【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

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44 いちゃいちゃも命がけ?

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「ねえ、アンリさん、そんなに緊張しなくていいよ。
御老公はお優しい方だし、身分なんて気にする人じゃないから」
 ブルーは緊張が解けず、カクカクと足を運ぶアンリに言った。

この筋肉お嬢様ブルー、子爵家出身のくせに、やたらと気さくにできている。

「は、はい。申し訳ございません」
 アンリは先頭を歩いているのに、深く前方へ頭を下げた。

「アンリはブリリアンという人、知ってる?」
 俊也はフレンドリーに声をかけた。

「知っている、といえば知っております。
ただ、その者は変装に長けております。
どの姿が本物なのか、よく存じません。
どうも申し訳ございません!」
 アンリは、また前方に深く頭を下げた。

俊也は、かわいい! と思ってしまった。アンリの顔立ちは、いかにも素朴な町娘、という感じ。近所では結構人気の。

輪郭はほっそりしてやや長いが、俊也のストライクゾーンに入っている。

なるほどね。ブリリアンは変装して、今まで身の安全を保っていたのか。

多分街の入り口付近で、待ち伏せされていたのだ。街で見かけない女は、鉱石を持っていないか確かめろ。あの不運な連中は、そういうふうに命じられていたのだろう。

「アンリはどこの出身?」
 俊也は重ねて聞く。この気まじめ過ぎるお嬢さん、けっこう気になっていた。

「当地で採用されました! 
他の女性兵三名も、半分まかないとして採用されております。
まかないでは、予算が下りないので、兵士ということになっております。
どうかご内聞に」
 なるほどね。駐屯部隊に、多くの正規兵は置けないだろう。指揮官の裁量で現地雇用しているわけだ。

「まかない係となれば、料理上手なの?」
 イザベルが聞いた。

「家事一通りはこなせます。
ラブミーテンダーの店主は、私の両親でございます。
料理は幼いころからたっぷり仕込まれました。
どうも申し訳ございません!」

「いや、そこは謝るところじゃないでしょ!」
 俊也は、つい突っ込んでしまった。

「はい……。そういえばそうですね。どうも……」

「申し訳ございません! かわいいけど、もう謝るのはよそうか?」
 俊也は軽く突っ込む。

「あ、はい。どうも……」

「もういいから! 君ってマジかわいいね!」
 俊也は笑いを抑え、つい本音を漏らしてしまった。

アンリは、カチーンと固まってしまった。

「かわ…かわ…くゎわわわ……」

「御老公、チャンスですぞ!」
 青さんがいたずらっぽい目で言った。

「アンリ、俺たちの別荘で働かない? 
料理係として給料は今の倍。
住みこみになるけど週休二日。
希望があれば、この二人が街まで護衛について送迎する。
俺以外全員女性だから、気楽に働いてもらっていい」

「給料倍…休みが週に二日。
どうかお雇い下さいませ!」
 アンリは好条件に、あっさり飛びついた。一人ゲットだぜぇ~! 青さんは小躍りした。

いかにも、いじりがいがありそうな女の子だ!

「青さん、何を考えている?」
 俊也が冷たい目で見た。

「や~ん、言わせないでぇ~! 
御老公とおんなじことですぅ~ん。
このエッチ」
 青さんは信也の腕に飛びついて、ぎゅっと腕を抱きしめた。

ボキッ。
ぎゃっ!
なんか変な音と声、しなかった?

「なんということに! 御老公、誰に襲われたのですか? 
申し訳ありません。
気づきませんでしたぁ~、って私?」
 俊也は左腕をだらんと垂らし、苦痛に低くうめいている。

イザベルの視線は厳しく、
「お前だ、お前、他に誰がいる!」
と、とがめている。

「失礼します! えい!」

「ぎぎゃっ!」
イザベルは素早く骨の位置を元に。ヒールの魔法を俊也の左腕にかける。

今現在で、骨折を癒すほどのヒールを使えるのは、イザベルだけ……のはずなのだが……。

アンリもヒールの呪文を唱え、重ね掛けしている。

ブルーも及ばずながらヒールを唱える。

三重重ね掛けのおかげか、数十秒後には痛みがほぼ消え、一分後には骨もくっついたようだ。

二分後に俊也が軽く振って確かめてみたら、全治したようだ。

気絶するかと思った。骨を接がれた時。

麻酔なしなんだもん!

俊也は深く学べた。俊也モードでブルーと接するときは、VSひのえ熊の心構えで。

外見がかわいいだけに、余計タチが悪い。


蒼白だったアンリの顔に、いくらか赤みが差してきた。「よかった~」とつぶやき、俊也にもたれかかった。

俊也は抱きとめながら思う。限界まで魔力を使ったのだ。

だが、魔法を使ったのは確かだ。

ヒールの魔法は、自分の生体エネルギーを魔力と合わせ、集中して患部に当て、癒す技だ。
したがって疲れるし、初等魔法の割に魔力消費量が多い。

つまり、この子、中等手前程度の魔力量を持っている。

「御老公、思わぬ拾いものかもしれませんな。フフフ」
 ブルーは肘で俊也をツンツンした。

「君がやるとマジ痛いの! 
全然デレになってない! 
それと、水戸×門ごっこはもうやめ! 
弁士ももうやらない!」

「そんな~……」
 異口同音に言って、膝から崩れ落ちる青さん、いざさんコンビだった。
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