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108 嫁持ちだってぇ~~!

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※ ポチとすべきところがケーンとなっている箇所を変更。2/22

 ケーンがお仕置きにいそしんでいたころ…、

「ポチって本当に初心者? 
ベテランの冒険者みたい」

「だけど、動きはとろいよ」

「だけどだけど、結果的に傷一つ負わず、魔物を倒してる」

「だよね~……。
私たちが一対一で戦えるよう、余った敵は全部倒したし」

「よくわかんないけどさ、超お買い得物件?」
 チームポチのナーラとミントは、女子部屋でケーンの講評に余念がなかった。


「あんたたち、体を休めるのも冒険者の仕事だよ。
明日もキツイはずだから、さっさと寝ちゃおう」
 二人の風向きが怪しい。それがおもしろくないアリスは、注意を与えた。

「だよね~。朝も早いし、寝ようか」

「うん」
 二人は毛布をかぶって、すぐに寝息をたて始めた。実際心と体は超疲れていたから。


アリスは寝返りを打ちながら考えていた。

ポチ、どこへ出かけたのだろう? 

ひょっとして、娼館? 
ポチだけは疲れが見えなかったし……。

まあ、それも男の甲斐性だ。気にしない気にしない。

でもでも、ポチは経験者だろうか? 

経験者なんだろうな……。初対面の女の子に対して、変に構えたところがなかった。
バトルロイヤルでも、男女にかかわらず剣を振るった。まあ、峰打ちだったけど。

あのげんこつも痛かった。目から火花が飛んだ。

痛かったけど…、あれはポチの思いやりだ。多分……。


ポチは厳しいけど優しい。…多分。

ポチと、ずっとパーティが組めたらいいな……。

そのうち、あれやこれやがあって、……お嫁さんになったりして!

そしたら、毎晩あれやこれや? 

きゃ~~~! 

恥ずかしい!

ベッドの中で身もだえながらも、いつしか深い眠りに落ちたアリスだった。


 翌朝。

「ポチ、ゆうべはどこで泊ったんだ?」
 ジャイアンが、男子部屋に帰ってきたケーンに聞く。

「これに決まってるだろ?」
 ケーンは薄く笑って小指を立てた。

「娼婦買える金持ってんの!」
 ジャイアンは憤慨して言う。

「ちっげ~よ。
娼婦買ったことなんてない。
嫁の家だよ」

「嫁もちだってぇー!」
 男子部屋に四人の絶叫が響いた。


 四人の男子は、ケーンを取り囲む。明らかに殺気を放って。
「で、嫁の家、ということは、お前の嫁、働いてるんだ?」
「いわゆるヒモ?」
「どんな仕事してる?」
 ジャイアン以外は、口々に問いただす。ジャイアンも、もちろん問い詰めたいところだが、リーダーとしてのプライドが許さない。

「ちょっと腕のいい冒険者だ」
 ケーンはあっさりかわす。これからも夜はキキョウの家に帰るつもりだ。嫁持ちだと明かしたのは、そのためだ。

「美人なの?」
「おっぱいは?」
「お尻は?」
 ジャイアンは、興味なんてないね、という顔で、耳をそばだてる。

「もちろん美人だね!
おっぱいはでかくないけど、これで少し余る」
 ケーンは両手を前に出し、もみもみアクション。ゆうべは思う存分揉みまくった。

 ごくり……。四人のつばを飲み込む音が聞こえた。

「お尻は引き締まってる。
冒険者だからな」
 ケーンは超優越感! ほんとは色々なんだぞ!

「どうやって知り合った?」
 ジャイアンが、我慢できずに聞いた。

「ふっ……。
根っからの世話焼き?
俺がいかにもあぶなっかしそうに、見えたんだろうな」

「美人で……」
「おっぱいが手に少し余って……」
「お尻が引き締まった世話焼き女房?」
 三人がケーンに迫った。

「やっちまえ!」
 ジャイアンが命じた。

「せんせ~!
みんながいじめま~~す!」
 すたこらと、男子部屋から逃げ出すケーンだった。

 あ~! 青春だね~~~!
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