ケーンは、ミドリちゃんを抱いたまま、気絶した男を見下ろす。

 だめだ、こいつ……。


 ケーンとミドリちゃんは、ユリが目を背けるほどマック(メグの元旦那)をつるし上げた。
 生まれたことを、マックが後悔するほど。オートマタのミドリちゃんはもちろん、ケーンは男に対して容赦はしない。

「メグ、もうあいつ、二度と来ないと思う。
ちょっとやりすぎだったかもしれないけど」
「かまいません。おかげさまでせいせいしました」
 メグの目は、険しく座ったままだった。言葉通り、全く未練はなさそうだ。

「こんなとき言うのもどうかと思うけど、一人暮らし、寂しくない?」

 メグは意外そうな目でケーンを見た。
「もしかして、聞いてないんですか?」
 メグは、なぜだかうっすら頬を染めて言う。

「何を?」
 ケーンはきょとんとして聞く。
「オートマタさんたち、交代で泊ってくれてるんです。
皆まで言わせないでください!」

「あっ……。そういうことか……」
 どういうことかと言えば、オートマタたちは、百合属性でもある。ケーンがエッチの味を覚えさせたから、必要性に駆られ、そうなってしまった。
 ケンイチもオートマタたちにねだられ、色々な小道具を開発した。全く心ならずも。
 何を隠そう、ユリもその小道具を愛用し、嫁たちをかわいがっている。
 R15につき、小道具の詳細は語れない。

 ケーンは思う。確かに女はたくましい。
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