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45 食堂・娼館ラブミーテンダー
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アンリの回復を待って、御老公一行は『ラブミーテンダー』に到着。
「一階はレストラン兼酒場、二階は……娼館となっております。
娼館といっても、無理やり客を取らせてるわけじゃないんですよ。
体を売るお兄さんやお姉さん方が、気に入った相手と、即席ラブする仲介をしているだけなんです。
もちろん、お金はお相手から頂きますが、嫌な相手は決して二階へ通しません。
みんな一階で働いてますが、そのお給料だけでは足りない、事情がある方ばかりです。
だから、軽蔑しないでくださいね。
それと、両親や兄は、十パーセントの手数料…はっきり言えば用心棒料?
それをもらってるだけですから」
アンリはムキになって弁明する。
「それで『ラブミーテンダー(優しく愛して)』か。店のお兄さんやお姉さんたち、まだ恵まれてるね。
それしか生き方のない人もいる。
他にも娼館はあるだろ?」
俊也の言葉に、アンリはほっとしてうなずいた。
他にも娼館は四軒ある。この店以外は、悲惨なものだ。
アンリは抵抗がぬぐえないが、両親や兄が、そういった人たちの、逃げ場を確保していることだけは認めている。
俊也は家族の経営する店で、アンリが働かない理由がわかった。
アンリにとって、外で働くことがギリギリの妥協なのだ。
俊也はバックヤードで、アンリの両親に引き合わされた。名前はアダムとイヴらしい。多分本名ではないだろう。
「そうか。ブリリアンを救ってくださったのは、この方か」
アダムは腕を組んでうなずく。
「ありがとう。そしてごめんね。
アン…ブリリアンが姿を隠したのは、仕方がなかったの。
あの子、特殊な能力を持っているから。
今この二階に隠れてる。
すぐ呼んでくる。あの子も気にしてたし」
イヴはそう言って、バックヤードを出ていった。
「詳しくはわかりませんが、お二人ともかなりの魔力をお持ちですね?
筋肉の付き方や、身のこなし方を見てもわかります。
お二人とも魔法戦士だったんでしょ?」
イザベルの言葉に、アダムは苦笑してうなずいた。
「お嬢さん二人には、とうてい及びませんが。この店の用心棒ぐらいは務まります」
「もしかして、侯爵の……」
「ブルー、余計な詮索はするな」
俊也はブルーをとがめた。
「ごめんなさい。余計なこと言って」
ブルーはシュンとしてうなだれる。
「ブルーは天真爛漫な女の子です。お許しを」
俊也は頭を下げた。
「いやいや。あなた方のことも一切聞きません。お昼は?」
「まだです」
「それでは、ラブミーテンダー特製ランチをご馳走しましょう。
アンリ、例の部屋にご案内しろ。
ランチは運ぶ。
一階やここじゃ落ち着かないだろ?」
そう言って、アダムは厨房の方へ行った。
二階隠し部屋のドアが開いた。アダムがランチを運んできたのだ。
「あなた、ちょっと聞いて。この人、アンリとアンを料理人として雇ってくれるというの。
今のアンリの給料二倍、休みは週に二日。
住みこみになるけど、女性は十人。
男の人はこの人だけ。
特にアンにとっては、申し分ない話だと思うんだけど」
妻の言葉に、アダムは少し考えた。俊也さんから申し出てくれたのだ。
侯爵様も、とがめないだろう。
そうなんです。この夫婦、実はシャネル侯爵の密偵を長く務めているのです。
息子には伝えているが、アンリに話していないし、アンリも知らない方がいいだろう。
「いいと思うぞ。詳しい話は君が聞いておいてくれ。
最終判断は君に任せる」
アダムはそう言って、ワンプレートランチを、二人前テーブルに置いて部屋を出た。
「腹ぺこ少女。先に食べろよ」
部屋は狭いし、テーブルも小さい。俊也はヒールを使った三人に譲った。
「じゃあ、じゃんけんしよう! アンリ、じゃんけん知ってる?」
「えっ、私もですか?」
ブルーの言葉に、アンリはちょっと驚く。俊也が従者二人に先を譲ったということにも驚いたが。
階級社会のこの地において、ありえないことだから。
「もちろんよ。グー、チョキ、パーのどれかを出すの」
ブルーは手で見本を示しながら言う。アンリはこぼれるような笑顔になって、じゃんけんに参加した。
なんか安心して雇ってもらえそう。
「アンリ、アン、雇ってもらいなさい。条件は後で知らせて」
イブはそう言って、負けたらしい娘の肩をポンと叩いた。
「二人をよろしくお願いします。あなたなら手を出してもいいですよ」
そう言って隠し部屋から出ていった。うまくお手付きなったら、娘も一生安泰だ!
