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82 夜空城でデート
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ケーンはメイの休日を選び、夜空城デートに誘った。兄にはイケナイガス抜きをさせたので、メイに悪い気がして。
兄妹にはすでに自分の出自を明かしている。戦闘能力は、ちょっとね、だが、人間性は信頼できると認めている。
「夜なのに明るい。どうなってるんですか?」
メイがここへ転移し、最初に驚いたのは、整然とした街並みだった。現代の地球人が見たら、マンションが立ち並ぶ都市部型住宅街を連想しただろう。
そして、次に気づいたのは、夜なのにどうして明るい? ということだった。
夜空城は、常に夜の上空を飛んでいると聞いていたから。
「二十四時間真っ暗じゃ、生活が不便だろ?
認識できないけど、夜空城は巨大なドームに覆われている。
朝から夕方までは、人工照明が光を注ぐんだ」
ケーンが解説する。
「夜の女王様が、お作りになったんですか?」
うさちゃん着ぐるみの、ジャンヌが聞いた。ジャンヌに転移を頼んだら付いてきた。
「知らない。母ちゃん、そのへんのところ、いつもごまかすから」
ケーンは、細かいことを気にしない。
相当でかいことだろ?
まあ、いいんじゃないの、が、ケーンのイズムということ。いいんじゃない?
「ジャンヌさんは、夜空城初めてなんですか?」
メイは、自分と同じように、周囲の景観を物珍し気に見渡すジャンヌに聞く。
「今、ほとんど王宮に住んでますが、保護区以外は時々です。
旦那様とは初めてです」
ジャンヌは、ちょっぴり責める目でケーンを見る。
旦那様、滅多にデート、してくれないんだもん!
エッチの方はマメだけど。
その不満があるから、今日は強引に付いてきた。
「保護区?」
「フィールド型ダンジョンのようなものだと、考えてください。
下界のダンジョンは、光の女神様がお作りになられます。
それとは別に、夜の女王様は、ケーン様や奥様が、退屈しないようお作りになったそうです。
そこで魔物狩りをしたり、錬金術に使う色々な素材を採集したり。
詳しいことは、わかりませんけど」
メイは今さらながら思う。
壮大というか、ファンタジーというか……。
ケーンさん、とんでもない世界で生まれ育ったんだ。
「ここで暮らす人、どんな仕事を?」
メイが聞く。
「ほとんどが工場で働いてる。
他には自治のための役所や病院・保育・教育施設、それと商業施設だね」
「工場?」
「食料と生活用品製造工場。
前は普通に農場や牧場、工房があったらしいけど、超技術革新があったそうだ。
今では父ちゃんが生まれた世界より、はるかに進んでいる。
何がきっかけで、その超技術革新が起こったのか、教えてくれない。
父ちゃんの知識もあったんだろうけど、それだけでは説明がつかない。
何があったんだろうね?」
ケーンは苦笑して答えた。彼を取り巻く大人たちは、変に秘密主義的なところがあった。
たいていのことは、平気で話すくせに、夜空城の成り立ちや、技術革新については、頑として口をつぐむ。
ケーンは、この星以外の先端文明から、学んだのではないかと想像している。
特に父ちゃんが作るオートマタ。あれは父ちゃんとミレーユの技術だけで、作れるものではない。
フィギャーなら、ケーンでも作れるが、次元がいくつも違う。
「今日は、どうして夜空城へ、連れてきてくださったんですか?」
「ん? 気晴らしになるだろ?
下界じゃ買い物するものなんてないし、遊興施設も貧弱だ。
遊園地へゴー!」
兄をイケナイところへ出陣させた罪滅ぼし。そんなこと、口が裂けても言えない。
「遊園地のアトラクション、楽しいですよ!
なんでも、ケンイチ様が生まれた世界の、US〇やデズミーランドを参考にしたそうです!」
浮かれうさちゃんが、ぴょんぴょん跳ねながら言う。
「U〇J? デズミーランド?」
「聞かないでください!
私には、さっぱりわかんないんですから!」
ジャンヌの、説明になってない説明でも、うなずくしかないメイだった。
「だ、旦那様……。神聖魔法、使ったらダメ、ですよね?」
うさちゃんジャンヌは、恐怖のあまり、ケーンにぴったりすがりついている。
「ダメに決まってるだろ!
全部作り物!
本物のアンデッドは超臭いんだから!」
「ぎゃ~~~!」
反対側で、ケーンにすがりついていたメイが叫ぶ。
「コンニャクが、顔に触っただけだよ」
そうなんです。ここはアトラクションの一つ、ホラーハウス。もちろん、ケーンはこの事態を予測してここへ誘った。
本物のアンデッドダンジョンに、勝るとも劣らない迫力だ。もちろん危険性は全くないが。
「もう……、出ませんか?
