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112 ケーンの嫁はとんでもチート?
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翌朝、ケーンは妊婦以外の嫁と、エルフ従者エミリーに集合をかけた。
「みなさんにお知らせがあります。
ポチことケーンさん、どうぞ」
メアリーがケーンを改めて紹介する。
「みんな、まず謝っておく。
男子にはゆうべ話したけど、俺はSランク冒険者ケーンだ。
そして、この寺小屋のスポンサーは俺だ」
女子は全員動揺した。
ただ、やっぱり、という気持ちもあった。
「今日からは、時々顔を見せる程度にするつもりだ。
正直に言う。
もっと厳しい戦いに身を置きたいからだ。
ある理由で、俺にはあまり時間がないんだ。
チームポチ。お前らはもう四人でやっていける。
かといって、将来有望なお前らを、このまま突き放すつもりもない。
俺か嫁の誰かが、お前らが死んでも蘇らせる。
ただし、死なない限り手は出さない。
あのダンジョンなら、手遅れになるような死に方はしない。
安心して死んでくれ。
ちなみに、俺は多分百回くらい死んでる。以上」
「ポチ! 誰がウチのリーダーになればいいの!」
半泣きでアリスが聞く。彼女の心は全泣きだったが、意地でもそんな顔は見せられない。
「わかってるんだろ?
それはお前らで決めろ。
あ~、これは俺のプレゼントだ。
弓使いに魔法のバッグは必需だ」
ケーンはポチバッグを差し出した。弓使いがダンジョンに長く潜るには、大量の矢が必要だ。
「うん……、ありがとう」
アリスは涙をこらえきれず腕でぬぐって、ポチバッグを受け取った。
「お嫁さん、みんなびっくりするほどきれいだね」
強いて笑顔を作り、そう言った。
「そんなのでびびってんじゃね~よ。
まあ、実力見たらもっとびびること請け合いだけど」
「びびらなくて、いいの?」
「俺は強い女が好きだ。
強くなれよ。
せめて卒業後一年で、Cランクに登れないようじゃ話にならねえ」
ケーンはにっこり笑って、アリスの頭をくしゃくしゃっとかき回した。
あ~、青春だね~!
ちなみに、ポチバッグの中には、ケーンが一か月で稼いだ金や戦利品の分け前が、そっくり残されていた。
ケーンは男友達が作れないが、お気に入り女子に対しては、どこまでも優しかった。
「ケーンさんのパーティが、Aランクダンジョンアタックのお手本を見せてくれるそうです。
ケーンさんのお嫁さん達、みんなとんでもない実力者ですから、皆さんは安全です。
皆さんの今の実力では、絶対かなわない経験です。
一挙手一投足、見落とさないよう心しなさい」
メアリーが、そう指導する。
「はい!」
寺子屋生は、口をそろえて応えた。
「みんなにこれをレンタルする。
流れ矢や魔法が、当たらないとは限らないからな」
そう言ってケーンは、すでにおなじみ、イージスの首飾りと腕輪を配布。
「こんなもの、俺たちがつけるの?」
ジャイアンが不平を垂らす。
「こんなもの?
お前、それがどんなものか、わかってる?
神話級の代物だぞ」
リンダがあきれ口調で言う。
「神話級?」
ジャイアンには、ぴんとこない。
「トリプルSダンジョンで、私たちのパーティは、その腕輪を一個だけ拾った。
メアリーが装備して、超重宝した。
物理攻撃は、ほぼシャットアウトする」
「トリプルS!」
「勇者パーティでも一個だけ!」
驚愕の叫びをあげる寺子屋生だった。
「ちなみに、お値段は?」
アリスが恐る恐る聞く。
「値段なんて、付けられるわけがありません。
その二つのアクセサリー、元聖神女の、ミレーユ様が装備されていたと聞きます。
多分、それのコピーでしょ?」
メアリーがケーンに振る。
「さ、ダンジョンに転移するぞ。
集合!」
ケーンは、その質問を流して命ずる。
「転移? 誰が転移魔法使えるの?」
アリスが恐る恐る聞く。
「俺も使えるけど、魔力がごっそり削られる。
大勢だから正直キツイ。
ジャンヌ、頼む」
「はい! 魔法陣を描きますから、皆さん中に入ってください」
ジャンヌがそう指示して魔法陣を描く。
「いきますよ! ケダモノたちの洞窟へ、転移!」
次の瞬間、嫁たちと寺子屋生たちは全員転移した。
「あの人、前の聖神女のジャンヌ様?」
リンダがぽつりと言った。
「ですね……。
あれだけの人数を一挙に。
聖神女様以外無理です。絶対」
元勇者パーティの二人は、ジャンヌの名前だけは知っていた。
彼女の元の体が、幼女であったこと。どういったいきさつで、ケーンの嫁になったかは知らない。
ついでに、テレサが聖神女以上の力を得たことも。
「メアリー、知ってた?」
「全然……。ただ……」
「ただ?」
「ジャンヌさんとテレサさん、あの戦いで光ってました。
先先代の聖神女様には、そんな現象起こらなかった」
「どういうこと?」
リンダも二人に光が見えた。そして、光る時はとんでもなくパワーアップしていた。リンダには意味不明だったけど。
「もしかしたら……。いえ、ありえませんね」
「何が?」
「光の女神様が、降臨され憑依なさっていたのかも……」
「まさか!」
「そうですよね!
