9 / 230
9 バカだ! 俺はバカだ!
しおりを挟む
ルラはベッドで横になり、そ~っとナイトを抱きしめた。
どうしよう……。この猫とあの人、誰にも渡したくない。
だが、ルマンダの言っていることが現実になったら、事は自分だけの問題で済まない。
魔導戦士や魔法戦士と、対等以上に戦える貴族は、二百に満たないだろう。近衛兵が味方するとしても五百弱。
領内に残っている貴族の私兵は、危急に間に合わない。そして、王都の兵力と対等に戦える戦士数は、比べるべくもない。
クーデター計画に加わらない中立が、どう動くか未知数だが、信用しきれない。
国が雇用する王都の戦士数は、正確には知らないが、数千人いそうだ。彼らは専門職だから戦い方を知っている。
つまり、全然勝負にならない。
この世界の住人でもない俊也に頼る気にもなれないし。
やはりルマンダの忠告に従うべきだろうか? 大魔導師クラスの仲間が、十人でもいれば、十分勝算はある。
貴族出身の中でも、特別な域に達した方は、プロの戦士と比べても全然問題にならないほど強い。
ある程度以上魔力が高い者ならば、俊也と十回ずつくらいセックスすれば、大魔導師の域に届きそうだ。
もちろん、女性限定になるけど。思い当たる女性と言えば…、
エレンに相談してみよう。ルラはそう決めた。
夕食を終え、食後のお茶を一口すすり。さあ……、どうしよう? ルラは胸のドキドキが収まらない。
なぜなら、彼女の「するべきこと」は、決まっているからだ。
つまり、俊也とのエッチ。
貴族社会で生まれ、育った彼女は、男女の営みのなんたるかを、すでに学んでいる。ルマンダという、格好の師にも恵まれた。
ルマンダ曰く。『最初は、氷結魔法で固まった鱒状態でいい』らしい。
下手に上手だと…矛盾する表現だと思うが、純潔を疑われかねない。
なにせ、中級以上の治癒魔法を心得ていれば、処女膜の再生なんて超簡単。
実際、放蕩(ほうとう)の限りを尽くした貴族令嬢が、処女を装って嫁ぐことなど、ざらにみられることらしい。
また、妻を迎える上流貴族のたしなみとして、成人(男子は精通、女子は初潮が訪れたら、成人とみなされる)を迎えたら、ベテランの侍女により、懇切丁寧な閨房術(けいぼうじゅつ)の手ほどきを受ける。
したがって、妻を迎える上流貴族男子に、DT君はまずありえない。新妻はベッドの上で固まっていれば、新郎がなんとかしてくれる、らしい。
俊也の場合は…、微妙。DT君でないことは確かだが、ベテランでもなさそう。
でもでも……、ルマンダによれば、『亡き夫より相当よかった』らしい。『冷凍鱒』でも大丈夫だろうか?
はっ……。ルラは気づいた。寝てるし……。猫になって。
私がこんなに悩んでいるのに! ルラは対面のイスで丸くなったナイトを抱き上げる。
ふふふ……。やっぱりかわいいんですけど!
ツン。ルラはナイトに鼻ツンした。
ぼふん、どすん。
全裸の俊也が、床に落ちた。ルラの腕力では、俊也の体重が支えきれないから、当然の結果だ。
「ご、ごめんなさい!」
「く~~~……。今度から気をつけて」
俊也は打ち付けたお尻を、なでながら言う。起き上がれない。
「ヒール!」
ルラは慌てて治癒魔法を飛ばす。ルラが一番得意なのは攻撃魔法だが、そこは天才的魔導士。あらゆる魔法を、彼女は使いこなすことができる。
とっさに指を使って魔法陣を描いたから、十分な効果は発揮できなかったが、打ち身ぐらいは回復可能だ。
だけど……、うふ…、かわいい……。俊也のパオーンは、縮こまっていた。
あれなら怖くない! ど~んとかかってらっしゃい!