出ます!
転移!」
ケーンが引き留める間もなく、三人はホラーハウスから出た。
残念!
「はあ……、疲れた」
観覧車に乗り、メイは虚脱。
色々な乗り物があった。恐ろしいスピードで、高いところから一気に走り下りる。
巨大な画面が前にあり、色々な景色が映る。変な道具を目に付けて、座席は揺れたり下がったり。
ジャンヌはペガサスに乗せられた経験があったので、それほどでもなかったが、メイは生まれて初めて、あのような浮遊や落下感覚を味わった。
小舟に乗って川下り。川の中や近くの陸地に、魔物が突然出現する。作り物だとわかっていてもドキドキもの。
疲れたけど、あれが楽しく感じられたのはなぜだろう?
「なんだか、味気ない光景ですね」
ジャンヌがぽつりともらした。
道路は放射型に端まで伸び、道端には箱型の建物が並ぶ。その中央にそびえる王宮だけは、ヨーロッパのお城型で、異彩を放っている。
ところどころに緑の公園はあるが、殺風景と形容するしかない。
「ここでは二万人程度の人が住んでる。
夜空城はそんなに広くないから、仕方ないんだ」
ケーンがつぶやく。
「今日見かけたのは人類だけでしたが、獣人はいないんですか?」
メイが聞く。
「少数だけどいるよ。ただ、獣人は寿命が短い。
元々数が少なかったし、獣人口は減る一方だ。
俺はあまり王宮の外に出なかったけど、滅多に見かけないな」
「どんな人が住んでるんですか?」
ジャンヌが聞く。
「母ちゃんの眷属が拾った者だよ。
人族と魔族の戦乱に巻き込まれ、身寄りをなくした子供。
とても全部は救えないけど、仕方ないだろ?」
元聖神女として、何も言えなくなったジャンヌだった。
その後、果物工場でフルーツ狩り。すでにおなじみとなっているが、夜空城産の果物は超おいしい。
栽培技術と品種改良の結果だとか。下界では王侯貴族や大商人にしか口にできない高級品。
ケーンさんとお近づきになれてよかった!
自分で摘んだ大粒イチゴをかじり、しみじみと感慨にふけるジャンヌとメイだった。
メイは思う。もっとお近づきになれないものだろうか?
ケーンさんと……。
キャー! 恥ずかしい!
兄妹にはすでに自分の出自を明かしている。戦闘能力は、ちょっとね、だが、人間性は信頼できると認めている。
「夜なのに明るい。どうなってるんですか?」
メイがここへ転移し、最初に驚いたのは、整然とした街並みだった。現代の地球人が見たら、マンションが立ち並ぶ都市部型住宅街を連想しただろう。
そして、次に気づいたのは、夜なのにどうして明るい? ということだった。
夜空城は、常に夜の上空を飛んでいると聞いていたから。
「二十四時間真っ暗じゃ、生活が不便だろ?
認識できないけど、夜空城は巨大なドームに覆われている。
朝から夕方までは、人工照明が光を注ぐんだ」
ケーンが解説する。
「夜の女王様が、お作りになったんですか?」
うさちゃん着ぐるみの、ジャンヌが聞いた。ジャンヌに転移を頼んだら付いてきた。
「知らない。母ちゃん、そのへんのところ、いつもごまかすから」
ケーンは、細かいことを気にしない。
相当でかいことだろ?
まあ、いいんじゃないの、が、ケーンのイズムということ。いいんじゃない?
「ジャンヌさんは、夜空城初めてなんですか?」
メイは、自分と同じように、周囲の景観を物珍し気に見渡すジャンヌに聞く。
「今、ほとんど王宮に住んでますが、保護区以外は時々です。
旦那様とは初めてです」
ジャンヌは、ちょっぴり責める目でケーンを見る。
旦那様、滅多にデート、してくれないんだもん!
