改訂 勇者二世嫁探しの旅

nekomata-nyan

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123 不良ドラゴン討伐

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 ケーン一行は、竜王国を辞し、不良ドラゴン討伐の旅に出た。

 ミーちゃんは、ライラックに送り届けた。レミやメイと、キキョウの家で暮らすことになる。
 メイサと彼女の従者エミリーは、彼女たちの別荘へ帰った。竜族同士戦わせることは忍びないから。

 したがって、討伐隊のメンバーは、かくの如し。

 隊長   ケーン
 副隊長  キキョウ
 参謀   ユリ
 隊員   総子
隊員   テレサ・ジャンヌ・&ヒカリちゃん
隊員   ブラック・ホワイト
※テレサとジャンヌは、居残り組嫁の、転移の便宜を図るため一週交代。ヒカリちゃんは、戦闘になったら降臨、いずれかに憑依予定。
 
 
 ドラゴンは飛行できる。そして、前述のとおり、普段はほとんど寝ている。そのため、彼らの所在は非常にわかりにくい。

 とりあえず情報収集のため、ケーンは、なじみのあるライラックギルドを訪ねた。

 ケーンはギルドの戸を開けた。なんだか懐かしい。朝も少し遅いから、それほど混んでいないが、雑然とした雰囲気の底に、どこかぴりぴりした気が感じられる。
文字通り、みんな命がけだから。

「ケーンさん!」
 アリスがケーンを認め、飛びついてきた。ケーンはアリスの体を抱き留める。
 少したくましくなった? 体といい、雰囲気といい。

他の寺子屋生たちの顔も見える。リンダとメアリー教官の顔も。

「実戦訓練に入ったんだ?」
 ケーンはアリスを軽く抱いたまま聞く。

「はい! チュートリアルダンジョンは、卒業できました。
今は黄の森で、クエストをこなしてます」
 ケーンの胸に顔を埋めたまま、アリスは得意そうに答えた。

「黄の森なら、Eクラス相当だね。
うん、うん。順調だ」

「で、今日はなんの御用で?」
 アリスは、ようやく体を離して聞いた。

「フィールドにいるドラゴンを探してる」
 ケーンは、さらっと答えた。

「フィールドのドラゴン!
ヤバくないですか?」
 アリスはびっくり。モンスターはダンジョンの方が強い。一般的には。だが、ドラゴンは別だ。

野良のドラゴンは、やたら戦闘経験を積んでいる。ダブルS、トリプルSダンジョンに出没する、ドラゴン並みに強いと、噂では聞いている。

「たしかにやばいね。
Sクラスダンジョンで、一度死にかけた。
テレサがいなければ、間違いなくお陀仏だった」

「大丈夫なんですか!」

「多分大丈夫だろ。
今回はキキョウと総子がいる。
テレサとジャンヌも、パワーアップした」

「寺子屋で最初に教えてくれました!
冒険者で一番大切なのは、生きて帰ること。
ケーンさんも、絶対忘れないでください!」
 アリスは、半べその目で言った。

「ありがとう。
わかってるよ」
 ケーンは、アリスの短い茶髪を、くしゃくしゃっとかき回した。
 かわいいやつめ! 相変わらず、絵に描いたような田舎娘だけど。

 それも、いい!


「おい、にいちゃん、女といちゃいちゃするなら、人のいないところでやれ。
ここはギルドだ」
 筋肉もりもり、ひげだらけの男が、苦々しげに言った。

 き、きたぁ~~~! 記念すべき絡まれイベント第一号!

 あこがれてたんだよね!

 ケーンは、じんわりと感動。

この男、見ない顔だ。新入りとも思えないから、どこかから流れてきたのだろう。

「悪かったな!
だけど、俺基準じゃ、こんなの全然イチャイチャじゃないの」
 ケーンは、後ろに控えたキキョウとユリを振り返り、目配せする。

 キキョウとユリは、いそいそと両側からケーンに腕を組む。ケーンのリア充自慢に協力すること、決して不愉快ではない。

 ケーンはどや顔で男を見る。

「俺をなめてんのか!」
 男は怒りのため、顔を赤らめ、ケーンに食ってかかる。

「ひげだらけのそんな顔、なめたくないね!
決闘?
何かける?
俺はこの剣をかける。
ドラゴンバスター、聞いたことがあるだろ?
腕さえあれば、ドラゴンの鱗でも切り裂ける」

 ざわ、ざわ、ざわ……。周囲はあざ笑いを浮かべ、ざわめく。

『あの流れ冒険者、バカじゃない?』
『S級に喧嘩売ってるよ』
『B級だと、自慢してなかったか?』
『装備から言ったら、C級がいいところじゃないか?』

 ざわ、ざわ、ざわ、の詳細を拾えばそうなる。ライラックを拠点とする冒険者は、もちろんケーンを知っている。

 まあ、気持ちはわかる。ケーンはとても強そうに見えないし、人目もはばからず、何人も女を侍らせる。
て、いうか、女たちの方が寄り添ってくる。

「おもしれえ! 外へ出ろ!」
 男は肩をいからせて、ギルドを出た。

「ねえ、はぐれドラゴンの噂、聞かない?」
 ケーンは無視して、カウンターのおねえさんに聞いた。

「一週間前、通達が来ました。
ギルソン村の牧場を襲撃した赤竜が、キャメル連峰の方へ飛んでいくのを見かけたと。
一応、王国からの討伐のクエストは出てますが……」
 巨乳受付嬢は、心配そうな顔でそう答えた。いくらなんでも、ドラゴンはヤバくない?

「ラッキー!
そのクエスト、受ける。
じゃ、アリス、しっかり修行しろ。
ジャンヌ」
 ケーンは苦笑を浮かべるジャンヌを促す。

「キャメル連峰の、ふもとでいいですか?」
 ジャンヌが聞く。
「うん。みんな、集合!」
 ケーンは、隊員たちに呼びかける。隊員たちはケーンを中心に集合。

「キャメル連峰のふもとへ…転移!」
 ジャンヌは素早く魔法陣を描き、ケーンと隊員たちは消えた。

ケーンは、立ったしょぼいフラグを、無視できる程度に、大人の分別をわきまえるようになっていた。


「なにやってるんだ!」
 流れ冒険者が、ギルド内へ帰ってきた。

「あいつ、どこへ行った!」
 激おこ冒険者は、興奮してそう怒鳴った。

 ギルド内に爆笑が起こった。

「ケーンさんは、S級の冒険者よ!
正妻のキキョウさんはトリプルS!
総子さんは、光の女神様に、勇者として召喚された。
絡む相手、選んだ方がいいわよ!」
 超どや顔でアリスが答えた。だって、頑張ったらあのお嫁さん達の仲間になれる。多分だけど……。

「マジで?」
 冒険者は、ひきつった顔で言った。

「マジだぜ。今俺たちの目の前で、転移魔法使った。
よかったな、シカトしてくれて」
 ベテラン冒険者が、ポンポンと流れ冒険者の肩を叩いた。

 流れ冒険者の、気持ちだけはわかるから。
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