はっ……、そういえば……。下着を見られたときは……。ルマンダがお口くちゅくちゅしていた時も……。
ルラはとたんに自信をなくした。結構なパオーン具合だった。痛くないだろうか? あんなのが…ここに入ったら。
そっと股間を押さえるルラだった。
なんとなく気まずい沈黙が、二人の間に生まれた。
「あの~……」
「ひゃい…、はい?」
緊張のあまり、ルラは噛んでしまった。
「俺、服を着た方がいい?」
「あっ……。ルマンダがお風呂を用意してくれてます。
先に入りますか? それとも……」
ルラはうつむいてそう言った。丁寧語になってしまったのはご愛敬。実は、ルマンダにけしかけられているのだ。
『混浴あるのみ!』。
ルラ、困っちゃう!
「にゃんにゃん!」
ぼふん……。俊也は猫又ナイトに変身。
「清浄!」
ナイトは、バカかお前、と内心思いながら、俊也の意思に従う。ルラと自分に清浄魔法をかけた。
ツン、ぼふん……。ルラはナイトの足を下に向ける形で、鼻ツンを施す。
再び全裸の俊也登場。ルラはちょっぴり残念だった。「混浴」が実現したら、もう少し緊張もほどけただろう。
「お風呂に入らなくても、大丈夫だよ。おいで」
俊也は両腕を広げた。
「はい……」
ルラはためらいがちに、俊也の腕の中へ。俊也はやさしくルラをハグ。
『ルラは混浴してもいいと、思っていたぞ。まあ、今夜は流れに任せればいい』
ナイトの言葉が、俊也の頭に流れた。
「バカだ! 俺はバカだ!
なんというチャンスを!」
俊也は頭を抱え、座り込んだ。
「どうしたの?」
ルラはびっくりして聞いた。私をハグして、後悔したの?
「こ・ん・よ・く! 何度夢見たことか!」
正直者は、きわめて正直に答えた。実際にそんな夢を見たことはなかったが、気分的にだ!
「いいよ。いっしょに入ろう」
ルラは素直にそう誘えた。一瞬だが、俊也の腕に包まれたのは、たいそう心地よかった。
どうしよう……。この猫とあの人、誰にも渡したくない。
だが、ルマンダの言っていることが現実になったら、事は自分だけの問題で済まない。
魔導戦士や魔法戦士と、対等以上に戦える貴族は、二百に満たないだろう。近衛兵が味方するとしても五百弱。
領内に残っている貴族の私兵は、危急に間に合わない。そして、王都の兵力と対等に戦える戦士数は、比べるべくもない。
クーデター計画に加わらない中立が、どう動くか未知数だが、信用しきれない。
国が雇用する王都の戦士数は、正確には知らないが、数千人いそうだ。彼らは専門職だから戦い方を知っている。
つまり、全然勝負にならない。
この世界の住人でもない俊也に頼る気にもなれないし。
やはりルマンダの忠告に従うべきだろうか? 大魔導師クラスの仲間が、十人でもいれば、十分勝算はある。
貴族出身の中でも、特別な域に達した方は、プロの戦士と比べても全然問題にならないほど強い。
ある程度以上魔力が高い者ならば、俊也と十回ずつくらいセックスすれば、大魔導師の域に届きそうだ。
もちろん、女性限定になるけど。思い当たる女性と言えば…、
エレンに相談してみよう。ルラはそう決めた。
夕食を終え、食後のお茶を一口すすり。さあ……、どうしよう? ルラは胸のドキドキが収まらない。
なぜなら、彼女の「するべきこと」は、決まっているからだ。
つまり、俊也とのエッチ。
貴族社会で生まれ、育った彼女は、男女の営みのなんたるかを、すでに学んでいる。ルマンダという、格好の師にも恵まれた。
ルマンダ曰く。『最初は、氷結魔法で固まった鱒状態でいい』らしい。
下手に上手だと…矛盾する表現だと思うが、純潔を疑われかねない。
なにせ、中級以上の治癒魔法を心得ていれば、処女膜の再生なんて超簡単。
実際、放蕩(ほうとう)の限りを尽くした貴族令嬢が、処女を装って嫁ぐことなど、ざらにみられることらしい。
また、妻を迎える上流貴族のたしなみとして、成人(男子は精通、女子は初潮が訪れたら、成人とみなされる)を迎えたら、ベテランの侍女により、懇切丁寧な閨房術(けいぼうじゅつ)の手ほどきを受ける。
したがって、妻を迎える上流貴族男子に、DT君はまずありえない。新妻はベッドの上で固まっていれば、新郎がなんとかしてくれる、らしい。
俊也の場合は…、微妙。DT君でないことは確かだが、ベテランでもなさそう。
でもでも……、ルマンダによれば、『亡き夫より相当よかった』らしい。『冷凍鱒』でも大丈夫だろうか?