生活資金だけの問題ではない。食事の順番を女に譲る。その一事をとっても、この人なら間違いない。
俊也のちょっとした思いやりは、彼の評価を爆上げさせた。
「手を出してもいい……。あわわわ……」
赤面して硬直するアンリだった。
「一階はレストラン兼酒場、二階は……娼館となっております。
娼館といっても、無理やり客を取らせてるわけじゃないんですよ。
体を売るお兄さんやお姉さん方が、気に入った相手と、即席ラブする仲介をしているだけなんです。
もちろん、お金はお相手から頂きますが、嫌な相手は決して二階へ通しません。
みんな一階で働いてますが、そのお給料だけでは足りない、事情がある方ばかりです。
だから、軽蔑しないでくださいね。
それと、両親や兄は、十パーセントの手数料…はっきり言えば用心棒料?
それをもらってるだけですから」
アンリはムキになって弁明する。
「それで『ラブミーテンダー(優しく愛して)』か。店のお兄さんやお姉さんたち、まだ恵まれてるね。
それしか生き方のない人もいる。
他にも娼館はあるだろ?」
俊也の言葉に、アンリはほっとしてうなずいた。
他にも娼館は四軒ある。この店以外は、悲惨なものだ。
アンリは抵抗がぬぐえないが、両親や兄が、そういった人たちの、逃げ場を確保していることだけは認めている。
俊也は家族の経営する店で、アンリが働かない理由がわかった。
アンリにとって、外で働くことがギリギリの妥協なのだ。
俊也はバックヤードで、アンリの両親に引き合わされた。名前はアダムとイヴらしい。多分本名ではないだろう。
「そうか。ブリリアンを救ってくださったのは、この方か」
アダムは腕を組んでうなずく。
「ありがとう。そしてごめんね。
アン…ブリリアンが姿を隠したのは、仕方がなかったの。
あの子、特殊な能力を持っているから。
今この二階に隠れてる。
すぐ呼んでくる。あの子も気にしてたし」
イヴはそう言って、バックヤードを出ていった。
「詳しくはわかりませんが、お二人ともかなりの魔力をお持ちですね?
筋肉の付き方や、身のこなし方を見てもわかります。
お二人とも魔法戦士だったんでしょ?」
イザベルの言葉に、アダムは苦笑してうなずいた。
「お嬢さん二人には、とうてい及びませんが。この店の用心棒ぐらいは務まります」
「もしかして、侯爵の……」
「ブルー、余計な詮索はするな」
俊也はブルーをとがめた。
「ごめんなさい。余計なこと言って」
ブルーはシュンとしてうなだれる。
「ブルーは天真爛漫な女の子です。お許しを」
俊也は頭を下げた。
「いやいや。あなた方のことも一切聞きません。お昼は?」
「まだです」
「それでは、ラブミーテンダー特製ランチをご馳走しましょう。
アンリ、例の部屋にご案内しろ。
ランチは運ぶ。
一階やここじゃ落ち着かないだろ?」
そう言って、アダムは厨房の方へ行った。
二階隠し部屋のドアが開いた。アダムがランチを運んできたのだ。
「あなた、ちょっと聞いて。この人、アンリとアンを料理人として雇ってくれるというの。
今のアンリの給料二倍、休みは週に二日。
住みこみになるけど、女性は十人。
男の人はこの人だけ。
特にアンにとっては、申し分ない話だと思うんだけど」
妻の言葉に、アダムは少し考えた。俊也さんから申し出てくれたのだ。
侯爵様も、とがめないだろう。
そうなんです。この夫婦、実はシャネル侯爵の密偵を長く務めているのです。
息子には伝えているが、アンリに話していないし、アンリも知らない方がいいだろう。
「いいと思うぞ。詳しい話は君が聞いておいてくれ。
最終判断は君に任せる」
アダムはそう言って、ワンプレートランチを、二人前テーブルに置いて部屋を出た。
「腹ぺこ少女。先に食べろよ」
部屋は狭いし、テーブルも小さい。俊也はヒールを使った三人に譲った。
「じゃあ、じゃんけんしよう! アンリ、じゃんけん知ってる?」
「えっ、私もですか?」
ブルーの言葉に、アンリはちょっと驚く。俊也が従者二人に先を譲ったということにも驚いたが。
階級社会のこの地において、ありえないことだから。
「もちろんよ。グー、チョキ、パーのどれかを出すの」
ブルーは手で見本を示しながら言う。アンリはこぼれるような笑顔になって、じゃんけんに参加した。
なんか安心して雇ってもらえそう。
「アンリ、アン、雇ってもらいなさい。条件は後で知らせて」
イブはそう言って、負けたらしい娘の肩をポンと叩いた。
「二人をよろしくお願いします。あなたなら手を出してもいいですよ」
そう言って隠し部屋から出ていった。うまくお手付きなったら、娘も一生安泰だ!
生活資金だけの問題ではない。食事の順番を女に譲る。その一事をとっても、この人なら間違いない。
俊也のちょっとした思いやりは、彼の評価を爆上げさせた。
「手を出してもいい……。あわわわ……」
赤面して硬直するアンリだった。
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