エッチの方はマメだけど。
その不満があるから、今日は強引に付いてきた。
「保護区?」
「フィールド型ダンジョンのようなものだと、考えてください。
下界のダンジョンは、光の女神様がお作りになられます。
それとは別に、夜の女王様は、ケーン様や奥様が、退屈しないようお作りになったそうです。
そこで魔物狩りをしたり、錬金術に使う色々な素材を採集したり。
詳しいことは、わかりませんけど」
メイは今さらながら思う。
壮大というか、ファンタジーというか……。
ケーンさん、とんでもない世界で生まれ育ったんだ。
「ここで暮らす人、どんな仕事を?」
メイが聞く。
「ほとんどが工場で働いてる。
他には自治のための役所や病院・保育・教育施設、それと商業施設だね」
「工場?」
「食料と生活用品製造工場。
前は普通に農場や牧場、工房があったらしいけど、超技術革新があったそうだ。
今では父ちゃんが生まれた世界より、はるかに進んでいる。
何がきっかけで、その超技術革新が起こったのか、教えてくれない。
父ちゃんの知識もあったんだろうけど、それだけでは説明がつかない。
何があったんだろうね?」
ケーンは苦笑して答えた。彼を取り巻く大人たちは、変に秘密主義的なところがあった。
たいていのことは、平気で話すくせに、夜空城の成り立ちや、技術革新については、頑として口をつぐむ。
ケーンは、この星以外の先端文明から、学んだのではないかと想像している。
特に父ちゃんが作るオートマタ。あれは父ちゃんとミレーユの技術だけで、作れるものではない。
フィギャーなら、ケーンでも作れるが、次元がいくつも違う。
「今日は、どうして夜空城へ、連れてきてくださったんですか?」
「ん? 気晴らしになるだろ?
下界じゃ買い物するものなんてないし、遊興施設も貧弱だ。
遊園地へゴー!」
兄をイケナイところへ出陣させた罪滅ぼし。そんなこと、口が裂けても言えない。
「遊園地のアトラクション、楽しいですよ!
なんでも、ケンイチ様が生まれた世界の、US〇やデズミーランドを参考にしたそうです!」
浮かれうさちゃんが、ぴょんぴょん跳ねながら言う。
「U〇J? デズミーランド?」
「聞かないでください!
私には、さっぱりわかんないんですから!」
ジャンヌの、説明になってない説明でも、うなずくしかないメイだった。
「だ、旦那様……。神聖魔法、使ったらダメ、ですよね?」
うさちゃんジャンヌは、恐怖のあまり、ケーンにぴったりすがりついている。
「ダメに決まってるだろ!
全部作り物!
本物のアンデッドは超臭いんだから!」
「ぎゃ~~~!」
反対側で、ケーンにすがりついていたメイが叫ぶ。
「コンニャクが、顔に触っただけだよ」
そうなんです。ここはアトラクションの一つ、ホラーハウス。もちろん、ケーンはこの事態を予測してここへ誘った。
本物のアンデッドダンジョンに、勝るとも劣らない迫力だ。もちろん危険性は全くないが。
「もう……、出ませんか?
出ます!
転移!」
ケーンが引き留める間もなく、三人はホラーハウスから出た。
残念!
「はあ……、疲れた」
観覧車に乗り、メイは虚脱。
色々な乗り物があった。恐ろしいスピードで、高いところから一気に走り下りる。
巨大な画面が前にあり、色々な景色が映る。変な道具を目に付けて、座席は揺れたり下がったり。
ジャンヌはペガサスに乗せられた経験があったので、それほどでもなかったが、メイは生まれて初めて、あのような浮遊や落下感覚を味わった。
小舟に乗って川下り。川の中や近くの陸地に、魔物が突然出現する。作り物だとわかっていてもドキドキもの。
疲れたけど、あれが楽しく感じられたのはなぜだろう?
「なんだか、味気ない光景ですね」
ジャンヌがぽつりともらした。
道路は放射型に端まで伸び、道端には箱型の建物が並ぶ。その中央にそびえる王宮だけは、ヨーロッパのお城型で、異彩を放っている。
ところどころに緑の公園はあるが、殺風景と形容するしかない。
「ここでは二万人程度の人が住んでる。
夜空城はそんなに広くないから、仕方ないんだ」
ケーンがつぶやく。
「今日見かけたのは人類だけでしたが、獣人はいないんですか?」
メイが聞く。
「少数だけどいるよ。ただ、獣人は寿命が短い。
元々数が少なかったし、獣人口は減る一方だ。
俺はあまり王宮の外に出なかったけど、滅多に見かけないな」
「どんな人が住んでるんですか?」
ジャンヌが聞く。
「母ちゃんの眷属が拾った者だよ。
人族と魔族の戦乱に巻き込まれ、身寄りをなくした子供。
とても全部は救えないけど、仕方ないだろ?」
元聖神女として、何も言えなくなったジャンヌだった。
その後、果物工場でフルーツ狩り。すでにおなじみとなっているが、夜空城産の果物は超おいしい。
栽培技術と品種改良の結果だとか。下界では王侯貴族や大商人にしか口にできない高級品。
ケーンさんとお近づきになれてよかった!
自分で摘んだ大粒イチゴをかじり、しみじみと感慨にふけるジャンヌとメイだった。
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