改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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86 強い子供を産んでやる!

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 翌朝。ケーンのテント。

 メイは明るくなってきた気配で目覚めた。照明はないのに、外に合わせて、明るさが調整されているようだ。

どうなっているのだろうと考えたが、深く考えたら負けだと思いなおした。

 隣では、ケーンがまだ、安らかな寝息をたてている。

 メイはケーンの胸にすがりついた。

「あ、おはよう」
 ケーンが寝ぼけ眼を開いた。

「おはようございます。
もう少し、こうしてていいですか?」
 メイは気恥ずかしくなって、ケーンの胸に顔を埋めた。

 昨日は一日中ケーンの腕に抱かれた。彼女の初めては、びっくりするほど順調に完了した。
 噂に聞く痛みもなかった。

 終わった後、ひたすらケーンにすがりついた。

一瞬でも離れたくなかった。

 離れたら、また一人ぼっちに帰りそうな、そんな気がして。

 兄の死については、まだ実感がわかない。ただ、二度と会えないという事実だけは、頑として存在する。

その事実を認めることはひたすら怖い。

 だから、ケーンから離れられない。

 そんなメイの気持ちを分かっているのか、ケーンはメイをやさしく抱く。

そういえば、さっきの朝の挨拶、エッチを始めてから初めての会話だ。

ケーンさんは、慰めの言葉を何も言わない。

メイは、その無言の抱擁に、どれほど救われただろう。

おそらく、どんな慰めの言葉にも、気は休まらなかっただろう。言葉にすれば、兄の死という、事実が突き付けられそうで。

黙って抱いてくれてること。一人でないことを、実感させてくれること。

 これはケーンさんのやさしさ。

 ごめんなさい。兄者。

 こんなとき、幸せを感じる私は、冷たい女なのでしょうか?

「さて、ケーンさん、今日も頑張りましょう!」
 メイはケーンから体を離した。

「うん! 頑張る!」
 ケーンはメイを引き寄せ、強く抱きしめた。

昨日は一発で我慢した。

 頑張るっきゃ、ないでしょ!

 二時間後、メイは嫁たちの気持ちが、心底理解できた。

 ケーンさんのエッチ、とても一人の嫁で、受け止められるものではない。
 ただ、兄のことが、かけらも頭によぎらなかったほど、夢中になったことはないしょだ。

 私、冷たくて好色な女なのでしょうか?


 ほとんど昼食に近い朝食。

 キキョウが、作り直してくれたようだ。

 オムレツ? なんか赤いソース? 
 よくわからないが、「おめでとう」と書いてあった。

「メイちゃん、それはオムライスという地球の料理よ。
ゆっくり召し上がれ」
 キキョウはそう言って、ダイニングを去ろうとした。

「すみません!
何から何まで」
 メイは慌てて礼を言う。

「いいのよ。仲よくしようね」
 キキョウは振り返り、やさしい笑顔を浮かべた。

「はい!
あの~、ケーンさん、いつも、なんですか?
なんというか、何度もお代わり?」
 メイは恐る恐る聞く。

「私も初めてのときは、放してくれなかった。
そんなものだとあきらめて」
 キキョウは、くすりと笑う。なんか懐かしい!

「やっぱり……。
私だけじゃなかったんだ?」
 メイは予想していたが、ちょっぴり残念。

「まあ、新しい嫁をゲットした時は……。
普通でも二、三回は覚悟しておいて。
それと、ユリさんにも食べられると思う。
嫁の潤滑役だから」

「ユリさんも!」
 メイはびっくり。

「もう! 勘弁して!」
 両手を合わせるケーンとユリだった。


 ケーンとメイのブランチが、終わったころを見計らい、キキョウが食卓に着いた。

「メイちゃん、夜の女王様に報告した。
大歓迎だって。
それと、これは女王様の伝言。
ケーン様も聞いてください」

 なんだろう? 食後のコーヒーカップに手をかけていたケーンは、カップを置く。メイもケーンにならう。

「戦闘に加わる嫁は、しばらく避妊してほしいそうです。
メイちゃんとレミさんは、できたら子作りにトライしてほしい、とのことです」
 
「ふ~ん。まあ、メイとレミは、いいかもな。
母ちゃんにも早く孫の顔見せたい」
 ケーンはメイを見る。

 メイは頬をそめてうつむく。

「まだ早い?」
 ケーンは、メイを気遣う。メイの年頃なら、この世界では子供がいても珍しくはないが。

「できるだけ早くほしいです!
ケーンさん、よろしくお願いします!」
 メイは腹を据えてそう答えた。子供ができたら、新しい生きがいとなるだろう。
 
 兄者より、ずっと強い子供を産んでやる!

 わけのわからない他人に、わけがわからないうちに、殺されることがないような。
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