ありえません!」
「だけど、ケーンだぞ?」
「そうですね……。ケーンさんですね。
考えないようにしましょう」
「だな……」
「ですね……」
混乱の極みに陥った二人だった。
「みなさんにお知らせがあります。
ポチことケーンさん、どうぞ」
メアリーがケーンを改めて紹介する。
「みんな、まず謝っておく。
男子にはゆうべ話したけど、俺はSランク冒険者ケーンだ。
そして、この寺小屋のスポンサーは俺だ」
女子は全員動揺した。
ただ、やっぱり、という気持ちもあった。
「今日からは、時々顔を見せる程度にするつもりだ。
正直に言う。
もっと厳しい戦いに身を置きたいからだ。
ある理由で、俺にはあまり時間がないんだ。
チームポチ。お前らはもう四人でやっていける。
かといって、将来有望なお前らを、このまま突き放すつもりもない。
俺か嫁の誰かが、お前らが死んでも蘇らせる。
ただし、死なない限り手は出さない。
あのダンジョンなら、手遅れになるような死に方はしない。
安心して死んでくれ。
ちなみに、俺は多分百回くらい死んでる。以上」
「ポチ! 誰がウチのリーダーになればいいの!」
半泣きでアリスが聞く。彼女の心は全泣きだったが、意地でもそんな顔は見せられない。
「わかってるんだろ?
それはお前らで決めろ。
あ~、これは俺のプレゼントだ。
弓使いに魔法のバッグは必需だ」
ケーンはポチバッグを差し出した。弓使いがダンジョンに長く潜るには、大量の矢が必要だ。
「うん……、ありがとう」
アリスは涙をこらえきれず腕でぬぐって、ポチバッグを受け取った。
「お嫁さん、みんなびっくりするほどきれいだね」
強いて笑顔を作り、そう言った。
「そんなのでびびってんじゃね~よ。
まあ、実力見たらもっとびびること請け合いだけど」
「びびらなくて、いいの?」
「俺は強い女が好きだ。
強くなれよ。
せめて卒業後一年で、Cランクに登れないようじゃ話にならねえ」
ケーンはにっこり笑って、アリスの頭をくしゃくしゃっとかき回した。
あ~、青春だね~!
ちなみに、ポチバッグの中には、ケーンが一か月で稼いだ金や戦利品の分け前が、そっくり残されていた。
ケーンは男友達が作れないが、お気に入り女子に対しては、どこまでも優しかった。
「ケーンさんのパーティが、Aランクダンジョンアタックのお手本を見せてくれるそうです。
ケーンさんのお嫁さん達、みんなとんでもない実力者ですから、皆さんは安全です。
皆さんの今の実力では、絶対かなわない経験です。
一挙手一投足、見落とさないよう心しなさい」
メアリーが、そう指導する。
「はい!」
寺子屋生は、口をそろえて応えた。
「みんなにこれをレンタルする。
流れ矢や魔法が、当たらないとは限らないからな」
そう言ってケーンは、すでにおなじみ、イージスの首飾りと腕輪を配布。
「こんなもの、俺たちがつけるの?」
ジャイアンが不平を垂らす。
「こんなもの?
お前、それがどんなものか、わかってる?
神話級の代物だぞ」
リンダがあきれ口調で言う。
「神話級?」
ジャイアンには、ぴんとこない。
「トリプルSダンジョンで、私たちのパーティは、その腕輪を一個だけ拾った。
メアリーが装備して、超重宝した。
物理攻撃は、ほぼシャットアウトする」
「トリプルS!」
「勇者パーティでも一個だけ!」
驚愕の叫びをあげる寺子屋生だった。
「ちなみに、お値段は?」
アリスが恐る恐る聞く。
「値段なんて、付けられるわけがありません。
その二つのアクセサリー、元聖神女の、ミレーユ様が装備されていたと聞きます。
多分、それのコピーでしょ?」
メアリーがケーンに振る。
「さ、ダンジョンに転移するぞ。
集合!」
ケーンは、その質問を流して命ずる。
「転移? 誰が転移魔法使えるの?」
アリスが恐る恐る聞く。
「俺も使えるけど、魔力がごっそり削られる。
大勢だから正直キツイ。
ジャンヌ、頼む」
「はい! 魔法陣を描きますから、皆さん中に入ってください」
ジャンヌがそう指示して魔法陣を描く。
「いきますよ! ケダモノたちの洞窟へ、転移!」
次の瞬間、嫁たちと寺子屋生たちは全員転移した。
「あの人、前の聖神女のジャンヌ様?」
リンダがぽつりと言った。
「ですね……。
あれだけの人数を一挙に。
聖神女様以外無理です。絶対」
元勇者パーティの二人は、ジャンヌの名前だけは知っていた。
彼女の元の体が、幼女であったこと。どういったいきさつで、ケーンの嫁になったかは知らない。
ついでに、テレサが聖神女以上の力を得たことも。
「メアリー、知ってた?」
「全然……。ただ……」
「ただ?」
「ジャンヌさんとテレサさん、あの戦いで光ってました。
先先代の聖神女様には、そんな現象起こらなかった」
「どういうこと?」
リンダも二人に光が見えた。そして、光る時はとんでもなくパワーアップしていた。リンダには意味不明だったけど。
「もしかしたら……。いえ、ありえませんね」
「何が?」
「光の女神様が、降臨され憑依なさっていたのかも……」
「まさか!」
「そうですよね!
ありえません!」
「だけど、ケーンだぞ?」
「そうですね……。ケーンさんですね。
考えないようにしましょう」
「だな……」
「ですね……」
混乱の極みに陥った二人だった。
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