はっ……。ルラは気づいた。寝てるし……。猫になって。
私がこんなに悩んでいるのに! ルラは対面のイスで丸くなったナイトを抱き上げる。
ふふふ……。やっぱりかわいいんですけど!
ツン。ルラはナイトに鼻ツンした。
ぼふん、どすん。
全裸の俊也が、床に落ちた。ルラの腕力では、俊也の体重が支えきれないから、当然の結果だ。
「ご、ごめんなさい!」
「く~~~……。今度から気をつけて」
俊也は打ち付けたお尻を、なでながら言う。起き上がれない。
「ヒール!」
ルラは慌てて治癒魔法を飛ばす。ルラが一番得意なのは攻撃魔法だが、そこは天才的魔導士。あらゆる魔法を、彼女は使いこなすことができる。
とっさに指を使って魔法陣を描いたから、十分な効果は発揮できなかったが、打ち身ぐらいは回復可能だ。
だけど……、うふ…、かわいい……。俊也のパオーンは、縮こまっていた。
あれなら怖くない! ど~んとかかってらっしゃい!
はっ……、そういえば……。下着を見られたときは……。ルマンダがお口くちゅくちゅしていた時も……。
ルラはとたんに自信をなくした。結構なパオーン具合だった。痛くないだろうか? あんなのが…ここに入ったら。
そっと股間を押さえるルラだった。
なんとなく気まずい沈黙が、二人の間に生まれた。
「あの~……」
「ひゃい…、はい?」
緊張のあまり、ルラは噛んでしまった。
「俺、服を着た方がいい?」
「あっ……。ルマンダがお風呂を用意してくれてます。
先に入りますか? それとも……」
ルラはうつむいてそう言った。丁寧語になってしまったのはご愛敬。実は、ルマンダにけしかけられているのだ。
『混浴あるのみ!』。
ルラ、困っちゃう!
「にゃんにゃん!」
ぼふん……。俊也は猫又ナイトに変身。
「清浄!」
ナイトは、バカかお前、と内心思いながら、俊也の意思に従う。ルラと自分に清浄魔法をかけた。
ツン、ぼふん……。ルラはナイトの足を下に向ける形で、鼻ツンを施す。
再び全裸の俊也登場。ルラはちょっぴり残念だった。「混浴」が実現したら、もう少し緊張もほどけただろう。
「お風呂に入らなくても、大丈夫だよ。おいで」
俊也は両腕を広げた。
「はい……」
ルラはためらいがちに、俊也の腕の中へ。俊也はやさしくルラをハグ。
『ルラは混浴してもいいと、思っていたぞ。まあ、今夜は流れに任せればいい』
ナイトの言葉が、俊也の頭に流れた。
「バカだ! 俺はバカだ!
なんというチャンスを!」
俊也は頭を抱え、座り込んだ。
「どうしたの?」
ルラはびっくりして聞いた。私をハグして、後悔したの?
「こ・ん・よ・く! 何度夢見たことか!」
正直者は、きわめて正直に答えた。実際にそんな夢を見たことはなかったが、気分的にだ!
「いいよ。いっしょに入ろう」
ルラは素直にそう誘えた。一瞬だが、俊也の腕に包まれたのは、たいそう心地よかった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる